ケアマネージャーの将来性や需要は?現状と今後の仕事・給料・辛いポイントまで解説
「現在介護の仕事に携わっているけれど、現場の経験を生かしながらキャリアアップをしたい」
「介護職の最終的なキャリアとしてはどのような選択肢があるんだろう?」
介護職の必要性が叫ばれて久しいですが、最終的な到達地点として目標設定される事の多い資格が「ケアマネージャー」です。
ですが、一部で「ケアマネージャー不要論」が持ち上がるなど、将来性について疑問を持つ人も少なくありません。
この記事では、ケアマネージャーの将来性や需要、不要論の根拠と言われる現状について詳しく解説しています。
ケアマネージャーの実態について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね!
「ケアマネージャーの需要や将来性」についてざっくり説明すると
- ケアマネージャーは必ず将来必要とされる資格である
- 資格の厳格化により、新たななり手が減少傾向にある
- ケアマネ自身の高齢化などもあり、一部で不要論が持ち上がっている
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ケアマネージャーの将来性は高い
ケアマネージャーは正式名称を介護支援専門員といい、各種介護施設で働くヘルパー達を指導・監督すると共に、サービス利用者や家族の相談にも応じる役割を担います。
2018年に法改正があるまでは、現在よりも認定要件が緩やかであったと言われています。
そのため、これ以前にケアマネージャーの資格を得た人であっても、今後ケアマネージャーとして活動するかどうか、または将来性について悩んでいる人もいるかもしれません。
最近では一部で「ケアマネージャー廃止論」や「ケアマネージャー不要論」を訴える人もいるため、これから改めて取得するかどうか迷うところではないでしょうか。
以下の項目で、現況におけるケアマネージャーの実態について詳しく解説します。
ケアマネージャーの仕事内容
ケアマネージャーは、介護を必要とする利用者が適切な介護サービスを利用できるように、その人に合った介護プランを立てるのが主な仕事です。
サービスの利用者や家族から詳しく状況を把握し、これらのどのサービスをするのが良いのか、利用計画を立てるのがケアマネージャーの主たる業務と言えるでしょう。
利用者と事業者の橋渡しも担う
また、サービス利用者に対してだけではなく、事業者のために「給付管理票」を作成するのもケアマネージャーの仕事の一つです。
介護サービス事業者は、ケアマネージャーが作成した給付管理票と明細を、国民保険団体連合会に対して毎月10日までに提出しなければなりません。
これを元に国から事業者に給付金が支給されますから、事業者側から見てもケアマネージャーは重要な存在です。
ケアマネージャーは利用者と事業者の間に立ち、お互いにとって適切なサービス提供や費用が請求されているかをチェックする役割も担っているのです。
ケアマネージャーの将来性は高い
このように、ケアマネージャーは介護事業の中でも非常に重要な役割を担います。ですが、現状ではケアマネージャーの認知度はそれほど高いとは言えません。
ですが、これからますます高齢化が進む中で、介護サービスの需要は確実に伸びていくと予想されています。
さらに、今後の法改正の流れ次第ではさらに新しい形態の介護サービスが誕生することも考えられ、そのような場面でもケアマネージャーが大きな役割を果たすと予想されます。
現行法においても、既に居宅介護支援事業所などでケアマネージャーの常駐が義務付けられていますから、総じて、ケアマネージャーの仕事がなくなるとは考えにくいです。
高まる需要
ケアマネージャーの認知度があまり高くないこともあり、現在はケアマネージャーの人数は絶対的に足りていません。
受験要件に「国家資格等に基づく業務経験が5年以上あること」という要件があり、このことも有資格者が少ないことに拍車をかけていると言えるでしょう。
ですが、ケアマネージャーは各施設によって必要とされる人数が決まっています。その人数を補うには現在の登録者だけでは今後さらにケアマネージャーの有資格者が必要です。
そのため、ケアマネージャーの需要はこれからますます増え続けると予想され、今後も高齢者福祉分野での活躍が期待できる存在でしょう。
高齢化社会
ケアマネージャーの需要が高まる要因として挙げられるのは、現在も進行中の高齢化問題です。今後も高齢化が進行されることは間違いなく、それだけ多くの介護者が必要です。
当然それを束ねるケアマネージャーこれまで以上に必要になりますから、若年層の有資格者が増えなければ、現在のケアマネージャーの負担がますます増えてしまいます。
ケアマネージャーの高齢化
高齢化社会が進んで売る現在、要介護者が増えているのはもちろんですが、介護側のケアマネージャーの高齢化も問題です。
現在のケアマネージャーの平均年齢は、60歳以上が18%、50代が35%、40代が31%というデータがあります。
単純に考えて現在のケアマネージャーの8割が40歳以上であり、このままではケアマネージャーの多くが介護される側に回るのも時間の問題でしょう。
若手のケアマネージャーの育成はもはや待ったなしの状況であり、介護業界で必要とされる人材と言えます。
居宅での介護
ケアマネージャーの業務形態としては、居宅ケアマネが最も多いと言われています。
毎月1回程度担当している要介護者の自宅を訪問し、その都度被介護者や家族の状況を把握しながら、必要な介護の判断や提案を行います。
先に述べたように、今後は居宅介護が増えると予想されていますから、それに伴ってケアマネージャーの必要数も当然増えていくでしょう。
低下する受験者数
ネージャー資格試験の受験者は年々減少しています。
現行制度になった2018年には前年の2017年と比較して6割も受験者数が減少しています。この年以降、受験者数・合格者数共に制度改正以前と比較して、資格を取得するのが難しいと言われるようになりました。
考えられる要因としては、以前から挑戦者の多かった介護福祉士の受験者に対し、5年以上の実務経験が受験要件として課された点です。
このように受験資格が厳格化されたため、年々受験者数が減少していると考えられます。
合格してもケアマネージャーにならない
現在はケアマネージャーの需要が多いにも関わらず、実際にケアマネージャーとして活躍しない人もいます。
またケアマネージャー試験に合格しても、資格を活用しないで仕事をしている人も多いと言われています。
地位の割に給与が見合わないと感じたり、人手不足で激務になりやすいなどの理由でケアマネージャーにならなかったりする人も多く、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。
AIで代替できない
ケアマネージャーは、介護サービスの利用者やその家族とよく話し合い、適切な介護プランを決めなければなりません。
現在、多くの仕事がAIによって効率化されていますが、AIの苦手なことの1つに、「人の感情の機微の読み取り」があります。このような感情を伴う作業は、AIは苦手です。
事務手続きなどある程度定型化できる作業はAIに任せられても、一人ひとりの感情を読み取り、心境の変化などは定型化できない部分です。
総じて、ケアマネージャーの仕事は事務書類作成など一部の仕事はAIに任せられても、その前提となる介護プランの立案などは今後も人の手によって行われるでしょう。
ケアマネージャーの辛い現状
人手が足りていない点も含めて、ケアマネージャーの労働環境は非常に過酷な状況です。
人員不足もさることながら仕事自体が激務であり、その割に給与がそれほど高くないなど、仕事のモチベーション維持の観点からも問題が多いと言えるでしょう。
以下の項目で、詳しい状況について見ていきます。
大変すぎる業務内容
ケアマネージャーは、仕事の状況が大変過酷だと言われています。通常の介護士とは異なり、要介護者に対して保険制度などを考慮しながら、その人に適したプランを考えます。
主な業務はケアプランの作成ですが、他にも要介護認定に関する業務や家族との面談、給付管理票の作成など多岐に渡ります。
また、一部で「介護者に対して何でも対応してくれる便利な人」と認識されている場合もあり、勤務時間外でも仕事を頼まれることも珍しくありません。
書類が多すぎる
ケアマネージャーになると通常の介護職の人よりも膨大な量の書類作成、チェックに追われます。
ケアマネージャーが担当する利用者は原則39人までとされていますが、このキャパシティギリギリの人数を抱えていた場合、相当な量の書類管理を行わなければなりません。
したがって、事務作業や書類管理が苦手な人にとっては、非常に辛い仕事と感じてしまう可能性があります。
5年に1度の見直し
現行法上では、ケアマネージャーは5年に1度資格を更新しなければならず、その都度決められた研修を受けなければなりません。資格更新のたびに必要な知識や重視されるポイントが変わるため、常に向上心を持ち合わせていることが求められます。
この更新を怠ってしまうと資格が失効してしまいますから、働きながら勉強する時間が確保できないと、資格を維持し続けるのは難しいと言えるでしょう。
人間関係からなるストレス
ケアマネージャーは、円滑な人間関係を築けるかどうかも仕事を続けていく上で大きなポイントになります。
要介護者をはじめとして、その家族や事業者、他のヘルパーや場合によっては行政の福祉課の職員など、非常に多くの人物とのコミュニケーションを取りながら仕事を進めなければなりません。
介護を受ける側とサービス提供者の間に立たなければならず、双方の意見調整などの役割も、業務の一つです。
また、利用者から文句を言われたりするなど忍耐強さも求められますから、仕事とはいえ、ストレスを抱えやすいのもケアマネージャーの仕事の難しい点だと言えるでしょう。
その反面、ケアマネージャーは利用者側のQOLを決める大きな責任を伴います。
正しい介護プランを立てられているかどうかなど不安を感じる場面も多いので、こうした不安もストレスの引き金になりかねません。
ケアマネージャーがなくなるという噂は?
ケアマネージャーの人員増加は早急に手立てを講じなければならない課題ですが、以上のような理由から、ケアマネージャー自体が廃業に追い込まれてしまうことも考えられます。
そのため一部では、ケアマネージャーの数自体が減少すれば、存在意義にも疑問が生じ、資格そのものが廃止されるのではないかという見解も示されています。
さらに2018年の介護報酬改定において、ケアマネ事業所には管理者として「主任ケアマネージャー」の設置を義務付ける方向性が示されました。
ですが、主任ケアマネージャーになるためには、ケアマネージャーとして5年以上の実務経験と70時間の研修が必要なため、主任ケアマネージャーになるには相当ハードルが高く、現場からも猶予期間を求める声が上がっています。
現実味のない法改正
法改正のあった2018年の時点では、主任ケアマネージャーのいない事業所は43%にもなっていました。ですが、2021年までに事業所一箇所につき一人の主任ケアマネージャーを置かなければならないと決まってしまったのです。
人員不足のまま法改正が先行してしまったため、制度が実態に見合わず、現場からも非難する声が聞かれました。
結果として2027年まで猶予期間が設けられましたが、依然として主任ケアマネージャーの人員不足は解消されていません。
なること自体が難しい主任ケアマネージャーの数が足りていないため、猶予期限を迎える2027年には、居宅介護支援事業所の大量廃止の可能性が示唆されています。
ケアマネージャー不要論
ケアマネージャーの需要が増え続ける一方で、一部では「ケアマネージャーは必要ないのでは?」と疑問を呈する人もいます。利用者にとっても、頻繁に顔を突き合わせるヘルパーなどよりも馴染みが薄く、何のためにいるのかよく分からないと感じる人もいるかもしれません。
ですが、現実的には利用者・事業者が直接介護契約を結ぶとは考えにくいでしょう。
また原則として、ケアマネージャーは介護職や類似資格の有資格者かつ業務経験者でないとなることができません。ケアマネージャーになるまでに相当の業務経験を重ねていますから、各種トラブルなどの対応にも慣れていると言えます。
介護職のプロフェッショナルとしての認識を向上させるために、資格取得の厳格化が行われてきたので、知名度としては介護福祉士などには劣るかもしれません。
ですが、まずは介護のプロフェッショナルとしての認知度を上げることが、今後の資格存続のための課題でしょう。
ケアマネージャーの給料はどれくらい?
今後さらに需要が高まると言われているケアマネージャーですが、実際の給料はどの程度なのか気になる人もいるでしょう。ここでは、給料の平均や形態について見ていきます。
ケアマネージャーの平均月収
厚生労働省の発表によると、ケアマネージャーの平均月収は約35万円、年収は約420万円とされています。
介護職の平均収入は月収約24万円、年収に換算すると340万円という調査結果がありますから、ケアマネージャーは介護職の中では比較的高収入の部類に入るでしょう。
また、働き方によってはボーナスが加算されることもありますから、この場合にはさらに収入アップが期待できます。
パートの給料
ケアマネージャーとして働く場合、パートとしての働き方も選択できます。
こちらも厚生労働省の調査によると、パートとして働いた場合の時給は1,280円、平均月収に換算すると125,000円です。
一方、令和2年度の介護福祉士の時給は1,025円、年収316万円です。パートとしてケアマネージャーの職に従事していた場合でも他の介護職より高く、現在も賃金は上昇傾向にあります。
ケアマネージャーの報酬形態
ケアマネージャーとしての働き方はさまざまであり、報酬形態もそれに合わせて多様な支払われ方があります。ケアマネージャーの給料は介護保険から支払われるのが一般的であり、要介護度によって報酬も変動するケースがほとんどです。
また、一人のケアマネージャーが担当する利用者が増えすぎると介護の質の低下にもつながりかねないため、担当する人数によっても報酬が段階的に変わります。
先に延べたように原則として担当できる人数は40人未満ですが、40人、60人以上になるとそれぞれ報酬が減額される仕組みになっています。
ケアマネージャーの今後
過酷な状況にあるケアマネージャーですが、今後どのように変化していくと考えられるのでしょうか。
過酷な状況にあるケアマネージャーですが、今後どのように変化していくと考えられるのでしょうか。
介護難民の増加
高齢化社会やケアマネージャーの高齢化、ケアマネージャーの志望者の減少は、今後介護を必要としているにも関わらず、介護サービスを受けられない人の増加を招くと考えられます。
特に今後は居宅介護支援事業が中心となっていくと言われていますが、先に見たように現状では必ずケアマネージャーを置かなければなりません。
このままケアマネージャーが増えなければ、少人数で要介護者のケアをしなければならず、業務上の負担はますます大きくなるでしょう。
結果的に、要介護者の家族頼みとなる事例も増えることが予想され、本来の介護制度の趣旨とはかけ離れるのではないかと懸念されます。
ケアマネとしてやっていくために
今後もケアマネージャーとして活動していくためには、働き方を変えるという選択肢もありでしょう。
主任ケアマネージャーを目指す
各事業所に主任ケアマネージャーが必要とされていることからもわかるように、組織論として考えても主任ケアマネージャーの価値は非常に大きいです。
今後誕生する若手のケアマネージャーに対しても、指導者・リーダー的な役割の人材が必要です。
したがって、今後もケアマネージャーとして活動することを考えているのであれば、主任ケアマネージャーを目指すと良いでしょう。
仕事に困らないのはもちろんのこと、ケアマネージャー全体の助けにもなります。
独立型ケアマネになる
ケアマネージャーのもう一つの働き方は、独立して自分で事業所を立ち上げる独立型ケアマネージャーです。
従来のケアマネージャーはいずれかの介護施設に所属するのが一般的でしたが、時間の利用の仕方を自分で決められ、通常よりもフレキシブルに働けます。
給与面でもこれまでより多く稼げるようになるので、法的な手続きが多少複雑であるものの、独立するメリットは大きいでしょう。
「ケアマネージャーの需要や将来性」についてまとめ
「ケアマネージャーの需要や将来性」についてまとめ
- ケアマネ不要論は、辛い現状を反映した悲観的な意見である
- ケアマネ自体の需要は非常に高い
- 今後もケアマネージャーとして活動するなら、働き方の見直しもあり
ケアマネージャーとして活動していくにあたり、「ケアマネ不要論」を聞くと不安を感じる人もいるかもしれません。
ですが、現行法上ケアマネージャーはむしろ介護制度の維持上絶対に必要な資格であり、若い人材が求められているのが事実でしょう。
資格の厳格化から取得を迷っている人も、介護の仕事自体の必要性は身にしみて感じているはずです。
今後、自分自身のためだけではなく社会のためにも、ぜひケアマネージャーを目指してくださいね!