管理栄養士ってどんな資格?受験資格・合格率・実用性まで全て解説!

更新日時 2020/04/29

管理栄養士と栄養士は同じ仕事のできる国家資格者と思っている人が多いようですが、そうではありません。

こうした誤解は、管理栄養士について、一般にあまり認知されていないことが原因のようです。

そこで、ここでは「管理栄養士ってどんな資格?受験資格・合格率・実用性まで全て解説!」をタイトルに、管理栄養士はどのような資格なのかを、さまざまな側面から解説していきます。

管理栄養士を理解するうえで役立つ情報ですから、ぜひ最後まで読みすすめてください!

管理栄養士ってどんな資格か?をざっくりと説明すると

  • 管理栄養士は「管理栄養士国家試験」合格者に付与される国家資格
  • 管理栄養士国家試験の合格率は約60%
  • 管理栄養士の主な仕事は栄養指導
  • 管理栄養士の活躍の場は多種多様

管理栄養士ってどんな資格?

はて 「栄養士のリーダーでしょう!」「栄養士と同じ資格でしょう!」といったように誤解されていることが多いのが、管理栄養士です。

ここでは、管理栄養士ってどのような資格なのかを解説します。

管理栄養士とは

栄養士とは栄養士養成施設を卒業後に都道府県知事の免許を受けられ、『栄養士法』に定められた栄養指導に従事できる資格です。

それに対し管理栄養士とは「管理栄養士国家試験」合格者に厚生労働大臣から付与される国家資格のことをいいます。

この管理栄養士のメインの仕事は、健康な人・病人・高齢者などあらゆる人一人ひとりに合わせて、専門的な知識とスキルでの栄養指導や給食管理・栄養管理です。

管理栄養士になるためには、管理栄養士国家試験に合格しなければなりません。

この試験には、「栄養士免許を保有し、一定の実務経験がある者」という受験条件があります。 このことから、管理栄養士は栄養士の上位資格と言えるでしょう。

管理栄養士になるためには国家試験の合格が必要ですが、急速な高齢社会を迎えるわが国では、社会的に大きな期待が寄せられている資格です。

管理栄養士は国家資格!

管理栄養士は「管理栄養士国家試験」に合格すれば得られる、厚生労働省大臣認定の国家資格です。

この試験を受験する際は、次の2つのいずれかの「受験条件」を満たしていなければなりません。 1つは、栄養士の資格を取得し、その後定められた一定期間の実務経験を積んでいることです。 他の1つは、国が指定した大学などの管理栄養士養成課程を修了し、卒業することです。

一般的には、大学など管理栄養士養成課程へ進学し、卒業と同時に管理栄養士の資格を取得するのが管理栄養士への近道と言われています。

ネット上には「難易度は高い」「簡単な試験」の両極端の情報が提供されていますが、挑戦する価値のある資格と言えます。

また、管理栄養士資格は一度取得すれば更新は不要ですし、転職や就職に役立つ資格です。

管理栄養士の仕事は主に栄養指導!

管理栄養士が担うべき主な仕事は、持っている食と栄養に関する高度で専門的な知識とスキルにもとづき、すべての人々に対して適切な栄養指導を行うことです。

具体的には、次のように言われます。

  • 病気やケガ人に対する療養を目的とした栄養指導
  • 個人の状態に応じた健康保持・増進のための栄養指導(特定保健指導など)
  • 施設などで特定多数の人に対する給食管理や栄養指導

管理栄養士が仕事の対象にするのは「すべての人々」ですから、健常者・傷病者・高齢者などに限定されません。

そのことは、次に列挙している管理栄養士が現在活躍している職場を見れば明らかです。

※管理栄養士が現在活躍している職場:官公庁・保健所・教育委員会・福祉施設・特別養護老人ホーム・養護老人施設・児童施設・病院・大学・学校・給食会社・工場・事業所・食品会社・研究所・スポーツ施設など

なお近年は、アスリートにはさまざまな分野の専属サポーターがついており、そのうちの一人は必ずと言っていいほど管理栄養士です。

管理栄養士にはコミュニケーション能力が求められる

管理栄養士には、一般的には次のような能力や心構えが求められます。

  • 人の命に関わる仕事をしているという強い職業意識
  • 食についての高い関心度
  • 精神力の強さ
  • 強いセルフコントロール力
  • 高いコミュニケーション能力

これらは管理栄養士だけに求められるものではありませんが、管理栄養士には、これらのうち「高いコミュニケーション能力」がとくに求められます。

管理栄養士は、勤務する職場においてさまざまな人と、コミュニケーションを図らなければなりません。 病院であれば患者だけではなく医師や看護師、学校であれば教師や生徒だけではなく給食会社や栄養士、といった人々です。

管理栄養士の仕事はこうした人たちとのコワーク(共働作業)で成り立っていますから、高いコミュニケーション能力がなければ、求められる役割を果たせません。

管理栄養士資格の実用性

教育者 管理栄養士は、取得すれば更新の必要のない資格です。超高齢や健康志向社会が到来していることもあり、栄養や健康のエキスパートである管理栄養士の活動舞台は大きく広がっています。

ここでは、この管理栄養士資格の実用性について解説しましょう。

管理栄養士の活かし方は多種多様!

管理栄養士は、近年、実に多種多様な職場や仕事で活躍しています。

一般的には、管理栄養士と栄養士とは同じ職場で働くケースが多いことから、管理栄養士も栄養士もその資格の活かし方は同じだろうと思っている人が多いようです。しかし、これも誤りです。

たとえば栄養指導で言うと、栄養士は「主に健康な人に対してアドバイスをします」が管理栄養士は「健康な人に加えて、傷病者や高齢者も対象に栄養指導を行います。

また、一人ひとりの体の状態や栄養状態に応じた高度な専門知識や技術にもとづく栄養指導も管理栄養士の仕事です。

管理栄養士の高度な専門知識やスキルがどのように活用されているかは、職場によって異なります。

近年、管理栄養士をいかす職場として注目され急増しているのが病院です。管理栄養士は入院患者の栄養管理や糖尿病患者など病気別の集団栄養指導、献立作成などを行います。

また、今後ますます管理栄養士の知識とスキルを必要とするといわれるのは、次のような分野です。

  • 施設や在宅訪問での高齢者の栄養指導
  • スポーツ施設などで生活習慣病予防の指導
  • 食品メーカーでの食品開発やメニュー開発など

管理栄養士の就職先の業務内容は?

管理栄養士の業務内容は、職場によってさまざまです。

ここでは、代表的な就職先ごとに管理栄養士の業務内容を一覧表で紹介しましょう。

職場 業務内容
行政 ●保健所や保健センターなどで働き、地域密着の健康推進を図ることが仕事の中心●地域に密着し、健康作りの企画立案や講座の開催および栄養相談を担当
学校 ●学校給食の献立作成から衛生面まで多様な業務を行うのが管理栄養士の役割  ●いくつかの学校給食センター、幼稚園・保育園などで働くこともある。
病院 ●役割は給食管理(献立作成、発注業務、栄養価計算など)やNST(栄養サポートチーム)メンバーとして患者に最適の栄養管理を提供する。
給食会社 ●委託を受けた施設で給食管理(献立作成、調理)や衛生管理などを行う。また、集団給食施設で栄養管理の指導支援、栄養調査実施、病態に応じた食支援を行う。
メーカー(食品) ●仕事内容は企画立案や研究開発(試作・試食)にとどまらず、市場調査や流通などにまで、その範囲は広がります。化学メーカーの機能性食品の開発にも従事
スポーツ関連 ●体力強化や健康作り、ダイエット希望者への栄養や食生活の指導を行う。   ●プロスポーツチームやアスリートの専属管理栄養士として活躍する人もいる。
福祉施設介護施設 ●特老ホーム、養護老人施設、児童施設などの施設や社会福祉、介護施設で活躍 ●栄養士や応援者を指導して、施設にいる人の食事関連のすべてに責任を持つ。

NSTの中心的存在として活躍できる

NSTとは、入院患者に最良の栄養療法を提供するために、多職種で構成された「栄養サポートチーム」のことです。

わが国では1998年に鈴鹿中央総合病院で編成されたのがNSTのスタートと言われています。

一般的にNSTは薬剤師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、セラピスト、介護福祉士など多種多様な職種での構成です。

このNSTにおいて、管理栄養士は主に次の3つの役割を担っています。

  • 対象患者への栄養アセスメントと適切な栄養管理の実施に向けたプランニング
  • 対象患者への嗜好調査や栄養指導
  • 栄養補助食品および経腸栄養剤について情報提供

管理栄養士と栄養士との違い

管理栄養士と栄養士には違いが2点あり、1つは「資格取得の方法」で他の1つは「求められる知識とスキルのレベル」です。

栄養士は都道府県知事の免許を受ければ栄養指導に従事できますが、管理栄養士は管理栄養士国家試験に合格して厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。

また、この管理栄養士国家試験を受験する際には、栄養士の資格を持っていても、一定の実務経験が求められます。

つまり、栄養指導に関し、管理栄養士には栄養士よりも専門性の高い知識とスキルが要求されていることの証明です。

両資格にはこうした違いがありますが、医師などのような業務独占資格ではなく名称独占資格であることから、禁止されている仕事がありません。

このことから、管理栄養士と栄養士が同じ職場で栄養指導に関わる仕事に就くことが多いのです。

しかし、同じ仕事であっても、栄養士よりも管理栄養士が専門性の高い知識とスキルを求められる実務を担当しているのが現実です。

管理栄養士の平均賃金は約400万円

ネット上には、管理栄養士の平均賃金(年収)は約400~430万円、サイトによっては600万円といった情報が提供されています。

はたして、実際にはどの程度の額が平均賃金(年収)なのでしょうか。

実は、政府や関連機関などから、「管理栄養士」の賃金についての公式データは公表されていません。 よく知られている人事院の「職種別民間給与実態調査」などには、「栄養士」の4月給与は公表されていますがボーナスが示されていないので年収は不明です。

そこで管理栄養士の平均年収は、一般的には『栄養士の4月分給与×12+年間ボーナス2~3カ月分』といった算式で推測します(ボーナスは勤務先の違いを反映させるために2~3カ月に設定)。

ここで人事院「職種別民間給与実態調査」データを利用して、平成31年度の管理栄養士の年収を計算してみましょう。

栄養士の4月分平均例給与は282,303円ですから、約395万円~423万円が管理栄養士の平均賃金(年収)です。

この結果から見れば、管理栄養士の平均賃金は約400万円というのは、一つの目安となる金額と思われます。

管理栄養士の受験資格・難易度

チェックリスト 管理栄養士国家試験は「厚労省管轄の国家資格である管理栄養士の免許取得のための国家試験」で、『栄養士法』第5条の2に基づいて行われます。

ここでは、この国家試験の基本情報について情報提供します。

管理栄養士の受験資格

管理栄養士国家資格試験の受験資格は次の2つです。

①4年制の「管理栄養士養成大学」または「管理栄養士養成専門学校」を卒業者または卒業見込みの者

②大学・短大・専門などの「栄養士養成施設」を卒業して栄養士資格を取得後、次の実務経験を積んだ者

  • 2年制栄養士養成施設を卒業し栄養士免許取得後3年以上の実務経験
  • 3年制栄養士養成施設を卒業し栄養士免許取得後2年以上の実務経験
  • 4年制栄養士養成施設を卒業し栄養士免許取得後1年以上の実務経験

なお、実務経験として認められる施設は次のとおり。

  • 寄宿舎、学校、病院などで、特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設
  • 食品の製造、加工、調理または販売を業とする施設
  • 学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園などの施設
  • 栄養に関する研究所および保健所などの行政機関
  • 上記のほか、栄養に関する知識の普及や指導の業務が行われる施設

詳しくは、厚生労働省のホームページで確認してください。

管理栄養士国家試験の試験範囲

2020年3月1日に実施された「第34回管理栄養士国家試験」の試験科目と科目ごとに受験者に求められた能力は以下のとおりです。

  1. 社会・環境と健康:暗記力
  2. 人体の構造と機能および疾病の成り立ち:理解力
  3. 食べ物と健康:暗記力
  4. 基礎栄養学:理解力
  5. 応用栄養学:暗記力
  6. 栄養教育論:思考力
  7. 臨床栄養学:理解力
  8. 公衆栄養学:暗記力
  9. 給食経営管理論:暗記力

上記9科目に加え総合力をたずねる応用力問題の計10科目で問題数は200問です。

管理栄養士試験の出題形式

  • 試験問題は200問
  • 一問一点の200点満点
  • 試験は午前2時間40分の105問、午後2時間25分の95問
  • 第34回から出題数の配分は、応用力問題が20問から30問へと10問も増えています。

出題数の配分の変更は次のとおりです。

科目 旧出題数 34回出題数
社会・環境と健康 17問 16問
人体の構造と機能および疾病の成り立ち 27問 26問
食べ物と健康 25問 25問
基礎栄養学 14問 14問
応用栄養学 16問 16問
栄養教育論 15問 13問
臨床栄養学1 28問 26問
公衆栄養学 18問 16問
給食経営管理論 20問 18問
応用力試験 20問 30問

管理栄養士の合格率、合格ライン

過去に行われた管理栄養士国家試験の平均的な合格率や合格ラインは、およそ次のとおりです。

  • 合格率:約60%
  • 新卒者の合格率::約90%
  • 合格ライン:200点満点の6割以上(120点以上)

なお、新卒者の合格率は毎年90%を超えていますが、管理栄養士養成課程既卒者や栄養士養成課程既卒者の合格率は20%未満という状況です。

また、第34回管理栄養士国家試験の合格率や合格ラインは次のとおりでした。

  • 合格率: 61.9%
  • 新卒者の合格率::92.4%
  • 合格ライン:200点満点の6割以上(120点以上)

管理栄養士合格率まとめ

ここでは、管理栄養士合格率のまとめとして、国家資格試験の4年分の合格率を情報提供しておきます。

受験者数 合格率 新卒受験者数 新卒合格率
2020 第34回 15,943人 61.9% 9,527人 92.4%
2019 第33回 17,864人 60.4% 9,574人 95.5%
2018 第32回 17,222人 60.8% 9,321人 95.8%
2017 第31回 19,472人 54.6% 9,425人 92.4%

この表からも分かるとおり、新卒の合格率が例年90%超であるのに対し既卒の合格率はそれよりもずっと低い状況にあることから、全体の合格率は60%台で推移しています。

これは、既卒の場合は仕事をしながら勉強をして受験に臨む人が多いのに対し、新卒者は学校で国家試験対策講座を徹底的に学んでから受験するからなのです。

管理栄養士の試験日程・会場・申し込み方法

会場 ここでは、まだ解説できていない管理栄養士国家試験の試験日程・会場・申し込み方法などの基本情報を取り上げます。

管理栄養士の基本情報

管理栄養士国家試験の基本情報は、次の一覧表のとおりです。

項  目 内   容
試験日 程3月上旬(年1回)
申込手続き ・受験願書配布時期:9月中旬から ・受験書類受付期間:12月上旬から12月中旬まで ・受験票交付時期:翌年2月に郵送で交付
申込み書類 ①受験願書 ②コンピューター入力カード ③写真 ④受験資格証明書類
試験場所 北海道 宮城県2 東京4 愛知 大阪2 岡山2 福岡2 沖縄       (試験会場は受験票に記載されているので受験票が届くまで分かりません)
試験形式 マークシートによる多肢選択方式
試験時間 午前:10:00~12:25 午後:13:40~16:20
受験手数料 ・受験手数料は 6,800円とし、受験手数料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼ることにより納付すること(収入印紙は消印しない)。 ・受験に関する書類を受理した後は、受験手数料は返還しない。
問合せ先 管理栄養士国家試験運営本部事務所

管理栄養士の資格まとめ

管理栄養士の資格まとめ

  • 管理栄養士は合格率約60%の管理栄養士国家試験合格者に厚生労働大臣から付与される国家資格
  • 管理栄養士国家試験の既卒者合格率は20%未満という狭き門
  • 管理栄養士資格は主に栄養指導に関する高度な知識とスキルを発揮できる仕事でいかされる。
  • 管理栄養士の活躍の場は、近年、多種多様化するとともに平均年収は400万円を超えている。

管理栄養士がどのような資格かについて、さまざまな側面から解説・紹介をしてきました。

管理栄養士は合格すれば更新の必要がないうえに、近頃は多種多様な職場から求められている資格です。

とくに栄養士の資格を持っている人は、キャリアアップやスキルアップを目指して、ぜひとも管理栄養士国家試験に挑戦してみたいものです。

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