主任ケアマネージャーの資格の取り方は?主任ケアマネの役割や取得要件についても解説!
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「主任ケアマネージャーになりたいけどどうすれば良いの?」
「主任ケアマネージャーはどんな仕事をするの?」
このような疑問をお持ちの方は多いと思います。
ケアマネージャーとして実務経験を積むと、主任ケアマネージャーの資格を取得できるようになります。この主任ケアマネージャーの資格を目指して働いている介護職の方も多いです。
今回は、そんな主任ケアマネージャーの仕事や資格取得の方法を解説します。
介護関係のより専門的な資格を取得したい方、主任ケアマネージャーを目指している方は、ぜひご覧下さい。
主任ケアマネージャーについてざっくり説明すると
- 主任ケアマネージャーは一般ケアマネージャーの上級資格
- 施設によっては主任ケアマネージャーの配置が義務化されている
- 主任ケアマネージャーになるには研修を受けなくてはいけない
- 主任ケアマネージャーは需要が高い職業で、就職や転職、キャリアアップのチャンスが大きい
主任ケアマネージャーって何?
ケアマネージャーは、実務経験を積むと主任ケアマネージャーの資格を取得できるようになります。
まずは、主任ケアマネージャーという資格と仕事がどの様なものなのかについて解説します。
主任ケアマネージャーの役割と仕事内容
主任ケアマネージャーは、一般のケアマネージャーの上級資格として2006年の介護保険制度改正によって設けられた資格です。
介護はもちろん、医療や福祉等、介護に関わる多様なサービスの繋がりを構築、改善するのが役割となります。
ケアマネージャーのリーダーとして、以下の様な業務を行っていきます。
- 新人ケアマネージャーの育成
- ケアマネージャーが作るケアプランへの助言
- 地域課題を解決し、地域発展に尽力する
業務を見ても分かる通り、主任ケアマネージャーには一般のケアマネージャーよりも広い視野や豊富な経験、専門的な知識と技術が求められます。
そのため、施設によっては主任ケアマネージャーと一般ケアマネージャーに大きな差が生まれている場合もあります。
一般的なケアマネージャーについて
ここで、一般ケアマネージャーの仕事について触れておきます。一般ケアマネージャーの役割は、介護や医療、福祉のサービスが必要な方に適切なサービスを提供するための橋渡しとなることです。
サービスが必要な方とサービス事業所を結び付ける他、要望やクレームを代わりに伝えるといったことも、役割の一つです。
業務内容は介護サービスのスケジュールである ケアプランの作成と管理、市町村から委託を受け、要介護者の自宅を訪問し、心身の状態を確認する 要介護認定業務があります。
この他、介護保険からの支給限度額や利用者負担額を確認、計算する 給付管理業務等があります。
要介護者やその家族から要望やクレームがあれば、その相談に乗り、現状の改善を目指すのも重要な業務です。
この様な業務をこなしていくことで、ケアマネージャーとしての経験を積んでいきます。この経験 によって、主任ケアマネージャーの資格条件を満たすことができるのです。
主任ケアマネージャーに必要な素質
主任ケアマネージャーの仕事の中には、 一般ケアマネージャーの指導や助言があります。
指導や助言を行うには、ケアマネージャーとして十分な知識と経験、スキルが必要です。その中でも特に、ケアマネージャーとしての経験が大切となります。
その上で、一般ケアマネージャーと信頼を築くコミュニケーション能力や、業務をスムーズに行うためのマネジメント能力、地域の困難な問題を解決するための問題解決能力等が求められます。
さらに主任ケアマネージャーは、ケアマネージャーとしての経験と実力だけでなく、社会人に必要な総合スキルも要求される仕事なのです。
主任ケアマネージャーの現状と将来
主任ケアマネージャーは介護の現場で高い需要があります。 この高い需要を受けて主任ケアマネージャーを目指す方もいます。
しかし、現在主任ケアマネージャーを配置できている介護支援事業所は6割程しかありません。
そのため、多くの事業所が主任ケアマネージャーの育成と確保を進めています。また、厚生労働省提案資料によると、令和3年4月1日以降から介護事業所の責任者は 主任ケアマネージャーに限定されるようになります。
これら様々な要因から、主任ケアマネージャーは将来性の高い仕事となっています。ケアマネージャーとして働くなら、ぜひ目指したい仕事です。
主任ケアマネージャーになるにはどうすればいいの?
では、主任ケアマネージャーになるには、どうしたらいいのでしょうか。
主任ケアマネージャーになるには、一定の要件を満たす必要があります。実務経験に加え、「主任介護支援専門研修」という研修を受講する必要があるのです。
以降では、研修の受講資格と、研修の内容を解説します。
主任ケアマネージャー研修の受講要件
主任ケアマネージャーになるための主任介護支援専門研修は、都道府県や自治体ごとに受講要件が違います。 おおむね以下の要件のいずれかを満たすことが、必要とされている場合が多いです。
- 専任のケアマネージャーとして通算5年以上かつ60カ月以上勤務した経験がある者
- 専任のケアマネージャーとして通算3年以上かつ36カ月以上勤務した経験があり、その上でケアマネジメントリーダー養成研修を修了している者
- 主任介護支援専門員に準ずる業務を地域包括センターで担っている者
- ケアマネージャー業務に関する専門的な知識と技術を持ち、都道府県によって認定されている者
主任ケアマネージャーを目指す際は、自分が所属している介護支援施設等を管轄する都道府県や、自治体が示している要件を確認しておきましょう。
主任介護支援専門員研修の内容
都道府県や自治体の要件を満たしたら、晴れて主任介護支援専門員研修を受けられるようになります。
この研修では、介護支援専門員として技術を細かい部分まで完璧にするというよりは、主任ケアマネージャーとしての総合的な能力を身に付けることが最終的な目的です。
部分的に専門的な知識を学ぶことよりも、包括的で多面的な知識を得ることが大きな目標となるのです。
座学や講義・演習の内容
研修で行う座学では、介護支援専門員としての知識を復習し、学習効果を高めるためにグループワークも行います。
講義や演習では実務を想定した訓練や体験を行います。ロールプレイやシミュレーションを行うことで、より実際の業務に近い内容を学んでいきます。
この様に、研修では様々な方法で主任ケアマネージャーの仕事で必要な知識や技術を学んでいきます。
実習の内容
研修では実習も行います。実習では、今まで学んできた知識や技術、対応の仕方を、今までの経験と結びつけながら実務が行えるレベルまで昇華させることを目指します。
研修の最後には事例検討を行い、実際の指導や問題解決を想定して模擬的に判断の訓練も行います。
このような学習を研修の際に行うことで、主任ケアマネージャーとして業務につけるような実力を養っていくのです。
実習や事例検討を通じて、理論だけでなく現場での具体的なスキルや対応力も身につけることが、真のプロフェッショナルを目指す上で非常に重要です。
認定ケアマネージャー資格とは
主任介護支援専門員研修とは別に、 認定ケアマネージャー資格という資格が存在しています。
これは、日本ケアマネジメント協会が主催している資格です。ケアマネージャーの能力向上を通して、被介護者の生活の質を向上させ、住民の福祉に貢献することを目的としています。
主任ケアマネージャーと同じ様に専用の研修に参加する必要があり、介護の専門家や施設の中には、この資格を主任ケアマネージャーよりも重視する場合があります。
キャリアアップや就職、転職対策として主任ケアマネージャー資格の取得を考えている方は、主任ケアマネージャーだけでなく、認定ケアマネージャー資格の取得も検討することをおすすめします。
どちらの資格も研修を受ける必要がありますから、2つの資格を一度に取得したい場合は、研修のスケジュールに注意しましょう。
主任ケアマネも更新が必要
主任ケアマネージャーは一度取れば一生有効な資格、という訳ではありません。有効期間があり、仕事を続けて行くには定期的に資格を更新する必要があります。
平成28年度から、主任ケアマネージャーの資格は一般ケアマネージャーと同じく、 有効期間が5年間に定められています。そのため、有効期限が切れる前に 主任介護支援専門員更新研修を受けなくてはなりません。
更新研修のスケジュールは都道府県や自治体によって違います。 更新時期が近付いてきたら、自分が所属する都道府県や自治体の研修情報を確認しておきましょう。
資格の更新は、新しい情報や技術の習得だけでなく、常に高いレベルのサービスを提供するための必要な手続きとなっています。
主任ケアマネ研修の費用や時間
主任ケアマネージャー研修、更新研修共に受講費用が必要です。 この費用は都道府県や自治体によってかかる金額が違うため、研修日程を確認する際は受講費用も合わせて確認しておきましょう。
研修時間は、全国共通となっています。 主任ケアマネージャー研修は70時間、 更新研修は46時間です。スケジュールをしっかり調節しておきましょう。
研修費用の違いについて
ケアマネージャー研修、更新研修は都道府県や自治体によって金額が違います。
例として、主任ケアマネ研修の費用の全国平均が4万3690円であったのに対し、最も高い広島県では6万2000円、最も安い秋田県で2万996円と、4万円以上の差が出てきます。
また更新研修の場合も、最も高い愛知県で5万2000円、最も安い栃木県で1万円と大きな差が出ているのが分かります。
このように都道府県で大きな差があるため、しっかりと自分の受講する地域の費用を確認する必要があるのです。
主任ケアマネージャーは就職・転職に有利
受講条件のある研修を受けないとなれない主任ケアマネージャー資格ですが、この資格は就職や転職に有利な資格です。主任ケアマネージャーが就職や転職に与えるメリットも知っておきましょう。
主任ケアマネージャーが必要とされる職場
主任ケアマネージャーは、以下の施設で必要とされています。
- 地域包括支援センター
- 特定事業所加算を取得している事業所
これらの施設では主任ケアマネージャーの配置が義務付けられているため、常に一定の募集が行われています。
この施設以外にも、主任ケアマネージャーは事業所の管理者や一般ケアマネージャーへの助言者として需要があります。
地域包括センターでは予防ケアマネジメントや総合相談支援業務といった、センターならではの仕事もあります。
主任ケアマネージャーを必要としている施設がたくさんある分、就職や転職の選択肢も多く存在しているのです。
主任ケアマネとして転職する場合
もし、主任ケアマネージャーの資格を持ち、現在働いている場所よりも必要とされている所があるなら、転職した方がケアマネージャーとしての経験を積める可能性があります。
特に、先程紹介した地域包括センターや特定事業所加算を取得している事業所は、主任ケアマネージャーとしての転職がしやすい職場です。
職場によっては現在よりも高い給与をもらえる可能性もあります。転職の際は希望をしっかり伝えましょう。
就職や転職の際の注意点
注意点としては、困難解決の事例や連携の経験が求められていることを覚えておきましょう。
管理者やリーダーとしての素養や、実際に活動した経験が求められます。書類審査や採用試験では、リーダーとしての能力をアピールしていきましょう。
主任ケアマネージャーになる他のメリットは?
主任ケアマネージャーが持つメリットは、就職や転職が有利になるだけではありません。この他にも、メリットがたくさんあります。最後に、主任ケアマネージャーが持つメリットを解説します。
専門性が高いことの証明になり待遇が良くなる
主任ケアマネージャーになるための研修では、ケアマネージャーとしての経験と知識をより深める活動を行います。
これを乗り越えて得た主任ケアマネージャー資格は、ケアマネージャーとして豊富な経験と知識を有していることの証明となります。
資格によって職員や利用者、その家族からの信頼を得やすくなります。また、研修を通して得た知識と経験を仕事に活かすことで、実力の面からも頼りにされる機会も増えます。多くの人を支え、導けるようになるのです。
働く上での大きなメリット
これからは高齢化が今以上に進んでいきます。主任ケアマネージャーの需要も高齢化に合わせて高まっていきますから、活躍できる施設や職場も増えています。
主任ケアマネージャーが働く施設は多くの場合公共の施設です。他の職場に比べて、安定性が高い点もケアマネージャーが得られるメリットの一つです。 仕事の需要も高いため、全国どこでも働くことが可能です。
こうした背景から、主任ケアマネージャーの給料を一般ケアマネージャーよりも高く設定している職場もあります。
施設の中には主任ケアマネージャーの配置が義務化されている所もありますが、これも報酬面で差が生まれている要因の一つです。
今後、この資格を持つことでキャリアアップの幅が広がるだけでなく、高齢者たちにより適切なサポートを提供するための重要な役割を担うことになります。
管理者になれたりとキャリアアップが狙える
先程も解説しましたが、令和3年4月から事業所の管理者は主任ケアマネージャーに限定されます。現在、主任ケアマネージャーはキャリアアップが狙いやすい環境にあるのです。
また、新人の指導や地域介護の発展に貢献する等、主任ケアマネージャーの仕事は社会的な貢献につながる仕事が多いです。
社会貢献にやりがいを感じることができるという点で、主任ケアマネージャーの仕事は高いモチベーションを維持しながら働ける仕事でもあります。
主任ケアマネージャー研修を今受けるメリット
主任ケアマネージャーは責任感のある仕事ですが、資格自体は新しく、歴史が浅いです。そのため、資格取得の研修は年を重ねるごとに難しくなる傾向にあります。
受講条件を満たすなら、出来るだけ早く研修を受けた方が、研修の負担が少なく済みます。これは現在だからこそあるメリットですから、受講条件を満たすなら出来るだけ早めに受講することをおすすめします。
主任ケアマネージャーまとめ
主任ケアマネージャーまとめ
- 主任ケアマネージャー資格はケアマネージャーの育成や管理を行う
- 福祉サービスの連絡役だけでなく、地域全体の問題解決にも取り組む仕事
- 主任ケアマネージャーになるには研修を受けなくてはならない
- 主任ケアマネージャーは社会的に需要が高く、就職や転職、キャリアアップの可能性が高い仕事でもある
主任ケアマネージャー資格は、資格としての歴史は浅く、新しい資格です。しかし、多くの施設で必要とされている資格でもあります。仕事内容は難しく、高い問題解決能力やコミュニケーション能力を要求されます。
しかし、大変な仕事である分、やりがいや待遇に優れている仕事でもあります。主任ケアマネージャー資格に興味を持たれた方は、ぜひ研修の受講を検討してみて下さい。