日本ビール検定ってどんな資格?難易度・過去問・独学勉強法まで全て解説!
「日本ビール検定ってどんな資格なのかな?」
「日本ビール検定の難易度や取得メリットが知りたい!」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そこで資格Timesでは日本ビール検定について、試験の難易度や合格率といった試験の基本情報から、資格取得のメリットやどんなことが学べるのかまで分かりやすく解説します!
日本ビール検定についてざっくり説明すると
- 日本ビール検定の難易度は級によって初心者レベルから超難関まで幅広い
- 満20歳以上でビール好きの方であれば誰でも受けられる
- 有名企業の社内から始まった検定なので色々なメリットがある
日本ビール検定ってどんな資格?
まずは日本ビール検定とはどういった資格なのかをご紹介します。
日本ビール検定とは
日本ビール検定は、通称「びあけん」と呼ばれています。こうした略称で通じるくらい、ビール通の間では既に有名な検定です。
日本ビール検定は、ビールの歴史や製法・原料・種類などの基礎から、美味しく飲むための方法・うんちくなど、色々なビールの知識を学ぶ機会を提供することを目的として2012年から始まった資格です。
実際の試験では日本のビールの歴史や製法、原料や飲み方を中心に、世界のビールについても出題されます。ですから勉強するだけでもビールについての幅広い知識を得ることができるでしょう。
日本ビール検定の主催団体
日本ビール検定は、「日本ビール文化研究会」の主催で行われています。
日本ビール文化研究会はビールの楽しさや美味しさを多くの人に発見してもらうことで、ビール文化を発展、普及させる目的で設立されました。
日本ビール文化研究会の活動内容
日本ビール文化研究会では「大人の自由研究〜味わって広がるビールの世界〜講座」を開催しています。この講座ではビールに関する講義やビールの元となる麦汁づくりの見学、テイスティングなどができます。
また日本ビール検定の公式テキストはもちろん、「ビールの図鑑」の監修も行っています。
「ビールの図鑑」は世界の136本のビールを国や地域別に分類し、香りや味などの細かいデータをまとめた書籍です。ビールについて勉強するならまず手に取りたい本です。
注目を集める日本ビール検定
日本ビール検定はドイツ大使館や北海道商工会議所、札幌市がなどが後援についています。
ドイツや北海道と言えば美味しいビールの本場です。こうした団体が後援についていることからも、日本ビール検定の注目度がうかがえます。
日本ビール検定は社内資格から始まった
実は日本ビール検定は、サッポロビールの社内資格から始まりました。
日本ビール検定が始まった経緯
サッポロビールは業務のセグメント化(細分化)をすることで事業の効率化を進めてきたのですが、これによりビールに直接関わらない社員も多くなってしまいました。
そのため、ビールに関心がないままサッポロビール社員の肩書を持つ人が増えてしまったのです。
しかしサッポロビールの社員であるならばビールに詳しいことが求められます。こうしたことから社内グループでテキストを作成し、「ビールアドバイザー制度」を社内資格の一環として始めました。
社外からも受験希望者が集まるように
元はサッポロビールの社内で始まった「ビールアドバイザー制度」ですが、取引先からもこの試験を受けたいという声が多く上がるようになりました。
そうした社外の声がきっかけになり、サッポロビールとは別組織の一般社団法人を立ち上げ、ビールの検定を実施することになったのです。
このような経緯で生まれた日本ビール検定は、日本のビール文化を守り継承していくことが目的の資格として幅広く浸透しています。
日本ビール検定の現在
現在、日本ビール検定の受験者数は第7回までで累計約24,000名に上っています。その中から約13,000名の合格者を輩出するほどになりました。
また天気予報士の佐々木聡美さんも取得しているなど著名人にも広がり、様々な業界の中で非常に有名な資格に成長しています。
なお元々は筆記受験でしたが、第10回、第11回は感染症対策でCBT方式でのオンライン受験となりました(受験はテストセンターで実施)。今後もしばらくはCBT方式が続くと予想されています。
今もビールは進化し続けている
ビールは紀元前3000年頃、メソポタミア文明の時代が起源と言われています。
さわやかな芳香や味に当時から人々は魅了されており、ヨーロッパでは修道院でもビールの製造が認められるなど、多くの人にとって特別な飲み物であり続けてきました。
日本のビールは世界も認めている
日本において初めてビールが製造されたのは1800年代に入ってからですので、歴史はそこまで古くありません。諸説ありますが、明治14年(1881年)には日本人向けのビールが発売されたという記録が残っています。
その後ビールは日本国内で様々な発展を遂げ、現在は日本産のビールは世界でも認められる品質になっています。
特に日本のクラフトビールは世界にもファンが多く、本場ドイツでも日本産のクラフトビールを好んで飲む方が増えてきています。
日本ビール検定の難易度
それでは、まず日本ビール検定の難易度はどれくらいなのかをご紹介します。
日本ビール検定の試験範囲と出題形式
日本ビール検定は3級から1級があり、以下のような出題形式です。
- 3級・2級:マークシート(4者択一 全100問)
- 1級:マークシート(4者択一)+記述・論述問題(全71問)
なお、どの級にも実技試験はありません。
出題範囲
日本ビール検定の出題範囲は日本ビール文化研究会公式サイトにて以下のように紹介されています。
3級:公式テキストからの出題が中心となります。公式テキストを学習すれば合格可能です。
2級:公式テキストを深く学習、理解すれば合格可能です。主要な輸入ビール・国内クラフトビールの話題からも数問出題します。
1級:公式テキストからの出題の他、ビールに関するうんちくや時事情報等、幅広い範囲から出題します
1級を受験する場合は時事問題も出ますので、普段からビールに関するニュースや書籍に触れる習慣をつけておきましょう。
レベルごとの解説
日本ビール文化研究会公式サイトによる、各級のレベルは以下の通りです。
3級:原料や基本的な製法・スタイル、ビールの日本史、ビールの味わいを中心に出題。ビールを知ることで、普段のビールがもっとおいしくなります。
2級:ビール文化・歴史を語ることができ、ビール通になりたい方を対象とした中級レベル。酒類を扱う仕事の方や、ビール愛好家向け。ビアバー・ビアパブでの会話も弾みます。
1級:ビールに関する広範囲な知識をもち、自らビール文化を発信できる愛好者の頂点を目指す方を対象とした上級レベル。
日本ビール検定の合格ライン
日本ビール検定の合格ラインは以下の通りです。
- 3級:60点以上(100点満点)
- 2級:70点以上(100点満点)
- 1級:80点以上(100点満点)
合格率は級によってはかなり低い
日本ビール検定の気になる合格率ですが、以下のようになっています。
年度 | 3級 | 2級 | 1級 |
---|---|---|---|
2019 | 84.6% | 60.7% | 9.2% |
2018 | 91.4% | 43.1% | 6.1% |
2017 | 87.2% | 52.5% | 9.7% |
2016 | 86.8% | 30.4% | 5.1% |
2015 | 78.1% | 7.8% | 7.8% |
こうして見てみますと、3級は誰でも合格可能なレベルですが、1級はかなり合格率が低くなっています。
実は1級は、これまでに合格者が約100人しか出ていません。超難関資格であることを心に留めておきましょう。
合格者得点は?
こまでの合格者の得点率を見ると、3級では概ね80~90点台が多いようです。2級だと70~80点が多いのですが、70点が合格ラインですから頑張って得点率を上げないとギリギリになってしまうかもしれません。
1級は60点以下しか取れていない人が多く、合格ラインである80点以上を取るためにはかなり頑張る必要があるでしょう。
ビール検定の勉強時間はどれくらい?
日本ビール検定の受験に必要な勉強時間ですが、2・3級であれば1ヶ月前から1日あたり30分~1時間程度の勉強時間を取るようにするのがおすすめです。
ただ、実際は1週間前からテキストを読み始めて太字部分を覚えていけば合格率はかなり高くなるようです。
1級については、半年~1年前から勉強を始めている方もおられます。合格率の低さから考えても、かなりの勉強時間を確保しないと合格は難しいでしょう。
日本ビール検定を取ることをおすすめする人
日本ビール検定の資格取得をおすすめしたいのは以下のような方々です。
- ビールが大好きでたまらない人
- ビール関係の業界に就職・転職を考えている人
- ビールの製法や美味しい飲み方についての蘊蓄を知りたい人
ビールについて詳しく知っておけばご自身がビールを飲む時に役立つのはもちろんのこと、ビールに関する豆知識を飲み会などで披露すれば、周りの方も喜ぶはずです。
宴会などで話題提供ができるようになるのはかなりのメリットと言えるでしょう。
またサッポロビールの社内から始まった資格ですから、ビール業界に就職や転職を考える方にも非常におすすめできます。
日本ビール検定の勉強法
日本ビール検定を受験するためには、どのような勉強をすれば良いのでしょうか。
日本ビール検定の勉強法は?独学は可能?
日本ビール検定は、2級と3級については公式テキストをしっかり読んで独学しておけば対策としては十分です。ただし、2級については細かいところまで網羅しておきましょう。
1級はかなりの勉強量が求められる
1級も基本的にテキストでの独学が可能ですが、テキストの最下部にある「Key Word」やコラムなど、かなり細かいところからもよく出題されます。テキストの細部に渡ってしっかりと勉強してください。
さらに時事問題や小規模ブルワリーの動向、さらには海外のビール事情まで対策が必要です。
単語を書き出す記述問題や200字以内の論述問題(配点20点)も出題されますし、論述問題は配点が高いので満点を狙ってください。
指定されたキーワードを使って素直に書けば合格ラインが目指せますが、元の知識の裏付けが重要です。
記述には部分点があることも
論述問題は、多少の誤記があっても部分点(1点)がもらえる可能性があることが、受験者の自己採点などの結果により噂されています。
もしわからない問題があった時も、多少あやふやでも構いませんから回答を記入しておいたほうが良いでしょう。
時事問題は新聞でチェック
1級の時事問題は、記述問題と4択問題両方で出題されます。時事問題対策として普段から見ておくべき情報は以下の通りです。
- ビールの審査会の結果(問題にしやすいため必ず抑えておくこと)
- ワールドビアカップの結果(米国、偶数年に開催)
- オーストラリアンインターナショナルビアアワーズの結果(世界最大の国際的な審査会
その他に日経新聞などもビール情勢がよく取り上げられるので、注意して追いかけていきましょう。
おすすめテキスト・問題集
日本ビール検定のおすすめ問題集はこちらです。
- 「日本ビール検定公式テキスト」1,500円+税(マイナビ出版)
内容は「Part1. ビールの基本」「Part2. ビールを知る」「Part3. ビールの文化」「Part4. ビールを味わう」の4部構成で、図や写真が多用され読みやすいものとなっています。
208ページありますから計画的に学習し、内容を網羅していきましょう。
過去問は存在する
日本ビール検定には過去問もあります。
- 日本ビール検定過去問題集(2019年度版)2,000円+税
こちらのテキストは第6回・第7回「日本ビール検定」 の2級問題・1級問題を1冊にまとめたものですが、書店では売られていません。
オンラインショップ「検定受け付けてます本店」にて購入することができます。
無料の模擬問題も
日本ビール検定公式HPでは無料の模擬問題を公開しています。例題としては以下のようなものです。試しに解いてみましょう。
例題1)イギリスで第1号の登録商標となったビールブランド名を答えよ
正解:Bass(バス)
例題2)ビールの主原料の一つであるホップにまつわる史実として、正しいものを次の選択肢より選べ。
- (1)イギリスではホップを原料として使用したものをエール、ホップを使用しないものをビールと呼んで区別する時代があった。
- (2)1872(明治5)年、岩手県でトーマス・アンチセルにより野生のホップが発見された。
- (3)14~15世紀のハンブルグでは、ハンザ同盟による交易拡大に伴ってホップを使用した高品質なビールの醸造が浸透し、グルートを使用したビールは衰退していった。
- (4)8世紀にはヨーロッパでホップが栽培されており、ビールのためにホップが使用された記録は、ビール純粋令発布直前の15世紀末に初めて現れる。
正解:(3)
日本ビール検定の勉強をするメリット
日本ビール検定について勉強すると、様々なメリットが考えられます。
日本ビール検定を取ることでビールに詳しくなる
日本ビール検定の勉強をすることで、ビールに関する蘊蓄を飲み会などで色々な人に披露することができるようになるでしょう。
またご自身でビールを楽しむ時も、一番美味しい飲み方で飲むことができます。実際の合格者の方からも「今まで知らなかったビールに出会える」「美味しく飲める」と嬉しい声が非常に多く聞かれます。
1級を取ればビール仲間もできる
日本ビール検定の1級に合格すると、「1級合格者の会」という1級合格者だけの交流会に参加することができます。
「1級合格者の会」はビールをこよなく愛する人同士の集いなので、会に参加することで共通の趣味を持つ仲間が見つかることでしょう。人の輪が広がるのも日本ビール検定の大きな魅力と言えます。
満点をとればビール1年分がもらえる
日本ビール検定に合格すると、認定カードや認定名刺がもらえる他、希望者には有料で記念品も用意されています。
また、もし100点満点で合格しますと、「ビール1年分」がプレゼントされます。(びあけん選定のビールとなります)
これは全ての級においての共通ですので頑張ってください。 なお、対象者が複数人おられる場合は山分けとなります。
日本ビール検定の試験日程・会場・申し込み方法
日本ビール検定の試験日程や申し込み方法などは以下の通りです。
日本ビール検定の基本情報
日本ビール検定は年に一度、9月末頃の実施です。会場は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5ヵ所が多いです。
第10回、第11回はCBT方式となった関係で、全国47都道府県にあるテストセンターでの受験となりました。
申し込み期間は5月頃から検定1ヶ月前までとなりますので、忘れずに申し込むようにしましょう。インターネットか郵便払込取扱票で申し込むことができます。
検定後の11月中旬には全受検者へ合否結果と得点ランキングが送付されますので楽しみに待っていてください。
日本ビール検定に受験資格はある?
日本ビール検定はお酒の資格試験ですので満20歳以上でないと申し込めません。それ以外の受験資格は特にありませんが「ビールに対する興味・関心を寄せる方」であることが前提となります。
ただし1級は2級合格者、または2級・1級併願受検者しか受けることができません。2級・1級併願の場合でも、2級の採点結果が合格基準に満たない場合には1級の合格は認められませんのでご注意ください。
日本ビール検定の受験料
日本ビール検定の受験料(通常)は以下の通りです。
級 | 検定料 |
---|---|
3級 | 4,500円 |
2級 | 5,500円 |
1級 | 7,500円 |
3級・2級併願 | 9,000円 |
2級・1級併願 | 12,000円 |
ユニークな割引が充実
上記の通常料金とは別に日本ビール検定には色々な割引制度があります。
級 | ととけん割引 | 麦割 | 団体受検割引(1名あたり) | 1級高得点者割 |
---|---|---|---|---|
3級 | 4,400円 | 4,400円 | 4,400円 | – |
2級 | 4,950円 | 4,950円 | 4,950円 | – |
1級 | 7,000円 | 7,000円 | 7,000円 | 5,400円 |
各割引の対象者は以下の通りです。
- ととけん割:「日本さかな検定(愛称: ととけん)」に合格した方
- 麦割:「パンシェルジュ検定」に合格した方
- 団体受験割引:4名以上から。各級1人200円割引(各級の併願割引との併用はできないので、申し込むときは併願料金が適用されます)
- 1級高得点者割:前回の日本ビール検定1級の受検時に70点以上獲得した方
なお、割引の内容や実施の有無は実施回によって変わるので、受験前にその都度確認するようにしましょう。
日本ビール検定と合わせて取りたいおすすめ資格
日本ビール検定と合わせて取りたい資格をご紹介します。どれもおすすめの資格ですのでぜひチャレンジしてみてください。
ビアテイスター
ビアテイスターは「日本地ビール協会」が主催で行っている資格で、「官能評価(テイスティング)によってビールの出来の良し悪しを客観的に鑑定し、その理由を理論的に説明できる人」を証明する資格です。
セミナーを受講してその後に行われる検定試験を受けることで取得できます。セミナーは9時~18時までの1日で完結するもので、検定は筆記試験55問と官能評価試験6問が実施されます。筆記、官能評価共に共に75点以上で合格となります。
日本ビール検定と合わせて持っておくことでより転職や就職の選択肢が広がるでしょう。
ウィスキー検定
ウィスキー検定は「一般社団法人ウイスキー検定実行委員会」が主催している資格で、世界のウイスキーを対象に、歴史、製法から様々な飲み方、ウイスキーにまつわるうんちくまで、奥深いウイスキーの世界をより楽しむための知識を問う検定です。
3級~1級の他、アイリッシュウイスキー通向けの「IW級」、バーボン通向けの「BW級」、シングルモルトウイスキー通向けの「SM級」など、ウィスキー好きの方にとっては嬉しい級分けになっています。
全てマークシート(1級のみ記述問題あり)で、実技はありません。なお3級の有資格者は現在2,915人で、合格率は90%以上となっています。
テキーラ・マエストロ
テキーラマエストロは、日本テキーラ協会の主催の資格で、テキーラの基本を学ぶ全4回のクラスを受講することで獲得できます。
費用は教材、認定試験を合わせて43,200円となっています。もし追試が必要な場合は4,320円が別途かかりますが、全ての講義をしっかり受けておけばほぼ全ての方が合格できる検定になっているのでご安心ください。
講義ではテキーラの歴史や製法、定義などテキーラの基礎知識をしっかり身に付けた上で、実際に多くのテキーラを試飲しながら学んでいく形式です。
日本ビール検定まとめ
日本ビール検定まとめ
- 日本ビール検定の難易度は3級は簡単だが1級は超難関
- サッポロビールの社内企画が発祥なので転職を考える人にもメリットがある
- 記念品や満点獲得者へのプレゼントがあるため励みになる
日本ビール検定についてをご紹介してきました。
プライベート面だけでなく転職を考える方にも非常に魅力的な資格ですので、ぜひ取得を目指してみてはいかがでしょうか。
今よりもワンステップ上のあなたを目指してみてください!