茶道文化検定ってどんな資格?難易度・試験概要・取得メリットまで全て解説!

今、日本文化が改めて見直されています。東京五輪も控えており、自国の文化について知っている、説明できるということは、グローバル化している現代においてコミュニケーション力を上げる大きなスキルであると言えます。

伝統的な日本文化の中でも、敷居の高いイメージのある茶道ですが、経験が無くてもその文化についての知識があることを認められる検定試験があります。

ここでは、茶道文化検定の概要から難易度・勉強するメリットについてまで、詳しく解説していきます。

茶道文化検定についてざっくり説明すると

  • 茶道の経験がなくても受検できる
  • 基本は独学、難易度は級による
  • 試験は年に1回、隣接する級の併願が可能
  • 令和3年度から茶道文化検定Web版にリニューアル
  • 受験料の割引制度がある

茶道文化検定ってどんな資格?

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茶道文化検定とは

茶道文化検定は、茶道を通して日本の文化を学び、国際化社会である現代において自国の文化を広く深く身に付ける事を目的とした資格です。

令和元年の試験で第12回を数え、毎回小学生から80代の方まで、幅広い年齢層の方が受験しています。

令和3年度からは茶道文化検定Web版としてリニューアルが行われ、試験は受験期間内にオンライン受験する形式へと変更されました。

茶道文化検定の主催団体

茶道文化検定は、「一般財団法人 今日庵茶道資料館」というところが主催で行われています。

今日庵茶道資料館は、京都市上京区にあり、令和元年で開館40周年を迎えています。

資料館では、茶道に関する企画展が開催される他、茶道関連の図書・映像・雑誌などを閲覧できる「今日庵文庫」という図書館が併設されています。

また、展覧会期間中の開館日には「呈茶席(ていちゃせき)」が設けられ、入館者に抹茶と和菓子が出されます。

そもそも茶道とは

日本史の授業等で「千利休(せんのりきゅう)」の名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、古くはその時代もしくはそれ以前から、長い年月をかけて深い精神性と独自の哲学を礎にして受け継がれてきた、日本を代表する伝統文化の一つが茶道です。

茶道と一言で言っても、美術工芸建築庭園なども深く関わっています。

また、「」の思想と深い関わりを持ち、海外でも広まりつつあります。茶道とは、単純にお茶席の作法などというものではなく、様々な分野から成り立つ総合文化であると言えます。

茶道は再び注目を集めている

茶道文化検定は毎回4,000~5,000人程度が受験しており、受験者層は年齢を問わず幅広くなっています。中学校や高校、大学等の茶道部で受ける若い人たちもいます。

2020年の東京オリンピックが決まった際も外国人観光客の誘致を積極的に行われ、五輪誘致活動の際に有名人がスピーチで発言した「おもてなし」という言葉が話題になりました。日本の習慣や建築物など、茶道に限らず日本文化が今改めて見直されています。

異文化交流が増えていくと考えられる状況の中で、知り合った外国人の方に日本文化について尋ねられて「よくわからない・・・」となるとなかなかに恥ずかしいものです。

日本独特の文化である三道、その中でも「わび・さび」など海外でもその関連語が知られている茶道について知識を深めるのに、今は絶好のタイミングであるといえるでしょう。

茶道文化検定の難易度

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茶道文化検定の出題形式

茶道文化検定の出題方式ですが、基本的には択一式です。1級のみ、選択式に加えて記述式の問題も出題されます。

なお、以前はマークシートでの回答でしたが、現在はオンライン受験となったのでマークシートは使わなくなりました。また、Web版になってから問題数や試験時間が少なくなっています。

解答形式 問題数 検定時間
4級 択一式 50問 30分
3級 択一式 60問 45分
2級 択一式 80問 60分
1級 選択式+記述 80問 80分

茶道文化検定の試験範囲

いずれの級も「茶道の文化」について出題されますが、出題のレベルとしては「4級:基礎的な知識」「3級:一般的な知識」「2級:やや高度な知識」「1級:高度な知識」となっています。

試験範囲は、以下の通りです。

試験範囲
3・4級 茶のこころ、茶の歴史、茶事・茶会、茶道具、茶室・露地の分野
1・2級 茶の歴史、茶事・茶会、茶道具、茶室・露地、茶と禅、茶関の端、茶業、懐石、菓子の分野

2~4級に関しては、ほとんどが公式テキスト、公式問題集から出題されますが、1級についてはそれらを基本に幅広く出題されます。

茶道文化検定の合格率、合格ライン

茶道文化検定の合格ラインは、2~4級は70%以上の正解、1級で80%以上の正解となっています。

直近の開催年毎の合格率は以下の様になっています。

2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
4級 65.8% 86.6% 87.7% 89.4% 90.2%
3級 67.6% 77.4% 68.5% 79.0% 77.3%
2級 26.0% 44.0% 45.1% 39.9% 49.1%
1級 2.0% 12.5% 5.5% 10.9% 0.9%

3・4級はそれほど難しくはありませんが、2級になると急激に難易度が上がり、1級ともなると難関レベルであると言えます。

茶道文化検定を取ることをおすすめする人

茶道をされている人はもちろんですが、経験したことがなくても、茶道を始めとして日本の伝統や文化に興味がある人にはまずおすすめです

また、自分自身がそこまで興味を持っているということでなくても、日本文化の魅力を外国の方に伝えたいという人や、仕事やボランティアなどで外国人観光客と接することが多いという人にもおすすめと言えます。

日本文化に興味がある外国人の受験者も実際に、徐々に増えつつあります。

茶道文化検定の勉強法

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茶道文化検定の勉強法は? 独学は可能?

茶道文化検定の取得を目指す際の勉強法としては、独学が基本です。

2~4級は主に公式テキストと問題集から出題されるので、それに沿ってしっかり取り組めば十分に対応できます。

1級は公式テキストと問題集以外からも出題されるので、関連書籍にも目を通しておく必要があります。

実際のところ、茶道文化検定の通信講座やスクールはないので、独学で勉強するしかないですし、それで大丈夫であると言えます。

ただし、茶道部の学生や茶道教室に通っている人は、講師や師範の先生に不明点などを聞いたり解説してもらったりすることができるでしょう。

各級の勉強のポイント

  • 4級:茶道に関する基礎的な出題。この級の第一の目的は、知識の幅を広げ深めていくために必要不可欠な語句を覚えること。テキストを中心に、過去問題・練習問題を繰り返し解く。

  • 3級:茶道に関する一般的な出題。道具の名称、歴史的事項などを、単に語句を覚えるだけでなく意味を理解すること。テキストを中心に進める。

  • 2級:下位級に比べ、分野が細かく分かれ、さらに広い知識が問われる。テキストを中心に勉強するが、文章の穴埋め問題も出てくるため、練習問題で慣れておくこと。

  • 1級テキスト内外より広く出題される。テキストをしっかり読み込み、それぞれの関連性も意識する。参考図書を読む。日々のお稽古・お茶会、美術館等で少しでも多く茶道文化に触れておく。 記述式の問題もあるため、楷書で正しく書けるようにする。漢字の語句は勘違いのないよう正確に認識しておく。

公式テキスト・問題集

【公式テキスト】

  • 4級「茶道文化検定テキスト4級 -茶の湯をはじめる本-」¥1,100 淡交社
茶の湯をはじめる本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト4級
1100円
茶の湯をはじめる本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト4級
1100円
  • 3級「茶道文化検定テキスト3級 -茶の湯がわかる本-」¥1,650 淡交社
茶の湯がわかる本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト3級
1650円
茶の湯がわかる本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト3級
1650円
  • 1・2級「茶道文化検定テキスト -茶の湯を学ぶ本-」¥2,000+税 淡交社
茶の湯をまなぶ本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト 1級・2級
2530円
茶の湯をまなぶ本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト 1級・2級
2530円

【問題集】

茶道文化検定公式問題集12 1級・2級・3級・4級
1540円
茶道文化検定公式問題集12 1級・2級・3級・4級
1540円

1・2・3・4級用の問題集が淡交社より販売されています。その中に練習問題と、前回試験の問題・解答解説が掲載されています。

過去問は資格試験を受けるときには王道の勉強法です。頻出問題の把握や重要ポイントを押さえることが容易になるので、是非活用してください。

練習問題も存在

茶道文化検定の公式サイトでは、練習問題を無料で解くことが出来ます。問題集を買うほどの予算が無い・・・、という方におすすめです。

市販の問題集で勉強した人も、試験前の練習として取り組むのにちょうど良いでしょう。

茶道文化検定の勉強をするメリット

桜のイメージ

茶道をはじめとする日本文化に詳しくなる

茶道文化検定の勉強をすることで、茶道だけではなく、現在に引き継がれる日本の伝統文化の根源を学ぶことができます。また、京都など歴史や趣のある場所へ旅行したときに、日本文化の良さを実感をもって感じることができるようになるでしょう。

さらに、茶道を始めとする日本文化は外国人にも人気を集めており、それらの説明や紹介を通じて様々な人との交流のきっかけにもなると言えます。

合格すると指定施設の入館料の優待がある

検定に合格してから一年間、全国の指定された美術館や博物館などに、優待料金で入ることができます。

対象となる施設はホームページに掲載されますが、一部を紹介すると、津軽茶道美術館(青森)、三井記念美術館(東京)、昭和美術館(愛知)、茶道資料館(京都)、四天王寺(大阪)、熊本県立美術館(熊本)などがあります。

実利的なメリットは多くはない

このほか実利的なメリットがあるかというと、正直なところ微妙です。合格したからと言って、就職や転職に有利、というようなことはあまりないでしょう。

しかし、茶道や華道、書道など日本の伝統的文化について嗜みがある、知っている、ということは、その人の教養を広くするとともに、まわりからの評価や印象を大きくアップさせることに繋がります。

茶道文化検定は、茶道についての「知識」を体系的に学ぶものなので、茶道の経験自体がなくても受けられます。下位級であれば難易度もそれほど高くありません。

ですので、茶道教室に通うほどのエネルギーやモチベーションはないけど茶道に興味があるという方には茶道文化検定を受けるメリットは十分にあるでしょう。

また、これから茶道を始めたいと思っているが全くの初心者でいきなり教室に通うのは勇気が要る、というような方にもおすすめできると言えます。

茶道文化検定の試験日程・会場・申し込み方法

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茶道文化検定の基本情報

茶道文化検定は年に一回、11月頃に実施されます。第13回茶道文化検定は、2020年11月29日()が試験日でした。

令和3年からは茶道文化検定はWeb受験となっているので、試験会場の指定はありませんが、それ以前は以下の19ヶ所で会場受験を実施していました。

  • 札幌
  • 秋田
  • 仙台
  • 新潟
  • 東京
  • 横浜
  • 金沢
  • 名古屋
  • 京都
  • 大阪
  • 神戸
  • 米子(鳥取県)
  • 岡山
  • 広島
  • 松山
  • 福岡
  • 熊本
  • 鹿児島
  • 沖縄

茶道文化検定に受験資格はある?

受験資格は以下のように設定されています。

受験級 受験資格
3・4級 特になし
2級 3級合格者、3・2級併願受験者※
1級 2級合格者

※3・2級併願受験者で3級が不合格だった場合は、2級の採点は行われない

茶道文化検定の受験料

受験級 受験料
4級 ¥3,000
3級 ¥4,500
2級 ¥6,000
1級 ¥7,800
4・3級併願 ¥6,500
3・2級併願 ¥9,500

受験料の割引もある!

茶道文化検定には受験料の割引制度があります。

「22歳以下割引」と「繰り返し受験割引」の二種類の割引制度があり、それぞれ受験料から500円が割り引かれます。

繰り返し受験割引は、過去に受験したことがある級を再度受験する場合に適用されます。

また、この二つの割引制度は併用が可能なので、22歳以下で前回と同じ級を受験する、と言う場合には受験料が1,000円割引になります。

茶道文化検定と合わせてとりたいおすすめ資格

握手のイメージ

日本城郭検定

日本のお城が好き、城巡りが好き、と言う方におすすめなのが、日本城郭検定です。

日本城郭協会というところが実施しており、日本の城郭の奥深い魅力をより多くの人に知って欲しいという目的で行われています。

レベルは5段階に分かれており、自分のレベルに合わせて受験することができます。

江戸文化歴史検定

江戸時代の優れた文化や、その時代の人たちの生活の知恵を学び、失われがちな日本の心を思い起こし未来に役立てようという趣旨のもと、2006年から行われている試験が江戸文化歴史検定です。

レベルは3段階(1~3級)で、3級は比較的チャレンジしやすくなっています。

江戸文化や、昔の日本の生活スタイルなどに興味がある方におすすめの試験です。

茶道文化検定まとめ

茶道文化検定についてまとめ

  • 様々な分野から成り立つ総合文化としての茶道について理解できる
  • オンライン受験で基本的には選択式、1級は併せて記述式も出題される
  • 独学で合格可能、合格ラインは正答率70~80%
  • 合格者に入館の優待がある施設もある

茶道文化検定の勉強をすることは、茶道に限らず日本文化の根源を学ぶことに繋がります。

自国の文化について理解と知識があり、自分の言葉で説明できるということは、知らない人に教えるため、後世に伝えていくためにも重要な役割を果たします。

受検資格も特になく、受験料の割引などもあるので、今教室に通っている人はもちろん、これから茶道を始めたいという人にも是非チャレンジすることをおすすめします。

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