シニアソムリエ(ソムリエエクセレンス)とは?難易度やソムリエとの違いまで解説!
更新
「シニアソムリエってどんな資格?」
「シニアソムリエと普通のソムリエとの違いを教えて!」
シニアソムリエという名称を聞いた方なら、おそらくこのような疑問を抱くことでしょう。
シニアソムリエはソムリエの上位に位置する、より高度な資格です。受験できるのは10年以上経験のあるベテランのソムリエに限られています。
ここではシニアソムリエ試験の難易度や普通のソムリエとの違い、勉強法などを説明していきます。
シニアソムリエについてざっくり説明すると
- ソムリエ取得者のみが受験できる上位資格。
- 合格率は20%を下回ることもあり、難易度が非常に高い。
- 合格者が少なく、価値のある資格となっている。
- 知名度や収入を大きく引き伸ばすことができる。
シニアソムリエってどんな資格?
日本ソムリエ協会の主催
日本にはソムリエの資格を認定している団体が2種類あります。一つは日本ソムリエ協会、もう一つは全日本ソムリエ連盟です。
全日本ソムリエ連盟の認定するソムリエ資格は、初心者育成の側面が強く、比較的取得しやすい資格です。受験資格の制限もゆるく、20歳以上なら誰でも受験できます。
それに対して、日本ソムリエ協会の資格はワインのプロを認定する専門家向けの資格です。同じソムリエという名称でも3年以上の実務経験などが要求されます。
日本ソムリエ協会はソムリエ、シニアソムリエ、ワインエキスパート、シニアワインエキスパート4つのワイン関連資格を主催しています。今回紹介するシニアソムリエはワイン関連資格の中でもトップクラスの資格です。
シニアソムリエとは?
シニアソムリエとは、ソムリエの中でも特に優れたベテランにのみ与えられる資格です。長期に渡るキャリアと幅広い知識が求められます。
実は、シニアソムリエは正しい名称ではありません。2019年に「シニア」の部分が「エクセレンス」に変更されています。
つまり、「シニアソムリエ」から「ソムリエ・エクセレンス」に変わったということです。同様に、「シニアワインエキスパート」も「ワインエキスパート・エクセレンス」に変わっています。
この記事では分かりやすさを優先するため、従来から馴染みのあるシニアソムリエの呼称で解説していきます。
みなさんが今後受験する資格は「ソムリエ・エクセレンス」ですのでお間違えの内容にご注意ください。シニアソムリエの資格保有者は手続きすることによってソムリエ・エクセレンスを取得できます。
シニアソムリエの難易度は?
結論から言えば、シニアソムリエの難易度は非常に高度です。そもそも、受験資格を満たすだけでも大変です。
シニアソムリエの受験資格から見る難易度
シニアソムリエには厳しい受験資格の制限が課されています。実務経験のない一般消費者やブランクのある人は受験できないようになっています。
そのため、シニアソムリエ資格取得者は一定の経験や実績が保証されていると言えます。
シニアソムリエの詳しい受験資格は以下のようになっています。
シニアソムリエの受験資格
シニアソムリエの受験資格は次の4つです。
1つ目は20歳以上であることです。テイスティングなども行う職業なので当たり前の制約ですね。
2つ目は、日本ソムリエ協会の認定のJ.S.A.ソムリエあるいはJ.S.A.ワインアドバイザーであることです。ワインアドバイザーは過去に実施されていた日本ソムリエ協会の資格です。現在はソムリエ資格に統一されています。
3つ目は、ソムリエまたはワインアドバイザーとして認定されてから3年以上経過していることです。シニアソムリエはソムリエの上位資格なので、事前に取得しておく必要があります。そのうえでさらなる経験が求められます。
最後に、通算10年以上の職務経験があり、かつ第一次試験日においても従事していることです。職務経験として認められるのは次のような職業のみです。
- アルコール飲料を提供する飲食サービス
- ワイン・酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関講師、酒類製造
- アルコール飲料を取り扱うコンサルタント業務
ワインアドバイザーがソムリエに統合されたため、コンサルティングや販売などの業務も対象となっています。
そのため、ソムリエとしての職務でなくても実務経験に含まれることがあります。例えば、客室乗務員のように説明やコンサルティングを行わない業務でも実務経験に含まれます。その他、詳細は募集要項を確認しましょう。
受験資格から見える難易度
上記の通り、シニアソムリエは非常に受験資格の制限が厳しい資格です。ソムリエやワインアドバイザーの認定後に3年経っているというだけではなく、アルコールに関わる仕事を10年していることが求められます。
合格する以前にそもそも受験資格を満たすだけでも困難な試験となっています。
合格率からみた難易度
次はシニアソムリエの合格率から難易度を見ていきましょう。日本ソムリエ協会が主催している他の資格と比較しながら、シニアソムリエがどれだけ難しいのか紹介します。
以下は、2019年度〜2022年度のシニアワインエキスパート・シニアソムリエの受験者数・合格率を示した表です。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|
シニアソムリエ受験者 | 269 | 202 | 203 | 197 |
合格者 | 22 | 26 | 23 | 24 |
合格率 | 8.17% | 12.87% | 11.3% | 12.2% |
シニアワインエキスパート受験者 | 116 | 82 | 111 | 121 |
合格者 | 32 | 22 | 29 | 35 |
合格率 | 27.5% | 26.8% | 26.1% | 28.9% |
J.S.A.の主な資格の難易度
シニアソムリエの合格率は10~20%程度です。日本ソムリエ協会が主催している他の資格を見てみると、シニアワインエキスパートが30%前後、ソムリエが30から40%程度、ワインエキスパートが30から40%程度となっています。
合格率からみるシニアソムリエの難易度
シニアソムリエは協会が主催する4つの資格の中で最も合格率が低く、頭一つ抜けた難易度であることがわかります。ソムリエ試験と比べても半分程度でしかなく、5人受けても一人受かるかどうかという狭き門となっています。
そもそもソムリエあるいはワインアドバイザーの資格を持っていることが前提の試験です。少なくない実務経験や知識がある人達が受験して合格率が10%から20%なのです。つまり、シニアソムリエはかなりの難関であるといって間違いはないでしょう。
シニアソムリエの試験はどんなもの?
シニアソムリエの試験の内容
シニアソムリエの試験は1次試験から3次試験まであります。試験の内容は1次が筆記、2次がテイスティング、3次がサービス実技となっています。
1次試験は教本を中心とした出題がなされ、シェフソムリエ、チーフ、上位エキスパートして求められる基本知識などが出題されます。
CBT方式でコンピュータを使って回答を進めていきます。
二次試験は、5,6種類のワインや酒をテイスティングしていきます。
三次試験ではシェフソムリエ業務や接客をはじめとして、口頭試問で基本知識やプレゼン力を試す試験内容となっています。
また、最後に書類審査が待っています。基本的な流れはソムリエと同じなので困ることはないでしょう。
試験の免除制度もある!
シニアソムリエ試験では免除制度も用意されています。1次試験や2次試験は一度合格すれば3年間は有効です。
たとえ2次試験や3次試験で不合格になってしまっても、次の受験では落ちた試験から始められます。もちろん、試験が免除される場合には受験料も変わってきます。
ただし、免除制度の有効期限は合格から翌3年間だけです。それ以上経つと再度受験しなければならないので、早めに合格できるように頑張りましょう。
過去問は?どう対策すればいい?
シニアソムリエの試験の過去問は、公式には公開されていません。とはいえ、過去問がないからと言って対策できないわけではありません。
1次試験対策
1次試験は筆記試験です。試験形式は選択式問題あるいは短答式問題のどちらかです。1次試験の問題はソムリエ試験同様に公式の教本が中心です。そのため、ソムリエ試験のときと同じく教本中心に勉強しましょう。
1次試験の問題はインターネット上にもアップロードされています。解答や解説などを載せているサイトもあるので有効利用しましょう。
2次試験
2次試験はテイスティングの試験です。試験でコメントするべき内容はあらかじめ決められています。具体的な内容としては、外観や香り、味、ワインの評価、そして結論などです。
それぞれどのようなコメントをするのか、事前に練習をしておくと良いでしょう。
3次試験
3次試験は論述・実技の試験です。3次試験は合格率が高く、基本的にほとんどすべての受験者が合格できます。
論述試験で記述する内容は1次試験とあまり変わりません。3次試験まで到達しているなら知識は十分であることが多いでしょう。あとは、時間内に十分な文字数を記述できるかどうかが勝負です。
3次試験の実技ではワインサービスが試されます。ワインの紹介から後片付けに至るまで、基本的なソムリエの動作が問われます。不安な方は実技用の参考書を買って練習すると安心です。
ソムリエとの違い
ソムリエとの違い
受験資格からも読み取れますが、シニアソムリエはソムリエの上位資格です。前述のように合格率が低く、合格者数も少数となっています。
ソムリエ試験合格者は2019年までに累計33500人程度います。それに対してシニアソムリエはおおよそ2900人弱です。人数比で言えば、ソムリエが11人いたとしてもシニアソムリエは1人しかいないことになります。
見た目の違い
ソムリエといえばぶどうのバッジが有名です。シニアソムリエのバッジはソムリエのバッジとは少しだけデザインが違います。
ソムリエのバッジはぶどうのモチーフに金のラインでsommelierと書いてあります。それに対して、シニアソムリエは銀のラインでsenior sommelierと書いてあります。
同じぶどうのバッジですが、シニアソムリエのほうがより引き締まって高級感があるデザインになっています。
なお、ソムリエ試験ではバッジの売買が禁止されています。インターネットオークションなどに出品すると資格剥奪や訴訟などの可能性があると協会より警告されています。
シニアソムリエをとるメリット
勤め先にもよりますが、シニアソムリエを取得すると給料が上がることが見込めます。いわゆる会社から出る資格手当のようなものですね。
一般的に、ソムリエの年収はせいぜい700万程度で頭打ちになると言われています。ところが、有名ソムリエになると勤め先からの給料に加えて副収入も期待できます。
人によっては会社からの収入で600万以上、副収入も合わせれば1500万程度稼いでいることもあるようです。
ただし、ソムリエ資格を取得しただけではここまでの高収入は難しいでしょう。シニアソムリエの資格取得やコンクールでの入賞などが必要です。
つまり、ソムリエとしての知名度や収入を上げたい人にはシニアソムリエが役に立つでしょう。
シニアソムリエの試験日程・会場・受験料
シニアソムリエの試験は毎年一度だけ行われます。筆記試験は10月、テイスティングと実技試験は11月です。2020年度の例を挙げると、筆記試験が10月12日月曜日、テイスティングおよび実技試験が11月24日の火曜日です。
シニアソムリエの試験は1次試験、2次試験および3次試験のいずれも東京でのみ実施されます。ソムリエ試験とは異なり、他の都市では行われませんので注意しましょう。
受験料は以下の表の通りです。試験免除制度が適用される場合には受験する試験段階によって受験料が変動します。
また、日本ソムリエ協会の会員は一般価格より安く受験できます。また、受験申し込みと同時に入会することで割引を受けられます。ただし、入会金や年会費がかかることには注意しましょう。
試験項目 | 一般価格 | 会員価格 |
---|---|---|
筆記試験から | 29,600円 | 20,380円 |
テイスティングから | 14,210円 | 7,300円 |
実技試験から | 7,100円 | 3,650円 |
シニアソムリエと関連する資格
シニアワインエキスパート
シニアワインエキスパートは日本ソムリエ協会が主催しているワイン愛好家のための資格です。現在ではシニアワインエキスパートからワインエキスパート・エクセレンスに改名されています。
シニアソムリエは実務経験のある専門家向けの資格ですが、シニアワインエキスパートは実務経験のない人でも受験できます。下位資格であるワインエキスパートに認定されてから5年以上経過している30歳以上の人が受験可能です。
シニアワインエキスパートの試験は筆記試験とテイスティング、小論文の3段階で実施されます。シニアソムリエよりも合格率が高いとはいえ、筆記試験の大部分は同じなので、決して簡単な試験ではありません。
ソムリエ(全日本ソムリエ連盟)
ソムリエ資格には日本ソムリエ協会が主催している試験の他に、全日本ソムリエ連盟が主催しているものもあります。
全日本ソムリエ連盟のソムリエ資格は日本ソムリエ協会のソムリエ資格よりも取得難易度が低く、容易に取得できます。
全日本ソムリエ連盟のソムリエ資格は20歳以上なら誰でも取得できます。取得方法は大きく3つあります。
1つ目は通信講座で学習し、すべての課題で合格することです。2つ目は連盟が開催しているセミナーに参加し、試験を受けることです。3つ目は通信講座で学習し、筆記試験で合格することです。
それぞれ選んだ方法によって受験料が変わります。最も安い3つ目の方法でも認定料込で8万円程度必要なので、日本ソムリエ協会のソムリエ資格よりも高額です。
シニアソムリエについてまとめると
シニアソムリエについてまとめると
- ソムリエの上位資格で10年以上の実務経験が必要。
- 合格率はソムリエの半分程度と非常に難易度が高い。
- ソムリエとしての知名度や収入を上げたいならおすすめ。
- 取得人数も非常に少なく希少価値が高い
ここまでシニアソムリエについて紹介してきました
シニアソムリエはソムリエの上位に位置する資格です。合格者は日本でも数千人しかいない、非常に貴重な資格です。
受験資格を満たすだけでも大変ですが、合格率の低さからもその難易度の高さが読み取れます。
ソムリエとしての知名度を上げたい方や、収入を伸ばしたい方におすすめの資格です。受験する際には全力で臨みましょう!