ケアマネージャーの資格が廃止される?ケアマネの今後や法改正についても詳しく解説!

更新日時 2020/05/23

「ケアマネージャーは今後需要がなくなるって本当?」

「ケアマネージャー資格が廃止される可能性はあるの?」

このような疑問や不安をお持ちの方は多いと思います。

ケアマネージャーは介護の現場では欠かすことのできない資格であるため、高齢化が進んでいる日本では重宝されています。

しかし、「ケアマネージャー資格が廃止されるのではないか?」という噂があり、今後のケアマネージャーの資格の価値がどうなるのか不安に思う人が多くいます。

こちらの記事では、ケアマネージャー資格廃止の噂や、今後どうなるのかなどについて解説していきます!

ケアマネージャーの資格廃止についてざっくり説明すると

  • 取得までのステップが険しく、受験生が減っている

  • 介護の現場は人材が不足しており、需要がなくなることは無い

  • 一般介護職よりも給料は良い

  • 主任ケアマネージャーへのステップアップが狙える

ケアマネージャーの現状について知ろう

カギと花

まず、ケアマネージャーの現状や基本的な情報について見ていきましょう。

ケアマネージャーの立ち位置と業務内容

ケアマネージャーは、別名で介護支援専門員ともケアマネとも呼ばれています。

主に、要介護者や要支援者が介護保険サービスを受けられるようにケアプランの作成やサービス事業者との調整などの業務を担っています。

具体的な仕事内容は、訪問介護(ホームヘルパー)派遣やデイサービス利用の調整、日帰りで施設に通う利用者への食事や入浴などの介護を提供することなどがあります。

その中でも、ケアマネージャーの最も特徴的で重要な業務は「ケアプランの作成」です。

ケアプラン作成する際には、サービスを受ける高齢者が抱える問題点を把握して、自立した日常生活を送れるようにサポートしなければなりません。

問題点や課題を見つめてどのように改善していくのかを要介護者やその家族と共に決め、目標の達成状況を適宜把握していくことになります。

また、ケアプランを作成するだけでなく、しっかりと実施されているかどうかをチェックすることもケアマネージャーの大切な仕事です。

なお、介護保険の利用に伴って発生する介護給付費の管理は、基本的にはケアマネージャーが行います。

国民健康保険団体連合会に必要書類を提出するなどといった事務処理が必要な場面でも、ケアマネージャーが業務として関わる場合があります。

深刻になる高齢化

厚生労働省が公表しているデータによれば、40代以上のケアマネージャーは78.1%、30代以上に範囲を拡大すると93.5%となっています。

つまり、現状では20代の若手がほとんどおらず、若い人がケアマネージャーを積極的に目指さない傾向にあります。

また、ケアマネージャーになるためには高いハードルがあります。

医療や福祉分野の別の資格に関連した業務を5年以上かつ900日以上経験した後に、難易度の高い「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験して合格しなければなりません。

試験に合格するだけでなく研修を受ける必要もあり、「介護支援専門員実務研修」を受講することにより、ようやくケアマネージャーとしての資格を取得することができるのです。

このようにケアマネージャーになるために非常に多くの手間がかかるため、自然と20代が資格を取得しにくい状況になってしまうのです。

激務に合わない低い給料

よく「介護職は激務」と言われますが残念ながら間違っていません。

月に5回以上休日出勤をするケアマネが全体の40%、繁忙期になると1日3時間以上残業をするケアマネが全体の65%に及んでいることからも、激務であることが分かります。

また、サービスに関わる関係者との会議を開催する必要があり、様々な書類作成もしなければならないため、なかなか休みが取れずストレスのたまりやすい仕事なのです。

さらに現場では、一人のケアマネージャーが何人もの被介護者の担当になることがあり、非常に多くの仕事量を抱えています。

非常に忙しいにも関わらず、ケアマネージャーの年収は370万円程度と日本の平均年収より低い水準にあるため、魅力を感じずに目指す人が減っているのが実情なのです。

ケアマネージャーのメリット

笑顔の男性

ケアマネージャーの現状には多くの改善すべき点があるのは事実ですが、資格を取得することのメリットも多くあります。

他の介護職よりは給料が高い

賃金構造基本統計調査によると、常勤の介護職の平均月収は30万円程度ですが、ケアマネージャー の平均月収は35万円程度と、他の介護職よりも給料が高いことが分かります。

平均的な基本給は他の介護職と大きな隔たりはありませんが、貰える報酬の額が大きく待遇の面では優れていることが分かります。

また、残業や夜勤の手当も一般的な介護職と比べて高い傾向にあります。

ケアマネージャーになるためにはかなりの費用と時間を要するため、資格取得の難易度がこの面で反映されていると言えるでしょう。

このように、金銭的な面で恩恵を受けられる点は一つの魅力です。

転職に強い

ケアマネージャーの資格の取得のために勉強をすることで、介護に関する専門的な知識やスキルを身に着けることができます。

また、対外的にも介護のエキスパートであることが証明できるため、介護業界においては非常に高い評価をされるでしょう。

そのため、有資格者は大規模な企業や事業所に転職しやすくなり、介護職の中でも転職によって収入アップを狙いやすくなるメリットがあります。

また、高齢化の影響もありケアマネージャーは供給不足で需要が非常に高いです。

求人サイトでも月給25〜30万円の求人が多く見つかるため「いくらでもつぶしが利く」資格であると言えます。

仕事の時間を調整できる

自宅で介護を受ける被介護者の担当になる場合、訪問する時間はケアマネージャーの都合によって調整ができるので時間の面での融通が効きやすいことも一つのメリットです。

またパートやアルバイトといった雇用形態での求人も多く、供給不足の影響もありそれらの求人も時給1500円程度とかなり高い水準にあるため、主婦の人でも資格取得後に働きやすいです。

加えて、主な仕事であるケアマネジメント作成の事務作業も基本的に昼間に行うケースが多いため、他の介護職と比較して夜勤が少ない点もメリットの一つと言えるでしょう。

資格廃止が囁かれる理由

落ち込む人

ケアマネージャーは介護の現場において必須の存在として活躍しています。

しかし、その一方で資格が廃止されるかもしれないという噂がありますが、なぜそのような噂が立っているのか解説します。

ケアマネ試験の受験資格の厳格化

現在のケアマネージャー試験を受験するには、医師、看護師、社会福祉士、看護福祉士などの国家資格に準ずる業務、あるいは生活相談員、支援相談員などの業務を5年以上かつ、900日以上経験している必要があります。

つまり、現在のケアマネージャー試験は受験資格が非常に厳しく、若い人にとって受験しづらいと言えるのです。

2018年の試験資格が厳格化される前は、医療や福祉・介護の資格を取得していなくても介護に関する業務を10年以上積んでいる場合やホームヘルパーなどの資格を持っていれは受験することができました。

この受験資格の厳格化が1つの原因となり、2017年度試験では10万人以上いた受験者が2019年度の試験では3万人程度まで激減してしまったのです。

資格取得を目指す人が激減したことが一つの原因となって、「資格の価値が無くなりつつあるのではないか?」という意見が出始めたのです。

厳格化の背景

2025年に団塊の世代が75歳以上となり、今後ますます介護の必要性が増えることが予想されます。

そこで、そのような状況に備えるべく介護と医療の様々なサービスを連携するケアマネージャーの能力の向上が求められていることから、資格が厳格化されました。

しかし一方で、ケアマネージャーの人手が不足している状態でこの改正により受験者が大きく減少したため、介護の現場の負担が重くなり一人あたりの業務量が大きく増えてしまっています。

このような現状を鑑みて、この改正は改悪であるとする意見も少なくありません。

ケアマネ試験の合格者数が激減

ケアマネージャー試験の合格率は10〜20% と低く、受験者数が大幅に減ったため合格者数も同様に減少しています。

直近5年間の試験のデータは以下の表の通りです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和元年度 30,509人(34県) 5,644人(34県) 18.5%
平成30年度 49,332人 4,990人 10.1%
平成29年度 131,560人 28,223人 21.5%
平成28年度 124,585人 16,280人 13.1%
平成27年度 134,539人 20,924人 15.6%
平成26年度 174,974人 33,539人 19.2%

この表を見て分かるとおり、平成30年度の合格率、受験者数、合格者数が大きく減少しています。

ケアマネージャーの供給不足がケアマネージャーの高齢化を助長し、さらに現場の負担を重くしてしまっています。

また試験が難関である割には給料が平均より低く、ケアマネージャーを目指す人が少なくなっていることも、資格廃止が噂される一因となっています。

ケアマネはいらないという意見も

ケアマネージャーの資格を取得しても独立する人はほとんどおらず、特定の居宅介護事業所や介護施設、老人ホームなどに勤める場合が多いです。

このような介護福祉事業所の関係者の中では、ケアマネージャーに頼らなくとも自分たちだけでケアプランを作成できると考えている人もいます。

また、実際の介護現場では介護者について深く把握しないままケアプランの作成を行っているケアマネージャーもいるのが事実です。

このような問題行為などもあり、ケアマネージャーの必要性に疑問が持たれているのです。

そのため、サービスの利用者がケアプランに疑問を持った場合、利用者がケアマネージャーを通してではなく直接介護スタッフに相談や質問をする場合も多くあります。

最近は民間事業所によるケアプラン作成代行サービスなどが普及しており、ケアマネージャーの仕事は奪われつつあることからも「ケアマネージャーは不要」という意見を生んでいるのです。

利用者負担が実施される可能性

法改正によって、これまでは全額介護保険によって賄われていたケアマネジメント料の内、1割を利用者が負担することになる可能性があります。

それに伴ってサービス利用者が減少する可能性が高く、またこの1割負担が決定した際には介護の現場では間違いなく混乱が起こると考えられます。

このように、介護の仕事やケアマネージャーの将来については暗いニュースも多く「ケアマネージャーが廃止になるかも」という不安があっても仕方がない面が多いのです。

主任ケアマネージャーに関する大きな問題

老夫婦の画像

ケアマネージャーの中でも何年も業務を続け、特別な研修を受講することで主任ケアマネージャーになることができます。

主任ケアマネージャーにステップアップすると、他のケアマネの指導やケアプラン作成の支援、地域介護の課題解決などの業務をこなせるようになり、より大きなやりがいを持ちながら仕事をすることができます。

主任ケアマナージャーになることで一般的なケアマネージャーに尊敬されるような存在になれますが、その制度に関しても様々な問題が発生しています。

主任ケアマネの数が足りていない

現在、40%以上の事業所では主任ケアマネージャーが配置されておらず、主任ケアマネージャーの数を増やすことが急務となっています。

その一方で、研修にかかる費用は自己負担で平均4〜5万円と非常に高額で、気軽に出せる金額ではありません。

また、ケアマネージャーの仕事は忙しいため、主任ケアマネを目指すために何日も研修を受けるのは現実的ではなく、かなりハードルが高いのです。

また、貴重な費用と時間を捻出して主任ケアマネージャーになったとしても、必ずしも給料が高くなるわけではありません。

そのため、主任ケアマネを目指す人はそこまで多くないのが現実です。

法改正に伴ってケアマネは廃業しかねない

2018年の法改正に伴って、2021年から事業所の管理者は主任ケアマネージャーに限定されることになります。

今現在、主任ケアマネを配置できていない事業所が多くあるという現状を考えると3年という期間は短く、この改正に対応できる事業所はかなり少ないでしょう。

また、介護職を目指す人と主任ケアマネを目指す人の少なさを考えると2021年に主任ケアマネを配置できない事業所は非常に多いと予測されています。

その場合、配置できていない事業所のケアマネージャーや個人でケアマネージャーとしての仕事を行なっている人が職を追われてしまい、廃業に追いやられてしまう可能性が示唆されています。

ケアマネージャーの今後はどうなる?

大きな疑問

このように暗い話題やニュースが多いケアマネージャーですが、これまでの事を踏まえて将来性はどうなるのか解説していきます。

ケアマネが急に廃止になることはない

このような現状や法改正を踏まえると、ケアマネージャーの資格は廃止されるのか不安が募りますが、結論としては資格は廃止されることは無いでしょう。

むしろ高齢化の進展に伴って、今後需要がどんどん増していく資格なのです。

今後ますます高齢化が進む中で、介護や福祉のプロであるケアマネは間違いなくより一層社会に求められるようになります。

実際に、現在平均してケアマネージャー1人が25人のケアプランの作成を行なっています。

このような現状を考えると利用者負担が1割になったとしても、ケアマネージャーへの社会的な必要性が大きく減少することはないと考えられています。

さらに、厚生労働省が介護保険制度のサービス利用者向けに行ったアンケートを参照すると、ケアマネージャーの信頼度は98%以上という非常に安心できる結果となりました。

つまり、このデータや世間的なニーズを考えてもケアマネの仕事が無くなるということは考えられません。

また、現在は各種研修の内容だけでなく、受験資格や試験内容についても見直しが検討されており、ケアマネジメントの質を向上させようとする動きもあります。

このように、暗いニュースだけでなく明るいニュースがあるのも確かなのです。

国家資格化の可能性

介護支援専門員協会の一部の県支部からは、ケアマネージャーの国家資格化の合意形成を図る動きが出ています。

「そもそも、受験資格に国家資格での中長期の業務経験が求められているのにどうしてケアマネージャーの資格が国家資格じゃないのか?」という非常に説得力のある意見も出ています。

介護職やケアマネージャーは、今後ますます需要と必要性が高まる介護にとって重要な存在でありながら、低い給料や社会的地位などは釣り合いが取れていないと言えます。

しかし、国家資格化されて資格の注目度が高まれば、ケアマネージャーを志望する人が増加する期待ができ、また業務の負担を減らすことができる可能性も出てくるのです。

ケアマネージャーの処遇の改善

これまで伝えてきたように、ケアマネージャーを目指す人が少ない理由として、資格取得までのハードルが高い点や激務のわりに給料があまり高くないという点などが挙げられます。

この現状を受けて、厚生労働省は2021年に行われる介護報酬改定によって、ケアマネージャーの役割や給与面での処遇について検討・改善を図ることを発表しました。

つまり、国としてもケアマネージャーの不足による介護現場の現状に懸念を抱いているのです。

そこで、ケアマネージャーの処遇を改善することで、今後より社会的に重要となるケアマネージャーの志願者数が減少していく傾向に歯止めをかけようとしているのです。

資格失効の条件が変わる

ケアマネージャーの資格は有効期限が5年間であり、その間に更新研修を受けなければ資格を維持できません。

もし更新をせずに業務を続けた場合、ケアマネージャーの資格登録が抹消されてしまうという厳しい罰則が設けられています。

実際に、多忙な介護の仕事をしている中でうっかり更新手続きを忘れてしまうというケースは起こっています。

そのため、「手続きを忘れてしまっただけで業務ができなくなるのは厳しすぎるのでは?」という声が現場から出ているのです。

このような現場の声を受けて、実際に宮城県では登録抹消の条件を独自に緩和しました。

さらに国会でも、介護保険法の改正により削除要件の緩和がなされる見通しとなっています。

このように貴重なケアマネージャーの数の減少を防ぐための施策が国や地域で行われていることも、ケアマネージャーが廃止にならないと考えられる一つの要因になっているのです。

ケアマネージャーの資格廃止についてまとめ

ケアマネージャー資格廃止のまとめ

  • 「ケアマネはいらない」という声もあるが、実際は需要がとても高い

  • 高齢化が進む日本にあっては、欠かすことのできない資格である

  • 仕事は忙しいが、取得メリットも多い

  • 法改正なども含めて、今後どうなるのかは注視する必要がある

ケアマネージャーは激務であるため、志望する人が少なく人手不足が深刻です。

その一方で、今後ますます高齢化が進んでいくと言うことを鑑みて、国としてもケアマネージャーの処遇改善を行う姿勢を見せていると言うことも事実です。

需要が非常に高く取得メリットも多いため、介護の世界に興味がある人はぜひケアマネージャーを目指してみてください!