診療情報管理士は働きながら合格可能?試験概略から専門学生との比較まで徹底解説!
この記事は専門家に監修されています
医師
安藤広真
「診療情報管理士を目指したいけれど、社会人でも試験に合格できるの?」
「働きながら資格を取るための具体的な勉強方法は?」
このような疑問を持つ人もいらっしゃるのではないでしょうか?
働きながら診療情報管理士を目指す人は多いのですが、その一方で試験のハードルが高く、合格できるか不安に感じることもあるかと思います。
そこで今回は、診療情報管理士の詳しい受験資格や試験難易度のほか、具体的な勉強法から専門学校出身者の合格率との比較まで徹底解説していきます。
この記事を読めば、働きながら診療情報管理士に合格するための具体的な道筋が見えるはずです!
診療情報管理士の働きながらの対策ついてざっくり説明すると
- まずは自身に受験資格があるか確認
- 通信教育を活用しての独学がおすすめ
- 合格率は60%前後だが暗記が多く難易度が高い
- まとまった勉強時間と根気が必要
このページにはプロモーションが含まれています
診療情報管理士を働きながら目指す人は多い?
診療情報管理士は学生だけでなく、「医療事務からキャリアアップしたい」などの理由で、働きながら資格取得を目指す人も多くいます。
試験内容の解説を始める前に、まずは社会人が診療情報管理士を目指す際の注意点について確認しましょう。
診療情報管理士って?
診療情報管理士という言葉は、一般的に「職業」または「資格」のどちらかを指しますが、今回は特に「資格」について詳しくご紹介していきます。
診療情報管理士資格とは、医療機関のデータ(カルテなど)を管理する資格であり、またこうした仕事を担う人を育てるために設けられました。
現在多くの病院ではこれらのデータを管理する為に専門の勉強をした人は少なく、日々の業務の中で少しづつ管理方法を学びながら業務をこなしている状態です。
現在多くの病院では、多くに場合、診療情報を扱うための勉強をしたことがない人が、経験を積み重ねることで業務を行っています。
このような状況が続くと、データがばらばらになったり、取り扱っている当人にしかカルテなどのデータの場所が分からないなどの不便さが生じます。
診療情報管理士は、このような不便さを解消するために、診療情報を専門的な知識を持って、管理する仕事を担います。
厳しい受験資格
診療情報管理士の試験を受験するには、受験資格を満たす必要があります。
受験資格の条件は3種類あり、1つ目は大学や短大を卒業し、日本医師会が行う通信教育を修了することです。
ただし最終学歴が高卒でも、現在病院に勤務している者、また医師や看護師など特定の資格を持つ者は専門課程への編入ができ、受験資格を得ることができます。
2つ目は、日本病院会に指定された大学や専門学校を卒業していることです。
そして3つ目は、指定校で3年生以上の学年で、2年以内に卒業が見込まれることです。
この3つの条件のどれかを満たせば、診療情報管理士の受験資格を得ることができます。
診療情報管理士の受験資格を見て分かるように、指定校に在籍したことのない人は、通信教育を受けなくてはなりません。
そのため、働きながらでは合格ができないのではないか、と不安に思う人方も多いのではないのでしょうか?
そこで、続いて働きながらでも診療情報管理士の資格を取得することが可能なのかを解説していきます。
働きながらの合格は可能?
診療情報管理士の受験資格のところで紹介したように、指定された学校の出身ではなく、受験資格がない方は、協会が指定する通信教育を受ける必要があります。
そのため、短期間の集中的な勉強では合格することができず、必然的に働きながら資格取得を目指すことになります。
働きながら時間の限られた中で、通信教育を受け、資格の勉強ができるのか、不安に感じる方も多いと思いますが、働きながら診療情報管理士の試験に合格した方も多くいらっしゃいます。
根気は必要になりますが、実際に働きながら努力し、合格された方も多く、働きながらの合格も可能になります。
診療情報管理士の試験概略
診療情報管理士の資格を働きながら取得するためには、どのような試験に合格しなければいけないのでしょうか?
続いては、診療情報管理士の試験内容や試験の難易度など、診療情報管理士の試験概要について紹介します。
診療情報管理士の試験内容と日程
診療情報管理士の試験には、基礎分野と専門分野があります。
医師や歯科医師など指定された20の資格の内、どれかを持っている場合、基礎分野が免除されます。
診療情報管理士の基礎分野、専門分野の試験はどちらも12章の設問があります。
基礎科目
- 医療概論
- 人体構造・機能論
- 臨床医学総論(外傷・先天異常含む)
- 臨床医学各論Ⅰ(感染症及び寄生虫症)
- 臨床医学各論Ⅱ(新生物)
- 臨床医学各論Ⅲ(血液・代謝・内分泌等)
- 臨床医学各論Ⅳ(精神・脳神経・感覚器系等)
- 臨床医学各論Ⅴ(循環器・呼吸器系)
- 臨床医学各論Ⅵ(消化器・泌尿器系)
- 臨床医学各論Ⅶ(周産期系)
- 臨床医学各論Ⅷ(皮膚・筋骨格系等)
- 医学・医療用語
専門課程
- 医療管理総論
- 医療管理各論Ⅰ(病院管理)
- 医療管理各論Ⅱ(医療保険・介護保険制度)
- 医療管理各論Ⅲ(医療安全・医療の質管理)
- 保健医療情報学
- 医療統計Ⅰ(統計理論)
- 医療統計Ⅱ(病院統計・疾病統計)
- 診療情報管理Ⅰ(法令・諸規則)
- 診療情報管理Ⅱ(診療情報管理士の実務)
- 診療情報管理Ⅲ(DPC・医師事務作業補助者・がん登録の実務)
- 国際統計分類Ⅰ
- 国際統計分類Ⅱ
保有資格によって基礎課程試験が免除される
基礎課程試験が免除されるのは以下の資格を保有している方です。
- 医師
- 歯科医師
- 看護師(保健師、助産師)
- 薬剤師
- 診療放射線技師
- 臨床検査技師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 視能訓練士
- 言語聴覚士
- 歯科衛生士
- 歯科技工士
- 臨床工学技士
- 義肢装具士
- 救急救命士
- あんまマッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
試験時間は1時間となっており、100点満点でマークシート方式となっています。
基礎分野は、臨床医学の基礎的なことが問われ、専門分野は、医療統計に関することや、医療管理に関することが主に問われます。
診療情報管理士の試験は、年に1回実施されており、2月に行われていて、全国15会場で受験することができます。
診療情報管理士の認定日は4月1日となっています。
通信教育の費用・期間
診療情報管理士の通信教育には、2年間で約220,000円(税込)、専門課程編入の場合は約110,000円の受講料がかかります。 納入方法は1年目に基礎課程分の110,000円、2年目に専門課程分110,000円をそれぞれ納入するのが一般的です。
通信教育の修了に必要な期間は、基本的に2年間です。ただし、基礎課程免除対象資格の保有者については、期間が短縮され、1年で修了することとなります。
試験難易度はやや高い
診療情報管理士の試験は、関連する医療系の資格と比べると、やや難しく難易度が高めになっています。
そのため、診療情報管理士の試験は受験資格を満たしても決して油断できません。
近年では、診療情報管理士の合格率が60%を中心とし、前後10%ほどに振れています。
診療情報管理士の試験は、医療関連の資格では珍しく、持ち込みが不可になっています。
そのため、覚える量が多く、約60%程度の合格率と聞くとそれほど難易度が高いと思いませんが、合格率の見た目以上に難易度が高い試験になっています。
そのため、診療情報管理士の試験に合格するためには、長い勉強時間が必要になり、仕事と両立するには、長期的に勉強することが必要になります。
診療情報管理士合格までの勉強法
診療情報管理士の試験の難易度が分かったところで、実際に試験に合格するには、どんな勉強をすればよいのでしょうか?
通信教育の概要と診療情報管理士の試験に合格するための具体的な勉強法を紹介します。
通信教育の内容
診療情報管理士の受験資格を満たすために、まず通信教育を修了することが必要になります。
通信教育で行われる勉強が、診療情報管理士の試験対策に直結するので、単に効率よく修了を目指すのではなく、通信教育で学ぶ内容も積極的に勉強することが、合格への近道になります。
通信教育では、リポートの作成、スクーリングの受講、科目試験の受験などを行います。
通信教育では、学習スケジュールに従って、リポートの作成のためのテキストとリポート問題集が送られてきます。
リポート作成は、送られてきたテキストとリポート問題集を使い、自ら勉強した上で、期日までにリポートを提出するという流れになります。
スクーリングは、Web授業と面接授業があり、どちらか選択することができます。
因みに面接授業は、東京・大阪・福岡で年2回の3日間しか行われないため、お住まいの地域によっては、面接授業を受講できない場合があります。
通信教育で取得する科目は、診療情報管理士の試験科目と同じく基礎科目が12科目、専門科目が12科目になっています。
そのため、通信教育の内容を学ぶことは診療情報管理士の試験に沿った、無駄のない勉強を行うことに繋がります。
このように、通信教育の勉強を真面目に取り組むことで、診療情報管理士の試験勉強を行ていることになります。
具体的な勉強法
続いては、診療情報管理士の試験対策として、具体的な勉強方法を紹介しまます。
まず、通信教育を受ける際に送られてくるテキストをもとに、自分で勉強を進める必要があるます。
勉強する順番やスケジュールは、通信教育の指示に従うことで効率よく勉強が進められます。
そのため、診療情報管理士の試験に合格するためには、勉強方法を一番に意識して行う必要があります。
そこで、診療情報管理士の試験においての有効的な勉強方法を紹介します。
先ほども紹介したように、診療情報管理士の試験はマークシート方式で、持ち込みが不可であるため、試験範囲の全てを暗記するのは不可能です。
そのため、あまり深くまで完全に覚えるのではなく、暗記しなくてはならないポイントを抑えつつ、効率よく暗記していく必要があります。
暗記が必要なポイントとは、この言葉と言えばこれ、というような関連するキーワードを覚える方法です。
関連するキーワードを覚えると同時に、間違えやすい関連用語も意識して覚えると試験に役立つでしょう。
診療情報管理士の試験のために勉強する期間は長期にわたるため、復習しやすいように、キーワードにチェックを入れたり、キーワードをノートにまとめるなど、自分なりの方法でアレンジを加えると良いでしょう。
具体的には、ノートに図や表を書いたり、テキストに矢印で言葉を繋げたり、マーカーで色を付けると後で見返した際に復習しやすくなります。
また、問題集を解く際には、間違えた問題にマークを付けることで、間違えた問題を重点的に解くことができ、最終的にはテキストの問題全てを網羅することが可能になります。
紹介した勉強方法を参考に、自分が勉強しやすい方法を見つけましょう。
指定校の学生・卒業生が有利?
専門学生や、大学生の方が診療情報管理士の資格を取得するには有利という情報もありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
合格率の予想などから分析し、本当に専門学生や大学生の方が合格しやすいのか紹介していきます。
合格率の違いは公表されていないが
診療情報管理士の試験情報において、専門学校生や大学生と通信教育を受けた人のそれぞれの合格率は公表されていません。
しかし、学生の合格率は80%を超えるのではないか、という予想が立てられています。
診療情報管理士の全体合格率が60%前後であるため、指定校出身者の方が合格率が高いのではないかと考えられています。
ではなぜ、指定校出身者の合格率が高いと考えられているのでしょうか?
指定校出身者はなぜ合格率が高い?
診療情報管理士の指定校出身者の中には、在学中の学生が多く含まれています。
在学中の学生の周囲には、医療に関わりたいと思っている人が多く、互いに切磋琢磨することで、勉強のモチベーションを高め合うことができます。
そのため、資格取得のために一緒に勉強を行い、お互いの疑問を解消するなど、効率的に勉強できているということが学生の合格率が高い理由の一つに挙げられます。
更に学生は社会人より時間に余裕があるため、圧倒的に勉強時間に融通が利き、診療情報管理士の試験対策に集中することができます。
これらの理由から、社会人より指定校の学生や卒業生の方が合格率が高いと考えられますが、社会人と学生では環境が異なるため、あまり比較せず、自分が合格するためにはどうしたら良いかを考えることが大切になります。
独学から合格するには
続いては、独学で診療情報管理士の試験に挑戦する際のポイントを紹介します。
独学で試験勉強を行うには、モチベーションの維持をできるような、環境作りが大切です。
診療情報管理士の試験対策は長期にわたるため、どれだけモチベーションを維持できるかが重要になってきます。
例えば、友人などに定期的に勉強の愚痴を聞いてもらったり、診療情報管理士の資格を持っている人と交流を持ってアドバイスを貰ったり、勉強の進捗を確かめてもらえる友人を作ったりすることで上手にモチベーションを保つことができます。
独学で診療情報管理士の勉強を行うことは大変ですが、地道に勉強を続ければ、独学でも試験に合格することは可能です。
学生でも社会人でも独学でも、資格を取得するためには勉強が必要です。途中で挫折しないためにも、強い気持ちを持って、勉強に励みましょう。
社会人の診療情報管理士試験の働きながらの対策まとめ
社会人の診療情報管理士の働きながらの対策まとめ
- 診療情報管理士は厳しい受験資格があるので事前に要チェック
- 通信教育を活用することで、効率よく試験勉強ができる
- 働きながらでも独学でも診療情報管理士の資格は取得可能
診療情報管理士の試験は厳しい受験資格があるだけでなく、難易度が高く、簡単に取得できる資格ではありません。
しかし、診療情報管理士の資格を取得することでキャリアアップに繋がったり、医学の専門知識を身に付けられたりとメリットがたくさんある資格です。
働きながら資格を取得することは容易ではありませんが、今後の人生のことも考え、診療情報管理士の資格取得にチャレンジしてみて下さい。