統計検定準1級はどんな資格?難易度からおすすめ勉強法・参考書まで一挙紹介!
「統計検定準1級ってどんな内容?」
「統計検定準1級の難易度が知りたい!」
統計検定準1級の受験を検討している方は、このように考えているのではないでしょうか。
この記事では、統計検定準1級の概要、試験の難易度、おすすめの参考書、勉強法などについて解説しています。
統計検定準1級の攻略法を知り、合格を目指しましょう!
統計検定準1級についてざっくり説明すると
- 統計検定準1級の合格率は20%台前半であり、難易度は高い
- 合格点は公表されていないが、60点ほど取るのが目安だと言われている
- 試験範囲が広いため、勉強時間は多く確保した方がよい
統計検定準1級の試験の概要
統計検定は級や区分によって開催時期が違いますが、準1級は毎年6月に開催されています。
統計検定準1級は、統計学の基礎のあとに学ぶ、統計学の応用的な手法について理解しているかが試される試験です。
準1級の試験で前提となるのは、2級の試験内容と、統計解析法の使い方、統計結果を正しく理解できていることです。つまり、これらをしっかり理解できていないと、準1級の問題を解けるレベルには到達できていないと言えます。
このような前提のもと、準1級では各問題に合った統計的な手法を用いて、結果を正しく導き出し、理解する力が問われます。
統計検定準1級の受験者数
統計検定準1級の受験者はどのくらいいるのでしょうか。2015年~2019年までの受験者数をまとめました。
年度 | 受験者数 |
---|---|
2019年 | 853 |
2018年 | 643 |
2017年 | 552 |
2016年 | 485 |
2015年 | 458 |
ここ5年の間に準1級の受験者は約2倍増加しています。他の級でも受験者が増えていますので、統計検定に関心がある方が増えていると考えられます。
統計検定準1級の受験者層
統計検定準1級は、どのような受験者層なのでしょうか。2019年6月度の試験での年齢層をまとめました。
年齢層 | 人数 |
---|---|
18~20 | 44 |
21~23 | 105 |
24~26 | 132 |
27~29 | 123 |
30~32 | 100 |
33~35 | 52 |
36~38 | 58 |
39~41 | 43 |
42~44 | 47 |
45~47 | 28 |
48~50 | 42 |
51~53 | 26 |
54~56 | 27 |
57~59 | 13 |
60~62 | 6 |
63~65 | 3 |
66~68 | 2 |
69~71 | 0 |
72~74 | 2 |
2019年の準1級試験の受験者数は、全部で853人でした。その中で一番多く受験している年齢層は20代で、全体の半分以上を占めています。次に多い年代は30代ですが、70代でも受験している人がいることからもわかるように、幅広い年代の方が受験する検定であると言えます。
試験は会場受験のみ
統計検定は、2級、3級ではCBT方式(コンピュータを使って受験する方式)ですが、準1級は会場での筆記試験のみです。
CBT方式であれば自由な日時・場所で受験できますが、準1級はそれができないことは残念な点であると言えます。
また、2級、3級、4級は年2回受験できますが、準1級は年1回のみの受験であるため、合格できる機会が他の級より限られている点にも注意が必要です。
試験形式・試験範囲
試験では、4~5択のマークシート方式と、部分記述、論述の3つの形式が出題されます。具体的な出題数は以下のとおりです。
出題形式 | 出題数 |
---|---|
マークシート | 20~30問 |
部分記述 | 5~10問 |
論述 | 3問中1問選択 |
このように、記述・論述問題も出題されますので、ただ問題を解くだけではなく記述・論述それぞれの対策も必要です。
また、出題範囲は以下のとおりです。
大項目 | 小項目 | 具体的項目 |
---|---|---|
確率と確率変数 | 事象と確率 | 確率計算・統計的独立・ペイズの定理など |
確率分布と母関数 | 確率関数・同時確率関数・周辺確率関数など | |
モーメント母関数(積率母関数)、確率母関数 | ||
分布の特性値 | モーメント・相関係数・条件つき期待値など | |
変数変換 | 変数変換、確率変数の線形結合の分布 | |
極限定理、漸近理論 | 大数の弱法則、少数法則、中心極限定理、極地分布 | |
二項分布の正規近似、ボアソン分布の正規近似、連続修正、デルタ法 | ||
種々の確率分布 | 離散型分布 | 離散一様分布、二項分布、多項分布など |
連続型分布 | 連続一様分布、ガンマ分布、多変量正規分布など | |
標本分布 | t分布、カイ二乗分布、F分布(非心分布を含む) | |
統計的推測(推定) | 統計量 | 十分統計料、ネイマンの分解定理、順序統計量 |
各種推定法 | 最尤法、モーメント法、最小二乗法、順序統計量 | |
点推定の性質 | 不偏性、有効性、ガウス・マルコフの定理など | |
漸近的性質 | フィッシャー情報量、デルタ法、カルバック・ライブラー情報量など | |
区間推定 | 信頼係数、被覆確率、片側信頼限界 | |
統計的推定(検定) | 検定の基礎 | 仮説、第一種の鹿篭、サンプルサイズの決定など |
検定法の導出 | ネイマン・ピアソンの基本定理、ワルド型検定、正確検定など | |
正規分布に関する検定 | 母平均、歯は分散に関する検定、母相関係数に関する検定など | |
一般の分布に関する検定法 | 二項分布、ポアソン分布など基本的な分布に関する検定、適合度検定 | |
ノンパラメトリック法 | ウィルコクソン検定、符号付き順位検定、順位相関係数など | |
マルコフ連鎖と確率過程の基礎 | マルコフ連鎖 | 推移確率、既約性、再帰性、定常分布 |
確率過程の基礎 | ランダムウォーク、ポアソン過程、ブラウン運動 | |
回帰分析 | 重回帰分析 | 重回帰モデル、残差分析、多重共線性など |
回帰診断法 | 系列相関、はずれ値、Q–Qプロットなど | |
質的回帰 | ロジスティック回帰、プロビット分析 | |
その他 | 一般化線形モデル、打ち切りのある場合、比例ハザード、ニューラルネットワークモデル | |
分散分析と実験計画法 | 一元配置、交互作用、ブロック計画など | |
標本調査法 | 有限母集団、有限修正、各種の標本抽出法 | |
多変量解析 | 主成分分析 | 主成分スコア、主成分負荷量、寄与率、累積寄与率 |
判別分析 | フィッシャー線形判別、SVM、混同行列など | |
クラスター分析 | 階層型クラスター分析・デンドログラム、k-means法、距離行列 | |
共分散構造分析と因子分析 | バス解析、因果図、潜在変数、因子の回転 | |
その他の多変量解析手法 | 多次元尺度法、正準相関、対応分析、数量化法 | |
時系列解析 | 自己相関、ペリオドグラム、状態空間モデルなど | |
分割表 | 分割表の解析 | オッズ比、連関係数、ファイ係数、残差分析 |
分割表のモデル | 対数線形モデル、階層モデル、条件つき独立性、グラフィカルモデル | |
欠測値 | 欠測メカニズム、EMアルゴリズム | |
モデル選択 | 情報量規準、AIC、cross validation | |
ベイズ法 | 事前分布、階層ベイズモデル、Metropolis-Hastings法 | |
シミュレーション、計算多用手法 | ジャックナイフ、乱数、モンテカルロ法など |
準1級では2級までの内容も試験範囲に含まれるため、かなり高度な統計知識が問われます。
また、専門性の高い1級と比べると、知識は浅く広く問われることになりますので、勉強する際には出題範囲をまんべんなく学んでおくことが重要です。
統計検定準1級の難易度は高い
準1級は、他の資格と比べて難易度は高いと言えます。
まず、準1級の合格率は20%前半で推移している場合が多いことが挙げられます。20%という合格率は、資格試験の中でも低い数字です。
また、出題内容では、大学で学ぶ統計学の中では後半の方で学ぶ内容も登場します。2級と比べると専門性が一気に増すことから、難易度が高いと言えます。
さらに、出題範囲が広いため勉強時間を多く取ることが必要です。
以上の3点から、準1級は難易度が高い試験であると言えます。
統計検定準1級の合格率は近年20%前半
準1級の合格率は、2017年には29%台と高くなりましたがその他は20%前半になっています。
資格や検定の一般的な傾向として、合格率が20%程度のものは難関資格、難関検定に含まれます。準1級は難易度が高いと言えるでしょう。
配点・合格点
統計検定は、試験の配点や合格点が公表されていません。
そのため、何点をめどに勉強をしていけばいいのかわからず、試験対策がしにくいのが不便な点であると言えます。
正確な合格点は公表されていませんが、一般的に準1級の合格点は60点くらいであると言われているので、頻出範囲を中心に対策していけば合格に近づくでしょう。
統計検定準1級に合格するためのおすすめ対策法
試験勉強の選択肢は、独学と講座を使った勉強の2種類です。
それぞれの選択肢にメリット・デメリットがあるため、独学か講座かどちらをおすすめできるかは人によって異なります。
独学での学習がおすすめの方
準1級は2級と比べて難易度がかなり上がります。そのため、ある程度統計・数学の基礎的知識がないと独学で勉強することは難しいでしょう。
そのような前提の上で、独学がおすすめできるタイプの方はどのような方なのかご紹介します。
2級までの範囲が固まっていることが前提
独学をするのであれば、大学で学ぶ統計学の基本的な内容が身に付いていることは必須です。その理由としては、
- 準1級が2級と比べて難易度が非常に高くなり、試験範囲も一気に増えること
- 準1級の試験範囲には、2級の試験範囲も含まれている
という2点が挙げられます。そのため、2級の範囲が身に付いていない方は、まず2級の勉強からやり直すか、講座を受けるかのどちらかを選ぶのが無難です。
独学で受験に合格した経験を持つ人
独学で何らかの試験に合格した経験を持つ方は、資格試験でも独学が向いていると言えます。
準1級は専門的内容が多く含まれ難易度が高い試験です。そのため、難易度が高い大学や資格試験を独学で合格した経験を持つ方は、その経験が有利に働き、準1級を独学で対応することが可能であると言えます。
勉強の費用を抑えたい方
講座を受講する場合、数万円の費用がかかる場合が多く、金銭的な負担が大きくなります。
しかし、独学の場合は必要な参考書を揃えればよく、費用は全部で1万円を切ることが多くなります。そのため、費用を抑えたい方は独学がおすすめです。
講座を用いての勉強がおすすめの方
ここまでは独学がおすすめの方をご紹介してきましたが、講座を受講する方が向いている方はどのようなタイプなのかご紹介します。
基本知識があやふやな方
先ほど述べたように、準1級では2級の試験範囲も含まれるため、2級レベルの知識は必須となります。そのため、2級までの知識があやふやな方は、講座を利用して基礎的な知識をしっかり身に付けた方がよいでしょう。
2級までの内容は知っていて当然の基本的な内容ですので、知識があやふやだという方は、「基礎の基礎からわからない」「基礎はなんとなくわかっている」など、自分の理解度を把握した上で講座を受講するのがおすすめです。
スケジュール管理が苦手な方
独学の場合、1人で学習スケジュールを管理する必要があります。管理能力がない場合は気持ちが緩み、勉強が進まなくなってしまうでしょう。
一方、講座で学習すると、決められた学習量をこなしていく勉強法であるため、スケジュール管理がしやすくなるというメリットがあります。
短期間で結果を出したい方
講座はわかりやすい講義であることが特徴なので、短期間で効率よく学習を進められます。
効率的に学習を進め、短期間で結果を出したい方には講座の受講がおすすめです。
統計検定準1級対策はUdemyの活用がおすすめ
2級までのおさらいに最適な講座
確率分布や各種検定方法など、準1級でもよく問われる内容を復習したい方には、「【ゼロからおさらい】統計学の基礎」の受講をおすすめします。
第2&3章の確率分布と仮設検定の部分は非常に大切な内容になるので、忘れている人は今一度よく見直しておくことが必須です。
実績抜群の講座であるため、少しでも以前の内容に不安を抱える人は受けて損のない講座であるといえるでしょう。
回帰分析を学びたい人におすすめの講座
準1級の範囲である回帰分析について学びたいなら、「【徹底的に解説!】人工知能・機械学習エンジニア養成講座(初級編~統計学から数字認識まで~)」がおすすめです。
この講座では、単回帰分析やロジスティック回帰分析の学習を通じて機械学習の考え方を学べるというものです。
微分や統計・確率といった試験に直結する項目もあるため、ぜひ受講をおすすめします。
ベイズ統計学を学びたい人におすすめ
ベイズ統計学について学びたい人は、「【PythonとStanで学ぶ】仕組みが分かるベイズ統計学入門」がおすすめです。
学習の流れとしては、ベイズ統計学の基本を学んで、そこからモンテカルロ法の基本を学んでいくスタイルとなり、この範囲は準1級でも出題されることから楽手が必須の範囲です。
しかし、要件がやや厳しめなのでその点には注意が必要です。
独学で統計検定準1級を勉強する場合
先ほど述べたように、独学は自分で学習スケジュールを組んで勉強する習慣がある方におすすめです。
ここからは、独学できる方向けに、独学で勉強する場合の費用、勉強法など、独学するにあたって知っておきたい具体的な内容をご紹介していきます。
費用は1万円程
2級の対策から準1級で初めて出てくる範囲まで、全てを参考書で対策すると、費用は1万円ほどかかります。
講座を受講すると数万円かかってしまいますので、それと比べるとかなり安い費用で済ませることが可能です。
準1級におすすめの勉強法
準1級の勉強でやるべきこととしては、
- 準1級で出題される2級の内容について理解する
- 準1級で出題されるベイズ統計、多変量解析、確率過程、時系列解析の理論を覚え、演習する
ということが挙げられます。
まず先に過去問を見て、どれが頻出範囲なのかを把握し、どの内容を重点的に演習すればよいのか調べておきましょう。
準1級は試験範囲が広いため、頻出範囲が特定できないと、その後の勉強が非効率的になっていまいます。頻出範囲を把握することは非常に重要です。
演習で弱点を効果的につぶす
演習の主な目的は、インプットした内容を試験で使える知識として定着させることです。
演習は実力を大きく伸ばすためには重要ですので、正しいやり方でこなしていくことが鍵となります。
具体的には、問題を解いたあと、間違えたところを中心に必ず復習をすることが重要です。自分の苦手分野をはっきりさせ、何度も復習することで実力を高めていくことができます。
何度も復習をするという反復作業をいかに真面目に、かつクオリティを維持しながらできるかが、効果的な演習になるかどうかを左右するでしょう。
おすすめの参考書
準1級は試験範囲が広いため、準1級を全てカバーできている参考書はあまりありません。
公式テキストはありますが、内容は多少難解なので、基本的には頻出分野ごとに参考書を買い、それぞれの分野の対策を進めていくのがよいでしょう。
ここでは、特に買っておくべき参考書をご紹介します。
2級レベルの問題演習におすすめ
『統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)』は、2級の範囲である、大学で習う統計の基礎がわかりやすく解説されている1冊です。
具体的な例を出しながら、図表も用いてわかりやすく解説しているため、2級レベルの内容を復習するにはおすすめできます。
ベイズ統計学の学習はこれで決まり
『史上最強図解 これならわかる!ベイズ統計学』は、タイトルどおりベイズ統計学をわかりやすく解説している本です。
ベイズ理論の基本的な内容から応用した内容まで、この1冊でベイズ理論をしっかり理解することができる入門書となっています。「ベイズ理論は難しくて苦手」という方でも読みやすい参考書です。
多変量解析対策におすすめの本
『まずはこの一冊から意味がわかる多変量解析』は、文系・理系問わず、多変量分析を理解したい方に多変量解析の原理をわかりやすく解説しています。
多変量解析に関して初心者の方や数学が苦手な方でも読みやすいように配慮されていますので、入門書としておすすめできます。
演習は公式問題集を活用するのがおすすめ
『日本統計学会公式認定 統計検定 準1級 公式問題集』は、日本統計学会が公式認定している問題集です。
実際の過去問と解答例が掲載されているため、過去問対策には最適です。実際に出題された問題で勉強できるため、公式問題集は演習で活用することがおすすめです。
統計検定準1級についてまとめ
統計検定準1級についてまとめ
- 大学で習うレベルの統計学の基礎が身に付いている方は独学でも合格を目指すことが可能
- 2級レベルの知識がない方は講座を受講するのがおすすめ
- 過去問を研究し、頻出範囲が何なのか理解することが重要
統計検定準1級は難易度の高い検定ではありますが、大学で学ぶレベルの統計や数学の知識がある方、2級までの知識がある方は独学でも合格することが可能です。
2級までの知識に自信がない方でも、講座を受講すれば2級までの知識もカバーできますし、準1級の幅広い試験範囲にも対応できます。
統計検定準1級は2級と比べると専門性が増すため最初は難しく感じるかもしれませんが、何回も復習するなど演習量を多くして苦手分野をなくすことが合格に繋がります。
自分が独学に向いているのか、講座を受講した方がよいのか判断し、自分に合った勉強法で学習を続け、統計検定準1級合格を目指しましょう!