公務員保育士になるには?給料等の待遇・私立保育士との違いから採用試験まで解説!

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公務員保育士ってどうやったらなれるの?

給料は良いのかな、民間の保育士とはどう違う?

などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。

公務員保育士は公立の保育士施設に勤務する保育士のことで、地方公務員でもあります。採用されるには、保育士資格の取得と公務員試験の合格が必要です。

今回は公務員保育士のなり方について、給料などの待遇やいわゆる私立保育士との違いなどを解説します。

これを読めば、公務員保育士のなり方やメリット・デメリットなどがよく分かるはずです。

公務員保育士についてざっくり説明すると

  • 正社員・臨時職員・派遣保育士という3つの雇用形態
  • 勤続年数に応じて昇給する
  • 公立保育園の減少に伴い競争が激化

公務員保育士ってそもそも何?

微笑む少女

公務員保育士とは、地方自治体が運営する公立保育園に勤務する保育士のことです。そのため、公務員保育士は地方公務員になります。

ちなみに保育園には公立保育園と私立保育園があり、民営化が進んでいることから私立保育園の方が主流です。

全国に23,537箇所ある保育園のうち、公立保育園は9,212箇所で、その数が減少していることから求人数も少なくなっています。

公務員保育士になるには、保育士資格の取得とともに地方公務員試験の合格が必要です。倍率が高いため一般の保育士よりもなるのが難しい一方で、公務員なので給与面などの待遇が良いことから人気があります。

認可保育園で働いているのは必ずしも公務員保育士でない

認可保育園に勤務する保育士が公務員保育士であるという認識は間違いです。

そもそも認可保育園とは、国が定めた施設の規模や設備などに関する基準を満たすことを各都道府県に認められた保育園を指します。

よって認可保育園には公立・私立の区別はありません。認可保育園には公立保育園・私立保育園・公設民営保育園の3種類が含まれますが、このうち公立保育園で働く保育士のみが公務員保育士です。

どんな仕事をするの?

公務員保育士も一般の保育士も、業務内容自体はほとんど変わりません。

しかし、公立保育園は各自地方自治体によって運営されているため、公務員保育士は自治体の指示に沿った業務を行います。

私立保育園はそれぞれに個性があり教育方法も様々ですが、公立保育園は公営のため、ある意味没個性的と言えるでしょう。

週案や月案などの報告書も自治体のマニュアルに沿って作成すれば良いので、良くも悪くも仕事内容は画一的です。

また公立保育園では延長保育を行うことが少ないので、業務の負担は私立保育園よりも少ないと言えるでしょう。

一方で公立保育士は地方公務員のため、3・4年に1回の頻度で他の保育園へ異動となる可能性があります。ずっと同じ保育園で勤務し続けることはできないということが、一般の保育士とは異なる点です。

公務員保育士の雇用形態は大きく3つ

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公立保育園で働く保育士には、正社員・臨時職員・派遣保育士という3つの雇用形態があります。

このうち正社員と臨時職員に関しては公務員扱いですが、派遣保育士は公務員ではありません。

以下ではこれら3つの雇用形態の詳細を解説します。

正社員はフルタイム労働が基本

正社員は原則フルタイム労働となるため、時間の融通はあまり利きません。

正社員として雇用されるには、年に1回実施される地方公務員試験に合格する必要があります。

また、公立保育園は人件費の削減を望んでいるため、募集人数は決して多くありません。

しかし地方公務員の一般行政職として扱われれるため、定期的な昇給があり、給与面では安定しています

臨時職員は募集が多い

臨時職員は、各地方自治体で臨時保育士としての登録を済ませ、選考を通過することによって採用となります。非正規ではありますが、公務員扱いです。

担任や主任に就くことが少ない以外は、仕事内容はほぼ正社員と変わりません。一方で時間の融通が利くというメリットがあります。

公立保育園には人件費削減の観点から、正社員よりも臨時職員を積極的に採用する動きがあります。実際に公務員保育士の求人を見てみると、そのほとんどが臨時職員の募集です。

そのため、現在の公務員保育士の主流は臨時職員と言っても過言ではありません。臨時職員は正社員と異なり時給制であり、パートやアルバイトをイメージすると良いでしょう。

派遣保育士は公務員でない

派遣保育士とは、派遣会社から公立保育園へ派遣される保育士のことを指します。採用や給与の支払い、福利厚生などは全て派遣会社によって行われるため、派遣保育士は公務員ではありません。

また、残業などの労働条件に関する取り決めは派遣会社によってきちんとなされているため、心配する必要はありません。

ただし、派遣保育士の場合は雇用期間が限定的であるため、雇用の安定性がないという点が玉に瑕と言えるでしょう。

給料面などの待遇はいい

ジャンプする女性

令和元年度における、公立保育園と私立保育園のそれぞれで働く保育士の年収は以下の通りです。

公立 私立
363万円 362万円

上記を見ると、公務員保育士と一般の保育士の平均年収はほぼ同じだということが分かります。

しかし、地方公務員である公務員保育士の場合は各自治体の定める基準に従い、勤続年数ごとに給与が上昇していきます。

一方で、一般の保育士の場合は、勤続年数による昇給の決まりはありません。

また、保育士はキャリアアップして主任保育士や施設長などの役職に就くことがありますが、昇進すると公務員保育士の方が年収が高い傾向にあります。

つまり、平均年収では公務員保育士と私立保育士には大差がありませんが、勤続年数や昇進によって公務員保育士の方が高年収になっていくということです。

公務員保育士は待遇が良く離職率も低いため、勤続年数が長くなる場合が多く、採用されれば安定した収入が期待できるでしょう。

給料面以外の待遇も優れている

公務員保育士は一般の保育士に比べ、ボーナスや退職金などの待遇も良い傾向にあります。

2019年に厚生労働省が実施した調査によると、民間保育士の夏のボーナスは345,450円なのに対し、公務員保育士のボーナスは平均710,000円です。

公務員保育士と民間保育士では、実に30万円以上のボーナスの差があります。

ちなみに公務員保育士のボーナスの額は各地方自治体によって微妙に異なるため、実際の金額は上記よりも若干の増減があるでしょう。

また退職金の制度も公務員と民間では異なります。公務員保育士の場合、勤続年数が1年以上であればもれなく退職金を受け取ることが可能です。

民間の場合は各会社の就労規則によって異なりますが、勤続1年では退職金が出ない職場も多いでしょう。

このように公務員保育士の方が、給与に加え、ボーナスと退職金の面でも高待遇を受けられます。この点が非常に充実している点は、大きなメリットと言えるでしょう。

雇用別の給与形態の違いも頭に入れよう!

公立保育園での雇用形態には、正社員・臨時職員・派遣保育士の3つがあることは先述しましたが、それぞれで給与や待遇が異なります。詳細は以下の通りです。

正社員 臨時職員 派遣保育士
給与 固定給制・勤続年数による定期昇給 時給1,000円程度・自治体によっては年1回昇給あり 時給1,300〜1,800円程度・派遣会社によっては年1回昇給あり
待遇 地方公務員と同じ 各自治体から交通費・ボーナス・退職金(支給されない場合も) おそらく交通費あり・ボーナス及び退職金はなし

上記のように、臨時職員は時給が低く、派遣保育士にはボーナス・退職金の支給がありません。どちらも正社員に比べると給与・待遇は良くないと言えるでしょう。

実際に給与・待遇面で不満を抱える臨時職員や派遣保育士も一定数存在するため、就業の際は慎重に検討することをおすすめします。

私立保育園と異なる点

本を読む少年

以下では公務員保育士と私立保育士の違いを表にまとめました。

項目 公務員保育士 私立保育士
職場 公立の保育園・託児所など 私立の保育園・認定こども園など
就職の条件 保育士資格の取得・地方公務員試験合格 保育士資格の取得のみ
勤務時間 時間外保育を行わない園も 早朝・延長・休日保育などの時間外保育も行う
保育方針 各自治体に準ずるため画一的 各園が独自に決定するため個性的
異動 3・4年に一度 なし
福利厚生 国の定めに準ずる 各園の定めに準ずる

上記のように公務員保育士と私立保育士では、職場環境やなり方、勤務時間などが異なります。

保育士としての勤務先を選ぶ場合は、両者の違いを良く理解しておくことが大切です。以下ではそれらの違いについて解説します。

職場環境の違い

公務員保育士は、各地方自治体によって運営されている公立保育園や託児所などに勤務します。

一方で、会社やNPO法人などが独自運営する保育園や認定こども園に勤務するのがいわゆる私立保育士です。

公務員保育士の勤務先は、児童福祉法の基準を満たした認可保育園が多いため、大抵の場合、勤務時間や園児の数などが一定に決まっています。

そのため、公務員保育士の職場環境は比較的安定していると言えるでしょう。

一方で2001年以降の規制緩和によって、現在ではあらゆる団体が私立保育園や認定こども園などを運営しています。

私立保育士の勤務先は認可外保育園のこともあり、勤務する施設によって職場環境は様々です。

認定こども園とは

認定こども園とは内閣府が管轄する子供の教育・保育施設です。幼稚園と保育園の合いの子とも言えるでしょう。

認定こども園には以下のようなタイプがあります。

  • 幼保連携型

  • 幼稚園型

  • 保育所型

また、認定こども園は全国に7,208箇所(2019年4月1日時点)存在します。

公務員保育士は公務員試験を受ける必要がある

公務員保育士になるには、保育士試験と公務員試験の両方をクリアしなければなりません。

公務員保育士試験は各地方自治体によって実施され、それぞれで試験内容や試験日程、受験資格などが異なります。よって、受験する際は、各地方自治体の試験情報をよく確認するようにしましょう。

一般に公務員保育士試験では、一次試験と二次試験が実施されます。一次試験では教養試験・専門試験、二次試験では面接・実技試験・体力試験が行われ、保育士としての適性が判断されます。

一方で、一般の保育士の場合は、保育士資格があれば働くことが可能です。民間の保育施設の募集に応募し、採用されれば晴れて保育士になれます。

公務員保育士は保育時間が短い傾向

公務員保育士の職場では、保育時間が予め決まっており、時間外保育には対応していない保育施設が多いです。

一方で民間の保育施設では、各家庭のニーズに合わせて休日保育や延長保育などの時間外保育にも対応しています。

よって公務員保育士の方が、いわゆる私立保育士よりも就労時間が短くなる傾向にあります。私立保育士の場合は就労時間が長くなったり、不規則になることが多いです。

保育標準時間と保育短時間

日本では「子ども・子育て支援新制度」によって、各利用者ごとに保育時間を認定しています。保育時間は「保育標準時間」と「保育短時間」の2種類です。

保育標準時間は午前7時30分〜午後6時30分、保育短時間は午前8時〜午後4時とそれぞれ定められています。そのため、公務員保育士はこれらの時間に合わせて保育業務を行うことになるでしょう。

それらの時間外での保育は早朝保育や延長保育となり、いわゆる私立保育士の領分になります。

独自の教育が行われにくい

公立の保育施設は、各自治体が定めた保育方針に沿って運営されています。よって、公的施設らしい安定的かつ画一的な教育が行われると言えるでしょう。

一方で民間の保育施設の場合は、各団体が独自に教育方針を定めています。そのため、私立保育園はどれも個性的なものばかりです。

キリスト教や仏教など特定の宗教に根ざした保育施設もあれば、英語教育に力をいれる国際的な気風の保育園もあるでしょう。

よって私立保育園を利用する場合は、独特の教育方針が合うかどうかを見極めなければなりません。それは保育士として働く場合も同じです。

自分が働きたいと思えるような職場かどうか、事前に良くリサーチした上で応募しましょう。

公務員保育士は異動が多い

地方公務員は3、4年に1度のペースで異動となることが多いですが、それは公務員保育士にも当てはまります。

もちろん異動のペースはそれより早い場合も遅い場合もありますが、ほとんどの公務員保育士が異動を経験することになるでしょう。

一方で民間の保育施設に務める場合は、必ずしも異動があるわけではありません。所属する保育園の運営団体が一つの保育園しか運営していない場合、異動の可能性は無きに等しいでしょう。

給与をはじめ、私立保育士よりも恵まれている公務員保育士ですが、異動があるという点は玉に瑕だと言えます。異動になる度に新しい職場で人間関係を構築しなければならない苦労が伴うからです。

福利厚生の手厚い公務員保育士

公務員保育士は、福利厚生の面でもメリットがあります。休日は週2回、8時間勤務と、一般的な仕事大差ありません。

私立保育園の場合、各園ごとに福利厚生に違いが多くあり、また長時間の労働を必要とする場合もあることから、魅力的な点であることがわかります。

私立保育士として働く場合は、このように福利厚生が手厚くないような場合もあるのです。その点を注意した上で、自身の就職先を選ぶことは必須と言えるでしょう。

公務員保育士のメリットとデメリットを確認

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ここからは公務員保育士として働く上でのメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

安定した待遇が魅力的

公務員保育士には以下のようなメリットがあります。

  • 公務員としての採用のため、給料が安定して高い

  • 福利厚生が整っている

  • 勤務時間が一定であり、延長保育なども少ない

  • 身分保障がしっかりしているため、離職率が低い

公務員保育士としてのメリットは、やはり地方公務員であるという点に集約されます。民間よりも給与面などの待遇が安定していることは評価に値するでしょう。

勤務時間がしっかりと決められており、時間外保育を行うことも少ないため、家事や育児との両立も可能です。これについては離職率の低さを見ても明らかでしょう。

実際、公立の保育施設では産休や有給休暇なども取得しやすいため、ライフスタイルの変化に対応しながら続けられる職場と言えます。

勤続年数が長くなれば、それだけ給料も上がるため、安定した良い職業と言えるでしょう。

採用数が少ないのが大きな弱点

一方で、公務員保育士のデメリットとして以下が挙げられます。

  • 公立保育園の数が限られるので、採用数が少なく倍率が高い

  • 異動があるため、一つの園で長く勤務することはできない

  • 画一的な指導方針に従う必要がある

  • 将来的な縮小は避けられない

先述のように、保育園は民営化が進む事業のため、公立保育園の数は減少傾向にあります。

民営化の流れは加速すると予想され、少子化とも相まって、公立保育園の規模の縮小は避けられないと言えるでしょう。

そうした背景もあって、公務員保育士の求人数は少ないため、競争率が高く、採用されるのは至難の技です。また人件費削減のために、正社員ではなく臨時職員を積極採用する動きもあります。

そのため、公務員保育士を目指して保育士資格を取得したものの、結局は私立保育士にならざるを得ないという状況も十分に考えられます。

公務員保育士になるためにはどうする?

腕を組む少年

公務員保育士になるには、保育士資格の取得と共に、「公務員保育士試験」に合格しなければなりません。

ちなみに公務員保育士は、地方公務員の中で福祉Ⅱ類に分類されます。

以下では福祉Ⅱ類の地方公務員試験についてお伝えします。

受験資格を満たす必要があり

公務員保育士試験を受けるには、以下の二つを満たす必要があります。

  1. 保育士資格を保有し、かつ都道府県知事の登録を受けている、もしくは受験年度内に保育士資格を取得する見込みである

  2. 年齢が20歳以上から30代半ばである

年齢制限は各自治体で微妙に異なります。

また自治体によっては「住所要件」が課される場合もあります。その場合は、受験時にその自治体に住んでいるか、もしくは採用された場合に在住可能であることが必要です。

募集時期も確認が必要

公務員保育士試験は各自治体によって実施されるため、募集時期は自治体ごとに異なります。

一般的には6月から9月にかけて実施される場合が多いようです。しかし、中にはそれ以外の期間で試験を行う自治体もあります。

応募締切日から1ヶ月ほど後に一次試験が行われるのが一般的です。受験する際は、早めに各自治体のホームページなどで募集時期を確認するようにしましょう。

試験概要

公務員保育士試験の内容は各自治体によって様々ですが、大抵の場合は一次試験と二次試験が実施されます。

一次試験では教養試験と専門試験が行われ、二次試験で面接や実技試験、体力試験などが実施されるようです。

以下では一次試験と二次試験について、それぞれの内容を解説します。

一次試験は多様な知識が試される

一次試験の教養試験とは、いわゆる一般教養を試すテストです。高校卒業レベルの能力及び知識を測る問題が出題されます。

能力を測る問題では、以下の4分野から出題がなされます。

  • 文章の理解力

  • 数的推理力

  • 判断推理理力

  • 資料解釈力

国語(現代文・古文)や数学、英語などの問題を通して、上記の能力が試されるようです。

一方で知識を測る問題では以下の3分野が出題されます。

  • 社会科学

  • 人文科学

  • 自然科学

こちらでは国語・数学・英語に関する問題に加え、中学高校レベルの時事問題も出題されます。一般の資格試験同様、出題傾向を分析し、頻出範囲を中心に対策を行いましょう。

また専門知識では以下の8分野から出題がなされます。

  • 保育原理

  • 教育原理及び社会的擁護

  • 児童家庭福祉

  • 社会福祉

  • 保育の心理学

  • 子どもの保健

  • 子どもの食と栄養

  • 保育実習理論

上記は、保育士試験における筆記試験の範囲と同様です。そのため、比較的対策がしやすい試験と言えます

保育士試験のテキストや過去問などを利用しながら、知識を再確認するのが良いでしょう。

二次試験は各試験の特性を理解しよう

二次試験では面接・実技・体力試験などが実施されるのが一般的ですが、自治体によっては小論文試験などが課せられる場合もあります。

面接試験では保護者や子供への対応力が試されるため、二次試験の中でも特に重要な試験です。ちなみに面接試験にも、個別・集団面接や集団討論などのように様々な種類があります。

面接で見られる主なポイントは、清潔感や好感の持てる表情、表現の多彩さや分かりやすさなどです。質問内容としては志望動機はもちろん、自己PRやケースごとの対応方法などが問われます。

また実技試験では、音楽・言語・造形などの分野で、保育士にふさわしい態度や実力が備わっているかどうかが見られます。

音楽とはピアノの演奏や手遊び歌などです。言語では読み聞かせや幼児との会話などの試験が実施され、造形においては絵画や工作などの腕前が試されます。

各分野の技術はもちろんのこと、子供を楽しませる資質があることをアピールするのも重要です。

体力試験は学校のスポーツテストをイメージすると良いでしょう。腹筋や背筋、反復横跳び、握力など様々な項目が測定されます。

保育士として働くにはある程度の体力が必要なので、時間を見つけてはトレーニングに励むようにしましょう。

公務員試験の難易度は高い

これまで解説してきた通り、公務員保育士は競争率の高い職業です。高待遇な公務員保育士ですが、公立保育園の求人数は決して多くありません。

理由としては先述したように、公立保育所の減少や人件費削減による臨時職員の積極雇用などが挙げられますが、いずれにせよ多くの志望者と数少ないポストを争うことは覚悟しておきましょう。

また毎年募集が行われるわけではなく、1〜2名の募集に対し、40〜50名ほどが応募することも考えられます。例えば平成30年度の公務員保育士試験では、小田原市において競争率15.2倍の試験が実施されました。

公務員保育士を目指すなら、試験の難易度はかなり高いと心算しておくのが良いでしょう。

試験に合格しても就職できない?

公務員保育士試験が受験者泣かせだと言えるのは、試験に合格したからといって実際に勤務できるとは限らないからです。

というのも、公務員保育士試験に合格すると採用候補者名簿に氏名が登録されます。

各公立保育園はこれを見てそれぞれに採用希望を出すため、実際に採用されるまでは公務員保育士になれるかどうかは分からないのです。ちなみに採用候補者名簿の有効期限は1年間と定められています。

名簿の期限内に採用されなければ、翌年もう一度再受験し、再び採用候補者名簿に氏名を記載してもらえる権利を勝ち取らないといけません。

試験に合格しても雇用されるかどうかは分からないため、リスクのある選択と言えるでしょう。

公務員保育士試験のための対策法

勉強中

公務員保育士試験の対策は、一次試験と二次試験に分けて行うのがおすすめです。

以下でそれぞれについて解説します。

一次試験は過去問中心

一次試験では、教養試験と専門試験の対策を別個に行う必要があります。

教養試験では、国語・数学・英語・理科・社会に関する高卒程度の一般知識が試されます。一方で専門試験は保育士試験同様、保育や福祉に関する試験です。

試験に必要な知識はある程度備わっている場合が多いはずなので、対策としては過去問演習を中心に行うのが良いでしょう。

試験範囲は膨大なので、演習を通じて頻出範囲を把握することが重要です。間違えた問題や分からない部分は適宜確認を行い、知識の穴を着実に埋めていきましょう。

過去問は様々な自治体のホームページで公開されています。「公務員保育士試験」と検索しても見つからない場合は、「福祉Ⅱ類」で検索してみましょう。

また「保育士・幼稚園教諭 採用試験問題集」という書籍が市販されているので、これで問題演習を行うのもおすすめです。問題集は書店やAmazonなどで購入できます。

保育士・幼稚園教諭 採用試験問題集 2023年度
1870円
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二次試験は内容ごとに個別の対策を

二次試験の内容は各自治体によって異なります。そのため、まずはどんな試験が行われるのかを把握しましょう。

例えば、面接試験なら想定される質問をリストアップしておき、それらに対する回答を考えておくのがおすすめです。質問には笑顔でハキハキ答えることを心がけましょう。

また実技試験ならそれぞれの内容をひたすら練習するしかありません。体力試験がある場合は、トレーニングを行うのが良いでしょう。

公務員にこだわるなら公立幼稚園という選択も

話し合う人たち

どうしても公務員になりたいという場合は、公立幼稚園にまで間口を広げるのも良いでしょう。

保育士免許があれば幼稚園教諭免許状を取得できる

保育士免許を保有していれば、以下の条件を満たすことで幼稚園教諭免許状が取得できます

  • 保育士としての3年かつ4,320以上の実務経験

  • 5科目8単位の修得

上記を満たして各都道府県に申請を行えば、大卒の場合は幼稚園教諭一種免許状、高卒の場合は幼稚園教諭二種免許状が取得可能です。

ちなみに5科目8単位とは以下のことを指し、通信教育で修得することができます。

  • 教職言論(2単位)

  • 教育制度論(2単位)

  • 教育課程論(1単位)

  • 保育教育指導方(2単位)

  • 幼児理解の理論と方法(1単位)

給与や公務員としての待遇はほぼ同じ

保育士と幼稚園教諭では、勤務場所や仕事内容などは若干異なりますが、給与に関してはほぼ同じです。

2018年に行われた厚労省の調査では、保育士の平均月収が23.9万円なのに対し、幼稚園教諭の平均月収は24.1万円でした。

また公立幼稚園に務める場合、公務員としての待遇も、公務員保育士と大差ありません。給与が安定しており、福利厚生も充実しています。

数年で異動がある点や公立幼稚園の数が減少傾向にあることなども、公務員保育士・公立保育園と変わりません。

もちろん保育士と幼稚園教諭は別物ですが、どうしても公務員になりたいという場合は、公立幼稚園まで視野に入れるのも良いでしょう。

公立幼稚園で働くには

公務員保育士同様、公立の幼稚園で働くには幼稚園教諭免許状の取得に加え、公務員試験に合格しなければなりません

幼稚園教諭採用試験には公務員保育士試験と同じく、一次試験と二次試験が存在します。一次試験では教養試験・専門試験、二次試験では面接・実技試験・論文試験がそれぞれ課せられる点など、試験範囲についても同じです。

保育士試験と幼稚園教諭試験では専門科目の内容が異なりますが、それ以外はあまり変わらないので、公務員保育士試験の受験者なら比較的対策しやすいと言えるでしょう。

公務員保育士についてまとめ

公務員保育士についてまとめ

  • ボーナスや退職金などの待遇も良い
  • 数年に一度異動の可能性がある
  • 公務員試験に合格しても採用されないことも

公務員保育士のなり方やメリット・デメリットなどについて解説しました。

公務員保育士は民間の保育士に比べて、給与をはじめとする待遇が良い職業です。給料は勤続年数に応じて上昇していき、1年以上勤めれば全員退職金がもらえます。

ただし、3、4年に一回のペースで異動の可能性があり、また、そもそもなるのがかなり難しい職業でもあります。

公務員保育士になるには保育士資格の取得に加え、公務員試験の合格が必要ですが、採用試験はかなりの競争率になります。また試験に合格したとしても採用されない可能性もあるのです。

とはいえ公務員としての安定した待遇が得られるため、目指す価値は十分あると言えるでしょう。試験対策には通信講座の活用もおすすめsです。

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