医療事務認定実務者試験ってどんな資格?難易度から関連資格まで徹底解説!

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医師

安藤広真

医療事務に関する資格はたくさんあります。その中で、医療事務認定実務者の資格をとってみたい人は多いのではないでしょうか?

医療事務認定実務者試験は難易度が低く、初心者にも向いています。しかし、それでも初めて挑戦する場合は不安を感じることが多いでしょう。

そこでこの記事では、医療事務認定実務者試験の概要から勉強方法、難易度まで幅広く解説します。

医療事務認定実務者試験をざっくり説明すると

  • 医療事務の初心者にも向いている
  • 就活で有利になるレセプト業務の知識が身に付く
  • 通信講座でも学習可

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医療事務認定実務者試験ってどんな資格?

赤いはてなマーク 医療事務認定実務者試験は全国医療福祉教育協会が主催している資格試験です。

2016年に始まったばかりの試験でありながら、2018年には出願者が合計で15,000人を超えています。注目度の高い資格試験といえるでしょう。

試験内容は学科と実技試験に分けられ、実技問題ではレセプト作成について出題されます。初歩的なことから応用的なことまで幅広く問われるのが特徴です。

取得後のメリット

医療事務認定実務者試験に合格することの大きなメリットは、レセプト作成についての知識・技能が身に付くことです。

レセプト業務とは、患者が受けた保険診療を点数化して国に提出する書類を作る業務をいいます。医療事務の業務の中で特に専門性が高く、初学者が躓きがちな分野です。

そんなレセプト作成の知識・技能をゼロから身につけることができる資格試験として、医療事務認定実務者試験は高い人気を誇ります。

レセプト業務の知識は就活に活きる

一口に医療事務と言っても、その業務内容はいくつかに分けられます。代表的な業務は、受付業務や医療従事者のサポート、そしてレセプト業務です。

これらの業務の中でレセプト業務は難易度が高いため、その資格を持っていると就活時に優遇されます。

医療従事者がスキルアップを目指す際に最初に着手するのがレセプト業務の勉強であるくらい、重要度が高い学習分野です。

医療事務認定実務者試験の難易度

黒板に書かれた図形と記号 続いては、医療事務認定実務者試験の難易度について詳しく見ていきましょう。

医療事務認定実務者試験の試験範囲と出題形式

試験問題には学科と実技があります。どちらもマークシート形式の問題で、合計90分以内に回答し終える必要があります。実技は出題分野はレセプト作成、学科の出題分野は以下の4つです。

  • 接遇とマナーに関する知識
  • 医療機関における各種制度に関する知識
  • 医療事務業務に関する知識
  • 診療報酬請求に関する知識

上記の分野で合計30問が出題されます。資料や電卓の持ち込みは可能なため、それらを使いながら回答しましょう。

また、実技では外来の1症例について出題されます。外来とは外から来た患者、つまり入院していない患者に対する治療のことです。

外来は、入院よりも治療の内容がシンプルで治療期間も短いことが多いです。したがって、外来のレセプトは入院のレセプトよりも分かりやすいといえます。

つまり、レセプトの問題が外来の症例についての出題であるということは、比較的対策しやすいということです。この点でも、医療事務認定実務者試験は初学者向きの試験といえます。

医療事務認定実務者試験の合格率・合格ライン

原則として、学科と実技のそれぞれで6割以上の問題に正解すれば合格となります。

また、合格ラインは問題の難易度により変動します。6割未満だと必ず不合格になるわけではありません。

合格率はおよそ6~8割といわれています。たとえば、2018年度の合格率は72.7%、2020年度の合格率は79.1%でした。

この数値を見ると難易度が低めの試験といえるでしょう。しかし、これは受験者約15,000人のうち3,000人以上が不合格になったことを意味します。

難易度は決して高くはないとはいえ、油断すれば合格を逃すことになるでしょう。

医療事務の未経験者こそおすすめ

医療事務は、資格を1つでも取得すれば就職・転職に有利になり、ほかの関連資格も取りやすくなります。

しかし、初めて医療事務の分野で就職したい人は、何から着手して良いのか分からず戸惑いがちです。関連資格が多く、どれを取得すべきなのか分かりづらいこともその一因でしょう。

医療事務認定実務者試験は、そのような初心者にこそおすすめです。問題がマークシート形式であり、資料と電卓の持ち込みも可能で、試験を受けるハードルが低いためです。

また、通信講座も充実しているため、独学する自信がない人にも向いています。まずは医療事務認定実務者試験に合格し、それを足掛かりにしてさまざまな関連資格にトライすると良いでしょう。

出題範囲の詳細

男性の手元と資料 先ほど、出題範囲が学科の4種類とレセプトについての実技だと解説しました。では、具体的にどのようなことを問われるのでしょうか?

接遇とマナーに関する知識

学科の「接遇とマナーに関する知識」では、以下の点について出題されます。

  • 医療機関での接遇とマナー
  • 社会的マナーと医療機関の接遇
  • 医師との連携
  • 患者との関わり方

「医療機関での接遇とマナー」で問われるのは医療事務に関する基本的な理解です。一方、「社会的マナーと医療機関の接遇」では社会人としての常識を問われます。

「医師との連携」は窓口業務やレセプトについての出題されます。そして、「患者との関わり方」では高齢者や障害者への対応や、クレームへの応対についての知識が求められます。

医療機関における各種制度に関する知識

この学科で問われる内容は以下のとおりです。

  • 医療法と医療法施行規則
  • 医師法と医師の役割
  • 医療保障制度の概要
  • 医療保険の給付
  • 健康保険法と保険診療
  • 後期高齢者医療制度
  • 介護保険制度(サービス)の概要
  • 診療報酬制度
  • マイナンバー制度
  • 公費負担医療

いずれも概要や基礎的な知識が問われます。試験は資料の持ち込みが可能なため細かい部分の丸暗記は不要ですが、理解を深めておく必要はあります。

医療事務業務に関する知識

この学科で問われる知識は以下のとおりです。

  • 請求と支払の仕組み
  • 医療事務の流れ
  • 日常業務
  • レセプト作成の基本

「請求と支払の仕組み」では診療報酬の算定要件や、支払・請求の流れを問われます。「医療事務の流れ」で出題されるのは、請求業務やレセプト提出の流れです。

そして、「日常業務」ではカルテの表書きや料金計算、「レセプト作成の基本」ではレセプト作成に必要な基礎知識を問われます。

診療報酬請求に関する知識

この学科では、以下の知識が問われます。

  • 診療報酬の算定について
  • 入院時食事療養費の費用額算定について

これだけではややイメージしづらいかもしれませんが、具体的には「次のうち外来管理加算が算定できないものを選びなさい」といった形で問われます。

覚えていることが前提の試験になるので、抜かりなく勉強して高得点を目指しましょう。

実技

レセプトについての実技試験では以下の能力が求められます。

  • 診療報酬明細書の作成・点検
  • 上書き欄の記載
  • レセプトで用いる用語の理解
  • 正確な点数算定
  • 点数の各項目の告示や通則に関する知識
  • 時間外などの正確な加算
  • 小児に関する正確な加算
  • 摘要欄記載が必要な診療行為への理解

求められる知識や技能を十分に身につけて試験に臨みましょう。

医療事務認定実務者試験に必要な参考書

鉛筆とノート 基本的には独学も可能ですが、テキスト1つで学習するだけで合格するのはやや難易度が高いでしょう。では、具体的にどのようなものを用意すればよいのでしょうか?

おすすめテキストや問題集

テキストを選ぶ際は、幅広い分野について書かれたものを選びましょう。なぜなら、試験は資料の持ち込みが可能なためです。基本的には初学者向けの医療事務のテキストで良いでしょう。

ただし、そうしたテキストの場合レセプト作成についての記述が少ないことがあります。その場合は、レセプト作成に重点を置いたテキストを別途に準備しましょう。

問題集については過去問があれば理想的ですが、医療事務認定実務者試験の過去問は入手できません。ただ、学科試験の内容は関連資格の問題と似ているためそれらの問題集を活用できます。

一方、実技のレセプトに関しては似たような問題を入手するのが困難です。試験対策が難しい分、テキストをしっかり読み込んでおく必要があります。

通信講座も存在

ユーキャンの医療事務講座で医療事務認定実務者試験の勉強することもできます。この講座は医療事務認定実務者試験に合格するためのものであるため、スムーズに学習できるでしょう。

ユーキャンの講座では、わずか4カ月で合格できるようにカリキュラムが組んであります。分かりやすい教材が提供されるため、自力でテキストを選ぶ自信がない人でも安心です。

その教材は試験の際に持ち込んで参考にすることもできます。

また、分からない点があれば質問することもできます。疑問点をすぐに解決できる環境があれば、効率のよい学習が実現するでしょう。

さらに、ユーキャンでは履歴書の書き方などが書かれた就職ガイドも提供されています。それを活用すれば、資格取得を就職に直結させることもできるでしょう。

医療事務認定実務者試験の試験日程・会場・申し込み方法

パソコンと男性 次は、医療事務認定実務者試験の試験日程や会場についてなど、実際に受験する際に必要な事項をご紹介します。

日程と試験形式

試験には在宅受験と会場受験があります。一般的な受験者は在宅で受験することになり、月に1度受験のチャンスがあります。ただし、海外では受けられないため注意しましょう。

一方、会場受験は認定機関が開講している講座の受講生が対象となります。こちらは認定機関が試験日を決定するため、その時々によって異なります。

申し込みは試験の約1カ月前までに行いましょう。また、合否発表は試験の約3週間後です。

申し込み方法と受験料

在宅受験をする場合は、願書の郵送あるいはインターネットで申し込みできます。

いずれの場合も、申し込みをすると同時に指定の銀行口座に受験料を振り込む必要があります。申し込みと振り込みの両方が確認された時点で申し込み完了です。

一方、会場受験の場合は通学しているスクールにて手続きを行うことで出願できます。

医療事務認定実務者試験の受験料

基本的には5,000円です。しかし、認定機関のスクールに通っている場合や、認定講座を受講している場合は4,500円で受験できます。

ちなみに、先ほど紹介したユーキャンの通信講座で学習している場合も4,500円で受験可能です。

独学でテキストや問題集を買い込むよりもリーズナブルな価格で受講することができるので、医療事務認定実務者試験を受験予定の方は、ぜひ検討してみてください。

医療事務認定実務者試験と合わせて取りたいおすすめ資格

女性の手元とペンとノート 医療事務に関する資格はたくさんあります。その中で、医療事務認定実務者と合わせて取りたいおすすめの資格をご紹介します。

メディカルクラーク

一般的にはメディカルクラークと呼ばれていますが、正式名称は「医療事務技能審査試験」といいます。医療事務関係の資格の中でももっとも高い人気を誇るのが特徴です。

医療事務認定実務者試験とは共通点が多くあるため、合わせて取るのがおすすめです。たとえば、毎月試験が行われている点や、レセプト作成の実技試験が実施されている点は共通しています。

ただし、難易度はメディカルクラークのほうが高めです。医療事務認定実務者試験はすべてマークシート形式ですが、メディカルクラークは違うからです。

たとえば、メディカルクラークではマナーや患者接遇の知識が作文形式で問われます。また、レセプトに関する問題は、与えられたレセプトの間違いを指摘するという試験形式になっています。

メディカルクラークについて、より詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

診療報酬請求事務能力認定試験

これはメディカルクラーク以上に難易度が高い資格試験です。初学者が就職や転職のために取得する資格ではありません。

診療報酬請求事務能力認定試験は、レセプト事務に従事する人のスキルを向上させるための試験です。したがって、ある程度実務経験を積んだ人がさらに上を目指す際に受けるのが一般的です。

医療事務認定実務者試験を受ける場合は、その後のキャリアを考える際に診療報酬請求事務能力認定試験を視野に入れておくと良いでしょう。

診療報酬請求事務能力認定試験について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

医療事務認定実務者試験まとめ

医療事務認定実務者試験まとめ

  • 合格率は6~8割で初心者向け
  • すべての問題はマークシート形式で資料の持込可
  • レセプトの知識があれば就活に有利

医療事務認定実務者試験について解説してきました。「どうしようかな…」と悩んでいる人にこそおすすめの資格試験です。これを機に、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

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