法学検定試験ってどんな資格なの?難易度や勉強法・試験日程まで全て解説!

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「大学で法律を学んだが、司法試験などの他に法律知識を証明できる資格試験はないのだろうか?」

「社会人の教養として法律を学びたい」

このように役に立つ法律知識を身につけたいと考えている方もいるのではないでしょうか?

法学検定試験はこのような方のニーズにぴったりの試験ですが、多くの人にとっては初めて聞く検定試験ではないでしょうか。

この記事では、法学検定試験の全てをわかりやすく解説しています

法学検定試験とは、どのような資格なんだろう?と純粋な興味の人から、就職や転職に役立つ資格試験はないかと探している人にまで役立つ情報をお届けします。

法学検定試験についてざっくり説明すると

  • 法律学にかかわる検定試験
  • 受験級がベーシック〈基礎〉コース・スタンダード〈中級〉コースとある
  • 民間資格である

法学検定試験ってどんな資格?

考え事をする女性

ここでは、法学検定試験とはどのような検定試験で、主催をしているのはどのような団体なのかを項目別にみていきます。

法学検定試験とは

法学検定試験は、法または法律に関する法律学の知識・能力を客観的に判断することを目指して実施されている検定試験です。

法学検定試験は民間資格ですが、法学検定試験の試験問題の作成は、法学界の各分野を代表する方々により構成される法学検定試験委員会が担っています。

そのため、高い水準の問題が出題されています

法学検定試験の主催団体

法学検定試験は、公益財団法人日弁連法務研究財団と公益社団法人商事法務研究会が共同で主催しています。

両団体が共同で主催するために、法学検定試験委員会という委員会制度をとっています。

法学検定試験委員会の事務局は、公益社団法人商事法務研究会内に置かれており、法学検定試験のための企画実施が行われています。

主催団体の1つである公益財団法人 日弁連法務研究財団は、1998年に設立された団体です。会員は、弁護士・公認会計士・税理士・弁理士・司法書士・企業の法務担当者などで、司法制度の研究や、適性試験事業などを行っています。

もう一つの公益社団法人 商事法務研究会は1955年に設立された団体です。こちらの団体では、入試の適性試験などの法科大学院に関連する事業を行っています。

さらに、法学検定は、出版社である株式会社三省堂や株式会社商事法務、株式会社有斐閣が後援団体となっています。

そもそも法学検定試験とは

民間資格である法学検定試験は、先ほども述べたように2団体が協力して実行委員会である「法学検定試験委員」を組織し、実施している試験です。

法律学の知識・能力を客観的に判断するための試験で、全国規模で開催されています

法学検定試験は2000年からスタートしました。初年度は受験級が4級と3級のみでしたが、翌年の2001年からは2級が設けられました。

現在は、ベーシック〈基礎〉コース・スタンダード〈中級〉コース・アドバンスト〈上級〉コースの3コースがあります。この試験体制になったのは、2012年からです。

法学検定試験の難易度

悩む女性

ここでは各々の級の難易度について解説していきます。

法学検定試験の試験範囲と出題形式

法学検定試験の試験範囲と出題形式について確認していきましょう。

法学検定試験は、受験級が3コースありますが、どの級を受験しても出題形式はマークシートになっています。

試験の範囲ですが、3コースある受験級ごとに表にまとめたので、参考にしてください。

  • アドバンスト〈上級〉コース

法学検定試験のアドバンストコースの出題範囲や試験のレベルは、大学の法学部で法律を専攻としている大学生の3年次修了程度です。

詳しい出題範囲は下記の表のようになります。

必須科目
法学一般
憲法
民法
刑法
選択科目A(以下から1科目)
民事訴訟法
刑事訴訟法
商法
行政法
選択科目B(以上および以下から1科目)
労働法
倒産法
経済法
知的財産法

上記の出題範囲で、55問出題されます。試験時間は、150分です。

  • スタンダード〈中級〉コース

スタンダード〈中級〉コースの出題範囲は、大学の法学部2学年次から3年次程度です。

必須科目
法学一般
憲法
民法
刑法
選択科目1科目選択
民事訴訟法
刑事訴訟法
商法
行政法
基本法総合

スタンダードコースは全部で75問出題され、試験時間は150分間です。

  • ベーシック〈基礎〉コース

ベーシック〈基礎〉コースは、大学の法学部1から2年自生程度の問題が出題されます。

出題範囲は下記の通りです。

必須科目
法学入門
憲法
民法
刑法

ベーシック〈基礎〉コースは、必須科目のみで、選択科目はありません。試験時間は120分です。60問出題されます。

法学検定試験の合格率・合格基準は?

法学検定試験の合格率、合格基準は受験級ごとに異なります。各級の合格率を2019年度の試験結果から見ていきましょう。

  • ベーシック(基礎)コース

2019年度の合格点は、33点以上で合格率は62.6%です。

科目別の平均は以下の通りです。

科目 平均点 満点
法学入門 6.6 10
憲法 9.6 15
民法 12.1 20
刑法 7.8 15
合計 36.1 60
  • スタンダード〈中級〉コース

2019年に実施された法学検定試験の スタンダード〈中級〉コースの合格率は、55.3%で、合格点は43点以上です。 科目別では下記の表の通りになります。

科目 平均点 満点
法学入門 6.5 10
憲法 8.7 15
民法 12.1 20
刑法 8.9 15
民事訴訟法 8.1 15
刑事訴訟法 8.0 15
商法 8.8 15
行政法 7.4 15
基本法総合 8.5 15
合計 44.3 75
  • アドバンスト〈上級〉コース

2019年の アドバンスト〈上級〉コースの合格率は、26.2%で合格点は35点以上です。科目別の合格率は下記の表のとおりです。

科目 平均点 満点
法学基礎論 2.7 5
憲法 5.8 10
民法 5.0 10
刑法 4.9 10
民事訴訟法 5.2 10
刑事訴訟法 5.3 10
商法 5.7 10
行政法 5.2 10
労働法 6.4 10
破産法 2.5 10
経済法 5.5 10
知的財産法 4.1 10
合計 29.1 55

以上の表を見るとわかるように、上級の試験になるにつれて、合格率は下がります

級があがるにつれて選択する科目も増えますし、出題数は減っても応用問題も増えるために、難易度は自然と上昇する傾向にあるといえるでしょう。

法学検定試験がおすすめの人は?

法学検定試験がおすすめな人は主に下記の人たちです。

  • 法学部の学生
  • 公務員試験を受験する学生あるいは一般社会人
  • 法曹界で働きたい人

ではなぜ、上記の人たちに法学検定試験がおすすめなのかを説明していきます。

現在、大学で法学を学んでいる学生にとって、法学検定試験合格のために勉強することは、大学の成績の向上にもつながります

また、大学で法学部以外の文系学部や理系学部などを専攻している大学生にも、法学検定試験は法律の基礎を学べるという点でおすすめです。

さらに、公務員試験などの受験を考えている大学生及び社会人にとって、系統立てて法律学の知識を学ぶことができる法学検定試験は公務員試験にも役立つため、受験がおすすめできるといえます。

また、法曹界で弁護士や裁判官・検察官として仕事をしていきたいという目標がある大学生や一般人にとっても、法学検定試験はおすすめです。

なぜなら、法学検定試験を受験すると法律に関する知識・能力をどの程度身に着けたかを客観的に知ることができるからです。

弁護士になりたい人にも多少有利?

法律に興味があったり、法律学を大学で専攻している方の中には、弁護士になりたいという夢を抱いている人も少なくないでしょう。

そのような人たちが弁護士になるためには、司法試験に合格しなければなりません。司法試験を受験するには受験資格が要求され、受験資格を満たすには2つの方法があります。

ひとつは、法科大学院(ロースクール)を修了することで、もうひとつは、司法試験予備試験に合格することです。

法科大学院によっては法学検定試験合格という実績が入試の際に加点されることも考えられれるため、司法試験を目指す場合にも法学検定試験の勉強をすることの意味はあるといえるでしょう。

進学したい法科学院によって入試の加点条件は異なります。そのため、法科大学院への進学を考えている方は、受験資格を確認したうえで法学検定試験の上級取得を目指しましょう

法学検定試験の勉強法 

道路標識

法学検定試験は、どのように攻略していくといいのでしょうか。ここでは試験に合格するための勉強方法を見ていきます。

法学検定試験の勉強法は?独学は可能?

法学検定試験は、受験級ごとに、学習しないといけない科目、出題範囲が違います。上の級になると範囲も増えますし、応用問題も出題されるようになります。

法学検定試験は簡単に合格できる試験ではありませんが、後援団体である出版社などから科目別のテキストが販売がされていますので、独学で学べる環境は整っています

また、法学検定試験の公式Twitterで法学検定試験の練習問題や法律に関するトリビア情報を提供しています。

スマートフォンを頻繁に利用する人におすすめなのが、アプリです。法学検定アプリは、アンドロイドとiosのどちらのOSからも利用ができます。

こちらのアプリは、株式会社商事法務から提供されているものです。この会社は法学検定の主催団体の公式ホームページで紹介している問題集を販売している会社なので、信用性が高いアプリといえるでしょう。

過去問は存在

法学検定試験の過去の試験問題に挑戦したい時は、どうすればいいでしょうか。

法学検定試験の過去問題集は解説付きで受験級ごとに販売されています

科目別に学習した内容が知識として定着しているのかを図るのには、過去問を何度も繰り返し解くのがおすすめです。

実施団体の公式ホームページから紹介されている過去問題集は、後援団体の株式会社商事法務から販売している下記の問題集などを利用して勉強しましょう。

  • 2020年法学検定試験問題集ベーシック〈基礎〉コース

2020年3月に販売されたこちらの試験問題集は、2020年11月実施する法学検定向けです。

  • 2020年法学検定試験問題集スタンダード〈中級〉コース

2020年3月発売のこちらの試験問題集は、法学・憲法・民法・刑法に加え、民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法を収録した問題集です。

  • 2020年法学検定試験過去問集アドバンスト〈上級〉コース

その他、法学検定試験の公式サイトには合格体験談が掲載されています。

検定試験を受験しようと考えている人は、一通りこの体験談を読むことで、どのようなテキストを使い、どうやって勉強したかのヒントを得ることができます。

通信講座も検討

独学で勉強はしているのだけれど、点数に伸び悩んでいたり、何度テキストを読んでもわからない部分があるという人におすすめなのが通信講座です

通信講座のメリットとしては

  • 通学する必要がない

  • 自分のスケジュールで勉強ができる

  • 質問制度がある

などがあげられます。

通信講座だけでなく、大学が試験対策の公開講座を行っていることもあります。

ただし、法学検定試験向けの通信講座及び、公開講座ともに2022年4月時点で情報がありません。

法学検定試験を受験しようと思っている人は、日頃から通信講座、公開講座の情報をアップデートできるようにアンテナを張っておきましょう。

法学検定の勉強をするメリット

複数人がサムアップ

法学検定試験を受験してみようと思い始めた人の中には、「この資格を取得するために勉強することは、具体的にどんなメリットがあるのだろうか?」と思う人もいることでしょう。

法学検定試験を勉強するメリットについてみていきましょう。

法学検定試験を取ることで法律全般に詳しくなる

法学検定試験を受けることで法律の基礎を学ぶことができるので、法律に関する様々な知識を身につけることができます

法律を学んでいる法学部の大学生はもちろん、文理問わず公務員試験を受験しようと考えている人にもメリットがあります。

もちろん、法律に関する様々な資格を取得していこうと考えている人にとっては、基礎となる部分を学ぶことができる試験なので、受験することがおすすめできます。

すでに行政書士など法曹界で働いている人が、キャリアアップを目指して司法試験に挑むときにもステップアップをかねて受験してもよいでしょう

法律関係の就職で好印象に?

法学検定試験は、履歴書の資格欄に記入することができます。そのため、就職、転職などの時に自己PRとして活用できます

なかでも、行政書士事務所などのように法律に関係する職場に就職・転職を希望をしている場合は、法律のことを全く知らない人よりも法律に明るいという点は、有利に働くことがあるでしょう

大学での専門科目の理解度にも貢献

既に大学の法学部に進学し法律を専攻している学生にとっては、法学検定試験のために勉強をすることは大学での専攻科目の理解度をより深めてくれます

そのため、大学での授業内容がより分かりやすくなったり、意欲的に講義を聴くことで大学での定期試験の成績アップへとつながることとなるでしょう。

法学検定試験の試験日程・会場・申し込み方法

試験日のカレンダー

法学検定試験を受験するには、どのように試験を申し込むとよいのでしょうか。受験料・試験会場および日程などについて見ていきましょう。

法学検定試験の基本情報

法学検定試験は、一年に一度しか実施されていません。試験は例年11月下旬に開催されます。

試験会場となるのは、下記の全国11ヶ所です。

札幌・仙台・東京・愛知・京都・大阪・岡山・愛媛・福岡・沖縄

法学検定試験には出願受付期間が設けられているため注意が必要です。また、出願の受付期間は申し込み方法によって違います。

以下試験スケジュールを2020年度のものを参考に確認していきましょう。

  • 出願受付期間

9月15日~10月26日

ウェブサイトからの場合は、9月15日~10月26日です。コンビニ決済は10月22日、カード決済は10月26日です。

郵送の場合は、9月15日~10月22日で、10月23日の消印が有効です。銀行振込で受験料を払います。

コンビニ店頭設置機械の場合は、9月15日~10月26日が締めきりで、10月26日にコンビニでの支払いになります。

2020年度は11月29日に試験が実施されました。受験票には、写真が必要となりますので、忘れずに添付し試験会場まで持参しましょう。

法学検定試験に受験資格はある?

法学検定試験を受験するにあたり、気になるのが受験資格です。

法学検定試験には受験制限はありません。受験を希望する人は、誰でもどの受験級でも試験を受けることができます。

難易度の高い資格試験の多くは受験資格に様々な条件を課している試験が多いですが、法学検定試験にはありません。そのため、法学検定試験は受験することそのもののハードルが低い試験でといえるでしょう。

法学検定試験の受験料

法学検定試験は、受験級ごとに受験料が異なります。それぞれの受験料を見ていきましょう。

受験級 受験料
アドバンスト〈上級〉コース 9,720円
スタンダード〈中級〉コース 6,480円
ベーシック〈基礎〉コース 4,320円

また、法学検定試験では異なる受験級から2コースを同時に受験することができます。

受験料の割引もある

2コースを受験するときは、同時に申し込むとセット割引が適用され、受験料が割り引かれます。セット割引については下記の表のとおりです。

セット割引受験級 受験料2
ベーシック・スタンダードセット 8,640円
スタンダード・アドバンストセット 12,960円

また、個人で受験申し込みをするのではなく、大学などで20名以上の団体、もしくはグループで10名以上になると料金の割引制度が適用されます。

ぜひ、これらの制度を上手に利用して、法学検定試験を受験しましょう。

申し込み方法

申し込みの種類は、個人、団体、グループの三種類があり、申し込み方法によって、出願期間が異なります。

個人での申し込みの方法は先ほど述べたように、下記の通りです。

  • 個人での申し込み

Webまたは郵送での申し込みとなります。

また、受験料の支払い方法はWebの場合はカードもしくはコンビニ決済です。郵送の場合は銀行振り込みになります。

  • 団体での申し込み

団体の申し込みは、申し込み責任者を決めて、一括で法学検定試験員会事務局へ出願します。団体申し込みでは試験会場はたいていの場合、大学となります。

団体申し込みでは、受験する人数によって割引特典があります

  • グループ申し込み

グループの場合も団体と同様に、申し込み責任者が必要です。責任者が一括して郵送で申し込みをします。

受験料金は、銀行振り込みとなります。

団体申し込みと異なる点は、受験会場が全国11ヶ所から最寄りの会場を選んで受験することになるという点です。

法学検定試験と合わせて取りたいおすすめ資格

書籍が積みあがった図 法学検定試験を勉強することで、法律に詳しくなれます。ただし、この試験以外にも法律関連の資格は存在するためそちらを確認することにも意味があるでしょう。

ここでは関連した法律関係の試験・資格を紹介します。

行政書士

法学検定試験でも勉強する行政法は、行政書士の試験には欠かせないものです。行政書士は、法学検定資格とは違い国家資格の1つです。

行政書士の資格を手にすることで、官公庁に提出する様々な書類を作成・提出する仕事ができるようになります。そのため、個人だけでなく企業からの依頼を受けることも可能になります。

行政書士試験では法学検定試験のために勉強した行政法の知識を活かして受験ができます。

また、試験の難易度は極端に高いわけでないという点でも取得がおすすめといえるでしょう。

司法書士

司法書士は司法書士試験に合格するとなることのできる国家資格です。

この司法書士試験の出題範囲の中には、法学検定試験でも勉強する、憲法、民法、刑法、商法の4科目の知識が問われます。

そのため、法学検定試験を受験する人にはあわせて取得することがおすすめできる国家資格の1つといえるでしょう

司法書士の仕事には、不動産登記や商業登記など登記の手続き、法務局・裁判所・検察長などに提出する書類の作成など様々なものがあります。

宅建

宅建とは宅地建物取引試験の略で、合格率が15%ほどの難易度が高い試験です。宅建は不動産業界に就職を考えている人におすすめの国家資格といえます。

宅建試験では、宅建業法を中心に民法などについての知識も14問が出題されます。

そのため、法学検定試験で勉強した内容を活かすことができるおすすめの試験といえます。

法学検定試験まとめ

法学検定試験についてまとめ

  • 公務員試験や他の法律関連の資格取得者に役立つ
  • 法律を専攻している大学生の授業の理解度を深める
  • 就職・転職に役立つ

法学検定試験は、大学で法律を学んでいる学生にとっては、授業の内容をより理解するのに役立つおすすめの試験といえます。受験級が3コースあり、各自のレベルにあわせた受験ができるのも魅力です。

就職を控えている学生にとっては履歴書の資格欄に記入でき、よい自己PRともなります。また、上級試験は難易度が高いので合格したことが自信にもつながります。

法律を学んでいない学生や一般の人にとっても、過去の試験問題が販売されているので、独学で勉強ができる環境は十分に整っているといえるでしょう。

今回、本記事を読んで法学検定試験に興味を持った方は、普段の生活にも役立つ法律の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。

皆様が輝かしいキャリアを築かれることを心からお祈りしています。

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