測量士の仕事内容は?独立した場合や測量屋の将来性・給料事情まで徹底解説!
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「測量士ってどんな仕事をしているの?」
「測量士は将来性がある職業なの?独立は可能?」
測量士の勉強をしている人や目指している人はこのような疑問を持っている人もいるのではないでしょうか?なんとなくイメージはできるものの、詳しくは知らない人は多いです。
自分が目指す職業の具体的な仕事内容はもちろん、将来性や収入面も知っておきたいと思うはずです。
そこでこの記事では測量士の仕事内容や仕事の形態、おおよその年収、さらに測量士になるための方法などを詳しく解説していきます。
この記事を読めば測量士のすべてがわかるようになります。
測量士の仕事内容や独立した場合の将来性についてざっくり説明すると
- 測量士の仕事は外だけでなく室内の仕事もある
- 測量士の年収は400~1000万円
- AIでできる仕事ではないので将来性がある
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測量士の仕事内容
測量士の仕事といえば建築現場や土木現場で土地や建物の測量を行うものをイメージすると思います。実際これがメインの仕事です。
しかし実は外に出て測量するだけでなく、オフィスでする内業もあります。ここでは測量士の内業と外業の仕事をそれぞれ詳しく解説していきます。
内業に関する業務
測量士の仕事は大きく2つに分けられます。
- 計画の立案や機材の手配など「測量を実際に行う前の準備」
- 測量したデータの分析や加工修正
外で測量をするイメージが強い測量士ですが、近年は取得する情報量が増えてきたことからデータの分析や修正作業もかなりの量になってきています。
以下ではさらに深堀して解説していきます。
事前準備
外業を安全かつスムーズに行うために必要なのが内業の「事前準備」です。 マニュアルなどを参考にしながらいかにすれば安全で効率的に計測ができるのか、事前に計画を立てていくのです。
また、その際どのような機材が必要になるのかも事前に確認し手配しておきます。
人や機材などには限りがあるので常に外業の前には無駄を最小限に抑えるように準備をするのです。
データ処理
データを取得したらそれで終わりではありません。測量して得られたデータを専用のソフトで分析するなどの処理をしていきます。
その際必要があれば加工や修正など編集をして、最終的に製図機器を使って測量図まで作り上げるのが仕事です。
外業に関する業務
測量士にとって外業といえばメインの仕事です。主に2~5人がチームを組んで実際に現場に赴いて測量をします。
具体的には「トランシット(角度を測定するもの)」や「光波測距儀(距離を測定するもの)」、関数電卓、さらに位置情報を調べる「GPS」などを使って測量していきます。
また、三脚に専用の機械が取り付けてある「トータルステーション」というものもあります。これは距離と角度を一度に計測できる機械です。
このような機材を必要に応じて使い分けながら測量していくのが外業の業務です。
ドローンを用いた仕事スタイルも
近年はドローンを使って測量が行われることもあります。 測量という仕事は平たんな場所とは限らず山間部のような場所もあるのです。
そのような場所ではドローンを使った方が手軽でかつ安価に実施できます。また、作業時間を短縮させたり人件費を抑えたりもドローンなら容易です。
そのため最近はドローン測量士の需要が急激に増えてきています。測量とはアナログなイメージを持っている人もいますが、実は最新のテクノロジーに触れながら仕事もできのです。
新しい機材について学習
直接の仕事ではありませんが、測量士として仕事を続けるためには新しい機材についての学習も仕事の一部としてしなければなりません。
測量するだけといってもその技術は日々進化しています。それに伴って新しい機材も開発されているのです。
新しい機材が開発されたり導入されたりすれば当然使いこなせるように扱い方を覚えていかなければなりません。
すでに説明した通り、最近はドローンという機械が登場してきました。そのため、ドローンのスクールに通う人も増えてきています。
実際に依頼を受けた仕事ではありませんが、測量士として将来仕事をし続けるためには業務とは別に学習をする必要があるのです。
もちろん、新しい技術を身につければ周りからの評価が高まる上に、対応できる業務の幅も広がります。新しいものが出てきたら積極的に学習をすると独立しやすくなります。
測量士の果たす役割は大きい
測量士が果たす役割はかなり大きいです。 その理由は測量士の仕事がなければインフラ整備や建物の建築はできないからです。
それは公共事業だけでなく民間の建築物も同じで、建築の設計はすべて測量士の仕事が土台にあります。言い換えれば測量士の仕事は責任も重大なのです。
特に大規模のインフラ整備では測量を行うことが多く正確さも求められるので、測量士は役割だけでなく責任も大きいといえるでしょう。
測量士は普段の生活にあまり関係がないように感じますが、実は安全な市民生活を送るためには欠かせない存在です。
測量士は決して華やかな仕事ではありませんが、命や生活を守る大切な仕事です。目指す人はそのことも意識するようにしましょう。
主な就職先
測量士なら測量事務所と思うかもしれませんが、実は主な就職先はいくつもあります。
ここでは勤める場所によってどのような働き方ができるのか、詳しく解説していきます。
測量事務所で働く
測量士として最もイメージ通りの仕事をするのが「測量事務所で働く」です。 文字通り測量が専門の職場なのでほとんど測量をしています。
特に下請けになれば測量の仕事で手一杯になるので、もっぱら測量の仕事だけを担うと考えられるでしょう。
給料に関しては通常のサラリーマン程度と考えられます。ただし、測量の仕事を他の事務所や法人に発注する立場であれば待遇がもっと良いことが考えられます。
細かい部分は事務所の規模などによって変わりますが、収入は日本人の平均年収である400~500万程度を目安にしてください。
また、将来独立を考えているなら測量を主な仕事としている測量事務所で経験を積むことをおすすめします。
小さい事務所の場合は仕事以外の雑務が多いかもしれませんが、測量技術を磨きたいなら候補の1つとして考えてください。
コンサルタントとして働く
測量士としての知識を活かしながらコンサルタントとして働くことも可能です。 その場合測量の仕事は他の社員がすることが多くなるので、測量を実際にすることはほとんどありません。
では具体的にどのようなことをするのかというと、測量技術を利用して災害の被災シミュレーションをしたり道路や河川などの整備や管理などをしたりします。
こうして測量データをもとに付加価値をつけることで顧客が抱えている課題を解決していくのです。
仕事内容には測量がありますが、測量だけが仕事ではないので業界的には通常のサラリーマンの平均年収よりも多いといえます。
ちなみに、最近は異常気象などで災害に強いまちづくりをテーマにしたインフラが期待できるので、国内需要だけでなく海外への進出も期待できます。
公務員になる
測量士として公務員になるという選択肢もあります。 公務員として働く場合は測量を行うことはありません。公共団体それぞれのルールに則って測量を発注する業務が主な仕事になります。
発注する側になるので測量に直接関わることはありません。しかし、測量技術や機材への知識を持っていることで、発注書を見て妥当な発注かどうかを判断することはできるでしょう。
なお公務員なので成果に関わらず給料は一般的なサラリーマンと同レベルです。ただし個人事務所など民間に勤めるのとは違って必ずボーナスがもらえます。
測量士になるには
測量士を目指している人は資格取得のために国家試験の対策をしているのではないでしょうか。しかし実は測量士になる方法は5つあります。
ここではそれぞれどのような方法なのか説明していきます。
測量士資格の取得方法
測量士になるには大きく分けて以下の通り5つ条件のうち1つをクリアする必要があります。
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文部科学大臣が認定する大学で測量の科目を修め卒業し、測量に関する実務を1年以上積む
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文部科学大臣が認定する短期大学、高専で測量の科目を修め卒業し、測量に関する実務を3年以上積む
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国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で測量士補になるための知識・技能を習得し、測量に関する実務を2年以上積む
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測量士補の資格を取得した後、国土交通大臣の登録を受けた養成施設で専門科目を履修する
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測量士試験に合格する
1~3は学校に通って必要な科目を取得し実務経験を積んで取得する方法です。4~5は国家試験に合格した後に取得する方法です。
測量士試験の受験資格はない
上記の4と5の方法で測量士になるには、国家試験に挑戦する必要があります。その際に気になるのが受験資格ですが、測量士(補)試験には受験資格はありません。
性別はもちろん年齢や学歴、職歴などの制限はなく誰でも受験したければ受験できます。
特に測量士試験なら合格すればすぐに測量士になれるので、今すぐ資格を取得したいという人は受験を考えてみてください。
試験以外のルートでも測量士にはなれる
測量士になるには試験に合格しなくても、上記の1・2・3の方法でも条件を満たすことで資格取得が可能です。
ただし、どれも特定の学校で測量に関する科目を修了したり養成施設で専門的な知識や技能を習得したりして、それから実務経験を積む必要があるので時間がかかります。
4のように一旦測量士補になってから測量士を目指すルートもありますが、いずれにしても時間がかかるのが特徴です。
これらは時間に余裕があって、かつ絶対測量士になりたい人にはおすすめの取得方法です。
測量士補になる方法は?
すでに説明している通り、測量士補をとってから測量士になるという方法もあります。 測量士補も国家試験以外にも以下のような取得方法があります。
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文部科学大臣の認定学校で測量に関する科目を修め卒業
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国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で1年以上、必要な専門知識および技能を習得
こちらも特定の学校や養成施設で測量に関する科目を修めたり知識や技能を習得したりすることで取得できます。
測量士補になれば測量士としての実務経験を積みやすくなるので、すぐに測量の仕事がしたい人は測量士と同時に測量士補の取得も目指すのがおすすめです。
高卒でも測量士になれる?
高校生の時から将来は測量士になるという進路が決まっているような人は、高卒でも測量士になれるのか気になると思います。
結論からいうと、なれます。測量士の試験には受験資格がないので試験に合格さえすれば高卒でも測量士の資格を取得できるのです。
ただし、注意点としては大学や短期大学レベルの測量科目を取得していないと試験に合格するのは難しいです。そのため、測量士になるには前もってかなりの勉強をしておく必要があります。
測量士の平均年収はどれくらい?
気になる測量士の平均的な年収ですが、だいたい500万円です。 これは一般的なサラリーマンと同じくらいです。ただし測量士は働き方によって年収には大きな違いがあります。
例えば、大手の測量事務所ならさまざまなサービスがあるので年収は400~600万円ほどです。
また、測量士は専門性が高い技術職ですので身につけている人が少ない技術を身につけたり、特殊なスキルの技量を高めたりすることで給料をアップさせられます。
一方、独立して働くことも可能で、案件をしっかりとってくるなど経営がうまくいけば年収1000万円超えを目指すこともできます。
このように、測量士の年収は働き方やスキル、環境などによって大きく異なるといえるでしょう。
独立すれば給料アップも目指せる
測量士としてのスキルがそのまま給料につながるのが独立して働くことです。 頑張れば頑張るほど給料のアップが目指せます。
例えば、建設コンサルタントともなれば測量だけでなく専門家として知識や技術を活かしながら事業の設計・維持・管理まで幅広く請け負えます。そうすれば必然的に収入をアップさせられるのです。
さらに、司法書士や土地家屋調査士などを取得して「独立業務」を持つことで1000万円以上の収入を稼ぎ出すことも可能です。
測量士業務のやりがい・向いている人
測量士の業務は「縁の下の力持ち」としてさまざまな工事を支える大きな役割があります。そのため大きなやりがいがあります。
ここではどのような業務にやりがいを感じるのか、また測量士の仕事に向いている人を紹介していきます。
大きなプロジェクトに関われる
測量士の仕事で大きなやりがいを感じる瞬間の1つは、大きな公共事業などに携われることがあります。
道路や鉄道、トンネルなどの超巨大な社会インフラのプロジェクトに関わるので、社会貢献度はかなり高いです。
事業が完成すれば近隣の住民・市民の生活を支えるほどの影響力があるので、仕事をしているという実感を肌で得られるのが魅力です。
もちろん、このような大きなインフラは長い間形として残ることも測量士の仕事でやりがいを感じるところといえます。
時にきつい場面も
測量士の仕事は時間が来たら終わりではありません。現場が遠ければ仕事の時間が長くなることもあります。気候や天候が悪くても外で仕事をしなければなりません。
他にも、山での測量であれば熊や蛇などの野生の動物がいる場所が現場のこともあります。巨大なプロジェクトに関われる一方、時にはきついと感じるような場面にも出くわします。
ただし、これらを乗り越えてやり切った後には大きな充実感を味わうことができるのです。
勉強を続けレベルアップが必要
測量士はミスができないような大切な仕事です。 ミスせずこなすためには毎日勉強を続けてレベルアップをし続けなければなりません。
例えば、試験に合格してすぐに新しい機械が登場することもあります。また、理論面でも全く新しい視点のものが出てくるかもしれません。
技術職ならではですが、本などで学習を日々怠らなければ測量士としてさらなる飛躍ができるようになります。
つまり、活躍するためには学習を続けなければならないともいえるでしょう。
測量士に向いている人
測量士に向いている人のタイプはいくつかあります。
1つは測量のスキルを磨き続けられる人です。なぜならば、測量の技術は日々進化しているので今の技術に満足してしまってはおくれをとってしまいます。
例えば、最近ならドローンを用いた技術が出てきています。今後はこの技術を磨いていかなければ生き残れなくなるでしょう。
そのため、常に測量の技術を磨こうという貪欲さを持てる人が向いているといえます。
他にも、真面目である人も向いています。測量は土地の高さや長さ、面積などを測る仕事です。それによって工事ができるかどうかが決まります。
もし「これくらい」と軽い気持ちで仕事をしてしまうと、大きな事故を引き起こすきっかけを作ってしまうのです。そのため、きっちりと緻密に仕事をする人が向いているのです。
測量士の求人の実態は?
測量士は現在仕事が少ない、求人が減ってきているなどといわれています。しかし将来性のある仕事ですので測量士として食べていけないなどという人はほとんどいません。
また昔と比べても就職状況に大きな変化はないのが現状です。なぜなら、測量士の仕事は建築を実施できるかどうかを事前に測量して判断する仕事です。
つまり、「建築」というものがなくならない限り仕事は必ずあります。エリアに関しても限定されることなく全国にあります。
さらに、仮に測量士の資格を持っていなくても測量士補などとして補助を仕事として就職することも可能です。
公共事業などで仕事が急激に増えることは考えにくいですが測量士の需要がなくなることはありません。
測量士の将来性
結論からいうと、測量士は将来性のある業種です。
短中期的には求人があっても将来にわたってこの状況が維持されるのか気になるかと思います。特に現代はAIの登場によって先細っている業種があるからです。
しかし、測量士の仕事は機械が入れないような現場にいくことがあるので、AIにとって代わられるリスクは低いといえます。
また、測量士の平均年齢は50歳を超えて高齢化してきているので少しずつ引退していく人が増えていきます。
つまり、競争相手が少なくなっていくので今から測量士を目指しても十分活躍の場所は存在し続けるのです。
ただし、測量の技術は常に進化しているので、仕事を得られるかどうかは持っているスキルが大きく影響してくる可能性があります。
測量士となったとしても明るい将来性に油断することなく、常にスキルを磨くようにしましょう。
測量士の仕事内容や独立した場合の将来性についてのまとめ
測量士の仕事内容や独立した場合の将来性についてのまとめ
- 測量士の仕事は測量だけでなくデータの処理や事前準備などがある
- 測量士の将来性は高く、頑張りしだいで給料のアップも可能
- 測量士は試験だけでなく学校の単位取得と実務経験でもなれる
- 試験には受験資格がないので高卒でも取得できる
測量士の仕事は外に出て測量をすることですが、それだけではありません。 測量を安全かつ迅速、さらに正確に行うために機材の調達やマニュアルの確認など事前の準備も必要です。
また測量後はデータを専用ソフトで修正するなど屋内での仕事が意外に多いです。さらに、技術の進歩が激しい業界ですので、日々の勉強も必要となります。
しかし、測量士の将来は明るいのでスキルを磨いて頑張ることで給料をアップさせることが可能です。
測量士になるには一般的に試験に合格してなるものと思われていますが、実は大学などで必要な勉強をして実務経験を積むことでも取得できます。
ちなみに、試験には受験資格がないので高卒でも測量士になれます。ただし、その場合はかなり勉強が必要になるので計画を立てて勉強をするようにしてください。
測量士は大きなプロジェクトに関わる機会があってやりがいがある仕事です。それでいて学校に通ったり試験に合格したりすることで誰でもなれる資格です。
人気が出てきている資格ですので、興味がある人は目指してみてはいかがでしょうか。