ケアマネージャー試験の概要|受験資格や申し込み手順まで全て解説!
「ケアマネージャーになるにはどうしたらいいの?」
「ケアマネージャーの試験は具体的にどのくらい難しい?」
近年は、「ケアマネージャー」が注目を集めています。そうしたこともあって、上記のような疑問を抱く人は多いです。
この記事ではケアマネージャー試験の難易度や受験資格、申込手順などの基本情報を分かりやすく紹介します。
ケアマネージャー資格や試験を理解するうえで役立つ情報ですから、しっかりと読みすすめてください!
ケアマネージャー試験の難易度をざっくり説明すると
- 受験資格は規定の国家資格または相談援助業務の実務経験5年以上と厳しい
- 偏差値は55程度とそこまで高くない
- 合格率10~20% と低い
- 合格基準は正答率70%程度だが、年度によって変わる
ケアマネージャー試験の概要
ケアマネージャーとは、介護や支援を必要とする人が介護保険制度を利用して自立した生活を送れるようサポートする仕事で、正式には「介護支援専門員」と言います。
ケアマネージャーになるには、毎年1回実施される「ケアマネージャー試験(正式名称:介護支援専門員実務研修受講試験)」に合格することが必要です。
介護支援専門員は公的資格であり、ケアマネージャー試験は各都道府県の社会福祉協議会や長寿社会課などが実施します。
ここでは、ケアマネージャー試験(以下、「ケアマネ試験」と表記)の基本情報について解説します。
そもそもケアマネの仕事内容とは
そもそもケアマネージャー(以下、「ケアマネ」と表記)とは、介護保険制度にもとづいてケアマネジメントを行うための資格です。
ケアマネの主な仕事内容は、次の4つです。
- 要介護認定業務:市町村から委託を受けた、要介護者の自宅訪問・心身状態の確認
- ケアプランの作成管理:ケアマネにだけ認められているケアプランの作成管理する重要な業務
- 給付管理業務:支給限度額確認と利用者負担額の計算、サービス利用票や給付管理票の作成提出
- 相談対応業務:要介護者本人や家族からの相談や疑問への対応
ケアマネ試験の日程
ケアマネ試験は、通常、次のような日程で実施されます。
- 実施日程:年1回、例年10月の中旬~下旬
- 申込期間:6月上旬から1カ月程度
- 受験手数料:6,600~14,400円
なお、2020年度のケアマネ試験は、次のとおり実施されます。
- 実施日程:2020年10月11日(日)午前10時から
- 申込期間:5月中旬~7月初旬
- 合格発表:2020年12月1日(火)
年1回の実施なので、申し込み忘れなどのないよう注意が必要です。
再試験が実施される場合もある
2019年10月13日の実施予定であった2019年度のケアマネ試験は日程変更があり、2020年3月8日に再試験が行われました。
これは台風19号と重なったことに因るもので、年1回しか実施されない試験であっても、中止や延期があるので注意が必要です。
とくに今年度については「新型コロナ」の問題が影響を及ぼす可能性があることから、情報収集を怠らないでください。
ケアマネ試験の受付日程
ケアマネ試験は、全都道府県の社会福祉協議会などの主催団体によって、年1回、同じ日程で実施されます。
しかし、申込み受付日程は都道府県によって異なります。
また、申込関連資料の配布日程も異なるので、この日程も事前に確認しておきたいものです。
2020年度のアマネ試験の申込み受付日程は、すでに各都道府県の実施団体から発表されています。
ここに、4都道府県の受付日程を紹介しておきましょう。
都道府県名 | 受付日程 |
---|---|
北海道 | 6月1日~6月24日 |
東 京 | 6月1日~6月30日 |
大 阪 | 6月1日~6月29日 |
福 岡 | 6月4日~7月03日 |
合格発表の日程
2020年度のケアマネ試験の実施要項は、実施団体である社会福祉協議会などからすでに発表されています。
具体的には、「実施日程は2020年10月11日(日)午前10時から」 「合格発表は2020年12月1日(火)」です。
合格発表の方法は都道府県による違いはありますが、一般的には、実施団体のホームページでの掲載、もしくは合格者当ての通知書で発表を行うという形式になります。
試験申し込みに必要な書類
ケアマネ試験に申し込む際には、事前に都道府県の社会福祉協議会などで配布される受験案内の冊子を受け取ります。
この受験案内には「受験申込書」がセットされているので、受験申込者は必ず冊子を入手しなければなりません。
受験案内を受け取ったら、申し込みをする前に、定められた受験手数料を納めます。
申込みに必要な書類は都道府県によって異なりますが、一般的には以下の6種類です。
- 受験申込書
- 受験整理票用写真
- 実務経験証明書
- 資格証明書
- 戸籍抄本
- 受験特別措置申請書
これらの必要書類をそろえ、受験手数料の払込受領書と一緒に実施団体に届ければ、ケアマネ試験への受験申込みは完了します。
受験までに必要なこと・費用について
ここではケアマネ試験の「受験までに必要なことと費用について」と「合格後にすぐに必要なこと」をテーマに解説します。
ケアマネ試験には受験資格が設定されていることから、まずは、受験までにその条件を満たすことが必要です。また、それには費用がかかります。
ところが「受験資格を得るために何が必要か、どの程度の費用がかかるか」は、受験希望者によって異なるのです。
ここではまず、受験希望者のだれにも共通して「受験までに必要なこと・合格後にすぐに必要なこと」と費用について解説します。
願書の提出
ケアマネージャー試験を受けるためには、まず締め切りの前に願書を提出することが必要になります。
上記したように、願書を受け取る場所については都道府県ごとに異なります。しっかりと確認するようにしましょう。
また合わせて注意すべきこととして、期限までに余裕を持って提出をすることが挙げられます。郵便事故や送付先の誤りがあったときなどにも締め切りに間に合わせる必要がありますので必ず実践しましょう。
受験票の受け取り
願書の提出を受けた実施団体が行うのは、届けられた書類で「受験資格を満たしているか・書類に不備はないか」の点検です。
この点検で問題がなければ、試験日の2週間前までには「受験票」が自宅に届きます。
受験票が届かない場合や届けられたが紛失した場合などは、必ず実施団体に連絡を入れてください。
受験にかかる費用
受験にかかる費用は2つあり、1つは受験勉強に必要な費用でもう1つは受験手数料です。
受験勉強に必要な費用は、勉強方法によって次のように異なります。
勉強方法 | 期間など | 金額 |
---|---|---|
通信教育 | 2~6カ月 | 27,500~58,000円 |
通学講座(長期) | 日間+自宅学習・12回 | 70,125円・86,000円 |
通学講座(短期) | 3~4日間 | 14,000~39,600円 |
独学 | 参考書費用 1冊・全3巻 | 1,430~2,860円・6,930円 |
次に、受験手数料も、都道府県によって異なります。
例として、2020年の4都道府県の受験手数料は次のとおりです。
都道府県名 | 受験手数料 |
---|---|
北海道 | 12,000円 |
東 京 | 12,800円 |
大 阪 | 13,800円 |
福 岡 | 9,700円 |
試験合格後の実習について
ケアマネ試験合格者がケアマネとして働くまでには、「介護支援専門員実務研修」を受講しなければなりません。
この研修の実施スケジュールなどは都道府県で異なりますが、ケアプランの作成など実践的な内容で構成されています。
なお、研修は「15日間で87時間の講義・演習」と「介護支援事業所で行う3日間の実習」での構成が一般的です。
この研修を終えなければ試験に合格してもケアマネージャーにはなれません。必ず受講するようにしましょう。
帳簿への登録申請と専門員証の交付方法
ケアマネ試験合格者がケアマネとして働くには、次の2つの申請が義務付けられています。
それは「介護支援専門員資格登録簿への登録」と「介護支援専門員証の交付」の申請です。
この2つの申請は、介護支援専門員実務研修修了後3カ月以内に、住民登録または勤務先の都道府県へ行います。
なお、介護支援専門員証の交付申請には、写真と手数料が必要です。
交付申請後1カ月程度で、有効期間は5年間の「介護支援専門員証」を受け取れます。
ケアマネ試験の合格ラインや難易度は?
ケアマネ試験の受験資格
ケアマネ試験の難易度は、解答免除の廃止や受験資格の厳格化などで、かつてよりも厳しくなっています。
これは、2025年に高齢化のピークを迎えるわが国において、高齢者の生活を支える専門職としてのケアマネへの期待の表れなのです。
直近では、2018年に受験資格が次のように変更されました。
- 「規定の国家資格」または「相談援助業務」で5年以上かつ900日以上の実務経験があること
「規定の国家資格」の対象は介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士など21の国家資格で、「相談援助業務」とは次の4つの業務です。
- 生活相談員
- 支援相談員
- 相談支援専門員
- 主任相談支援員
5年以上かつ900日以上の算定方法
ここでは、受験資格の必要業務経験(実務経験)年数をカウントする際のポイントを、列挙して紹介します。
- カウントは試験申込日でなく試験前日までの期間
- 勤務時間の長さに関係なく1日でカウント
- 月1回以上勤務すればカウント
- 正規や非正規、常勤や非常勤など勤務形態は問わない。
- 研究業務、教育業務、事務、営業などの期間はカウントしない。
なお、算定方法は都道府県によって微妙に異なるケースがあるので、実施団体への確認が必要です。
ケアマネ試験の内容
ケアマネ試験は、次のような要項で実施されます。
- 出題方式:五肢複択方式
- 解答方式:マークシート方式
- 試験時間:120分
- 試験内容:下表のとおり
出題分野 | 問題数 | 試験内容 |
---|---|---|
介護支援分野 | 25問 | 介護保険制度、要介護認定、居住・施設 |
保健医療福祉サービス分野 | 35問 | 保険・医療サービス、福祉サービス |
ケアマネ試験の難易度
ケアマネージャー試験の特徴として、試験範囲が幅広くかつ専門的な知識が問われる、と言うことがあります。試験内容自体は難しくなりがちです。
そのため、合格者の大半は介護福祉士や看護師が占める、ということが一般的です。
合格率も10~20%と低く、介護系の資格の中では、取得しづらい資格の一つと言えるでしょう。
また、資格試験の偏差値としては55とあまり高くないため、ここまで合格率が低い要因の一つとして「働きながら独学する人が多い」と言うことが挙げられます。
ケアマネ試験の合格率や合格ライン
ケアマネ試験の直近5年間の合格率は、次のとおりです。
実施回数(年度) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
第18回(2015年度) | 134,539 | 20,924 | 15.6 |
第19回(2016年度) | 124,585 | 16,280 | 13.1 |
第20回(2017年度) | 131,560 | 28,233 | 21.5 |
第21回(2018年度) | 49,332 | 4,990 | 10.1 |
第22回 (2019年度) | 30,509 | 5,644 | 18.5 |
2011年度から10%台が続いていた合格率は、2017年度に20%を超えました。
しかし、2018年度の受験資格の改正で10.1%と大きく低下し、2019年度には18.5%まで回復しています。
次に、合格基準については、下記のような2つの基準が設定されています。
- 正答率が70%を超えること
- 介護支援分野と保健医療サービス分野の両方で合格基準を超えること
ところがこの合格ラインはその年の試験の難易度によって補正が行われますので、あくまでも「目安」でしかありません。
試験を受ける人数の変化
ケアマネ試験の直近6年間の受験者数は、次のとおりです。
実施年度 | 受験者数(人) |
---|---|
第17回(2014) | 174,974 |
第18回(2015) | 134,539 |
第19回(2016) | 124,585 |
第20回(2017) | 131,560 |
第21回(2018) | 49,332 |
第22回(2019) | 30,509 |
この表が示しているとおり、ケアマネの質的向上を目指すために2018年度から受験資格が厳格化されたことが影響して、受験者数は大幅に減少しています。
合格率の高い地域
過去3年間のケアマネ試験において、合格率の高い地域は次の表(単位:%)のとおりです。
実施年度 | 平均合格率 | 合格率1位 | 合格率2位 | 合格率3位 |
---|---|---|---|---|
令和元年度 | 18.5 | 愛知県 25.3 | 新潟県 24.6 | 福井県 23.0 |
平成30年度 | 10.1 | 埼玉県 14.0 | 大分県 13.9 | 三重県 13.6 |
平成29年度 | 21.5 | 東京都 26.5 | 愛知県 26.1 | 神奈川・埼玉県25.4 |
「受験者数」は大都市圏が多いのですが、「合格率」は地方都市の方が高いのが最近の傾向です。
他の福祉系の資格と比較した場合の難易度
ここでは、「ケアマネ資格」と福祉系資格の「介護福祉士資格」の難易度を、試験要項に示されている3つの項目で比較してみました。
- 受験資格:ケアマネ試験は規定の国家資格の実務経験が5年以上ですが、介護福祉士試験は3年以上です。
- 解答方式:ケアマネ試験の解答方式は「五肢複択」で、介護福祉士試験の解答方式は「五肢択一」です。
- 問題数と試験時間:ケアマネ試験は60問・120分ですが、介護福祉士試験は125問・220分です。
この3項目に関して言えば、ケアマネの試験の方が難易度の高い試験と言えるでしょう。
合格率や合格ラインで比較すると
ケアマネと介護福祉士の難易度を偏差値・合格率・合格ラインの3項目で比較すると、次のとおりです。
比較項目 | ケアマネージャー | 介護福祉士 |
---|---|---|
偏差値 | 55 普通 | 45 簡単 |
合格率 | 10~20% | 60% |
合格基準 | 正答率は70% | 総得点125点に対し得点77点以上 |
偏差値や合格率で明らかなように、介護福祉士よりもケアマネの方が難易度の高い資格試験と言えます。
ケアマネ試験にはどんな勉強をすればいいの?
ケアマネージャー試験は合格率が低く、狭き門と言えるでしょう。
そのため、一発合格を目指すには自分にあった勉強法を確立することが必要不可欠になってきます。
以下で、代表的な3つの勉強法について、詳しく解説していきますので、参考にして下さい。
独学する場合
独学のメリットとして自身のペースで勉強を進めていくことができる、と言う点が挙げられます。
また、独学であれば費用はテキストだけ買えば良いので、非常に費用を安く済ますことも可能です。
その一方で、独学では長期的な勉強計画を立てにくいと言うことがデメリットとして存在します。特に、ケアマネージャー試験の受験者は働きながら勉強をする人が大半なので、この傾向が顕著です。
また、質問できる相手が身近にいないと言う点も問題です。質問ができないと挫折しやすく、また解決に無駄な時間を使ってしまいかねません。
総じて、自分を律して学習ができる人にはおすすめですが、費用面以外ではあまりメリットがないと言えるでしょう。
通信講座の受講
講座の受講は高い費用がかかるため、躊躇ってしまいがちですが、その分もちろんリターンも大きいです。
通信講座では、独学の際に最も作成に苦労する「学習スケジュール」が最初から組み込まれていることがほとんどです。
加えて通信講座であれば、独学のように好きな場所で、自分の好きなタイミングで学習することができます。ケアマネージャー試験の受験者は働いている人が大半なので、この点は非常に大事です。
他の資格では違うかもしれませんが、受験者の特徴を考えるとケアマネージャー試験では通信講座が最もおすすめといえるでしょう。
スクールに通う場合
スクール(通学講座)に通う場合はもちろんそれ以上にかなりの費用がかかってしまいます。
費用が高い分3つの勉強法の中で最も効率よく、最短で合格することができます。
講師との距離も非常に近いため、学習サポートの面でも最も充実しているといえるでしょう。
ただし、働きながら勉強をしている方にはおすすめできません。仕事の都合などで、出席できない日などがでてきてしまうと、大きく遅れてしまいます。
通学講座を選ぶのであれば、サポートの充実した通信講座を選ぶ方が賢明と言えるでしょう。
講座の受講はお早めに!
ここでは、ケアマネ試験の対策講座を受ける際に注意しなければならないポイントについて解説します。
-
自分に適したコースを選ぶ:通学講座はいくつかのコースが準備されていますから、自分に適したコースを選択しなければなりません。 また、コースによって受講料に違いがあるので注意してください。
-
受講できる日程の講座を選ぶ:講座によって開催日程や日数が異なるのでしかりとした確認が必要です。
-
定員に余裕のあるコースを選ぶ:講座の多くは定員制で、定員を超えての申込みは受け付けてくれません。
こうしたポイントを確実にクリアするためには、試験の日程から逆算してできる限り早めに講座の受講を申し込むことが必要であると言えます。
試験で役立つ解き方の工夫
ケアマネ試験の試験時間は、60問を120分で解答しなければなりません。つまり、1問を2分で処理しなければならないということです。
そのことを前提に、試験で役立つ解き方を列挙して紹介しましょう。
-
問題文が理解できない、すぐには正解が分らない問題は飛ばすこと
-
明らかに正解ではないと分かる選択肢は、それを選択肢から外して読みすすめること
-
1問につき2分以内のペースを守ること
-
「解けない問題があった」ということは絶対に避け、必ず最後の問題までたどり着くこと
なお、これらのことは、過去問を解く際に意識することで確実に習得していくことが大切です。
通信講座で効果的に学習をする!
上述したように、ケアマネージャー試験に本気で合格したいという方には、通信講座の受講をおすすめすると言いました。
数あるケアマネージャーの通信講座の中でも資格Timesがおすすめしているのは、「ユーキャンのケアマネージャー講座」です。
ユーキャンが最もおすすめである理由として以下の3つが挙げられます。
- 学習支援が非常に充実している
- 会社の信頼性が非常に高い通信講座である
- 学習計画を立てやすく、また継続しやすい工夫がされている
上述したように、ケアマネージャー試験に合格するために必要な要素を余すことなく備えていると言えます。
これらをバランスよく高水準に満たしているからこそ、ユーキャンのケアマネージャー講座が最もおすすめといえるのです。
ケアマネージャー試験の難易度まとめ
ケアマネージャー試験の難易度まとめ
- 受験資格は厳しいので自分が満たしているか確認が必須
- 偏差値は55程度で試験自体は標準の難易度
- ただし合格率は10~20%と低いので油断は禁物
- 合格基準は正答率70%で両方の分野で満たす必要がある
ケアマネージャー試験の難易度を様々な側面から解説してきました!
ケアマネージャー資格の取得には5年以上の実務経験が求められ、また合格率も低いので、決して簡単な試験とはいえません。
しかし実務経験を満たせば、通信講座や通学講座の受講で確実に資格取得は可能です。
社会全体から期待されているのがケアマネージャーという資格です。ぜひ、チャレンジしてみて下さい!