刑務官の試験内容は?採用試験の科目や難易度・試験日程・過去問まで徹底解説!
「刑務官になりたいけど、採用試験はどんな内容なの?」
「試験の難易度はどれくらい?」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
刑務官とは刑務所及び少年院等、法務省管轄の刑事施設において施設の運営や受刑者の指導を行う役割が仕事の国家公務員の事を言います。
刑務官は集団施設の警備担当も受け持っている為、特殊な対人能力や現場の組織を指揮できるような人格が求められます。
仕事は難しいのですが、受刑者を社会復帰させるという面ではやりがいもある為、近年では刑務官を目指す方も多くいます。
そこで今回は、刑務官を目指す上で必要な試験科目(試験内容)や難易度、試験日程や過去問に至るまでの情報を徹底的に解説します。
刑務官を目指している方はぜひ参考にしてみてください!
刑務官の試験内容についてざっくり説明すると
- 刑務官試験は2次試験まである
- 刑務官採用試験は、全国主要都市で実施される
- 受験には、年齢制限がある
刑務官採用試験の試験制度
まず刑務官採用試験の試験制度について紹介します。
刑務官採用試験は、主に一次試験・二次試験に分かれています。
一次試験は、基礎能力試験と作文試験の二種類の試験内容が存在します。
二次試験では、人物試験に加え身体検査や身体測定、さらには体力検査もあります。
ここで注目してほしいのは刑務(武道)の枠において受験する際、男女関係なく一次試験で実技試験も追加で受験する事です。
実技試験を受験する際、二次試験ではすでに実技試験を課されている為、体力検査は免除されます。
刑務官の受験を考えている方は、まず一次試験・二次試験の内容を頭に入れておく事が重要となります。
国家公務員採用試験から刑務官になることもできる
一般的に刑務官という職業に就きたい方は、刑務官採用試験を受験して合格する事が普通です。
しかし、もちろん刑務官になる方法はこれだけではありません。国家公務員採用試験を受験する方法も存在します。
ちなみに国家公務員採用試験の中には、国家公務員採用試験一般職と国家公務員採用試験総合職の2種類があり、この試験に合格した上で希望する方は刑務官になる事が出来ます。
刑務官になる方法は、一種類だけではないという事を頭の片隅に入れておく事をおすすめします。
役職はどうなるの?
国家公務員採用試験の話が続きますが、もしこの試験を合格した上で刑務官になるのであれば、役職はどうなるのでしょうか?
じつはキャリア組になります。刑事ドラマでもキャリア組という言葉が度々出てくるのですが、これは国家公務員の事を指します。
参考までにノンキャリア組という言葉もあるのですが、これは地方公務員に該当します。
国家公務員試験から刑務官になりキャリア組として勤務する事になると、一般職では看守部長、そして総合職であると副看守長に任命されます。
非常に重要なポストを任せられるので難易度は高くなるのですが、早期からキャリアハイを目指す事も可能です。
免除制度もある
知らない方も多いと思いますが、刑務官には剣道や柔道の有段者を対象とた武道拝命制度というものが存在します。
この武道拝命とは、武道で秀でた刑務官を選抜した上で構成された刑務所内のセキュリティフォース(警備隊)の事を言います。
一般的な刑務官は勤務時非武装なのですが、警備隊になると警棒で武装を施すのが特徴です。
上記でも軽く紹介したように、刑務官の試験において武道区分で受験を考えている場合は、実技試験が一次試験の試験内容に追加される代わりに、二次試験の試験内容から体力検査が免除されます。
年齢制限がある
残念ながら刑務官になるためには、年齢を含め様々な制限があります。
採用時の年齢 | 必要段位 |
---|---|
22歳未満 | 2段以上 |
22歳以上 | 3段以上 |
ちなみに年齢は3段以上を持ってさえいれば上限はないと思われがちですが、刑務(武道)の場合は17歳~28歳まで、さらに刑務(社会人)は39歳までとなっています。
また身体測定については後でも紹介するのですが、男女共に身長・体重も以下のように制限がありますので確認しておく事をお勧めします。
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
身長 | 160㎝以上 | 148㎝以上 |
体重 | 47㎏以上 | 40㎏以上 |
また刑務官採用試験を受験する上で、武道であればどのスポーツでもいいというわけではなく、武道の中でも柔道・剣道に限定されますのでご注意ください。
試験科目とその内容
刑務官採用試験においては、武道・一般とでは多少受ける試験には違いがあるのですが、大体は同じ試験の流れで合格者が刑務官になれます。
上記では、刑務官の仕事内容や受験するための様々な条件等を紹介してきましたが、ここからは刑務官の試験科目とその内容についてを詳しく紹介します。
基礎能力試験
まずはじめに基礎能力試験については、問題が40問出題されています。この40問に対しての回答時間は1時間30分となっています。
刑務官採用試験には試験によっての配点比率があるのですが、その中でも最も比率が高いのがこの基礎能力試験となっています。
出題される40問は、知能・知識分野に分かれており、公務員としても必要な基礎的能力についてをこの試験で確かめられます。
作文試験
冒頭でも紹介しましたが刑務官の一次試験には作文試験もあります。
作文試験は、文章による表現力や課題に対して理解があるのかについてを調べるために行われます。
刑務官は施設の運営はもちろんのこと受刑者の指導も行う為、最低限必要とされている文章力及び表現力があるのかが求められるのです。
また、配点比率は先ほどの基礎能力試験よりは高くないという特徴があります。
実技試験
実技試験は、武道受験の人のみ受ける試験です。先ほどの試験内容をおさらいしておくと、刑務(武道)の枠において受験する際、男女関係なく一次試験で実技試験も追加で受験しなければいけません。
実技試験を受験する際、二次試験ではすでに実技試験を課されている為、体力検査は免除されます。
こちらは加点方式となるため、基礎能力試験に加えて実技試験の結果が加点されるという仕組みとなっています。
人物試験
二次試験の試験内容である人物試験では、人柄・対人能力等のコミュニケーションの能力があるかを調べるものとなっており、個別面接方式で行われます。
この人物試験の背景には様々な人と関わる上で大切な事であるため、対人能力は最低限でも見ておかないといけません。
配点比率的には作文試験よりも重視されるため、作文や基礎能力の試験勉強に加え面接慣れしておく事も大切です。
身体検査・身体測定
一般的に病院で行う身体検査とほぼ同じです。まず身体検査では胸部疾患をはじめ血圧・尿検査・その他一般内科検査となります。
身体測定も同様で、身長・体重・視力の測定が行われます。身長・体重については先ほど上で紹介しましたので、省略します。
気になるのが視力という項目なのですが、裸眼視力が左右どちらかが0.6に満たない方(ただし、強制視力が両眼で1.0以上の方でない)は不合格となりますので、ご注意ください。
体力検査
体力測定では立ち幅跳び・反復横跳び・上体起こしによる体の筋持久力についての検査が行われます。
ちなみに、体力検査については非常に厳しく三つのうち一つでも基準に満たさなければその時点で不合格になってしまいます。
しかし、この基準というものはそれほどまでハードルが高いものではない為、今まである程度スポーツをしてきた方であれば、難なくクリアできます。(例えるならば基準は平均回数・少し平均以上です。)
体力検査については、そこまで気にする必要ないのではなでしょうか。
試験日程
ここでは、2020年度の刑務官採用試験についてを記しておきます。
申込受付期間は、一次試験・二次試験どちらも7月21日9時~7月30日までです。
試験日程については以下の表をご参考にしてください。
試験日程 | 試験日 | 合格発表 |
---|---|---|
一次試験 | 9月20日 | 10月14日 |
二次試験 | 10月22~28日まで | 11月25日 |
一次試験・二次試験共に、すでに日にちが決定しています。この試験日に合わせて試験勉強や準備をしておきましょう。
試験実施場所は?
刑務官AB及び刑務AB社会人の試験は、全国主要都市にて実施されます。しかし武道枠の試験を受験する際、全国主要都市の中でも札幌・仙台・東京・名古屋・境・広島・高松・福岡等に限られるので、注意が必要です。
また一次試験地に関しては受験する際、便利な都市を一つ選択する事が出来るのですが、原則として一次試験を受験した試験地と同じ試験地で受験する事になります。
募集に受験資格はあるのか
おさらいにはなりますが、刑務官採用試験には刑務・刑務(武道)・刑務(社会人)の3区分で成り立っており、それぞれに受験資格が存在しています。重要なのは学歴ではなく年齢です。
刑務官の3区分についての詳細は下の表を参考にしてください。
刑務区分 | 年齢制限 |
---|---|
刑務 | 17歳以上29歳未満 |
刑務(武道) | 17歳以上29歳未満 |
刑務(社会人) | 29歳以上40歳未満 |
年齢は、受験する年の4月1日時点となります。
基本的には上の表で記した年齢要件を満たしていれば、学歴に関する規定等は一切なく、受験する事が可能です。
採用人数
刑務官の採用人数(募集人数)に関してはその年により異なります。
あくまでも予定数となっているので、変動する可能性もあります。
刑務A
地方 | 採用予定人数 |
---|---|
北海道 | 約20人 |
東北 | 約20人 |
関東甲信越 | 約120人 |
東海北陸 | 約35人 |
近畿 | 約25人 |
中国 | 約25人 |
四国 | 約15人 |
九州 | 約40人 |
沖縄 | 約若干名 |
刑務B
地方 | 採用予定人数 |
---|---|
北海道 | 約25人 |
東北 | 約15人 |
関東甲信越 | 約55人 |
東海北陸 | 約25人 |
近畿 | 約45人 |
中国 | 約25人 |
四国 | 約5人 |
九州 | 約20人 |
刑務A(社会人)
地方 | 採用予定人数 |
---|---|
北海道 | 約6人 |
東北 | 約8人 |
関東甲信越 | 約40人 |
東海北陸 | 約8人 |
近畿 | 約9人 |
中国 | 約8人 |
四国 | 若干名 |
九州 | 約15人 |
刑務B(社会人)
地方 | 採用予定人数 |
---|---|
北海道 | 若干名 |
東北 | 若干名 |
関東甲信越 | 約7人 |
東海北陸 | 若干名 |
近畿 | 若干名 |
中国 | 若干名 |
四国 | 若干名 |
九州 | 若干名 |
刑務A(武道)
地方 | 採用予定人数 |
---|---|
北海道 | 約10人 |
東北 | 約10人 |
関東甲信越 | 約45人 |
東海北陸 | 約20人 |
近畿 | 約15人 |
中国 | 約15人 |
四国 | 約5人 |
九州 | 約20人 |
沖縄 | 若干名 |
刑務B(武道)
地方 | 採用予定人数 |
---|---|
北海道 | 若干名 |
東北 | 若干名 |
関東甲信越 | 約20人 |
東海北陸 | 約9人 |
近畿 | 約5人 |
中国 | 若干名 |
四国 | 若干名 |
九州 | 約7人 |
過去問は存在するの?
過去、刑務官採用試験ではどのような問題が出題されてきたのか気になりませんか?基礎能力試験・作文試験については人事院採用NAVIに掲載されています。
しかし文章理解の問題等は著作権の関係上、ネット上では公開はされていませんのでご注意ください。
先ほど試験科目内容でも紹介したように、刑務官採用試験のうち大半を占める基礎能力試験です。こちらについては基本的に、過去問演習がメインとなっています。
こちらの過去問演習に関してはおすすめテキスト等、書店にてたくさん販売されているので、自分にとって分かりやすいものを購入すると安心です。
試験を受ける当日時間制限等もありますので、焦らないためにも過去問については必ず目を通しておく事が重要となります。
刑務官採用試験についてまとめ
刑務官採用試験についてまとめ
- 刑務官採用試験は、3区分存在する
- 国家公務員採用試験からも刑務官になれる
- 刑務官採用資格は、学歴ではなく年齢
今回は刑務採用試験を受ける上で試験科目や難易度、試験日程等を様々な方面から解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
刑務官という職業は、特殊な対人能力や現場の組織を指揮できるような人格が求められるため厳しいのが現状です。
しかし、仕事をはじめると非常にやりがいのある仕事でもあるので、ぜひ刑務官採用試験に興味のある方は是非チャレンジしてみてください!