フードコーディネーターってどんな資格?資格取得法・試験の詳細・活用法まで解説!
「フードコーディネーターとはどのような資格なんだろう?」
「難易度や将来性がわかれば受けてみたい!」
食べ物に関する資格が取りたい方は、フードコーディネーターの資格を一度は検討すると思います。でも意外と概要を調べるのは手間がかかりますよね。
そこでこの記事ではフードコーディネーターについて、試験の難易度や合格率といった基本情報から、資格を取った後の年収についても詳しくまとめました。
ぜひあなたのステップアップにお役立てください!
フードコーディネーターについてざっくり説明すると
- フードコーディネーターは食についての色々な分野をプロデュースできる資格
- フードコーディネーター資格試験は1級~3級に分かれている
- 2級以降は実技もあるので講座で対策を
- 3級は独学も可能
フードコーディネーターってどんな資格?
まずはフードコーディネーターがどういった資格なのかをご紹介します。
フードコーディネーターとは
フードコーディネーターは「フード(食)」という言葉の通り、食の楽しみ方や食環境を提案するスペシャリストです。その能力があることを認定するのが、フードコーディネーターの資格試験です。
フードコーディネーターは、最近ではテレビや雑誌などで活躍している有名人も多く、一般にもその名称が浸透してきています。メニュー開発や講師業など色々な分野で活躍できる資格のため、資格そのものの人気も上がってきているようです。
資格試験はどのようなものなのか
フードコーディネーターの資格試験は1~3級に分かれており、3級は初心者向け、1級はプロ向けとなっています。
これまでの3級の合格者は29,500人、2級は1,910人、1級は120人以上となっており、徐々に資格取得者を増やしている検定です。
フードコーディネーターの主催団体
フードコーディネーターの資格認定試験を主催しているのは、特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会です。
日本フードコーディネーター協会はフードコーディネーターを「新しい食のブランドやトレンドを創る、食についての開発や演出、運営をするクリエーター」と定義しています。優れたフードコーディネーターを世に送り出すことをモットーに活動をしている団体です。
フードコーディネーターはマルチに活躍!
フードコーディネーターの資格取得者が活躍する分野は多岐に渡りますが、一番多いのは食の「開発」「演出」「運営」に関わる仕事です。フードコーディネーター協会ではこれら3つの要素を三本柱として重要視しています。
三本柱の具体的な内容は以下の通りです。
「食の開発」
フードコーディネーターによる食の開発とは、主に食品メーカーの商品、飲食店・給食サービスのメニューなどを作る仕事を指します。
他にも地場産業を活かした新商品やサービス、家庭向けの弁当、食品の販路、厨房のデザイン、観光業の食プログラムなど、色々な場面でフードコーディネーターの食の開発ノウハウが活用されています。
「食の演出」
食の演出とは、簡単に言うと食品をどのように見せるかをプロデュースすることです。飲食店などのパブリシティ制作が主な仕事となります。
例えばドラマや映画においての演出や空間のコーディネート、雑誌や広告での料理の写真撮影など、それぞれにおいてクライアントの希望通りの雰囲気を作るために食を演出します。
他にも食に関する記事の作成や、お店での商品の売り方、陳列方法、イベントの運営でもフードコーディネーターとしてのノウハウを活かすことができます。
「食の運営」
運営の分野では、主にレストランや小売業などの「お店」においての運営を任されます。道の駅や農産物直売所など、地域に密着した領域でもフードコーディネーターの知識と経験が活かされています。
また料理教室や食育、地産地消などの分野においても、教室へのアドバイスや講演活動を通して「食の運営」の活動が行われています。
フードコーディネーターの試験概要
フードコーディネーターの検定試験はどのような内容になっているのでしょうか。概要をご紹介いたします。
フードコーディネーター資格認定は1~3級の3段階!
フードコーディネーターの資格試験は1級~3級に分かれており、どの級も年に1度試験が実施されます。
各級のレベルは以下の通りです。
各級に求められるレベル
- 3級
フードコーディネーター3級は、「食」に関わる4分野を基本にした試験となっています。
食の4分野とは「文化」「科学」「デザイン・アート」「経済・経営」の4つを意味しており、それぞれについて幅広い知識が求められるのがフードコーディネーター3級となります。
フードコーディネーターの資格の中では一番の初級ですから、まずはここからチャレンジすると良いでしょう。
- 2級
フードコーディネーター2級では、実際のフードビジネスに関わる専門知識や企画力が問われます。
「レストランプロデュース」「商品開発」「食の生産・流通・消費」「ホスピタリティ&ライフサポート」「イベント・メディア」といった分野から出題されますので、実際の現場における食の活用方法をしっかり身に付けておきましょう。
- 1級
1級ではフードコーディネーターのプロとして活躍できるような、実践的な知識や技術が問われます。
食の分野だけでなく色々な方面のスペシャリストと共同で作業する中で、問題に対する解決法を導き、的確な方向性を見出す能力が必要です。
3級取得の流れ・試験科目・試験日程
ここからは各級の資格取得の流れを解説いたします。
3級は筆記試験に合格すれば資格が認定されます。試験科目や日程は以下の通りです。
3級の試験科目・出題範囲
3級の試験科目は「文化」「科学」「デザイン・アート」「経済・経営」の4つです。
なお調理師、栄養士、管理栄養士、製菓衛生師いずれかの資格保有者は「文化」「科学」の分野が免除されます。
出題は以下のテキストからとなりますので、3級受験時には入手しておいてください。
- 「フードコーディネーター教本」(柴田書店)
- 「フードコーディネーター用語集」(柴田書店)
いずれもフードコーディネーター協会指定のテキストとなります。年度ごとに改訂されますので、最新版かどうかをチェックして購入しましょう。また出題範囲は協会HPで確認できますので、受験を決めた時には最新の情報を確認してください。
3級試験情報・スケジュール
フードコーディネーター3級の試験は、10月~11月の日曜日に実施されます。東京、名古屋、大阪、福岡のいずれかの会場で受験できます。
試験は当日は「デザイン・アート」「経済・経営」、「文化」「科学」と2分野ずつまとめての実施となり、それぞれ80分が制限時間となります。なお当日のスケジュールは以下の通りです。
時間 | 実施内容 |
---|---|
12:00~ | 開場 |
12:45~ | 試験の説明 |
13:00~14:20 | 「デザイン・アート」「経済・経営」の試験実施 |
15:00~16:20 | 「文化」「科学」の試験実施 |
なお先述のように調理師や栄養士などの資格保有者は「文化」「科学」を受ける必要がありませんので、14:20で退出となります。
2級取得の流れ・試験科目・試験日程
フードコーディネーター2級は、1次試験と2次試験に分かれています。まずはマークシート式の1次試験を突破し、その後2次資格認定講座を受ける必要があります。
課題は「レストランプロデュース」「商品開発」「イベント・メディア」の3分野の中から1つ選択するようになっており、それぞれの課題に応じて2級の資格が与えられるという方式です。(例:「商品開発2級」など)
2級には受験資格が定められている
フードコーディネーター2級は、以下に該当する方のみが受験できます。
- 1次試験:フードコーディネーター3級資格認定登録者
- 2次試験:2級1次試験合格者、もしくは2級2次試験取得者
「2級2次試験取得者」とは、例えば2次試験の資格認定講座で「商品開発2級」を取得した方が、「イベント・メディア2級」を取るために2次試験をもう一度受験(受講)するということです。
2級の試験科目・出題範囲
フードコーディネーター2級の試験科目は、1次試験が「レストランプロデュース」「商品開発」「食の生産・流通・消費」「ホスピタリティ&ライフサポート」「イベント・メディア」の5つの分野からの出題です。
1次試験はマークシート方式で、各分野ごとに50問の出題です。出題は以下のテキストからとなりますので、試験を受ける際は入手しておいてください。
- 「2級フードコーディネーター教本」(三恵社)
2次試験は先ほども少し触れましたが、専門の講座を受講して課題を提出する内容です。内容は「レストランプロデュース」「商品開発」「イベント・メディア」の3つで、この中から1つを選択して課題を制作、合格すればその分野においての「2級」資格が認定されます。
3つの分野全ての2級資格を取りたい場合は講座を3回受ける必要があります。
2級試験情報・スケジュール
フードコーディネーター2級は、1次試験が6月~7月、2次試験は8月に行われます。会場は東京、大阪、福岡です。
1次試験の制限時間は以下の通りです。
科目 | 制限時間 |
---|---|
「レストランプロデュース」 | 40分 |
「商品開発」「食の生産・流通・消費」 | 80分(2科目通し) |
「ホスピタリティ&ライフサポート」「イベント・メディア」 | 80分(2科目通し) |
なお2次資格認定講座は、全185分で行われます。内容は「企画書の基礎」「分野別の企画書作成の解説と演習」です。講座の受講後に企画書の課題が出されますので、各自作成してください。
2級1次試験の合格率
フードコーディネーター2級1次試験は合格率が公開されており、以下のようになっています。
年度 | 合格率 |
---|---|
2015年 | 75.78% |
2016年 | 82.19% |
2017年 | 80.26% |
2018年 | 83.85% |
2019年 | 86.49% |
どの年度も合格率8割前後となっていますので、1次試験に関しては比較的合格しやすい試験だと言えるでしょう。
1級取得の流れ・試験科目・試験日程
フードコーディネーター1級も、2級と同じく1次試験と2次試験に分かれています。ただしペーパーテストの実施はなく、1次試験から実技が行われます。
試験の流れ
1次試験ではまず、2級で取得した分野(商品開発、イベント・メディアなど)において企画書を作成し、審査に出します。
2次試験は企画書のプレゼンテーションと面接になります。
全てに合格しますと、「レストランプロデュース1級」「商品開発1級」「イベント・メディア1級」いずれかの資格が認定されます。
受験資格
上記のような試験内容ですので、フードコーディネーター1級は2級に合格していなければ1次試験を受けることができません。
また2次試験においても、1級の1次試験合格者のみ受験することができます。誰でも受験できる資格試験ではありませんのでご留意ください。
1級の試験科目・出題範囲
フードコーディネーター1級の試験科目は、2級の認定登録分野に依存する形となります。つまり、2級で「商品開発」の資格を取得した方は、1級においても商品開発分野での受験になるというわけです。
「レストランプロデュース」「商品開発」「イベント・メディア」全ての受験をしたい方は、それぞれの分野の2級資格を取得しておく必要があります。
先ほどご紹介したように1次試験では企画書審査、2次試験ではプレゼンテーションと面接を実施し、合格後に各分野の1級資格が取得できます。
1級試験情報・スケジュール
フードコーディネーター1級の試験は以下のようなスケジュールで行われます。
- 1次試験:9月末までに企画書提出
- 2次試験:2月~3月の実施
- 合格発表:3月ごろ
なお、2次試験当日の持ち時間は以下の通りです。
内容 | 持ち時間 |
---|---|
自己紹介 | 3分 |
プレゼンテーション | 15分 |
質疑応答 | 10分 |
かなり短い時間での勝負になりますので、事前にシミュレーションをしておきましょう。
フードコーディネーターの勉強法
フードコーディネーターの試験対策としては、どのような勉強をすれば良いのでしょうか。
フードコーディネーターのテキストは?
フードコーディネーター3級と2級の1次試験はペーパーテストとなりますので、指定のテキストからの出題となります。内容を網羅すれば独学でも合格可能ですので、しっかり勉強しておきましょう。
各級のテキスト
フードコーディネーター3級の独学用テキストは以下です。
- 「フードコーディネーター教本」(柴田書店)
- 「フードコーディネーター用語集」(柴田書店)
これらはフードコーディネーター協会のHPで入手可能です。
2級の1次試験は以下のテキストからの出題です。
- 「新・2級フードコーディネーター教本」(三恵社)
こちらのテキストはAmazonや楽天などで入手可能で、メルカリなどのフリマアプリでも出品されていることがあります。
協会が開く試験対策講座へ行こう!
フードコーディネーターの試験対策は、3級~2級の1次試験までは独学も可能です。しかしそれ以降の実技対策では独学はなかなか難しいでしょう。
実技対策には、フードコーディネーター協会が試験対策講座を開いています。2級以上を受ける方はもちろんですが、3級についても講座がありますのでぜひ受講を検討してみてください。
フードコーディネーター協会による試験対策講座の時期と場所
級 | 開講時期 | 場所 |
---|---|---|
3級 | 9~10月 | 東京・横浜・名古屋・大阪・福岡 |
2級 | 4~5月 | 東京・名古屋・大阪・福岡 |
1級 | 6~7月 | 東京 |
なお、各会場ごとに1回ずつの実施となります。フードコーディネーター協会のHPで講座のスケジュールを確認の上、忘れないように参加しましょう。
特に1級や2級の実技試験を受ける方は講座に出ておかないと試験の概要がほとんどわからないと思いますので、ぜひ都合をつけて受講してください。
フードコーディネーターはかなりお金のかかる試験!
フードコーディネーターの試験を受ける際、他の資格試験と同じく受験料がかかります。
ただ、フードコーディネーターの資格を取るためには受験料だけではなく、他の費用もかかります。詳しくご紹介していきましょう。
フードコーディネーターの受験料
まずはフードコーディネーターの受験料を一覧でご紹介いたします。
級 | 受験料(一般) | 受験料(会員) | 二次試験 |
---|---|---|---|
3級 | 11,000円 | 6,000円 | |
2級 | 11,000円 | 6,000円 | 15,000円 |
1級 | 12,000円 | 12,000円 | 16,000円 |
なお二次試験の受験料は、どの科目においても共通です。
会員価格とは?
上記の表の通り、フードコーディネーターの受験料は一般と協会の会員とで異なります。フードコーディネーター協会の会員になるためには、入会費や年会費を納め、会報誌も受け取る必要があります。
協会への入会費は5,000円で、年会費は4月~9月に入会すると15,000円、10月~3月に入会すると7,500円となります。試験のために入会するには少し高い金額ですが、フードコーディネーターとして活動する意思がある場合は入会しておいたほうが良いでしょう。
認定料まで済ませよう
フードコーディネーターの資格試験に合格しても、認定の手続きを行わなければ正式にフードコーディネーターとして活動することはできません。
認定を受けるためには、受験料とは別に登録料を支払う必要があります。
級 | 登録料 |
---|---|
3級 | 21,000円 |
2級 | 21,000円 |
1級 | 31,000円 |
なお2級の登録料は、二つ目以降の分野で登録する時には6,000円となります。
フードコーディネーターになるために必要な費用の内訳
ここまでご紹介したように、フードコーディネーターになるためには試験を受けるための受験料として1万~3万円弱、さらに認定料(登録料)で2万~3万円、またテキストの購入費や講座の受講料などもかかります。
フードコーディネーター協会に入る場合は、入会費や年会費も2万円ほど必要です。
そう考えますと、フードコーディネーターになるためにはかなり費用がかかることになります。資格としては魅力的ですが、本気でフードコーディネーターとして活動する意欲がなければ資格取得にかけた費用に見合う仕事はできないかもしれません。
フードコーディネーターに受験資格はある?
フードコーディネーター3級については、受験資格は「中学生以上」となっています。つまり、ほぼどなたでも受けることができる資格試験だと思っていただいて良いでしょう。
それ以上の級につきましては、各級の説明でも触れましたが、2級は3級合格者のみ、1級は2級の合格者のみに受験資格があります。
2級以降は同じフードコーディネーターの資格でも分野が3つに分かれますので、全ての分野での資格を取りたい場合は複数回の受験が必要になります。その点は注意してください。
フードコーディネーターの年収はどれくらい?
フードコーディネーターは基本的にはフリーランスで働くことになりますので、年収は個人差が大きいと言われています。
一般的なフードコーディネーターの年収は320万~370万円だと言われていますが、知名度のある有名なフードコーディネーターの場合、仕事の内容によってはかなりの高年収も期待できるでしょう。
また栄養士や各種ソムリエの資格など、他の資格と組み合わせることでも年収アップが見込めます。
資格の使い道を考えてプランを設計
フードコーディネーターの資格を活かすには、個々それぞれの資質も重要です。
この資格だけで企業に就職できるというわけではありませんので、ご自身が思い描くキャリアプランによって、どのように資格を活かすかをしっかり考える必要があります。
食の分野でどういった仕事を成し遂げたいかをじっくり考えながら、フードコーディネーターの資格を取得していきましょう。
フードアドバイザーという資格もある
フードコーディネーターは「フードアドバイザー」の資格としばしば混同されますが、この二つは別の資格です。
「フードアドバイザー」単独の資格はない
フードアドバイザーと名前が付く資格は、「スポーツフードアドバイザー」や「ヘルシー&ビューティー フードアドバイザー」のように、特定の分野においてのフードアドバイザー資格という名称になっています。
つまり「フードアドバイザー」という単独の資格はありません。
フードコーディネーターの資格と組み合わせての活動もおすすめ
フードアドバイザーは、各分野ごとに食のアドバイスをする能力が身に付く資格です。例えばスポーツ分野においてはアスリートの体づくりや健康増進、美容分野では美容に特化した食の知識が身に付きます。
フードアドバイザー単独の資格でも役立ちますが、フードコーディネーターの資格と組み合わせることで相乗的なビジネス展開も想定できます。興味がある方はぜひ両方の資格を取っておくと良いでしょう。
フードコーディネーターまとめ
フードコーディネーターの資格まとめ
- 食の分野で本気で働きたい方にはフードコーディネーターはおすすめの資格
- 資格の維持には費用がかかる
- 基本的にはフリーランスで働くことになる
- 他の資格と組み合わせることで事業の幅が広がる
フードコーディネーターの資格は弁護士や栄養士などの資格と違い、それだけで就職に有利になるというものではありません。しかし食の分野で活躍したい方にとってはかなり有益な資格です。
フードコーディネーターとして有名になっている方のビジネスモデルも参考にしながら、ぜひキャリアアップの第一歩として資格取得を検討してみてください!