和食検定ってどんな資格?難易度・過去問・独学勉強法まで全て解説!
「和食検定」は、和食が無形文化遺産に登録されて以来注目されている検定の1つです。
和食に興味を持っている人は、どんな試験かや資格獲得のメリットは何かなど気になると思います。
そこで、この記事では、和食検定の独学の進め方や勉強法、難易度などを詳しく解説していきます。
和食検定についてざっくり説明すると
- 入口のハードルが低い検定
- 試験勉強を通じて国際色豊かな人間になれる
- 検定は年に2回、日本の各都市で実施されている
和食検定ってどんな資格?
和食検定とは日本人なら知っておきたい歴史ある食文化を測る検定です。
名前を聞くと難しそうですが、案外入口のハードルが低い検定でもあります。ここでは、和食検定について詳しく説明していきます。
和食検定とは
和食検定とは、日本の食文化を正しく理解して日本食の魅力を再確認できる検定です。そして、この検定によって得られた知識を継承し、伝えていくことを目的にしています。
2011年にスタートした新しい資格ですが、和食をどの程度理解しているかを測る物差しとして広く使われ始めています。 仕事に活用するだけでなく、和食に興味がある人にもおすすめです。
和食検定の主催団体
和食検定の主催団体は、一般財団法人の日本ホテル教育センターです。日本ホテル教育センターは、ホテルなどの人材を育成することで観光産業の発展に寄与することを目的に作られた団体です。
他にもホテルマネジメントシミュレーション (HMS)やホテルビジネス実務検定試験(H検)などを主催しています。
国土抗交通省観光庁や文部科学省、一般社団法人国際観光日本レストラン協会、一般社団法人日本旅館協会、一般社団法人全日本シティホテル連盟などの団体がセンターをサポートしています。
和食検定は留学生増加で注目を集めている
和食検定は日本にやってくる外国人にも注目されています。特に、留学生は日本に高い関心を持っているので、無形文遺産である和食を学んで帰ろうとしているのです。
留学生や訪日外国人は年々増加傾向にあるので、和食検定の注目度もさらに高まっていくものと考えられます。現在までに通算6000人以上が受験しています。
また文部科学省や観光庁が後援しているため、知名度も高まっていくと考えられる有望な検定です。
和食検定の難易度
ここでは和食検定の試験形式や合格ラインを説明し、どれくらいの難易度なのかを説明していきます。
和食検定の試験範囲と出題形式
和食検定には3つのカテゴリーがあり、それぞれ難易度が分かれています。以下で具体的な内容を説明していきます。
初級レベルの出題範囲や試験形式は?
初級レベルの出題範囲は、食事様式、調理法などの食事を問うものがあります。地理的、気候的、歴史的な背景も試験範囲になっています。
出題形式は100問のマークシート式選択問題で、60分間の試験です。注意すべきは、100問のうち10問が英語に関する設問です。
基本レベルの出題範囲や試験形式は?
基本レベルの出題範囲は、大きく「料理」「接遇」「和食基礎英語」の3つに分かれます。3つの構成に分かれるので、初級レベルよりもさらに難易度が上がり幅広い知識が必要です。
出題形式は料理と接遇からそれぞれ80問、和食基礎英語から40問の計120問がマークシート式選択問題で、90分間の試験です。
実務レベルの出題範囲や試験形式は?
実務レベルの出題範囲は、大きく「振舞」「伝心」「和食応用英語」の3つに分かれます。振舞い方やマネジメント、危機管理といった「和食」以外の知識も必要です。
出題形式は振舞と伝心からそれぞれ80問、和食応用英語から40問の計120問がマークシート式選択問題で、90分間の試験です。
和食検定の合格率、合格ライン
和食検定の合格率や合格ラインは、他の資格や検定とは少し異なります。どのような違いがあるのか、以下で具体的に説明していきます。
和食検定初級レベルの合格率と合格点
初級レベルには、点数によって3級・2級・1級に分けられます。正解率60%以上なら3級認定。75%以上なら2級認定。90%以上なら1級認定です。第一回から第十二回までの合計受験者数は3,567人で、合格者は1,998人です。
以下は、認定別の合格級の内訳です。
認定者 | 人数 | 認定率 |
---|---|---|
3級認定者 | 888 | 24.9% |
2級認定者 | 759 | 21.3% |
1級認定者 | 351 | 9.8% |
認定者合計 | 1,998 | 56.0% |
和食検定基本レベルの合格率と合格点
基本レベルも、点数によって2級と1級に分けられます。
「全体の正解率が65%以上かつ各項目の正解率が60%以上の場合」は2級認定、「全体の正解率が85%以上かつ各項目の正解率が80%以上の場合」は1級認定です。
第一回から第二十回までの合計の受験者数は4,233人で、合格者は1,655人です。
以下が、認定別の合格級の内訳です。
認定者 | 人数 | 認定率 |
---|---|---|
2級認定者 | 1,341 | 31.7% |
1級認定者 | 314 | 7.4% |
認定者合計 | 1,655 | 39.1% |
和食検定実務レベルの合格率と合格点
実務レベルも、点数によって2級と1級に分けられます。
「全体の正解率が65%以上かつ各項目の正解率が60%以上の場合」は2級認定、「全体の正解率が85%以上かつ各項目の正解率が80%以上の場合」は1級認定です。
第一回から第十一回までのすべての受験者数は357人で、合格者は264人です(合格率は73.9%)。
そして、認定別の合格級の内訳は、2級認定者が150人(42.0%)、1級認定者が114人(31.9%)でした。
以下が、認定別の合格級の内訳です。
認定者 | 人数 | 認定率 |
---|---|---|
2級認定者 | 150 | 42.0% |
1級認定者 | 114 | 31.9% |
認定者合計 | 264 | 73.9% |
和食検定を取ることをおすすめする人
和食検定は、和食に興味がある人、日本の食文化を海外に発信したい人、すでにレストランや旅館など和食に関わりを持っている人におすすめです。
また、日本食に関わる仕事を目指している学生や留学生にもおすすめです。他にも、マナーの知識も必要になってくるので、和食に関係がなくても、人の教育に携わっている人は価値がある検定といえるでしょう。
和食検定の勉強法
和食検定は、高い認定級を目指すとなるとしっかりとした対策が必要になってきます。そこで、どのような勉強法が有効かを説明していきます。
和食検定の勉強法は独学
和食検定は、通信講座やスクールがないので、独学で学んでいきます。そして、教材は400ページくらいある公式テキスト。
これをとにかく何度も読んで覚えていきます。合格の近道は、基本的にテキストを読むことであると覚えておいてください。
検定試験では和食に関する固有名詞や料理の英語名などが出てくるので暗記に苦労しますが、しっかりと覚えれば、覚えた分だけ点数は取れるので頑張りましょう。
おすすめテキスト・問題集
和食検定のおすすめのテキストと問題集は以下の通りです。
テキスト | 価格(税別) |
---|---|
和食検定初級レベル準拠テキスト | 3,600円 |
和食検定基本編準拠テキスト | 5,000円 |
和食検定実務レベル準拠テキスト | 5,000円 |
それぞれ日本ホテル教育センターが販売しています。
過去問は存在する
公式サイトには過去問が存在します。どんな問題が出題されるのか気になる人は、公式サイトを覗いてみてください。
検定詳細にいくと、レベル別にいくつか問題がありますので、自分の受験予定の問題例を解いてみてください。
和食検定の勉強をするメリット
和食検定を取得するといろいろなメリットがありますので、紹介していきます。
旅館やレストランに就職・転職したい方はとるべし
旅館やレストランに就職・転職を考えている人は、就職後に勉強することが少なくなります。
特に仕事を始めた時は覚えることが多いですので、和食検定を持っていると、かなり有利になることは間違いないです。
もちろん、就職や転職の面接時にも有利になります。職場で活用できそうな人は、ぜひ取得してみてください。
地域や日本の魅力を再発見できる
和食は日本の文化と密接に関わっています。そのため、和食検定を学んでいると、さまざまな地域が持つ独自の特徴や日本の魅力を再発見しやすくなるなどのメリットがあります。
また、旅先で出てくる料理を見て、家族などと和食の会話が弾ませられるでしょう。日本に訪れた外国人に、日本の食文化について説明してあげられるようにもなります。
テキストが経営に役立つ
和食検定は経営にも役立ちます。例えば、実務では部下の育成に向けたスキルが学べます。
他にも、和室での振舞い方や接遇のマナーなどを身につけられます。マナーを知らないと、相手から信用してもらえないこともあるため非常に大切です。
このように和食検定でマナーを学ぶことで、経営者になってからも十分役に立つ知識が得られるのです。
和食検定の試験日程・会場・申し込み方法
ここでは、和食検定の試験日程や会場、申し込み方法などを説明していきます。
和食検定の試験日程・会場は?
和食検定の初級・基本レベルは、10月下旬頃と2月下旬頃の年2回実施されます。実務レベルは10月のみですので、注意が必要です。申し込みは試験の2ヶ月半前から始まり1ヶ月前をめどに終了します。
また、受験会場は以下の2通りのどちらかで実施されます。
試験日程 | 会場 |
---|---|
10月 | 札幌、東京、大阪、福岡 |
2月 | 札幌、東京、大阪、福岡 |
ただし、人数や会場等により、変更されることもあります。
和食検定に受験資格はある?
初級レベルと基本レベルは受験資格はありません。つまり、誰でも受験できます。
ただし、実務レベルは、基本レベルの1・2級の認定者に限られています。そのため、実務レベルを受験するには、事前に基本レベルを受けて合格しておくことが必要です。
ちなみに、実務レベルには、膨大な勉強時間と和食業界の経験者が推奨されています。
和食検定の受験料
和食検定の受験料はレベルによってそれぞれ違いがあります。検定を申し込む前に、自分の受けるレベルの受験料を確認するようにしてください。
以下でレベル別の受験料をお伝えします。
レベル | 受験料(税込) |
---|---|
初級レベル | 4,100円 |
基本レベル | 5,100円 |
実務レベル | 8,200円 |
支払い方法はクレジットカード、コンビニ、郵便局の3つが可能です。
和食検定と合わせて取りたいおすすめ資格
和食検定と合わせて取っておくと有効な資格がありますので、4つ紹介していきます。
和食ソムリエ
和食ソムリエは日本安全食料料理協会が主催していて、和食ソムリエとして基本的な和食の知識や技術・技能を持っていることが認定されます。
だしの種類や和包丁などの道具の種類、煮物など和食の料理に関する幅広い知識が問われます。
つまり、和食検定と重なる部分もあるので、複眼的に和食を捉えられてより深い知識を得られるのです。
日本料理ソムリエ
日本インストラクター技術協会が主催していて、日本料理に関する知識を有していることとその知識を教える講師として認定されます。
この資格を持っていると、季節に合った料理レシピの構築、懐石料理に関する知識・レシピの構築のスキルがあることを証明できます。
もちろん、勉強の過程で料理の幅をグッと広げられることも魅力的です。
和食マイスター
日本野菜ソムリエ協会が実施している資格です。合格すると日本伝統食文化を幅広く学び、和食のおいしさや楽しさを理解し、伝えることのできるスペシャリストとして認定されます。
特に、お米と雑穀をおいしくいただく方法や野菜や魚の調理のポイント、飾り付け方など、和食をよりおいしく食べるための方法が学べます。
和食をおいしく食べたいと考えている人には特におすすめです。
和食アドバイザー
日本実務能力協会が主催している検定です。和食アドバイザー検定とは、和食の知識やスキルを習得し、その魅力や素晴らしさを多くの人々に伝えることのできる人材を育成することを目的としています。
1級では調理や加工の技術も身につくので、和食検定と一緒に取ることで和食の魅力をより多くの人に伝えるすべを手に入れられます。
和食検定についてのまとめ
和食検定についてのまとめ
- 和食に興味を持っている人におすすめの検定
- 和食の魅力を伝えるのに必要な知識がしっかりと身につく
- 経営者・指導者としてのスキルも学べる
- レストランや旅館など、和食に携わっている人は持っていると有利
和食検定は、無形文化遺産となった和食の奥深さをいかんなく学べ、魅力を発信できる知識が身につく検定です。少しでも和食に興味を持っている人は、ぜひ挑戦してみてください。
また、和食だけでなくお箸の正しい扱い方や食事のマナー、和室での適切な振舞い方など、日本の文化についても学べます。
決して知識としてだけでなく、国際人としての振舞い方まで学べる検定です。世界に羽ばたきたいと考えている人は、実務レベルまで極めてみてください。誰が見ても恥ずかしくない知識とスキルを身につけられますよ。