知的財産管理技能検定2級の難易度は?受験資格や免除制度・勉強時間まで徹底解説!
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「知的財産管理技能検定2級の難易度はどのくらいなんだろう?」
と疑問を感じている方もいるでしょう。
知的財管理技能検定2級の難易度はそれほど高くないと言われていますが、合格率など詳しい内容については不明な点も多いはずです。
今回は知的財産管理技能検定2級の難易度について、受験資格や免除制度、勉強時間まで詳しく解説します。
これを読めば知的財産管理技能検定2級が比較的挑戦しやすい資格であることがよく分かるはずです。
知的財産管理技能検定2級の難易度をざっくり説明すると
- 知財関係の実務経験者や3級の合格者が受けられる易し目の試験
- 勉強時間の目安は50時間程度
- 基本は独学で合格を目指せるが、予備校や通信講座を活用しても良い
知的財産管理技能検定2級の難易度は高いの?
知的財産管理技能士資格は他の資格と比べ、比較的難易度の低い資格です。
その合格率は40%であり、特別高くありません。きちんと勉強すれば十分に合格を狙える難易度です。
そもそも知的財産管理技能検定とは?
知的財産管理技能士検定は、知的財産関連の業務に携わる人向けの資格です。
検定には1〜3級までありますが、合格すれば「1〜3級 知的財産管理技能士」を名乗ることができます。
知的財産管理技能士の主な仕事は、企業内での知的財産の管理・活用です。知的財産は無形のアイデアやブランドなどを意味し、知的財産権には、著作権や商標権、意匠権、実用新案権などがあります。
知的財産管理技能士が扱う分野は、弁理士と同じです。しかし独占業務を有する弁理士に比べ、知的財産管理技能士の業務は限定的なものとなります。いわば技術や見識の証明です。
ちなみに知的財産管理技能士の資格は国家資格になります。
知的財産管理技能検定2級の試験内容
知的財産管理技能検定2級の試験は、学科試験と実技試験の2種類です。
試験内容や時間、出題方式、合格基準は以下の通りになります。
試験内容 | 時間 | 出題方式 | 合格基準 | |
---|---|---|---|---|
学科試験 | 筆記試験 40問 | 60分 | マークシート方式(4肢択一式) | 満点の80%以上 |
実技試験 | 筆記試験 40問 | 60分 | 記述方式 | 満点の80%以上 |
また受験手数料は、学科試験・実技試験それぞれ7,500円(非課税)です。
2級で対策すべき分野は?
2級は「特許法」の出題が多いため、重点的に対策すべきです。
2級は知財関係の実務や、研究開発部門の特許申請の経験を持つような向上心のある受験者が多数参加します。
そのため試験内容も受験者のレベルに順応するかのような専門性の高い内容です。
なお、試験は年に3回行われ、チャレンジする機会は多いです。そのことも合格しやすさに拍車をかけていると言えます。
知的財産管理技能士試験2級の受験資格
知的財産管理技能士試験2級の受験資格は以下の者に与えられます。いずれかに該当した場合は受験が可能です。
-
知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者
-
3級技能検定の合格者(※合格日が試験日の属する年度及びその前年度・前々年度に属するものに限る)
-
学校教育法による大学又は大学院において、検定職種に関する科目について10単位以上を修得した者
-
ビジネス著作権検定上級の合格者(※合格日が試験日の属する年度及びその前年度・前々年度に属するものに限る)
上記のいずれにも該当しない場合は受験資格はありませんので注意して下さい。
免除制度について
知的財産管理技能検定2級には免除制度が存在します。2級の試験において、学科試験と実技試験のいずれか一方にのみ合格した場合に適用される制度です。
その場合は、合格の翌々年度まで2級の試験においては合格した方の試験が免除となります。免除制度の利用には申請が必要です。
知的財産管理技能士2級試験の合格率
比較的簡単と言われる知的財産管技能検定2級ですが、その合格率はどのくらいなのでしょうか。
知的財産管理技能検定2級の合格率は約40%
2022年11月の知的財産管理技能検定2級では、学科試験の合格率が45.4%、実技試験が31.3%という結果でした。
また過去の合格率の平均を見ると、学科と実技ともに約45%です。
【2級の試験別合格率】
試験 | 2022年の合格率 | 過去5年の平均 |
---|---|---|
学科試験 | 45.4% | 43.8% |
実技試験 | 31.3% | 45.8% |
ちなみに3級の合格率の平均は、学科が65%程度、実技が70%程度を記録しています。
2級は3級に比べて、合格基準が10%上がり、3級の70%から80%になります。また試験内容の難易度も3級より高いです。
それらが原因となって、合格率が20%以上も下がっていると考えられます。
知的財産管理技能士2級に必要な勉強時間
知的財産管理技能士2級合格に必要な勉強時間は、一般的に50時間以上と言われています。
そのため一日3〜4時間勉強したとしても、資格取得には最低2週間は必要であり、それ以上かかる場合もあるでしょう。
50時間を目安にすると、毎日1時間勉強すれば2ヶ月程度で取得が可能という計算になります。
初学者で用語などに全く馴染みがない場合は、3ヶ月程度見ておけば間違いないでしょう。
実務経験者や他の法律系資格の保有者などであれば、事前知識を持っているため、勉強時間は50時間も要らないかもしれません。
知的財産管理技能士2級試験の受験者層
以下は知的財産管理技能士2級の受験者について、年齢別に割合を出したものです。尚、データは2022年11月の試験に関するものとなります。
区分 | 受験者 |
---|---|
20歳以下 | 3.1% |
21〜25歳 | 13.4% |
26〜30歳 | 17.4% |
31〜35歳 | 13.0% |
36〜40歳 | 12.9% |
41〜45歳 | 10.8% |
46〜50歳 | 10.9% |
51〜55歳 | 9.8% |
56〜60歳 | 5.3% |
61〜65歳 | 2.3% |
66歳以上 | 0.7% |
上記を見れば、ほとんどの受験者は社会人の年齢層だということが分かります。
しかし20歳以下や66歳以上の受験者も一定数存在します。受験者数約1900人から計算すると、未成年や高齢の方の受験者は60名程度です。
ちなみに3級よりも2級の方が受験者の平均年齢は高くなっています。
知的財産管理技能検定2級を取るメリット
知的財産管理技能士は人気の国家資格の一つです。ここからはその人気の理由を解説します。
就職・転職関連
知的財産管理技能士は、実は就職や転職に強い資格です。有資格者の主な就職・転職先は各企業の「コンテンツ製作部門」や「法務部・特許部」、もしくは「特許事務所」などが挙げられます。
それぞれの職場で、資格はどのように活きるのでしょうか。
コンテンツ制作部門での勤務
コンテンツを生み出す企業や団体は、知的財産との関連が深く、専門家である知的財産管理技能士の能力が求められる職場です。
例えば映画会社や出版社、レコード会社などは、著作権を適切に取り扱わなければなりません。
またアパレルメーカーやデザイン会社は、ブランドの権利保護を目的に意匠登録を行います。
各コンテンツが世に出ていく際には商標登録の業務もあるでしょう。
このようにコンテンツ製作部門が設置されているような企業および団体には、知的財産管理技能士が活躍できる場が多数存在します。
各組織において、著作権や意匠権、商標権を守り、活かすことが知的財産管理技能士に期待されています。
企業内の法務部・特許部に所属
知的財産管理技能士に独占業務はありませんが、知的財産関連の業務であれば、その知識や能力を活かせることは間違いありません。
企業には知的財産権を守るために法務部や特許部が設置されていることがありますが、知的財産技能士であれば、それらの部署の業務を幅広くカバーできるでしょう。
具体的には特許取得後のリスクマネジメントなどを担当することになります。
研究開発や技術開発を行う企業では、特許戦略が重要視されることが多いです。知的財産の知識や能力で研究者や技術者をサポートすることができれば、企業における大きな戦力となれるでしょう。
職場の選択肢が増える
知的財産管理技能士の資格があれば特許事務所でも働きやすくなります。
知的財産関連の幅広い知識を持っている知的財産管理技能士なら、特許事務所でも即戦力となることができるでしょう。
特許事務所では弁理士のアシスタントとしての役割が期待されています。
また知財関係の仕事を極めたいと思うのであれば、特許事務所は良い環境です。
実力や経験が豊富な先輩の弁理士や知的財産管理技能士にざまざまなことを学べるでしょう。
特許事務所で実力をつけ、知財関係の人脈作りができれば、将来知的財産管理技能士としての独立開業という選択肢も見えてきます。
弁理士にも繋がる
知的財産管理技能検定と弁理士の試験には深い関係があります。
弁理士の試験は、知的財産管理技能検定とは違い、とても難易度の高い試験です。
合格率は10%を下回り、合格するために必要な勉強時間は3,000時間とも言われています。
そのため法律に馴染みの無い初学者が、膨大な弁理士試験の勉強を始めても、あまりの難易度の高さに挫折してしまうことも多いでしょう。
幸い知的財産管理技能検定と弁理士の勉強内容は共通しています。
知財関係の法律の基本的知識を有している知的財産管理技能士なら、弁理士の勉強をスムーズに始めやすいでしょう。
また技能士として知財関係の実務経験を積めば、その経験も試験勉強に反映されます。
実際に知的財産管理技能検定を取得後、弁理士に合格する人も多いです。
リスクを犯さないようになる
昨今、ネット上での不正流用が問題になっています。知的財産権の知識がないために、SNSなどで思わずやってしまう人が多数存在するというのが現状です。
具体的には映像や画像、音楽など様々なものが不正に使われてしまっています。
雑誌の写真をインスタグラムに投稿しているのをよく見かけますが、あれも実は違法行為です。
知的財産管理技能検定によってきちんとした法律知識を身に付ければ、知らず知らずのうちに法を犯してしまうリスクを避けられます。
一方で、本来法律で守られるべきコンテンツをあえて公開するというマーケティング手法もあるのです。
知的財産に関する知識があれば、法律とビジネスの境目を判断しつつ、業界の活性化を行うこともできます。
業務の効率が上がる
知的財産管理技能検定は、コンテンツを扱う人はとっておくべき資格だと言えます。
知的財産権に関する知識が不足していると言葉の使い方を誤り、業務を停滞させてしまう可能性があるからです。
例えば「キャラクターの商品化権が欲しい」という人がいたとします。しかし商品化権という権利は存在しません。
間違った言葉の使い方をしていると弁理士などとのやりとりで支障をきたします。その場合、弁理士は知的財産権に関する説明をした上で依頼者の意図を汲み取ってくれるでしょうが、余計な時間がかかることは確かです。
そもそもキャラクターのついたグッズを一点作るだけなら権利者への許諾さえ取れば、権利の申請は必要ありません。
また特許庁へ権利を申請する場合は、申請する権利の種類や範囲によって審査結果が変わります。権利の取得には最低でも1年はかかるでしょう。
そのため業務を円滑に進めるには知的財産権の知識は必須です。それを身に付けるために最適なのが知的財産管理検定だと言えます。
知的財産管理技能士2級は独学で合格可能?
知的財産管理技能検定2級は比較的難易度の低い試験ですが、独学で合格することは可能なのでしょうか。
2級は独学合格の人が多い?
知的財産管理技能検定2級は、合格率や勉強時間などから見ても、あまり難易度の高い試験ではありません。コツコツ勉強して行けば合格できるレベルです。
そのため、勉強方法も基本は独学になります。公式テキストの読み込みと過去問題集などの参考書の演習で十分合格は可能です。
公式テキストは「知的財産教育協会 編」と銘打たれた書籍が存在し、知的財産教育協会のホームページのリンクより購入することができます。
他の資格試験同様、まずは公式テキストを読み込んで、試験内容の概要を頭に入れましょう。
何周かテキストを読んで大方が理解できたら、問題演習に進みます。問題演習で分からなかった部分はテキストできちんと復習しましょう。
問題演習とテキストでの復習を繰り返すことで解答の精度が上がっていきます。
学習スケジュールのもと計画的に勉強する
合格には継続的な勉強が何より大切です。そのためにはまず学習スケジュールを立てましょう。
合格までの道筋をはっきりさせることで、勉強を継続しやすくなります。
スケジュールを立てる際のポイントは、適度に時間的ゆとりを持たせることです。
過密日程では疲弊してしまう一方で、あまりにゆったりさせ過ぎてもモチベーションの維持が難しくなります。
頻出範囲に注力する
合格するためには、試験対策に特化した勉強をすることが重要です。
そのため配点の高い科目やよく出てくる範囲を重点的に学習するようにしましょう。
先述したように知的財産管理検定2級における頻出範囲は「特許法」です。
特許法に関してはどんな問題が出ても対応できるように、徹底的な対策を行いましょう。
過去問を必ず確認しよう
知的財産管理技能検定2級でも、他の資格試験同様、過去問演習が有効な対策法になります。
過去問演習を繰り返すことで、頻出範囲や出題傾向の把握が可能です。公式テキストでの復習と組み合わせることでより効率的な勉強になります。
過去問は知的財産教育協会の公式ホームページから入手が可能です。過去3回分の試験問題と正解が公開されています。
この3回分の過去問研究を入念に行い、合格を目指しましょう。
独学する際のテキストは?
知的財産管理技能検定2級の独学を進める場合には、基本的には知的財産教育協会が出版している「知的財産管理技能検定公式テキスト2級」を使用することになります。
こちらは公式テキストということもあり情報が不足なく掲載されたものとなっていますが、公式テキストという性質上知識が網羅されており、試験合格に特化したものとは言い難いです。
そのため効率よりよく学習を進めたいとお考えの方は、資格学校が提供している通信講座で学習するのが良いでしょう。
また、テキスト価格は5060円とやや高額である点も注意しましょう。
通信講座で最短合格が狙える
知的財産管理技能検定2級の勉強をするのであれば、スタディングの通信講座が極めておすすめです。
スタディングはスマホ学習に特化した通信講座なので、仕事に向かう途中などのちょっとした隙間時間にもスマホで効率よく学習を進められます。
さらにスタディングの講座費用はたったの18,500円であり、独学でテキストや問題集を揃えるのとさほど変わらない出費で教材を手に入れることができます。
このように、スタディングは働きながら資格の勉強がしたい方に極めて相性の良い通信講座だと言えるでしょう。
知的財産管理技能検定2級の次なるステップ
知的財産管理技能検定2級を取得したらさらなる資格に挑戦したいという方もいるでしょう。
最後に次なるステップを2つ紹介します。
知的財管理技能検定1級
知的財管理技能検定の2級が中級なら、1級は上級です。
2級を余力を残して合格した人や知財関係のさらなるスキルアップを目指す人なら挑戦する価値のある資格と言えます。もちろん2級よりも1級の方が価値深いです。
1級では、知的財産に関する1年以上の実務経験を有する2級合格者に学科試験の受験資格があります。
1級の学科試験は「特許専門業務」と「コンテンツ専門業務」、「ブランド専門業務」に細分化されます。
そのため専門性は2級よりもさらに高い試験です。各分野の合格率は10%を下回り、次なるステップとしては十分な難易度でしょう。
1級の特許専門業務に合格すれば、実務試験に進むことが可能です。実務試験の合格率は、受験者のレベルが高いこともあり、比較的高くなっています。
弁理士の資格に挑戦する
弁理士は、知財関連でキャリアアップを目指すならおすすめしたい資格です。弁理士も同じく知的財産の専門家ですが、知的財産管理技能士とは違い独占業務を持ちます。
主な業務は、発明者の代理として特許庁への権利申請を行うことです。
弁理士になれば最低でも700万円程度の年収が期待でき、国際的に活躍するチャンスもあります。
長い試験勉強が必要な難関試験ですが、挑戦する価値は十分にあるでしょう。
知的財産管理技能検定2級の難易度まとめ
知的財産管理技能検定2級の難易度まとめ
- 3級合格もしくは実務経験によって受験でき、難易度はそれほど高くない
- 毎日1時間勉強すれば2ヶ月程度で合格できる
- 基本は独学で十分だが、忙しい人には予備校や通信講座がおすすめ
知的財産管理技能検定2級の難易度について詳しく解説しました。
勉強時間や合格率から見てもそれほど難易度の高くない試験ですが、就職や転職には有効な資格です。そのため挑戦する価値は十分にあると言えるでしょう。