簿記3級試験直前対策の方法とは?間違えやすい問題・仕訳や直前期の過ごし方まで解説
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簿記
公認会計士たぬ吉
「簿記3級試験直前対策の方法を知りたい!」
「間違えやすい問題について徹底的に対策したい」
このような考えをお持ちの方もいるかと思います。
資格を目指す際に簿記3級から着手する方は多くいますが、会計に関する知識が無い方にとっては不安なポイントも多いでしょう。
直前期の勉強は合否を大きく分ける重要な時期なので、集中力を保って勉強する必要があります。
こちらの記事では、簿記3級試験の直前対策方法や間違えやすい問題、予備校の対策講座を一覧で紹介したので参考にしてください。
簿記3級試験の直前対策についてざっくり説明すると
- 試験の直前まで全力で勉強することが大切
- 過去問や重要な仕訳問題は特に注力して対策しよう
- 間違えやすい仕訳に関しては最後まで復習するのがおすすめ
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簿記3級試験の直前対策方法
簿記3級は比較的簡単な難易度の試験ではありますが、直前期でサボってしまうと努力が無駄になってしまいます。
試験の直前まで正しく勉強し、やるべきことを積み上げていきましょう。
試験日まで全力で駆け抜ける
試験直前に覚えた内容が最も記憶に残りやすいため、直前期にサボってしまうのは危険です。
自信がある方もない方も、直前期に質の高い勉強をすることが非常に重要です。
特に、簿記3級試験は比較的試験範囲が狭く対策もしやすいため、自身がない方でも直前期にしっかり対策することで合格できるケースは往々にしてあります。
過去問を完璧にする
簿記3級試験は過去の類題から多く出題される傾向にあるため、過去問演習は非常に効果的な対策となります。
過去問は何周もこなして、確実に解けるようになるレベルまでトレーニングしましょう。
また、単に問題を解くだけでなく、タイムマネジメントも意識して制限時間内に解き切ることも心掛けましょう。
ただし、2019年から試験範囲が改正されたので、試験範囲を誤らないように注意してください。
ネット試験の模擬試験や予想問題を解いてみる
模擬試験や予想問題など、本番を想定したトレーニングを行うことも効果的です。
なお、直近の問題にこだわる必要はなく、過去に行われた模試に取り組んでも構いません。
大切なことは「本番の試験形式に慣れること」「時間内に解き切ること」なので、この2点を意識しながら取り組んでみてください。
また、苦手分野や記憶が曖昧な分野を発見したら、問題演習を繰り返して本番に間に合わせましょう。
仕訳を総復習
仕訳は簿記の根幹となる基本的知識得点源になので、仕訳の総復習は非常に重要です。
仕訳が出来ないと試験全体を通じて正解できなくなってしまうため、確実に理解するようにしてください。
簿記3級では15問出題されるので、全問正解を目指すレベルで勉強しましょう。
アプリや問題集を活用して勉強することに加えて、直近5回分の試験問題を解けば概ねの仕訳は網羅できるでしょう。
最後に未習分野をつまみ食いするのはNG
試験直前期になると、試験における重要性が低いなどの理由でいまだ手をつけていない範囲に手を出したくなるでしょう。
しかし、直前期の学習時間をそのような内容の習得に当ててしまったがために、本来できなければならない分野の知識が抜け落ち、思うような得点を叩き出せないという現象も珍しくありません。
そのため、直前期は今までやってきた分野の得点確率を最大限高める学習に徹することをおすすめします。
ケアレスミス対策
模擬問題や過去問を解く中で、ケアレスミスがあれば必ず確認しましょう。
ケアレスミスを放置してしまうと本番でも同じケアレスミスをしてしまう恐れがあるので、同じミスをしないように対策してください。
「なぜケアレスミスが起きたのか」を分析し、文字は大きく書いたり電卓に打ち込んだ数字をチェックして無駄な失点を防ぎましょう。
ネット試験であれば、打ち間違いや写し間違えは無いかを確認する習慣を身に着けておくことをおすすめします。
間違えやすい問題の復習
問題集や模擬問題で何度も間違えた問題があれば、徹底的に復習して本番までに仕上げましょう。
記憶が曖昧であれば、テキストを読み直して基本から学ぶのも一つの手段です。
自分の間違えたポイントを意識しながら復習することで本番でのミスを防げるので、間違えた問題の復習は非常に重要です。
仕訳で間違えやすい問題
それでは、仕訳で間違えやすい問題を紹介していくので、参考にしてください。
現金
現金の実際残高が帳簿に記載された残高よりも7,000円不足していることが分かった際の仕分けについて。
<解答>
借方:現金過不足7,000 貸方:現金7,000
<解説>
実際残高と帳簿の残高が合わない場合、差額を現金過不足で処理します。
小切手の処理
買掛金3,000円の支払いを小切手を振り出して支払った場合の仕分けについて。
<解答>
借方:買掛金3,000 貸方:当座預金3,000
<解説>
小切手を振り出すと当座預金口座から引き落とされます。
後払い・後受け
商品3,000円を仕入れて代金は月末に支払う場合に仕分けについて。
<解答>
借方:仕入2,000 貸方:買掛金2,000
<解説>
商品を取引する場合は「売掛金」「買掛金」を用いて、商品以外を取引する場合は「未収金」「未払金」勘定を用います。
貸借引当金
期中に売掛金2,000円が決済されていたが、未記帳であることが判明した。売上債権の期末残高に対して3%の貸倒れを見積もる場合の仕分けについて。 (売掛金残高10,000円、貸倒引当金残高100円)
<解答>
借方:貸倒引当金繰入140 貸方:貸倒引当金140
<解説>
(10,000-2,000)×3%-100=130
本試験では、貸倒引当金計算の前に売掛金の誤記帳や未記帳の事例を用いることがあるので注意しましょう。
固定資産の処理
事務用品100,000円を購入し、据付代金10,000円を併せて現金で支払った場合の仕分けについて。
<解答>
借方:備品110,000 貸方:現金110,000
<解説>
据付代金などの付随費用は取得費用に含みます。
手形の処理
約束手形を振り出して200,000を借り入れ、利息分2,000円を差し引いた額を当座預金で受け取った場合の仕訳について。
<解答>
借方:当座預金198,000・支払利息2,000 貸方:手形借入金200,000
<解説>
手形を振り出して借入を行っているので、勘定は「手形借入金」となります。
貸倒れの処理
貸倒引当金が25,000円であった時に、取引先が倒産して20,000円が貸倒れた場合の仕訳について。
<解答>
借方:貸倒損失20,000 貸方:売掛金20,000
<解説>
当期発生した売掛金が回収できない場合は、「貸倒損失」の勘定を用いて処理します。
預り金
給与1,200,000円を、所得税源泉徴収分100,000円・社会保険料120,000円を控除して普通預金から支払った場合の仕訳について。
<解答>
借方:給料1,200,000 貸方:所得税預金100,000 社会保険料預金120,000 普通預金980,000
<解説>
所得税預金と社会保険料預金は、それぞれ別勘定を用いる点に注意しましょう。
配当
株主総会の承認を得て、繰越利益剰余金を以下の様に処分する場合の仕訳について。
- 株主配当金100,000円
- 利益準備金20,000円
<解答>
借方:繰越利益剰余金120,000 貸方:未払配当金100,000 利益準備金:20,000
<解説>
繰越利益剰余金を処分する際には、まずは借方に計上します。
直前対策講座は受講するべき?
多くの予備校では試験直前期の対策講座を開講しており、指導経験が豊富な予備校のプロが行っているため信頼性は非常に高いと言えます。
また、本番のシミュレーションとしても有用なので、興味がある方は積極的に活用すると良いでしょう。
こちらのトピックでは、大手予備校が取り扱っている直前対策講座を一覧で紹介していきます。
直前対策講座の一覧
それでは、各予備校の直前対策講座を一覧表で紹介していきます。
会社 | 講座名 | 価格 |
---|---|---|
TAC | 3級直前対策 | 15,100円 |
LEC | 3級直前対策パック | web:8,800円 DVD:11,000円 |
資格の大原 | 3級直前対策パック | 14,000円 |
一覧の通り、大手予備校各社で直前対策講座を展開しています。勉強の進捗具合に応じて必要か否かを判断した上で受講するか決めましょう。
不安がある場合は受講することをおすすめしますが、十分に仕上がっている方であれば無理に受講する必要はありません。
やりがちな直前期の間違った勉強法
直前期に間違った勉強をしてしまうと、取り返しのつかないことになります。
こちらのトピックで間違った勉強方法を紹介するので、反面教師にしてください。
新しいテキストに手を出す
最もやりがちな失敗は、直前期に新しいテキストを購入してしまうことです。
試験本番近くになると不安な気持ちになってしまい、新しいテキストに手を出したくなりますが、新しいテキストに目新しい攻略法があるわけではありません。
実際のところ、今までに使ってきたテキストを最後まで使い続けた方が質の高い勉強が可能です。
直前期に完璧を求める
簿記試験の合格ラインは7割なので、100%の出来は求められていません。
つまり、満点を目指す必要はないことから難問や奇問には手を出さず、重要論点に的を絞って勉強しましょう。
確実に得点できる問題を確実に正解することが合格への近道なので、メリハリをつけた勉強も重要と言えるでしょう。
簿記3級試験直前期の過ごし方
続いて、試験直前期の過ごし方について見ていきましょう。
解く順番を決めておく
簿記3級試験は60分という試験時間の中で7割の出来を目指す必要があるため、試験本番で慌てないことが大切です。
落ち着いて問題に取り組めるように、解く順番や各分野に使う時間の目安を決めておくと良いでしょう。
特に、第3問は配点が高く合否を分ける肝となるため、確実に正解できるように日頃からトレーニングしておきましょう。
当日の予定は念入りに決めておく
試験の当日は緊張しがちなので、予定は念入りに決めておくと安心です。
起床時間や試験会場の到着時間を予め決めておき、決めたスケジュール通りに動けばリラックスして試験を迎えられます。
また、持ち物の確認も早い段階で済ませておき、細かい過ごし方まで決めてしまいましょう。
試験当日は試験に集中できるように心掛け、余計なことでストレスを感じないように備えてください。
合格のイメージを膨らませる
イメージトレーニングは勉強のモチベーションを高める上で非常に有用です。
不合格になってしまうようなマイナスイメージを持つと不安を増幅させるので、合格して喜んでいる自分をイメージしましょう。
試験本番は不安になりがちなので、余計なイメージを持たずに自信を持って受検することを心掛けてください。
食事面
エネルギーとなる炭水化物はしっかりと摂取し、万全のコンディションで試験に向き合いましょう。
しかし、食べすぎると眠くなってしまい集中力が途切れてしまうので、食べすぎには要注意です。
人間の身体は満腹の時よりも空腹時の方が集中がしやすい構造となっているので、腹八分を意識することも大切です。
体調を整えて!
せっかく勉強しても体調が悪いと本来の実力を発揮できません。
また、試験直前の体調が悪いと勉強時間が確保できずに余計なストレスや不安を抱えてしまうので、体調管理にも注意を払いましょう。
試験本番の体調が悪いと合格が遠のいてしまうため、試験前日はしっかりと睡眠時間を確保してください。
試験中にパニックになった時
自分が分からない問題や所見の問題が出てきたら、少なからず動揺してしまいます。
もしパニックになったら、今まで勉強してきた期間や努力の積み重ねを思い出し、一旦落ち着くことが重要です。
深呼吸をしたり間を取ることで落ち着きを取り戻せるので、不安になったときほどゆっくり時間を使いましょう。
また、途中退出する人を見ても慌てることなく、自分のペースで最後まで頑張ってください。
簿記3級は第一ステップにピッタリ
「何か資格が欲しい」と考えている方が取得を目指す資格として、簿記3級はピッタリのレベル感です。
会計初心者向けの難易度なので、特別な知識を持っていない方でも気軽に取得を目指せるでしょう。
難易度はそこまで高くないので、しっかりと勉強すれば誰しもが合格できる試験です。
また、簿記3級を取得した後に間髪入れずに2級の勉強を始めることで、スムーズに理解できるメリットがあります。
簿記2級を取得していれば就職活動や転職活動の大きな武器となるので、その足がかりとして3級を取得する意義は大きいです。
まずは3級に合格して手応えを掴み、どんどんレベルアップを目指していきましょう。
簿記3級試験の直前対策まとめ
簿記3級試験の直前対策まとめ
- 間違えやすい仕訳を中心に、重要なポイントを押さえることが効果的
- 勉強と並行して、体調管理にも注意を払おう
- 合格したイメージを持ち、前向きな気持ちで試験に臨もう
試験直前期に気が抜けてサボってしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。
受験料も無駄になってしまうので、最後までベストを尽くして試験対策を進めていきましょう。
勉強を進めつつ体調管理にも注意を払い、ベストな状態で試験に臨めるように工夫してみてください。