弁理士は本当に意味のない資格なのか?価値がないと言われる理由や需要の実態を解説!
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「弁理士資格は意味ないって本当?」
「価値がないと言われるのはなぜ?実際の需要や将来性は?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
弁理士は合格率10%未満という希少価値の高い資格で、知的財産分野の独占業務も有するため、価値深い資格だと言えます。
しかし、そんな弁理士資格について、「取得しても意味ない」「持ってても無駄」などと論ずるネットの書き込みなどもあります。そのようなネガティブな意見を受けて、取得するかどうか迷っている方もいるはずです。
そこで今回は弁理士は本当に意味のない資格なのかについて解説します。価値がないと言われる理由や実際の需要・将来性なども紹介するので参考にしてください。
弁理士は意味ないのかについてざっくり説明すると
- 取得によって得られるメリットは多数
- キャリアアップや転職の成功などにつながる
- 高収入も期待できる
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「弁理士資格は意味ない」は間違い!
弁理士は合格率わずか6〜7%程度の超難関資格で、希少価値が高く、独占業務も有することから安定した需要もあります。
しかし、ネットでは「弁理士は持っていても意味ない」「取得するのは時間の無駄」といったネガティブな意見も散見されます。
これから弁理士を目指そうとする方、もしくはすでに勉強を始めている方は、そのような意見を聞くと不安になることもあるでしょうが、気にすることはありません。
以下で紹介するように、弁理士を取得することには様々なメリットがあり、決して「意味ない」「価値がない、無駄」とは言えないからです。
職場での待遇改善つながる
日本弁理士会が実施した統計調査によると、昨今は約24%の弁理士が会社に勤務し、企業内弁理士として働いています。
大企業の場合、何十人という単位で弁理士を雇用する場合もあるほどです。
このように弁理士は一般企業から重宝される人材であるため、会社勤めの方が弁理士の資格を取得することにはメリットがあります。
資格を取れば、知財部などで大いに活躍できるようになり、社内での評価が上がります。
当然キャリアアップにも好影響が期待できるため、昇進・昇格を狙う方は、弁理士資格の取得を検討してみてください。
資格があることによって活躍の機会に恵まれることも
弁理士資格を取得すれば、知的財産分野に関する高い専門性を証明することができます。
そのため、資格を持っていることで、良いプロジェクトに参加できたり、重大な仕事を任せてもらえたりする可能性も大いにあります。
よって活躍の幅を広げたい方や、スケールの大きい仕事をしてみたい方などにも、弁理士資格はおすすめです。
資格を生かして転職できる
弁理士は知的財産分野のプロフェッショナルです。
知的財産と関係する業務を行う企業は実に多く、資格を取得すれば、幅広い業種で重宝される人材になれます。
弁理士の需要及び将来性は十分に高いと言えるので、これから資格を取得し、転職するのもおすすめです。
独立も目指しやすい
士業の一つである弁理士は、知的財産分野で独占業務を有していることから、資格があれば独立開業もしやすいです。
独立して成功すれば、億単位の年収を得ることも可能なので、収入アップを狙う方にも弁理士資格はおすすめできます。
また独立すれば、より自由な働き方が実現できるため、ライフワークバランスを重視する方にも良いでしょう。
必ずしも独立する必要がない
弁理士のキャリアには、独立開業以外にも、先述した企業内弁理士や特許事務所勤務など、様々な選択肢があります。
資格を取得すれば、ゆくゆくは必ず独立するというわけではなく、社内や所内で成功する弁理士も多いです。
雇用されれば、十分な高収入が安定して得られるので、独立しないという選択も十分に有意義だと言えます。
高収入が狙える
弁理士の平均年収は700〜800万円程度だと言われています。
これは日本人の平均年収はおろか、行政書士や社労士などの他の士業資格と比較しても、かなり高い収入の水準です。
弁理士資格を取って資格手当が支給されたり、昇格や転職に成功したりといったケースは多いので、現状からの収入アップを狙って取得を目指すのもおすすめできます。
また、弁理士に関しては、収入における男女差はほとんどありません。女性でも十分に稼ぐことが可能です。
パートの時給も高いことから、弁理士の仕事と育児や介護などを両立させている人もおり、男女関係なく多くの方が満足のいく給与を手に入れられる点は大きな魅力です。
弁理士が取る価値がないと言われるのはなぜ?
上述の通り、弁理士の取得には豊富なメリットがあり、収入の水準も非常に高いです。
それでは「意味ない」「持っていても無駄」などと悪く言われるのはなぜでしょうか。
そもそもそうした言説は根拠に乏しく、噂の域を出ないのですが、ささやかれるのには以下のような背景があります。
士業内で知名度が低いうえ人数も増加
弁理士には一定の人気がありますが、弁護士や司法書士など、他の士業資格に比べると知名度は低いです。
あまり知られてないことから、価値がない資格など勘違いしている人も一定数存在します。
また弁理士資格をキャリアアップの手立てとするのは、コスパが悪いという考え方もできます。
弁理士試験は超難関なので、数年かけて試験対策をしなければなりませんが、それだけの期間があれば、その他の方法でもスキルアップは可能です。
さらに弁理士の登録者数が増加しており、競争率が高まっているという背景もこれらの言説を支える一つの要素です。
ここ数年の弁理士数は微増
日本弁理士会に属する登録弁理士の数は、2000年の時点で4,503人でしたが、2008年には7,809人になり、2021年現在は11,579人にまで増加しています。
そのため、20年前に比べると、弁理士の競争は激化していると言えるでしょう。
しかし、ここ数年を見ると、弁理士の数はそれほど増えておらず、近年に関しては競争率がグングン高まっているというわけではありません。
以下は日本弁理士会が発表しているデータに基づいて作成した、過去4年間における弁理士の数に関する表です。
年月日 | 弁理士数 | 特許業務法人数 |
---|---|---|
2021年2月28日 | 11,579(+119) | 312(+5) |
2020年03月31日 | 11,460(+124) | 307(+14) |
2019年03月31日 | 11,336(+151) | 293(+20) |
2018年03月31日 | 11,185 | 273 |
上記の通り、ここ4年に関しては、弁理士の数は例年100人強ずつしか増えておらず、競争率が今度急激に高まることはないでしょう。
AIの登場で需要減?
弁理士が行う業務の中には、定型的な単純作業も含まれており、それらをAIが代替すれば、仕事がなくなってしまうと危惧する声もあります。
確かに事務作業はかなり機械化が進むかもしれませんが、それ以外に人間にしか活躍できない分野はまだまだ存在します。
例えば、特許の取得に関して、発明者からヒアリングをしたり、相談に乗ったりする業務では、人間ならではのコミュニケーションスキルが必要です。
事務処理を機械に任せ、自分はコンサルティング分野などに特化するという選択肢もあるでしょう。
もちろんそうした業務にもAIが進出してくる可能性はありますが、意思疎通に関しては、対ロボットよりも人間同士の方が良いと考える人が多いと推測できます。
独立失敗して廃業する人も一定数いる
経営に関するノウハウが乏しかったり、関係者の人脈が少なかったりすると、独立しても事業に失敗する可能性が高いです。
しかし、独立に失敗がつきものなのはどの業種・職種においても同じですし、事前にきちんと準備や勉強をしてから独立すれば、失敗のリスクを低減することもできるため、この点が弁理士は価値がないという意見にはつながりません。
またたとえ独立に失敗したとしても、ポジションにこだわらなければ、組織内弁護士として再就職することは十分に可能であるため、廃業の際のリスクは想定より少ないといえます。
無関係の人や試験に落ちた人が噂を拡散
弁理士試験は非常に難易度が高く、例年受験者のほとんどが不合格になります。
そのため、不合格者や途中で勉強に挫折した者が、腹いせに「弁理士は意味ない」「価値がない資格だ」などと書き込むケースもあるでしょう。
そうした人たちは、弁理士試験には少々関わっていても、弁理士の仕事には全く関係がありません。
しかし、ネットではそのような信憑性の薄い情報も、有益な情報と同じように拡散されてしまいます。
また日々業務を忙しくこなす弁理士は、「仕事がたくさんあります」「弁理士を取得するメリットは大きいです」などとは書き込まないでしょう。
弁理士人口が増え、競争率が高まっている中、さらに競争を激化させるような情報をわざわざ出す者はそうそういません。
よってネットには「意味ない」「稼げない」といった不確かな情報だけが蔓延してしまうのです。
例年3,000人程度が不合格になる
特許庁の発表によると、過去5年間における弁理士試験の結果は以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 不合格者数 |
---|---|---|---|---|
2022年 | 3,177人 | 193人 | 6.1% | 2,984人 |
2021年 | 3,248人 | 199人 | 6.1% | 3,049人 |
2020年 | 2,947人 | 287人 | 9.7% | 2,660人 |
2019年 | 3,488人 | 284人 | 8.1% | 3,204人 |
2018年 | 3,587人 | 260人 | 7.2% | 3,327人 |
上記の通り、弁理士試験では3,000人以上が不合格になることが多いです。
これに対し、合格者は300人未満なので、ネット上にネガティブな書き込みが増えることもうなずけます。
弁理士は意味ないのかまとめ
弁理士は意味ないのかまとめ
- 一般企業からの需要が高い
- 今後は意匠権に関する案件が増えると予想される
- 発明者とのやり取りやコンサルティングなどはAIに代替されない
- これから取得を目指すのもおすすめ
弁理士は意味のない資格なのかについて解説しました。
結論を言うと、弁理士資格が意味ないというのは全くの誤りです。知的財産分野の独占業務を持つ弁理士は、一般企業から重宝される存在であり、意匠権の存続期間が伸びたこともあって、将来性も高まっています。
企業内弁護士や特許事務所勤務、独立開業などのキャリアプランがあり、平均で700〜800万円の年収を得ることが可能です。
またAIの台頭によって、事務作業の効率化が進むことはあっても、弁理士が活躍するフィールドがなくなる可能性は低いと言えます。
以上より、弁理士は取得する価値が大きい資格です。これから取得を目指すのも大いにおすすめできます。