法科大学院に通うメリットは?入学方法や予備試験との難易度の違いまで解説!

更新

「法科大学院に入ることのメリットが知りたい!」

「法科大学院と予備試験ってどう違うの?」

司法試験に興味がある方の中には、法科大学院(ロースクール)への入学を検討している方も多いでしょう。

しかし、大学院に入ると修了するためには2年~3年の時間がかかるため、入学する意味があるのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では法科大学院に入学することのメリットをお伝えします。

また、法科大学院と予備試験の試験科目や難易度の違いなどについてもご紹介します。

司法試験を受けたい方はぜひ参考にしてみてください!

法科大学院のメリットについてざっくり説明すると

  • 法科大学院を修了すると司法試験の受験資格が得られる
  • 法科大学院では仲間と切磋琢磨しながら勉強できる
  • 法科大学院の中には、難易度が低めで入学しやすい大学院もある

このページにはプロモーションが含まれています

法科大学院に進学するメリット

運命の分かれ道

法科大学院(ロースクール)はメリットがたくさんあるため、進学する意味は大いにあります。

このトピックでは、法科大学院に進学することで得られるメリットをご紹介します。

司法試験の受験資格を得られる

司法試験の受験資格を得る方法は、予備試験に合格するか法科大学院を修了するかの2つです。

ただ、予備試験の合格率は4%と、合格するのはかなり難しいと言えます。一方、法科大学院の場合は修了すれば司法試験の受験資格を得ることができるのは大きなメリットです。

入学試験が易しく入りやすい法科大学院へ入学し修了すると、予備試験に合格するよりも比較的簡単に司法試験の受験資格が得られます。

同じ目標を持つ仲間がいる

司法試験に合格するために必要な勉強時間の目安は、最低でも3,000時間です。

この時間を全て一人で勉強することは、精神的にかなり大きな負担になることは間違いありません。

つまり、独学で予備試験、司法試験の勉強をすることは非常に困難であると言えます。

一方、法科大学院に通っている学生は皆同じ目標を持つ仲間であり、切磋琢磨しながら受験勉強を一緒に進めることができます。

法科大学院では仲間とともに頑張れるため、精神的な負担は比較的少ないと言えるでしょう。

教授との距離が近い

法科大学院は1学年20人~40人程度の小規模なところが多く、教授との距離感が近い場合が多いこともメリットです。

勉強していて疑問点やわからない点があったら、教授に気軽に質問することができます。

また、法科大学院は、法曹業界に太いパイプを持っている人や実業家が教授を務めていることも多いため、教授を通して人脈を作れることがあります。

学生のうちに人脈を作っておくことは、司法試験合格後に役立つでしょう。

エクスターンシップがある

法科大学院では、エクスターンシップという短期間のプログラムを実施しています。

エクスターンシップとは、法科大学院生が法律事務所や企業の法務部で法律を扱う仕事を体験し、実習を受けることです。

この他、サマークラーク、ウインタークラークという法律事務所で職業体験ができるプログラムもあります。

このように、法科大学院では、法律事務所や企業の法務部で実際に働く体験ができます。これも法科大学院ならではのメリットだと言えます。

夜間でも通うことができる

仕事をしている社会人でも法科大学院に通えるように、夜間コースを設置している法科大学院もあります。

予備試験の予備校の場合、夜の時間帯は授業が終わっていることが多いため、社会人は通うことが難しくなってしまいます。辞め

しかし、法科大学院の夜間コースは、社会人向けに夜から講義を行っており、社会人の方でも仕事をしながら通うことが可能です。

法科大学院に入るなら仕事を辞めなければならないと思いがちですが、夜間コースなら仕事と勉強を両立させることができます。

法曹界以外で活躍することもできる

法科大学院修了生の活躍の場は、法曹界に留まりません。慶應義塾大学大学院法務研究科のHPなどで確認することができますが、司法試験に合格したあと企業から声がかかり、司法修習に行かず就職する人も多くいます。

そのような人は、金融商品のリスクチェック、企業のインハウス部門での法律チェック、コンサルティングファームでの法的チェックなど、法律の専門知識を活かして活躍しています。

法律の専門的知識を強みに活躍できる場は豊富にあるのです。

法科大学院に進学するデメリット

パソコンをいじる男性

法科大学院(ロースクール)に進学する一番のデメリットは、時間とお金がかかることです。

国立大学の場合でも、既修者コース(2年)で200万円弱、未修者コース(3年)で300万円弱かかります。

また、時間に関しても、学部に4年間通ったあと法科大学院に入り、司法試験に合格するまでの時間を考えると、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)になるにはかなりの時間を費やすことになると言えます。

一方、予備試験の場合は大学在学中に予備試験、司法試験に合格する人もいますので、その人たちと比べるとお金と時間の差がかなりできてしまうのはデメリットです。

ただ、予備試験を選べば必ず時間の節約になるとは言えません。むしろ、いつまでも予備試験に合格できず、時間がかかり過ぎてしまう場合もあります。

法科大学院に入った方が、短期間で司法試験の受験資格が得られる人も多いでしょう。

法律一辺倒になってしまうリスク

法科大学院にいると司法試験を目指すことが目標になるため、他の分野の学問に興味があってもなかなか勉強する時間が取れなくなります。

また、法科大学院に入ると法律の勉強に専念するため、もし司法試験に合格できなかった場合、法律以外の知識に乏しくなってしまい、就職に支障がでる恐れもあります。

法律の知識を活かせる業界・業種は多くはないため、キャリアの選択肢が狭まってしまい、就職活動が難しくなってしまうことが考えられるのです。

そうならないためにも、法律の勉強と並行して、英語、経営戦略、ファイナンスなど、ビジネスに必要な知識についても学んでおくのがよいでしょう。

近年の法科大学院の実情

リスト

法科大学院(ロースクール)は2004年から始まりましたが、近年の実情はどのようになっているのでしょうか。

募集停止をする学校の増加

現在、法科大学院の数は減少傾向にあります。 2004年から始まった法科大学院は、最も多いときでは74校ありました。

しかし、最近では弁護士の人気が低迷していることや、予備試験を受験する人が増えていることが原因となり、法科大学院に入学する人は減っています。

そのため、2023年に学生を募集した法科大学院は35校で、全盛期の半分以下となってしまいました。

近年では、青山学院大学、立教大学といった有名私立大学の法科大学院も募集停止に踏み切っています。 このように、法科大学院は衰退の一途をたどっているのが現状です。

合格率が低い

法科大学院出身者の司法試験の合格率が低いことも、法科大学院の人気が減少してる原因になっています。

2022年司法試験で、合格率が20%以上になった法科大学院の結果は以下のとおりです。

法科大学院 受験者数 合格者数 合格率
京都大学 175 119 68.0%
東京大学 192 117 76.3%
一橋大学 110 66 70.4%
慶應義塾大学 181 104 57.5%
東北大学 48 27 56.3%
愛知大学 4 2 50.0%
神戸大学 111 54 48.7%
大阪大学 111 51 46.0%
早稲田大学 232 104 44.9%
創価大学 32 12 37.5%
大阪市立大学 41 15 36.6%
九州大学 66 22 33.3%
南山大学 15 5 33.3
筑波大学 55 18 32.7%
日本大学 75 24 32.0%
同志社大学 81 25 30.9%
岡山大学 26 8 30.8%
関西大学 53 15 28.3%
北海道大学 54 15 27.8%
近畿大学 11 3 27.3%
名古屋大学 52 14 27.0%
中央大学 191 50 26.2%
専修大学 27 7 26.0%
立命館大学 75 19 25.3%
西南学院大学 16 4 25.0%
関西学院大学 29 7 24.1%
東京都立大学 72 17 23.6%
広島大学 22 5 22.7%
熊本大学 9 2 22.2%
法政大学 54 12 22.2%
千葉大学 48 10 20.8%
甲南大学 29 6 20.7%

法科大学院別の司法試験の合格率は、高い大学院でも60%台です。この表には入っていませんが、合格率が10%台の大学院や、合格者が0人の大学院もあります。

法科大学院を修了しても多くの人が司法試験に落ちているのが現状です。高い学費を払っても司法試験に合格できる可能性は低いため、法科大学院を選ぶ人が減少しているのです。

法科大学院に入学するには

歩く人

法科大学院に入学するには、試験に合格することが必要です。

入学試験には、既修者試験と、未修者試験の2種類があります。

既修者試験

既修者コースは、法学部を卒業した人などあらかじめ法律の知識がある人が入るコースで、2年で修了します。

既修者コースの入学試験は法律に関する論文試験です。多くの大学院では憲法・民法・刑法が出題されます。また、商法・民事訴訟法・行政法が出題されることもあります。

既修者コースは法学部出身かは問わず、法律の知識があればどの学部出身者でも受験が可能です。

未修者試験

未修者コースは法律の知識がない人はもちろん、法学部出身者でも入学でき、3年で修了します。

未修者コースの入学試験では、小論文が出題されます。小論文のテーマは法律だけではなく、時事問題などが出題されることもありますので、普段からさまざまなテーマで小論文が書けるようにしておく必要があります。

また、法曹界で働く適性があるかを見るため、面接試験を行う法科大学院もあります。

法科大学院の試験と予備試験の違い

プラン考案

司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院を修了するか予備試験に合格する必要があります。

司法試験に興味がある方は予備試験について知っている方が多いと思われますが、法科大学院と予備試験の違いについて確認しておきましょう。

試験の方式が異なる

法科大学院の入試では、論文試験の他、学部での成績や大学院に入学したい理由をまとめた自己評価書を提出します。

一方、予備試験は1次試験の短答式試験、2次試験の論文式試験、3次試験の口述試験の3つの試験があります。

先に述べたように、予備試験は難易度が非常に高い試験で、かつ3次試験まで突破しなければならないため、予備試験に合格するのは至難の業であると言えます。

試験の内容が異なる

法科大学院の入試の内容は、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法の7つが試験科目です。

予備試験では、この7つと、一般教養科目、民事実務基礎、刑事実務基礎が試験科目であり、予備試験の方が試験範囲が広くなっています。

予備試験の方が、勉強しなければならない科目が多いため、勉強量も増えて負担が大きいと言えます。

試験の難易度が異なる

法科大学院の合格率は30~60%、予備試験の合格率は約4% で、試験の難易度の差は非常に大きいと言えます。

また、先に述べたように、予備試験は短答式試験、論文式試験、口述試験の3つの試験があるため、それぞれの対策をしなければなりません。

さらに、試験範囲も予備試験の方が広いため、法科大学院にするよりも予備試験に合格する方が難易度が高いと言えます。

法科大学院のメリットについてまとめ

法科大学院のメリットについてまとめ

  • 予備試験は難易度が非常に高いため合格は難しい
  • 法科大学院に入学すると、教授の紹介で人脈を広げられることがある
  • 法科大学院を修了したあと、法律の知識を目指し大手企業などに就職できることもある

法科大学院は夜間コースに入学すれば社会人でも仕事と勉強を両立することができるのはもちろん、仲間ができるため司法試験へのモチベーションを保ちながら勉強をすることができます。

また、エクスターンシップなどの職業体験ができたり、教授との関わりの中で人脈を広げられたりすることは、予備試験を選択する場合なかなか経験できないことでしょう。

現在、法科大学院は学生募集を停止しているところもあります。しかし、法科大学院はメリットがたくさん得られるため、通う意味は大いにあります。

法科大学院と予備試験どちらにしようかと迷っている方は、法科大学院を選んでみてはいかがでしょうか。

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1