刑務官の仕事内容は?刑務官がきついと言われる理由や制服・転勤・結婚事情も解説!

更新日時 2020/04/30

「刑務官って具体的にはどんな仕事をしているの?」

「仕事はきついのかな?」

こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

イメージとしては刑務所で働いている、死刑執行の際の立会人でしょう。刑務官の仕事はこれだけではありません。かなり多岐に渡ってさまざまな仕事をしているのです。そんな刑務官の仕事内容や一部できついと言われている理由などについて解説します。

刑務官についてざっくり説明すると

  • 刑務官は国家公務員
  • 刑務官は基本8時間勤務
  • 刑務官は数年単位で転勤がある

刑務官の仕事内容

ノートパソコンを使う女性 刑務官は法務省に属する国家公務員になるため、法務省管轄の刑事施設に勤務します。刑事施設での主な仕事は、受刑者の監視を行ないつつ、社会復帰のためのサポートをすることです。このように簡潔に書くと簡単に見えるかもしれませんが、実際はその他の細かな仕事もたくさんあります。

刑務官の詳しい仕事内容について、以下の見出しでさらに掘り下げて具体的に解説します。

刑務作業中の監督・指導

刑務所施設では、受刑者がさまざまな刑務作業を行なっています。これらはすべて出所した後の社会復帰を目的として、手に職をつけるためです。何らかの技術を身につけていれば出所後再就職がしやすくなり、再び犯罪に手を染めてしまう人は少なくなります。

また、刑務所施設は規則正しい生活を身につけたり、責任感を養ったりする場所でもあります。そのため、一般的な生活よりもかなり厳しいというのが現状です。食事の時間も睡眠時間もすべて細かく決められています。

ですが、受刑者の中には細かな刑務作業や規則正しい生活にすぐに馴染めない人もいます。そのような人たちを指導したり監視したりすることが、刑務官の仕事です。受刑者のやる気や熱意が感じられれば、刑務官はその受刑者に資格取得のサポートをするということもあります。

刑務官は怖く描かれていたり、厳しいというイメージが前面に出た演出がされていたりします。ですが、目的は生活意欲や労働意欲を高めさせることにあるため、ただ厳しいというだけではありません。時には受刑者と向き合ってカウンセリングを行なうこともあります。

事務作業

刑務官には事務作業もあります。受刑者は人間ですから、日々の生活の中でさまざまな変化があります。その変化や気づいたことを日誌や報告書に記して、他の刑務官と情報共有する必要があります。

また、受刑者にはさまざまな郵便物が届けられます。それらはすぐに受刑者に渡されるのではなく、中身を検閲して問題ないと判断してから本人に渡されます。その作業を行なうのも刑務官です。

このような庶務的な作業を行なう部署や職員は存在します。ですが、基本的にはそのような職員に任せるのではなく、刑務官が庶務的な業務すべてを行なうことになるため、刑務官になる時にはこのような庶務的な作業の指導も組み込まれています。

刑務所での生活・矯正の指導も行う

刑務官の主たる業務内容は、社会復帰した受刑者が再び罪を犯さないようにすることです。犯罪を犯さないようにするには、生活指導を行なう必要があります。生活態度を改めることで考え方が変わり、再犯率が下がるからです。

例えばドラッグに手を出してしまった受刑者は、社会復帰後の再犯率は大変高いという現状があります。刑務所施設内での生活を通して、受刑者の親代わりとなって時に毅然とした態度で厳しく矯正教育し、時には親身になって寄り添ってあげることが大切です。

矯正教育については外部の専門家の力を借りることもあります。ですが、受刑者と多くの時間を共にしているのは刑務官です。専門家の力を借りつつ、刑務官自身も専門家の知識やスキルを身につけ、矯正教育に当たります。

点検・巡回業務

刑務官は時間を決めて点検や巡回業務を行なっています。主な点検や巡回業務は、開房点検と閉房点検の2種類です。

開房点検とは朝、受刑者全員が決められた時間に起床できているかどうかを確認する業務です。毎朝決められた時間に遅れず起床することは、受刑者の生活態度を矯正する大切な習慣です。刑務所施設に入ったばかりの受刑者の中には寝坊する人もいるので、毎朝必ず巡回して点検します。

閉房点検とは、刑務作業を終えた受刑者が全員所定の場所に戻っているかを確認する業務です。刑務作業を行なう場所は離れた場所にあるため、移動する必要があります。その移動時に隙を見て脱獄を試みる受刑者もいます。そのような危険性を防ぐため、毎回必ずチェックします。

拘置所勤務もある

刑務官の多くは法務省管轄の刑務所に勤務します。ですが、拘置所勤務になる場合もあります。

拘置所とは、刑が不確定で拘留されている被疑者は被告人を収容施設です。ただ、日本では死刑が確定している死刑囚も収容されています。

特に刑が不確定で拘留されている被疑者や被告人は、自分の罪を少しでも軽くしようと証拠を隠滅したり逃げたりすることがあります。このようなことを未然に防ぐことが拘置所での刑務官の仕事です。

刑務官の1日

時計 具体的に刑務官はどのような一日を過ごしているのか、気になる方もいるでしょう。そこで、一日のスケジュールについて解説します。

午前中の業務

刑務官の一日は朝7時から始まります。ただ、7時にはすぐに仕事に取り組めるようにしておく必要があるため、厳密には10分前までに職場に到着しておかなければいけません。刑務官は受刑者のお手本となる存在ですか遅刻は許されず、時間厳守です。もし遅刻した場合には厳しい罰則があります。

出勤開始時の7時、刑務官全員が整列して携帯品の確認を行ないます。チェックされる携帯品は刑務官手帳、呼子笛、携帯捕縄の3点です。次に勤務にあたっていた刑務官からの引き継ぎが行なわれます。刑務官は交代制で勤務に就いているので、引き継ぎも大切な午前の業務です。

刑務官のチェックと引き継ぎが終われば、次は開房点検です。この時点ですべての受刑者は整列しているか独房に正座しているか、いずれかの体勢を取っています。それと同時に受刑者それぞれの健康状態もチェックします。問題がなければ朝食になります。

朝食後、刑務官は受刑者たちを連れて刑務作業場へ移動します。移動中も、受刑者が不審な行動をしないか目を光らせています。そして、刑務作業を行なっている受刑者の監視や指導を行ないます。

午後の業務

受刑者は午前中の刑務作業を終えた後、昼食を取ります。そして再び刑務作業を再開します。

ただ、日によって午後から入浴日が設定されていることがあります。その場合は、刑務官は受刑者を入浴場まで連れて行き、決められた時間内に入浴を済ませるように監督や指導を行ないます。

また、運動や面会や散髪などの予定がある場合もあります。刑務官はそれぞれの受刑者の予定に合わせてその場所へ連れて行き、監督や監視や指導を行ないます。すべての予定にも細かく時間が設定されており、必ず時間内に予定を完了させるのが刑務官の業務です。

午後からの刑務作業や予定終了後は、受刑者をそれぞれの房へ連れて行き、閉房点検を行ないます。問題がなければ、刑務官は事務作業を開始します。

勤務時間や休憩もしっかりある

刑務官の基本的な勤務時間は8時間です。この勤務時間の中で休憩時間は2時間設けられています。一般企業における休憩時間は8時間勤務に対して1時間程度ですから、長いと感じるかもしれません。ですが、実際は想像しているように甘くはないのです。

トータルの休憩時間は2時間ありますが、1回の休憩時間は30分しかありません。その間に食事はもちろん、トイレも済ますことになっています。また、報告作業がある場合はそれも30分の休憩時間中に行ないます。2時間のんびり休憩を楽しむというわけではないということです。

また、これはあくまで刑務官が充分いる場合のモデルケースです。地域や施設によっては刑務官が不足しているところもあります。その場合は、充分に休憩時間を取ることができず、休憩時間を返上して仕事をしなければならないことも多々あります。

刑務官の仕事はきつい?

窓辺でうつむく女性 一般的に、刑務官の仕事はきついと言われています。そのため、あまり刑務官の仕事に就こうと思う人がいないのが現状です。

本当に刑務官の仕事はきついのでしょうか。その現状について解説します。

刑務官特有のストレス

刑務官にはその職業柄、特有のストレスがあります。刑務所内にはさまざまな受刑者が刑に服しています。中には我慢強くない受刑者もいるため、トラブルはつきものです。そのような受刑者同士のトラブルを未然に防ぐために、神経を尖らせている必要があります。

また、刑務官の主たる仕事は受刑者の監督と指導です。その立場から、必要に応じて高圧な態度を取ったり、刑罰を与えたりしなければならないこともあります。受刑者の気持ちが理解できたとしても、心を鬼にしてそのような行動を取らなければならないのです。

性格的に優しい人は、このような刑務官の仕事はかなり精神的なストレスになります。また、ある程度精神的に強い人でも、毎日神経を尖らせていないといけないため、常に緊張状態にあるその状況に神経が参ってしまうということもあります。

希少なケースではありますが、刑務官の業務には死刑執行の手続きが含まれています。実際の死刑執行は複数人で当たります。誰が執行したのかわからなくすることで精神的なストレスを軽減するためです。そうは言っても平気でいられる人は少なく、この業務も特有のストレスと言えます。

閉鎖された空間での勤務

刑務官は勤務時間内は刑事施設内のみで過ごすことになります。完全に外界から隔離された空間で最短でも8時間は過ごすことになるため、この閉鎖された空間がストレスになることがあります。また、刑事施設内は普通の外界とは雰囲気が異なります。その雰囲気をストレスと感じる人もいるのです。

場所によっては、自宅が刑事施設内に併設されていることもあります。その場合は、24時間刑事施設内で過ごすことになります。勤務時間外は普通の外界で気分転換をするということが難しくなるため、その環境にストレスに感じる人もいます。

体力的にもきつい?

刑務官は24時間体制で勤務にあたります。当然、夜勤があるということです。夜勤を経験したことがある人はわかるかもしれませんが、シンプルに体力的にきついものがあります。かなりの体力がないと、刑務官の仕事に就くことは難しいのです。

また、刑務官は自衛隊や警察官のように体育会系の一面を持っています。上下関係は大変厳しく、そのような人間関係のストレスが精神面だけではなく、肉体面にも影響を及ぼすことがあります。

刑務官の実態

メガネをかけた男性 刑務官はあまり多くの人たちの目に触れる仕事ではありません。そのため、実態について知らない人も多いでしょう。刑務官の実態について3つのポイントに焦点を当てて解説します。

転勤が多く結婚しにくい?

法務省管轄の受刑施設や拘置所は、日本全国にそれぞれ76か所と8か所の計84か所存在します。刑務官はある程度は自分の意向に従った場所に配置されます。ですが、刑事施設という特有の閉鎖された空間が引き金となり、刑務官と受刑者の癒着が起こる可能性があります。

そのような不正を未然に防ぐため、刑務官は数年単位で転勤を余儀なくされます。1か所の受刑施設や拘置所に腰を落ち着け、定年まで勤務し続けるということがないのです。また、転勤場所は全国各地が対象です。

数年単位という短いスパンで転勤があること。転勤場所は全国各地が対象であること。この2点から結婚の時期を考えることが、他の仕事に比べて難しいという現状があります。

刑務官の制服

刑務官は官服という制服を着ます。刑事施設内においては象徴的な制服で、受刑者は官服を見てその人が刑務官であることを認識します。

官服は刑事施設内では絶対的な存在を表す制服です。受刑者もそのことは良く分かっているので、官服を着ている刑務官には従順に従います。簡単に言えば、官服という特殊な制服を着ているから受刑者は刑務官に従うのです。

刑務官が着る官服は、受刑者に対する絶対的な権力や刑務官の存在の重要性を示す重要な象徴的な制服と言えます。

刑務官と警察官の異なる点

刑務官と混同されるのが警察官です。犯罪者を取り締まるという点が同じなので、刑務官と警察官は似ていると考える人が多いのでしょう。ですが、その実態はかなり違います。

刑務官はすべてが国家公務員扱いです。一方の警察官は、国家公務員と地方公務員の2種類が存在します。この違いは警察庁に採用されるか、都道府県に採用されるかで異なります。警察庁に採用されれば国家公務員となり、都道府県に採用されると地方公務員になります。

また、刑務官は刑事施設内で受刑者の監視や指導を行なったり、刑事施設内の保全に勤めたりすることが仕事です。警察官は犯罪捜査はもちろん、治安維持を行なうことも仕事です。刑務官と警察官ではその仕事の範囲が大きく異なります。

このように刑務官と警察官は一見同じように考えがちですが、仕事内容はもちろん、立場もまったく異なっているのです。

刑務官についてまとめ

刑務官についてまとめ

  • 刑務官の受刑者の監督・指導から事務作業まで多岐に渡っている
  • 刑務官はその職業柄、精神的なストレスがある
  • 刑務官と警察官は仕事内容も立場も大きく異なる

この記事では刑務官について解説してきました。特殊な環境と業務内容のため、ストレスが多い仕事ではあります。ですが、受刑者を更生させるという面で考えるなら、大変やりがいのある仕事とも言えるでしょう。

受刑者の中には自分の行ないに後悔している人もたくさんいます。そのような人たちに寄り添って更生の道を模索するサポートをしてみてはいかがでしょうか!

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