統計検定ってどんな資格?各級の詳細からおすすめ勉強法・参考書まで徹底紹介!
「統計検定ってどんな資格なの?」
「各級の内容やレベルは?おすすめの勉強法・参考書はある?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
統計検定は、統計に関する知識や技能を評価する検定試験です。全部で7種類の試験があるため、幅広いレベル・ニーズに対応しています。
今流行りのCBT試験も実施されているので、忙しい学生や社会人にもおすすめです。
今回は統計検定がどんな資格かについて、各級の詳細からおすすめの勉強法・参考書までを詳しく解説します。
これを読めば、統計検定の魅力と対策方法がよくわかるはずです。
統計検定についてざっくり説明すると
- 高度情報化社会には欠かせない統計的知識が学べる
- データサイエンティストとしての登竜門的資格
- 独学には市販の参考書と公式問題集を用いるのがおすすめ
統計検定ってどんな資格?
統計検定とは、統計についての知識や技能を評価する全国統一試験です。データを根拠にした客観的判断を元に問題を科学的に解決するスキルを身に付けることができます。
よって21世紀のビジネスパーソンにとっては非常に有意義な試験だと言えるでしょう。
なお、統計検定には1〜4級(準1級含む)の5段階のレベルがあるため、自分の能力や状況に合わせた試験が受けられます。
統計検定の実施組織・認定団体
統計検定の実施組織は、一般社団法人統計質保証推進協会です。
この協会は、統計制度や統計調査などについての調査研究や統計検定も含めた知識及び技術を測定する事業を通じて、統計の質保証に寄与するために存在しています。
また統計検定の認定団体は、一般社団法人日本統計学会です。こちらは統計学の研究や普及の促進活動を通じて、その学問の発達に貢献するという目的を持ちます。
高度情報化社会に伴い注目を集める資格
統計検定が始まったのは2011年11月なので、まだ比較的新しい試験と言えるでしょう。受験者数は年々増加しており、2019年11月の試験には計7,252人が受験しています。
統計検定では「データを基に問題を解決する能力」が試されますが、この能力は高度情報化が進む現代社会においては非常に重大な要素です。
昨今はビックデータを用いた研究・開発も盛んになっているため、統計検定は今後ますます注目されていく試験だと言えるでしょう。
統計検定を取ることをおすすめする人
以下のような人には統計検定をおすすめできます。
- 統計学に興味がある人
- データに基づく客観的な判断力を身に付けたい学生・社会人
- データサイエンティストを目指して統計の知識を習得したい人
統計学に興味があり、それを学びたいというなら、統計検定の受験が最も手っ取り早く有意義な方法であると言えるでしょう。
また統計検定で習得できるデータに基づく客観的な判断力は、あらゆる学生・社会人に有益なスキルです。そのため、スキルアップ・キャリアアップとして利用すると良いでしょう。
さらに統計に関する知識・技術が幅広く学べる統計検定は、データサイエンティストの登竜門と言われることもあります。よってデータサイエンティストを志す人にもおすすめです。
統計検定の試験概要について解説
統計検定では1級・準1級・2級・3級・4級の5つの等級と、統計調査士と専門統計調査士という2つの資格を合わせた計7種類の試験が実施されます。
よって幅広いレベル・ニーズに対応した検定試験であると言えるでしょう。以下ではそれぞれの試験について詳しく解説します。
統計検定の試験範囲と出題形式
統計検定における各試験の試験範囲と出題形式はそれぞれ以下の通りです。
統計検定1級
統計検定1級の試験内容は以下の通りです。
実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力 統計検定公式HPより
また統計検定1級は「統計数理」と「統計応用」という2つの試験で構成されますが、試験形式はどちらも論述式です。
以下では統計検定1級の試験概要及び出題範囲を紹介します。
<試験概要>
試験 | 試験時間 | 出題数 |
---|---|---|
統計数理 | 90分(午前) | 5問の中から3問選択 |
統計応用 | 90分(午後) | 人文学・社会科学・理工学・医薬生物学の4つの内申し込み時に1つ選択 選択分野から5問出題され受験の際に3つ選択 |
<出題範囲>
※以下に加え、統計検定準1級までの内容も全て含まれます。
- 統計数理
大項目 | 小項目 |
---|---|
確率と確率変数 | 事象と確率 |
確率分布と母関数 | |
分布の特性値 | |
変数変換 | |
極限定理と確率分布の近似 | |
種々の確率分布 | 離散型分布 |
連続型分布 | |
標本分布 | |
統計的推測(推定) | 母集団と標本・統計量 |
尤度と最尤推定 | |
各種推定法 | |
点推定量の性質 | |
モデル評価基準 | |
区間推定 | |
統計的推測(検定) | 検定の基礎 |
検定法の導出 | |
正規分布に関する検定 | |
種々の検定法 | |
データ解析法の考え方と各種分析手法 | 分散分析 |
回帰分析 | |
分割表の解析 | |
ノンパラメトリック法 | |
不完全データ | |
シミュレーション | |
ベイズ法 |
- 統計応用
大項目 | 小項目 |
---|---|
共通した事項 | 確率・統計の基礎事項(統計検定2級の範囲)+各応用分野に共通した事項 |
研究の種類 | |
標本調査法 | |
実験計画法 | |
重回帰分析 | |
各種多変量解析法 | |
確率過程 | |
時系列解析 | |
人文科学分野 | 想定分野:文学・心理・教育・社会・地理・言語・体育・人間科学 |
データの取得法 | |
データの集計 | |
多変量データ分析法 | |
潜在構造モデル | |
テストの分析 | |
社会科学分野 | 想定分野:経済・経営・社会・政治・金融工学・保険 |
調査の企画と実施 | |
重回帰モデルとその周辺 | |
計量モデル分析 | |
時系列解析 | |
パネル分析 | |
経済指数 | |
理工学分野 | 想定分野:数学・物理・化学・地学・工学・環境 |
多変量解析法 | |
確率過程 | |
線形推測 | |
漸近理論 | |
品質管理 | |
実験計画 | |
医薬生物学分野 | 想定分野:医薬・歯学・薬学・疫学・公衆衛生・看護学・生物学・農林水産学 |
研究の種類 | |
データ収集法 | |
処置効果 | |
効果の指標 | |
カテゴリカルデータ解析 | |
ノンパラメトリック法 | |
交路の調整 | |
生存時間と繰り返し測定 | |
検査の性能評価 |
統計検定準1級
統計検定準1級の試験内容は以下の通りです。
統計学の活用力 ─ 実社会の課題に対する適切な手法の活用力 統計検定公式HPより
なお、統計検定準1級では、選択問題、部分記述問題、論述問題がそれぞれ出題されます。試験概要及び出題範囲の詳細は以下の通りです。
- 試験概要
試験形式及び出題数 | 試験時間 |
---|---|
4〜5肢選択問題(マークシート):20〜30問 部分記述問題:5〜10問 論述問題:3問中1問選択 |
120分 |
- 出題範囲
※以下に加え、統計検定2級までの内容も全て含まれます。
大項目 | 小項目 |
---|---|
確率と確率変数 | 事象と確率 |
確率分布と母関数 | |
分布の特性値 | |
変数変換 | |
極限定理・漸近理論 | |
種々の確率分布 | 離散型分布 |
連続型分布 | |
標本分布 | |
統計的推測(推定) | 統計量 |
各種推定法 | |
点推定の性質 | |
漸近的性質 | |
区間推定 | |
統計的推測(検定) | 検定の基礎 |
検定法の導出 | |
正規分布に関する検定 | |
一般の分布に関する検定法 | |
ノンパラメトリック法 | |
マルコフ連鎖と確率過程の基礎 | マルコフ連鎖 |
確率過程の基礎 | |
回帰分析 | 重回帰分析 |
回帰診断法 | |
質的回帰 | |
その他 | |
分散分析と実験計画表 | - |
標本調査法 | - |
多変量解析 | 主成分分析 |
特別分析 | |
クラスター分析 | |
共分散構造分析と因子分析 | |
その他の多変量解析手法 | |
時系列解析 | - |
分割表 | 分割表の解析 |
分割表のモデル | |
欠測値 | 欠測メカニズム・EMアルゴリズム |
モデル選択 | 情報量規準・AIC・cross validation |
ベイズ法 | 事前分布・事後分布・階層ベイズモデル・ギブスサンプリング・Metropolis-Hastings法 |
シミュレーション・計算多用手法 | ジャックナイフ・ブートストラップ・乱数・棄却法・モンテカルロ法・マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法 |
統計検定2級
統計検定2級の試験内容は以下の通りです。
大学基礎統計学の知識と問題解決力 統計検定公式HPより
なお、統計検定2級では大学基礎過程(1・2年次学部共通)で習得すべき以下3つ事柄が問われます。
-
現状についての問題を発見し、それを解決するためにデータを収集する力
-
仮説の構築及び検証ができるだけの統計力
-
新知見獲得の契機を発見するための統計的問題解決力
統計検定2級の試験概要及び出題範囲は以下の通りです。
- 試験概要
試験形式 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
4〜5肢選択問題(マークシート) | 35問程度 | 90分 |
- 出題範囲
※以下に加え、統計検定3・4級の内容も全て含まれます。
大項目 | 小項目 |
---|---|
データソース | 身近な統計 |
データの分布 | データの分布の記述 |
1変数データ | 中心傾向の指標 |
散らばりなどの指標 | |
中心と散らばりの活用 | |
2変数以上のデータ | 散布図と相関 |
カテゴリカルデータ | |
データの活用 | 単回帰と予測 |
時系列データの処理 | |
推測のためのデータ収集法 | 観察研究と実験研究 |
標本調査と無作為抽出 | |
実験 | |
確率モデルの導入 | 確率 |
確率変数 | |
確率分布 | |
推測 | 標本分布 |
推定 | |
仮説検定 | |
線形モデル | 回帰分析 |
実験計画の概念の理解 | |
活用 | 統計ソフトウェアの活用 |
統計検定3級
統計検定3級の試験内容は以下の通りです。
データの分析において重要な概念を身に付け、身近な問題に活かす力 統計検定公式HPより
統計検定3級では、大学基礎統計学の知識として必要な以下3つの統計活用能力が評価・認証されます。
-
統計リテラシー:基本的な用語や概念の定義を理解
-
統計的推論:不確実な事象や、2つ以の用語・概念の関連性を理解
-
統計的思考:具体的な文脈におけて統計が活用できる
なお、統計検定3級の試験概要及び出題範囲は以下の通りです。
- 試験概要
試験形式 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
4〜5肢選択問題(マークシート) | 30問程度 | 60分 |
- 出題範囲
※以下に加え、統計検定4級の内容も全て含まれます。
大項目 | 小項目 |
---|---|
データの種類 | データの基礎知識 |
標本調査 | 母集団と標本 |
実験 | 実験の基本的な考え方 |
統計グラフ | 1変数の基本的なグラフの見方・読み方 |
2変数の基本的なグラフの見方・読み方 | |
データの集計 | 1変数データ |
2変数データ | |
時系列データ | 時系列データの基本的な見方・読み方 |
データの代表値 | 代表値とその利活用 |
データの散らばり | 量的な1変数の散らばりの指標 |
量的な2変数の散らばりの指標 | |
散らばりのグラフ表現 | |
相関と回帰 | 相関と因果 |
回帰直線 | |
確率 | 確率の基礎 |
確率分布 | 確率変数と確率分布 |
統計的な推測 | 母平均・母比率の標本分布・区間推定・仮説検定 |
統計検定4級
統計検定4級の試験内容は以下の通りです。
データや表・グラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での活用力 統計検定公式HPより
統計検定4級ではデータと表やグラフ、確率についての基礎知識と具体的な文脈でその統計的知識を活用する力が評価・認証されます。
なお、統計検定4級の試験概要及び出題範囲は以下の通りです。
- 試験概要
試験形式 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
4〜5肢選択問題(マークシート) | 30問程度 | 60分 |
- 出題範囲
大項目 | 小項目 |
---|---|
統計的問題解決の方法 | - |
データの種類 | - |
標本調査 | - |
統計グラフ | 基本的なグラフの見方・読み方 |
データの集計 | 度数分布表 |
ヒストグラム(柱状グラフ) | |
データの要約 | 中心の位置を示す指標(代表値) |
分布の散らばりの尺度 | |
箱ひげ図 | |
クロス集計表(2次元の度数分布表) | - |
時間的・空間的データ | 時間的・空間的データの基本的な見方・読み方 |
確率の基礎 | - |
統計調査士
統計調査士の試験内容は以下の通りです。
統計に関する基本的知識と利活用 統計検定公式HPより
なお、統計調査士の資格を取得すれば、統計に関する以下の知識や能力が証明されます。そのため、民間調査機関などの就職・転職には有利になるでしょう。
- 統計の役割や統計法規、公的統計が作成される仕組みなどに関する正確な知識
- 主要な公的統計データの利活用方法に関する知識と能力
以下では統計調査士の試験概要と出題形式を紹介します。
- 試験概要
試験形式 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
4〜5肢選択問題(マークシート) | 30問程度 | 60分 |
- 出題範囲
大項目 | 中項目 |
---|---|
統計の役割 | 統計とは |
統計の意義 | |
統計と社会・経済 | |
統計法規 | 統計法の基本的内容 |
統計法施行令等の内容 | |
統計調査の基本的知識 | 調査の仕組み |
調査実務の手法(調査企画の基本的事項) | |
統計の公表 | |
統計調査員の役割・業務 | 調査員制度 |
調査員の業務 | |
主要な公的統計とその見方・利用 | 主要な統計 |
統計データの見方 |
専門統計調査士
専門統計調査士の試験内容は以下の通りです。
調査全般に関わる高度な専門的知識と利活用手法 統計検定公式HPより
専門統計調査士は、調査の企画・管理、データの高度利用に関する業務に必要な、調査企画からデータの利活用に至るまでの一連の知識及び能力を認定する資格です。
取得すれば、社会人としての高度な統計的専門知識・能力を有していることが証明されるため、仕事において様々な好影響が期待できます。
なお、専門統計調査士の試験概要及び出題範囲は以下の通りです。
- 試験概要
試験形式 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
4〜5肢選択問題(マークシート) | 40問程度 | 90分 |
- 出題範囲
大項目 | 中項目 |
---|---|
調査企画 | 基本設計 |
実施体制 | |
費用積算 | |
工程・品質・リスクの管理 | |
調査表作成 | 調査事項 |
質問と回答 | |
付随資料 | |
調査表・調査用品 | |
標本設計と結果の推計 | 標本抽出方法 |
標本設計・結果の推計 | |
データの整理 | 検査 |
入力 | |
調査の種類と特徴 | 収集データの種類 |
調査対象の選定 | |
アプローチ | |
調査手法(訪問調査) | 特性 |
実査と管理 | |
調査手法(郵送調査) | 特性 |
実査と管理 | |
調査手法(電話調査) | 特性 |
実査と管理 | |
調査手法(インターネット調査) | 実査と管理 |
調査手法(装置設置型調査)・視聴調査・スキャン調査 | 特性 |
実査と管理 | |
調査手法(定点(観測)調査・パネル調査) | 特性 |
実査と管理 | |
データ利活用の手法 | データの分析 |
データの評価・解釈 | |
調査・統計データの実際 | |
分析結果のまとめ |
統計検定の合格率
過去4年間の統計検定における各試験の平均合格率は以下の通りです。
級 | 合格率 |
---|---|
1級(統計数理) | 約24% |
1級(統計応用) | 約21% |
準1級 | 約23% |
2級 | 約44% |
3級 | 約64% |
4級 | 約68% |
統計調査士 | 約55% |
専門統計調査士 | 約33% |
上記の通り、統計検定の難易度は級によって様々です。そのため、初級者から上級者まで幅広く挑戦することができる検定試験だと言えるでしょう。
合格ラインも同様に押さえよう
統計検定2〜4級及び統計調査士、専門統計調査士に関しては合格水準が公表されています。詳細は以下の通りです。
級 | 合格ライン |
---|---|
2級 | 100点満点中70点以上 ※難易度による調整の可能性あり |
3級 | 100点満点中70点以上 ※難易度による調整の可能性あり |
4級 | 100点満点中70点以上 ※難易度による調整の可能性あり |
統計調査士 | 100点満点中70点以上程度 |
専門統計調査士 | 正解率7割程度以上 |
上記の通り、各試験の合格ラインは明確なので、対策がしやすい試験とも言えるでしょう。
理系じゃなくても受験して大丈夫?
統計検定に受験資格はないため、文系・理系にかかわらず誰でも受験することができます。
もちろん統計には数学的な知識が必要となるので、理系の方が有利という側面はあるでしょうが、3級・4級程度の統計数学は比較的平易なので文系の方でも十分理解できるはずです。
よって文系の方は、まずは3級・4級で基礎的な内容をマスターしてから、段階的にレベルアップしていくと良いでしょう。
統計検定のおすすめ勉強法
先述した通り、統計検定の出題範囲は予め公表されており、公式テキストや問題集も発売されています。
そのため、その公式テキストと問題集を用いて対策をするという学習スタイルを選ぶ人が多いはずです。しかし、初心者が公式テキストを使うのはあまりおすすめできません。
確かに公式テキストには各級の出題範囲が網羅的に解説されていますが、初心者にとっては難しいであろう箇所がいくつかあり、使い勝手はあまり良くないと言えるでしょう。
そのため、統計を初めて学ぶような場合には、もっと平易な表現で書かれた参考書を使って学習をするのがおすすめです。
おすすめ対策テキスト・問題集を紹介
以下では統計検定の知識をインプットするのにおすすめの参考書をいくつか紹介します。
初心者におすすめの参考書
初心者には「マンガでわかる統計学 素朴な疑問からゆる〜く解説」がおすすめです。漫画を用いた解説で統計の本質を直感的に捉えることができます。
よって勉強が苦手な方や、統計学や数学に抵抗があるという方には良いでしょう。
また「完全独習 統計学入門」も同様におすすめできます。「これ以上削ったら統計学でなくなる」という最小限主義の参考書なので、初心者が効率よく統計を学ぶには最適だと言えます。
中級~上級者におすすめの参考書
中級者もしくは上級者は「基本統計学」を使うのが良いでしょう。基本から段階的に難しい内容へと進んでいくことができるので、中級者から上級者へと無理なくステップアップすることができます。
これまでに12万人以上に選ばれてきたロングセラーなので、安心感や信頼性も抜群です。
公式テキストは問題演習で活用するのがおすすめ
公式の参考書は、特に初心者にはあまりおすすめできませんが、公式問題集は十分有用です。そのため、問題演習に関しては基本的に公式問題集を活用するのが良いでしょう。
問題集に関しては解説もわかりやすいので、問題演習を通して試験の形式・傾向に慣れ、実力を高めるには最適の教材と言えるでしょう。
テキスト・問題集を選ぶ基準
統計検定のテキスト・問題集を選ぶ際は、以下の2点に注目するべきです。
わかりやすさは最重要
特に統計や数学に馴染みのない人は、わかりやすさを最も重視するべきです。そうでないと参考書が全く理解できないという事態も起こり得ます。
ちなみにわかりやすさを判断する基準は以下の3点です。
- 平易な言葉を使っているか
- 基礎からじっくり解説してくれるか
- イラストが豊富に使われているか
自分の実力に合った参考書かどうか
効率よく力を付けていくには、自分のレベルや目標に合った参考書を使うことが大切です。統計検定の場合は、上記で紹介したように初級と中〜上級を分けて考えるのが良いでしょう。
なお、初心者向けの参考書は、表紙や帯などに初心者におすすめであることが明記されているはずです。初心者の場合は、そうした参考書の中でも特に口コミの評価が高いものを選びましょう。
統計検定の勉強をするメリット
ここからは統計検定の勉強をするメリットを解説します。
データを見る目が養われる
情報化社会に暮らす我々は、数えきれない膨大なデータに囲まれながら日々を送っています。
しかし、多くの人にとって、それらのデータはただの文字列でしかありません。それを意味の集合体として捉え、そこから様々に活用するには統計学という特別なスキルが必要です。
統計検定では、そのようなデータの活用に必須の統計学を基礎から学べるため、情報化社会を生きていく上では非常に有意義な検定試験と言えるでしょう。
統計処理に関する知識を身につけられる
昨今AIに関する研究が発展し、技術応用も盛んになってきているため、AIエンジニアの数が足りなくなってきています。
よって、これから勉強してAIエンジニアを目指すというのは良い選択だと言えるでしょう。
ちなみに統計検定ならAIエンジニアに必要な統計処理の知識を学ぶことができます。他にも数学的な理論を手広く学べるため、統計検定の勉強を通じて知識の基礎を作るというのも良いでしょう。
統計検定の試験日程・会場
統計検定は例年6月と11月の年2回が実施されますが、級によって一度しか行われないものもあります。詳細は以下の通りです。
級 | 開催月 |
---|---|
1級 | 11月 |
準1級 | 6月 |
2級 | 6・11月 |
3級 | 6・11月 |
4級 | 6・11月 |
統計調査士 | 11月 |
専門統計調査士 | 11月 |
試験会場(受験地)は開催月によって異なります。詳細は以下の通りです。
開催月(2019年) | 受験地 |
---|---|
6月 | 札幌・東京23区内・名古屋・大阪地域・福岡地域 |
11月 | 札幌・仙台・東京23区内・立川・松本・名古屋・大阪地域・福岡地域 他 |
新しくCBT方式が登場
統計検定では紙の問題用紙・解答用紙を使った一般的な形式の試験に加え、2級〜4級と統計調査士に関してはCBT(Computer Based Testing)方式での試験も実施されています。
CBT方式とは文字通りコンピュータを使った試験のことです。受験者はマウスやキーボードを使って解答します。
CBT方式のメリットは以下の2点です。
- 全国約230箇所の会場でいつでも受験することができる
- 合否結果をその場で知ることができる
上記より、総じてCBT方式の方が手軽に受験できると言えるので、忙しい学生・社会人にはおすすめできます。
統計検定の受験料
統計検定の受験料は以下の通りです。
実施級 | 受験料(税込) |
---|---|
1級(統計数理) | 6,000円 |
1級(統計応用) | 6,000円 |
1級(統計数理・統計応用 同時受験) | 10,000円 |
2級 | 5,000円 |
2級(CBT方式) | 7,000円(学割は5,000円) |
3級 | 4,000円 |
3級(CBT方式) | 6,000円(学割は4,000円) |
4級 | 3,000円 |
統計調査士 | 5,000円 |
専門統計調査士 | 10,000円 |
統計検定と合わせて取りたいおすすめ資格
データサイエンティストとしてさらなるスキルアップを目指すなら、統計検定と合わせて以下の資格も取得すると良いでしょう。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは、ビッグデータ時代に必要なデータベースシステム管理及びその関連業務の担い手にふさわしい人材を認定する国家資格です。
試験勉強を通して、高品質なデータベースの企画から保守に至る一連の業務に携わるために必要な知識や実践能力を幅広く身に付けることができます。
なお、データベーススペシャリストの合格率ですが、過去3年の平均は14.3%とかなりの低水準です。そもそもこの資格試験は、IT系国家資格の最高峰と言われる高度情報技術者試験の一つなので、難易度はかなり高いと言えます。
よって、データベース管理に関する高度な知識を身に付けたい方や、インフラ系エンジニアとしてさらなる高みを目指したい方などにおすすめです。
G検定
G検定は一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する、ディープラーニングの基礎知識及びその活用能力を評価する検定試験です。
受験資格はなく、合格率も60〜70%と高めなので、統計検定と合わせて是非積極的に挑戦してみてください。
ちなみにG検定の試験範囲は以下の通りです。
- 人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
- 人工知能をめぐる動向
- 人工知能分野の問題
- 機械学習の具体的手法
- ディープラーニングの概要
- ディープラーニングの手法
- ディープラーニングの研究分野
- ディープラーニングの応用に向けて
上記の通り、AIに関する内容が多いので、AIに興味のある方におすすめです。
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験(オープンソースデータベース技術者認定試験)は、オープンソースデータベースについての技術力及び知識を中立的に認定する資格試験です。
試験勉強を通して、データベースシステムの提案から運用までの技術を一通り学べます。よって、データベース技術者としての就職・転職を目指す方や、エンジニアといてのスキルアップ・キャリアアップを望む方におすすめです。
なお、OSS-DB技術者認定試験にはSilverとGoldの2ランクがありますが、合格率はどちらも60〜70%程度だと言われています。よってこちらも比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
統計検定についてまとめ
統計検定についてまとめ
- データを根拠にした客観的な判断能力が身に付く
- 文系でも受験可能(3・4級からがおすすめ)
- 初級者と中〜上級者で使うべき参考書は異なる
統計検定について解説しました。
統計検定は文字通り統計に関する知識・技能を評価する資格で、取得すればデータに基づく客観的な判断能力や科学的な問題解決力が身につきます。よってあらゆる学生・社会人に有意義であると言えるでしょう。
またデータサイエンティストやAIエンジニアをこれから目指す人の基礎固めとしても有用です。
勉強法ですが、公式の参考書は使いにくいので、市販の参考書と公式問題集を使うのが良いでしょう。
3・4級なら初心者や文系の方でも問題なく取得できるので、是非積極的に挑戦してみてください。