行政書士試験に六法は必要ない?おすすめの六法や使い方を徹底解説!

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「行政書士の勉強に六法は必要?」

「どのような六法がおすすめなの?」

多くの法律を扱い、法律に則って書類作成などの業務を行いながら市民に寄り添う行政書士という職業は、「街の法律家」ともしばしば呼ばれます。

しかしながら、法律家という名前とは裏腹に行政書士になるための試験勉強では「六法は必要ない」という意見も見られます。

多くの法律や法令を収録している六法は、持ち歩きにも大変で値段もそれなりにしますので、行政書士試験の受験を考えている方の中でも六法は必要なのかどうか気になっているという方も多いのではないでしょうか?

この記事では、行政書士にとって六法がどのような位置づけにあるのかを解説し、さらにおすすめの六法についてもご紹介します!

行政書士試験に六法がどのように役立つのかについても考察しますので、受験を考えているという方はご参考になさってください。

行政書士試験の六法についてざっくり説明すると

  • 行政書士試験の勉強では、六法が必要になる場合と特に必要ない場合があり、人によるところも大きい
  • 行政書士の業務を行う上では六法は必須である
  • 六法には多くの種類のものが出版されており、用途別で使い分ける

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そもそも六法とは

多くの法典があるイメージ

日本には膨大な数の法律が存在しますが、それらの法律の基盤となる最も重要な6つの法律を六法といいます。

具体的には憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法の6つを指します。

この6つの法律をはじめとしたあらゆる法令をまとめた法典を「六法全書」といい、略して「六法」と呼ばれることが多いです。本記事でいう「六法」は、「六法全書」の意味での六法です。

六法には、主要6種の法律以外にも多くの法令が収録されており、その条文が全文記載されています。

法律の専門家である行政書士であれば、法律の原文に触れることは業務上必須ですので、六法は最重要の資料となるのです。

六法にも色々種類がある

六法にはいろいろな形態のものが出版されています。

大型のものから中型・小型のもの、判例が付いているものや付いていないもの、持ち歩きに便利なものなど様々な種類があります。

有斐閣出版『六法全書』

主要六法をはじめとする日本のあらゆる法令が収録されています

判例は付いていませんが、収録されている法令の数が800以上と非常に多く、6000ページ以上で重さも4kgほどありかなり大型なので、日常的に使うには向いていないでしょう。

そのため学生はあまり用いず、日頃よく法律に触れる弁護士などの法律家が使用しています。

判例付きの六法

『六法全書』よりも収録されている法令の数がずっと少なく、サイズも中型から小型にまとまっていますが、法令の条文に加えて条文のすぐ後ろにその法令を解釈するために参考になる判例が記載されているものです。

判例付き六法としては、『模範六法』(三省堂)、『判例六法』(有斐閣)などが出版されています。

判例付き六法は、六法とは別に判例集を用意して突き合わせるという手間もなく判例に目を通すことが可能で、条文を丸暗記するだけではなくその法令についての知識を深めることができるため、勉強の際にも重宝されています。

使いやすい小型サイズの六法

ポケット六法』(有斐閣)、『デイリー六法』(三省堂)などがあり、こちらは国語辞典ほどのサイズで値段も手頃なため、法学部の学生に人気があります。

主要6法に加えて戸籍法、破産法、労働基準法など、法律系の試験に必須の法令が収録されているほか、法改正が加えられた部分は改正前と改正後の条文の両方が記載されており、比較しながら勉強することが可能です。

法律系資格試験に対応した六法

司法試験など各種法律系の資格試験に対応した六法も出版されており、こちらの六法には試験で出題される法令のみが収録されています。

もちろん行政書士試験対策用の六法もあります。

試験対策に必須の法律を中心に知識を吸収できるため、こちらも非常に便利な六法であるといえるでしょう。

行政書士試験に六法は必要なのか

疑問を抱くイメージ

結論から言ってしまうと、行政書士試験の勉強では六法の出番はあまりないため、六法を購入する必要は特にありません。

理由として、市販の教材などは基本的に六法がなくても十分勉強できるように作られていますし、予備校や通信講座を受講した場合でも、講座内容のみで合格までたどり着けるように設計されているためです。

六法が必要な場面とその理由

上記のように六法が特に必要になる場面があるというわけではありませんが、六法を大切にしているという人は少なくないようです

主に以下のような理由で、六法の必要性を説いている方が多くいらっしゃいます。

条文理解が重要な試験だから

行政書士試験では条文理解が極めて重要となります。

予備校や通信講座の場合は、理解しておくべき条文や押さえるべきポイントを講師の方が取り上げて詳しく説明してくれることがほとんどなので、特に六法を持っていなくてもなんとかなります。

しかし、市販の教材などを用いて独学で試験の勉強をしているという方の場合は、講座で教えてくれるようなポイントとなる条文を自分で知ることは難しいです。

法令についての配点が大きいから

独学者の場合は六法が必要である、と言える理由として、行政書士試験の法令科目の配点が挙げられます。

行政書士試験は大きく分けると、法令科目と一般知識に出題科目が分かれており、そのうち配点の9割弱が法令に関する出題です。

科目 問題数 配点
法令科目 46問 244点
一般科目 14問 56点

なお、行政書士試験の法令科目は「憲法」「基礎法学」「民法」「行政法」「商法・会社法」の5つから出題されます。

こういった法律をしっかりと理解するためにも、六法は持っておくべき、という意見も少なくないです。

行政書士試験におすすめの六法

おすすめを紹介するイメージ

六法には多くの種類があり、どれを購入すればいいのか迷っているという方も多いのではないでしょうか?

こちらでは、行政書士試験の勉強に使える六法をご紹介します。

行政書士試験用の六法がおすすめ

行政書士試験向けであれば、やはり行政書士試験むけにまとめられた六法がおすすめです。

いわゆる普通の六法は価格も高い上に勉強に使用するには使いにくすぎるので、試験対策としては向きません

また、行政書士試験で出題されるのは「憲法」「民法」「商法・会社法」「行政法」「基礎法学」です。

その中でも、行政法が出題の割合が最も多くなっています。

しかし、 普通の六法に掲載されているのは「憲法」「刑法」「刑事訴訟法」「商法」「民法」「民事訴訟法」の6つを中心に掲載されています。

よって、行政書士試験での出題が最も多い行政法に関しては、普通の六法には掲載されていません。

そのため、行政書士試験用の六法であれば行政書士 試験六法がおすすめです。

行政書士 試験六法 2023年度 [民法・個人情報保護法改正に対応 条文ごとに判例・過去問がリンク 学習に便利な準用条文見出し付き]
3740円
行政書士 試験六法 2023年度 [民法・個人情報保護法改正に対応 条文ごとに判例・過去問がリンク 学習に便利な準用条文見出し付き]
3740円

こちらの六法では条文をただ並べているだけでなく、条文ごとの重要な判例を掲載している上に、条文ごとに該当する本試験の過去問も掲載してくれています

よって、試験対策に使い勝手の良い構成になっているといえるのです。

このように受験生にとってはこの上なく使いやすい試験六法だと言えるでしょう。

六法アプリもおすすめ

六法をスマートフォンやiPadなどでいつでも閲覧することができる六法アプリも開発されています。

六法アプリは、六法を手軽に持ち歩きすることが可能というだけでなく、キーワードを入力すると該当の条文がすぐに検索できるという点で非常に便利です。

六法アプリの中では「六法」と「みんなの法令」が特におすすめになります。

六法」では、関連する法令を参照できる法令間のリンク機能のほか、法改正時に通知で知らせてくれたり、条分にマーカーでチェックを入れたりメモ書きができるなど、多くの便利な機能が搭載されていて勉強する際にも使えます。

また「みんなの法令」では、1万件以上の法令が収録されており、法令略称名の入力やカメラで法令名を写すことでも法令を検索することができる機能が搭載されているので、こちらもおすすめです。

ただし、いずれもiOSのみ対応となっておりAndroidでは使用できないので注意が必要です。

行政書士試験六法の使い方は?

六法を使った勉強のイメージ

行政書士六法を使った勉強の際には、「通読」を行うことが効果的です。

学習の初期に、法律の初まりから終わりまで通読を行うことで、法律の全体像についてが把握することができ、体系的に理解することができます。

また、行政書士の試験では、法律の条文がそのまま出題されることも少なくありません。

特に、憲法と行政三法(行政手続法・行政事件訴訟法・行政不服審査法)の4つは、条文が出題される可能性が高いため、通読の効果が数字として実感しやすいです。

これら4つの法律は条文数があまり多くありません。そのため、全ての条文に目を通しておくのが良いでしょう。

一方で、会社法・地方自治法は通読による効果を実感しずらく、別の勉強法で得点を伸ばすことが必要となります。

これらの範囲では、全体像をざっくり理解するための、一度の通読で十分だと言えるでしょう。

行政書士の業務に六法が生きる?

仕事に資料を使うイメージ

行政書士試験に合格し、資格を登録して行政書士として働く段階になれば、六法は非常に重要になります。

それでは、行政書士になったら六法をどのように扱っていけばよいのでしょうか?

行政書士であれば持っておくのが普通

行政書士という職業自体が法律を扱う専門家ですので、日常的に法律に触れることが多いはずです。条文を調べる機会もたびたび登場します。

業務を行う上では、六法は必須と言ってよいでしょう。

顧客が公的書類に関することを相談しに事務所を訪ねてきているのに、プロである行政書士が「法律がわかりません」という状態では仕事になりませんし、信頼度も低下してしまいます。

また、六法を持っているだけではなく普段から読み込んで、知識をブラッシュアップしておくことも大切です。

六法は収録されている条文の量が極めて膨大でありますので、普段から六法に触れて扱いに慣れておき、調べたい条文をスムーズに取り上げることができるようになれば、仕事も効率的になるでしょう。

常に最新版にしておこう

法改正は毎年行われます。そのため、六法も毎年買い替える必要があります。

古い法律を参照したまま手続きを行ったら申請が通らなかった、などといったことにならないよう、いつまでも古い六法を持たないようにしておくべきです。

プロ用の六法にしておく

六法にはいくつか種類があることについて前述しましたが、行政書士として業務を行うに当たって、プロの法律家としての六法を準備しておきましょう。

実務を行う立場になったのですから、行政書士試験対策用の六法や学生向けの六法を使用することは避けるべきです。

具体的には『模範六法』などが望ましいです。『模範六法』はそれなりに高価ではありますが、収録されている法令数も多く判例もついていて、内容が充実しています。

事務所調査の前から準備しておく

行政書士名簿に名前を登録する手続きの際に、事務所を設置することが義務付けられていますが、登録申請後に行政書士会支部より直接役員が訪れて事務所調査が行われます。

この事務所調査の段階で六法を置いておくことが望ましいです。

六法がなければ調査不合格になるというわけではありませんが、事務所としての信頼度が下がる恐れがあります。

今後の業務でも必要になるので、前もって準備しておくことが必要になるのです。

行政書士試験における六法まとめ

行政書士試験の六法まとめ

  • 行政書士試験では法令の条文理解が必須であり、講座を受講している人なら六法をわざわざ購入しなくても勉強が可能であるが、独学の場合は六法を持っていた方がよい

  • 六法アプリを利用すればすぐに条文を検索することが可能で法改正にも素早く対応でき、勉強にもおすすめ

  • 六法には多くの種類があるが、業務上法律に触れる機会の多い行政書士はプロ用の六法を持っておくべき

ここまで、行政書士にとって六法は重要であることを説明してきました。

試験勉強での六法の有無は結局それぞれ人によるものですが、将来的に行政書士として活躍したいという方にとっては必須のものとなるはずです。

この記事を参考にして、自身のスタイルに合った六法を探してみてください。

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