マイナンバー実務検定ってどんな資格なの?難易度・合格率・試験日程まで全て解説!
「マイナンバー実務検定なんて、初めて聞いた」
このような方も多いのではないでしょうか。マイナンバー実務検定は、マイナンバー制度が開始されることに合わせて行われるようになった、比較的新しい検定試験です。
この記事ではマイナンバー実務検定がどのような資格で、何級まであり、どのぐらいの難易度なのかを解説していきます。また、おすすめのテキストや問題集もご紹介します。
マイナンバー実務検定を取得しておくと、企業などで適切にマイナンバーを取り扱うことができますので、ぜひ学んでみましょう。
マイナンバー実務検定についてざっくり説明すると
- マイナンバー実務検定の難易度は低いので、合格率も高めである
- 試験に合わせて1週間~3ヶ月程度、テキストと問題集での学習が必要
- マイナンバー制度や個人情報の適正な取り扱いについて理解を深められる
- 1級を取ると「マイナンバー管理士」などを狙うことも可能な資格である
マイナンバー実務検定ってどんな資格?
ここでは、マイナンバー実務検定という資格がどのような目的でつくられたのか、また、どの団体が主催となって検定試験を行っているのかを解説します。
マイナンバー実務検定とは
マイナンバー実務検定は、2016年1月にマイナンバー制度が始まることを受けて、2015年から行われています。
マイナンバー制度の内容をはじめ、制度に関する番号法・個人情報保護法といった法律の理解を深めて、重要な個人情報であるマイナンバーを適正に扱う知識を得ることが、マイナンバー実務検定の目的です。
そもそもマイナンバー制度とは?
「個人番号」とも呼ばれるマイナンバーは、日本国内に住民票をもつすべての人に割り振られる12桁の番号です。
引越や結婚などでマイナンバーが変わることはありません。
マイナンバー制度は行政手続きの円滑化を図り、税金や保険・年金といったお金の流れをはっきりとさせ、給付金などの不正受給を防ぐことを目的として作られました。
情報漏洩のリスクもつきまとう
お金の流れがわかりやすくなり、行政手続きが簡素化されるなど便利な面の多いマイナンバー制度ですが、企業などで管理する際に情報漏洩する危険性がまったくないとは言い切れません。
個人情報の流出を防ぐために、マイナンバーの取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
マイナンバー実務検定の主催について
マイナンバー実務検定は、個人情報保護士認定試験や会社法務士認定試験などのビジネス資格試験を運営する財団法人全日本情報学習振興協会が主催する検定で、国家資格ではなく民間資格です。
財団法人全日本情報学習振興協会は、情報化が進む現代における生涯学習の推進を目的に、児童から高齢者・ハンディを持つ人など誰でも受けることのできるパソコン検定試験を創設・実施しています。
注目度の向上
現代社会では、SNSやインターネットが普及して、誰でも簡単に情報のやりとりができるようになりました。
便利になった反面、SNSにアップロードした画像1枚で個人情報を突き止められてしまうなどといった情報セキュリティの問題も増えています。
そのような中、企業で働く人に求められているのは、個人情報を守るために危機意識とセキュリティに関する正しい知識を持つことです。
マイナンバー実務検定は、防衛意識が高い人々の注目を集めています。
マイナンバー実務検定の難易度
マイナンバー実務検定の難易度は、ほかの資格試験に比べて高くありません。
ここでは、マイナンバー実務検定の試験範囲と出題形式、合格率・合格ラインについて見てみましょう。
マイナンバー実務検定の試験範囲と出題形式
マイナンバー実務検定には、1級・2級・3級があり、どの級でもマークシート形式で出題されます。
次の表はマイナンバー実務検定の試験範囲を級別にまとめたものです。
3級 | 2級 | 1級 |
---|---|---|
番号法成立の経緯や背景 | 番号法成立の背景と概要 | 番号法成立の背景と概要 |
番号法の概要 | 第1章(総則) | 第1章(総則) |
個人と番号法 | 第2章(個人番号) | 第2章(個人番号) |
民間企業と番号法 | 第3章(個人番号カード) | 第3章(個人番号カード) |
地方公共団体・行政機関・独立行政法人等と番号法 | 第4章第1節(特定個人情報の提供の制限等) | 第4章第1節(特定個人情報の提供の制限等) |
番号法のこれから | 第4章第2節(情報提供システムネットワークによる特定個人情報の提供) | 第4章第2節(情報提供システムネットワークによる特定個人情報の提供) |
罰則 | 第5章(特定個人情報の保護) | 第5章(特定個人情報の保護) |
特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編) | 第6章(特定個人情報の取扱いに関する監督等) | 第6章(特定個人情報の取扱いに関する監督等) |
関連法令等(施行令、施行規則、個人情報保護法等の番号法に関連する箇所) | 第7章(法人番号) | 第7章(法人番号) |
第8章(雑則) | 第8章(雑則) | |
第9章(罰則) | 第9章(罰則) | |
附則 | 附則 | |
特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編) | 特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編) | |
関連法令等 | 特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(行政機関等・地方公共団体等編)※ | |
金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン ※ | ||
関連法令等 |
※ 1級は、この2つのガイドラインからそれぞれ5~10問程度出題される見込みがあります。
レベルごとの対象者
マイナンバー制度について専門的な知識を求められる1級と2級は、企業や官公庁における実際の業務でマイナンバーを扱う人が対象です。
3級はマイナンバー制度に関する一般的な知識が多く、社会人をはじめ、主婦や学生などすべての人を対象としています。
マイナンバー実務検定の合格率や合格ラインについて
マイナンバー実務検定の合格ラインは、どの級でも正答率70%以上であることが基本です。
ただ、問題の難易度によって各回で調整されるため、70%以下の正答率でも合格になる場合があります。
マイナンバー実務検定の合格率は1級・2級・3級で違います。
級 | 合格率(2016年) |
---|---|
1級 | データなし |
2級 | 45.1% |
3級 | 71% |
なお、表の合格率データは公式発表されていないので参考値です。1級については2・3級の合格率より下がるとみられています。
マイナンバー実務検定に合格するための勉強時間は、早い人で1週間程度、じっくり勉強する人でも1~3ヶ月程度と言われています。
マイナンバー実務検定の勉強法
マイナンバー実務検定を受けるためにどうやって勉強するのか、また、どのようなテキストや問題集などがあるのかを、ここでご紹介します。
マイナンバー実務検定は独学で合格できる?
マイナンバー実務検定を受検する人は、独学での勉強が多いです。公式テキストや参考問題集などを買って対策をしておけば、十分合格ラインに届きます。
もし独学での勉強が不安であれば、全日本情報学習振興協会が行っているマイナンバー実務検定の対策講習会に参加して、マイナンバー制度に関する疑問をスッキリ解決しておくのもおすすめです。
おすすめテキスト・問題集
おすすめのテキストとしては「マイナンバー実務検定公式テキスト」が挙げられます。
この本は公式テキストであることから信頼性が高く、基本的な内容を問われることの多い2・3級の試験で有効なテキストとなっています。
この本を1冊こなすことで、基礎的な知識が効率よく身につき合格に近づくこと間違いなしでしょう。
また問題集は各級によって異なりますが、2級に関しては「マイナンバー実務検定精選過去問題集2級」がおすすめとなっています。
この本は厳選した過去問を取り扱い、効率的な演習をサポートしていくのはもちろん、解説も充実していることから1冊持っておくことで演習を完璧にこなせてしまう1冊となっています。
ここで紹介したテキスト・問題集を使うことで合格に一歩近づくのでぜひ使ってみてください。
過去問は存在する
マイナンバー実務検定の過去問題集は、インターネットや書店などで購入できます。
過去問題集を何度も解くことで、どのような問題がよく出てくるのか、覚えるべきポイントはどこなのかがわかるようになるため、ぜひ活用すると良いでしょう。
マイナンバー実務検定の勉強をするメリット
マイナンバー実務検定を取得すると、どのようなときに役に立つのでしょうか。ここでは、マイナンバー制度について勉強するメリットを挙げましょう。
まず、マイナンバー制度を熟知すると個人番号を適正に扱えるため、たとえば、誤ってマイナンバーカードを提示して、第三者に個人番号を晒してしまうといった情報漏洩のリスクを回避できます。
そのほかにも2級や1級を持っていると、企業や所属団体における指導的立場として、法律に基づいた個人番号の管理業務を行うことができます。
個人情報の漏洩による事件や問題の多い中、学生のうちにマイナンバー実務検定を取得すると、就職活動でエントリーシートに記入する際や、面接を受けるときのアピール要素が増えることもメリットと言えるでしょう。
マイナンバー実務検定の試験日程・会場
それでは、マイナンバー実務検定試験がいつ行われていて、試験会場はどこにあるのか、受験資格の有無、受験料はどのくらいかかるのかなどといった基本情報をご紹介しましょう。
マイナンバー実務検定の基本情報
マイナンバー実務検定は年4回で、6月・9月・12月・3月頃に実施されます。
マイナンバー実務検定の申し込み期間は試験日のおよそ1ヶ月前ですが、正確な日程は公式サイトで確認しましょう。
マイナンバー実務検定試験は北海道・東北地方から、関東地方、中部地方、関西・中国地方、九州地方まで、全国にわたる会場で実施されます。
申し込み状況などによって、会場が変更される場合や、期日前に申し込みの受付を締め切ることもあるので注意しましょう。
マイナンバー実務検定に受験資格はある?
マイナンバー実務検定の受験資格には年齢や学歴などによる制限がないため、どの級から受けてもかまいません。
マイナンバー制度や特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドラインについて深い知識を持っている人は、2・3級を飛ばして1級を受けるといったことも可能ですから、自分の目的に合った級を受験しましょう。
申し込み方法
マイナンバー実務検定は、インターネットで簡単に申し込むことができます。マイナンバー実務検定公式サイトにアクセスして申し込みましょう。
個人受験と団体受験、どちらの場合も公式サイトでの申し込みが可能です。
マイナンバー実務検定の受験料
マイナンバー実務検定の受験料は級によって異なりますので、下の表を参考にしてください。
級 | 受験料(税抜) |
---|---|
1級 | 11,000円 |
2級 | 8,800円 |
3級 | 7,700円 |
団体割引も存在する
友人や同僚などと同時に受験を考えている場合は、団体申し込みを選ぶと支払いをまとめることができます。
さらに、10名以上で申し込む場合は、人数によって割引が適用されるのでお得です。
申し込み人数 | 割引率 |
---|---|
10~19名 | 8% |
20~99名 | 10% |
100名以上 | 15% |
ただし、公式サイトのフォームから申し込める人数は29名までですから注意しましょう。30名以上で申し込みをする場合には、全日本情報学習振興協会に直接電話をする必要があります。
また、学生の場合は学生用フォームで学校名や学部・学科を記入して申し込むと、学生特別料金で受験できます。
学生特別料金で受験する際、試験当日には学生証の提示が必要です。注意事項の詳細は、学生申し込みフォームでご確認ください。
マイナンバー実務検定と関連するおすすめ資格
マイナンバー実務検定と関連したおすすめの資格を、ここで3つ挙げます。ビジネス実務法務検定と個人情報保護士、行政書士です。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は、東京商工会議所が主催する検定試験です。この資格は、マイナンバー法はもちろん、ビジネスで必要とされる法律の知識を得ることができるので、会社のどの部署に所属していても役に立ちます。
学生のうちに取得しておけば、就職活動でコンプライアンス意識の高さをアピールできる資格でもあるため、おすすめです。
個人情報保護士
個人情報保護士の認定試験もマイナンバー実務検定と同じ、全日本情報学習振興協会が行っています。
個人情報保護士を取得すると、個人情報保護法や番号法などについて正しい知識を持ち、個人情報を安全に管理できるとアピールできるのでおすすめです。
また、個人情報保護実務検定1級を取得している人は、マイナンバー実務検定で2級以上に合格すると個人情報保護士の認定を受けられます。
さらに、マイナンバー実務検定でも1級を取得した場合は、講習会を受講するとマイナンバー管理士に認定されます。
行政書士
行政書士の試験では民法をはじめ、行政手続法や行政不服審査法といった法令に加え、政治・経済などの一般知識にまで及ぶ幅広い範囲から出題されるため、他の資格と比べて難易度は高いです。
個人情報の保護に関することも、一般知識の試験範囲に含まれています。
行政書士は単独で開業するよりも、社会保険労務士や司法書士などと兼業することで、一層活躍の場が広がる資格です。
マイナンバー実務検定のまとめ
マイナンバー実務検定のまとめ
- 難易度は低いため合格率が高く、テキストと問題集の勉強で十分合格できる資格
- マイナンバー制度について詳しく知り、個人番号を正しく扱えるようになる
- 1級に合格して他の条件を満たすと、マイナンバー管理士などの認定を受けられる
今回は、マイナンバー実務検定とはどのような資格なのかを解説しました。
試験日程に合わせて勉強し、ぜひ身につけた知識を普段の生活や日頃の業務で生かしましょう。