ワインエキスパートの難易度は?試験を難しくする要因とその対策まで徹底解説!
「ワインエキスパートの難易度はどれくらいなんだろう」
「どのような対策が必要かわかれば、受けてみたい!」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
ワインが好きな方にとって、ワインエキスパートの資格は非常に気になることでしょう。元々ある知識を強化することで合格できるなら、一度は挑戦してみたいですよね。
この記事ではワインエキスパートの難易度について、試験の内容や合格率といった基本情報から、勉強方法まで詳しくまとめました。
ワインエキスパートの難易度についてざっくり説明すると
- ワインエキスパートは合格率が低く、難易度は比較高い
- ソムリエ試験とほぼ同じ内容だが受験資格が異なる
- 勉強には1~2年くらいの期間が必要
- テイスティングの実技試験があるので対策をしっかりしておくこと
ワインエキスパートの難易度はどのくらい?
ワインエキスパートの難易度はどのくらいなのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
ワインエキスパートの合格率は30~40%
ワインエキスパートの過去5年間の合格率は、以下の表のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2022年 | 3,469人 | 32.9% |
2021年 | 3,490人 | 40.7% |
2020年 | 3,213人 | 43.3% |
2019年 | 3,249人 | 44.2% |
2018年 | 3,214人 | 32.8% |
ワインエキスパートの合格率は、概ね30~40%程度です。受験者数の半分も合格できていないことを考えると難易度は比較的高く、難しい資格だと言えるでしょう。
ただワインエキスパートの試験は、実務経験や知識の差が反映されやすい試験です。そのため、実務経験がある方にとってはそこまで難しくない可能性もあります。
ワインエキスパートは一般の愛好家向けの資格
ワインエキスパート資格の正式名称は「J.S.Aワインエキスパート呼称資格」です。試験は「一般財団法人 日本ソムリエ協会」が主催しています。
J.S.Aワインエキスパート呼称資格試験に合格すると、「ワインを中心とする酒類や飲料、食全般の専門知識、テイスティング能力などを有する」と認められ、日本ソムリエ協会からワインエキスパートの称号が与えられます。
どちらかというと趣味系の資格である
ワインエキスパートの試験は、1996年に始まりました。
ワインを愛好する方や主婦・学生などを対象にした試験で、どちらかというと趣味系の資格であると言えるでしょう。
これまでに多くの方が試験を受けており、ワイン愛好家の間では有名な資格です。
しかし、ワインエキスパートの資格は趣味だけでなく、ワイン関連の商業分野での活躍にも役立ちます。ホテルやレストランのソムリエ、酒販店のスタッフなど、ワインに関わる仕事に携わる方々にも推奨される資格となっています。
ワインエキスパートとソムリエの違いは?
ワイン関係の資格ではソムリエも有名ですよね。実はソムリエの資格試験もワインエキスパートと同じく「日本ソムリエ協会」が主催・認定しています。
ソムリエの資格の概要
ソムリエの資格は、日本ソムリエ協会が主催する「J.S.Aソムリエ呼称資格」の試験に合格することで取得することができます。
ソムリエの資格試験は1985年からスタートしていますので、ワインエキスパートよりも11年分歴史が深いことになります。
ソムリエの資格は実務的なもの
ワインエキスパートはワイン愛好者向けの趣味系の資格です。職種や経験を問わず誰でも受けることができます。
それに対してソムリエは、飲食店やレストラン、酒販店で働く方のための実務的な資格です。受験資格も「3年以上の職務経験」「会員制度」など条件があり、誰でも受けられるというわけではありません。
アマチュア向けなのか、それともプロ向けなのかというところが、ワインエキスパートとソムリエの大きな違いと言えるでしょう。
以前はワインアドバイザーの資格も存在した
ワイン関係の資格としては、ワインアドバイザーの名も知られています。
実はワインアドバイザーの資格は2016年に撤廃され、ソムリエの資格に統合されることになりました。
過去にワインアドバイザーの資格を取った方は現在、全員ソムリエとして活動しています。
ワインエキスパートの難易度はソムリエに匹敵する
ワインエキスパートは趣味系の資格ですので、難易度はそこまで高くないのでは?と思う人もいるかもしれません。
しかしそれは大きな間違いです。
どちらも試験内容には大差がない
ワインエキスパートの資格は、「愛好者にもソムリエと同等の資格が欲しい」という要望によって生まれた資格です。
ワインエキスパートの試験は、試験形式や公式テキストがソムリエと同じ内容になっています。つまりワインエキスパートの試験はソムリエの資格試験と難易度において大差がないと言えるのです。
合格率もほぼ同じ
ソムリエ資格試験の合格率は、大体25~30%です。ワインエキスパートの合格率は30~40%程度ですから、合格率を見てもほとんど差がないことがわかります。
さらにワインエキスパートの試験を受ける方の中には、「ソムリエの資格を取りたいけど、受験に必要な実務経験が足りなかった」という方も多くいると言われています。
どちらの資格も「ワインに関する知識が十分ある」ということには変わりありません。異なるのは実務経験の有無のみと考えて良いでしょう。
ワインエキスパートもソムリエのようにバッジがもらえる
ソムリエの方が認定バッジをつけていることは有名ですよね。ワインエキスパート試験に合格した方も日本ソムリエ協会からバッジを受け取ることができます。
デザインはソムリエのバッジとほぼ同じで、刻印してある資格名のみ異なります。合格してバッジを受け取った方は大切にしましょう。
初学者であれば、2年かけても十分な難易度
ワインエキスパートの試験は非常に広い範囲から出題されます。
公式テキストは600ページという膨大な内容になっていますので、受験対策にはかなり時間がかかると思ってください。
実技対策もあるので最低でも1年は必要
ワインエキスパートの試験にはテイスティングも含まれます。
知識を詰め込む勉強だけでなく、実技対策もしなくてはなりません。勉強内容は山積み状態になるでしょう。
ワインエキスパートは2年目で挑戦する方が多い資格試験です。ただし1年経った時点で知識が十分だと思ったら、一度テストを受けてみても良いでしょう。焦らずじっくり対策を進めていきましょう。
楽しみながら勉強を進めていくべし
資格試験の対策に2年もかかるとなると、大変だと感じるかもしれませんね。
しかしワインエキスパートの勉強内容は、ワイン好きの方にとってはどれも興味深いものばかりです。
勉強を進める中で新しい発見も多くあることでしょう。今まで知っていた内容でも、改めて勉強しなおすことでワインの奥深さを感じることができます。
ぜひ、楽しみながら試験対策を行ってください。
そのため、ワインエキスパートの資格取得は、単なる試験対策だけでなく、自分自身のワインに対する理解と愛情を深める旅でもあります。この過程を楽しむことが、最終的に成功へとつながる鍵となるでしょう。
ワインエキスパートの試験内容
この段落では、ワインエキスパートの試験でどのような内容が出題されるのかを紹介します。
試験は2段階にわかれている
ワインエキスパート資格試験は、「一次試験」「二次試験」の2段階構成で行われます。
一次試験の概要
ワインエキスパートの一次試験は、CBT方式で行われます。制限時間は70分です。
CBT試験とはコンピューターを使った試験形式です。紙に鉛筆で回答するようなものではなく、コンピューターの画面に向き合って回答していく形になります。
試験は全国のテストセンターで行われ、結果は即時発表となります。6月中旬~8月末までのテスト期間内で好きな日時を選択して受験することができますので、申し込み時に希望日時を添えてください。
二次試験の概要
ワインエキスパートの二次試験は、全国16ヵ所の主要都市で実施されます。二次試験では「テイスティング」が行われ、試験時間は50分です。
二次試験のテイスティングは一次試験に合格した方のみ受けられます。二次試験に落ちたとしても、5年以内であれば二次試験を受け直すことが可能です。
一次試験(CBT方式)は広く浅い知識が問われる
ワインエキスパート一次試験の問題は、日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本」から出されます。
「日本ソムリエ協会教本」はワインエキスパート資格試験に申し込むと、日本ソムリエ協会から配布されます。
日本ソムリエ協会教本の内容は?
「日本ソムリエ協会教本」は600ページ近くにもなるかなり分厚い教本です。一般的な文庫本が250ページくらいですので、その倍以上のページ数があります。
テキストの内容は、主に以下のようなものです。
- ワインの生産国の情報
- ワインの生産工程
- ワイン以外の酒類全般の情報
それぞれの内容が非常に詳しく掲載されていますから、ワイン好きの方にとっては読んでいるだけでも楽しめることでしょう。
勉強は「浅く広く」行う
ワインエキスパートの試験範囲は非常に幅広い内容が出題されます。
世界のワインについてありとあらゆる内容が出題されますので、ご自身の好きなワイン、もしくは有名な高級ワインの知識だけでは太刀打ちできません。
そのためワインエキスパートの試験勉強は「浅く広く」を心がけましょう。要点をしっかりおさえ、知識は取捨選択して頭に入れていくことをおすすめします。
二次試験(テイスティング)は身構えなくてOK
ワインエキスパートの試験で特徴的なのがテイスティングです。
ワインのテイスティングというとヴィンテージや品種、生産国を当てるなど、非常に難しい内容をイメージする方もいるかもしれません。
しかしワインエキスパート試験のテイスティングは、そこまで身構えなくても大丈夫です。
回答は選択式
ワインエキスパート試験のテイスティングは、「ワインの外観や味わいについて、配布された試飲用語の中からそのワインの官能評価として適切なものを選択する」という形式で行われます。
つまり選択式の問題ですので、よくわからなかった場合でも回答はできます。
官能評価とは?
官能評価とは、人間の感覚を使った品質の判定方法です。ワインエキスパート試験の場合、主に以下のような内容を判定します。
- 外観:「グリーンがかった」など
- 酸味:「力強い」など
- 味わい:「グレープフルーツの香り」「ハーブ系の香り」など
- 飲んだ後の余韻の長さ
どのくらいの正答率で合格できるのか
ワインエキスパート試験のテイスティングは5~6種類出題されます。そのうち3~4種類正解できれば、合格できるとされています。
テイスティング用の5~6種類のうち、3~4種類は一般的なワイン、つまり「スティルワイン」です。(※スティルとは「動かない」という意味)
その他はスパークリングワインやフレーバードワインなど、スティルワイン以外からの出題になります。
主なテスト内容は官能評価ですが、品種やヴィンテージについても多少出題されますので、ある程度の知識は頭に入れておきましょう。
ワインエキスパートは二十歳以上であれば受験可能
ワインエキスパート試験は、受験資格は特にありません。
ただし、お酒に関する試験ですので20歳以上である必要があります。(一次試験の基準となる日において20歳以上であることが条件です。)
ソムリエ試験と違って実務経験がなくても受験できますので、ワインが好きな方であれば誰でもチャレンジすることができます。
ソムリエ試験を受けるための実務年数が足りないという方も、まずはワインエキスパートの試験を受けてみると良いでしょう。
ワインエキスパート試験を通じて得られる知識と経験は、今後ソムリエ試験に挑戦する際の強い基盤となりますし、ワイン愛好家としてもさらなる深みを楽しむためのステップと言えるでしょう。
ワインエキスパート資格試験が難しい理由とその対策
ワインエキスパートは趣味向けの資格試験であるにも関わらず、合格率は3割~4割と低いものになっています。
ワインエキスパートの資格試験はなぜここまで難関試験になったのでしょうか。その理由や、試験対策のポイントを解説いたします。
①試験範囲が多い
ワインエキスパートが難関試験となった理由の一つに、試験範囲の広さがあります。
ワインエキスパート試験の公式テキストは、600ページという膨大な情報量で構成されています。趣味の資格でありながらここまでの知識量を求める資格は、他にはあまり見かけません。
暗記も大事だが問題演習も同時に進めよう
ワインに関する知識を身に付けるためには、基本的には暗記をする必要があります。
しかし公式テキストを丸暗記したりノートにまとめようとしても、教本のページ数が600ページもあることから、あまり効率の良い勉強方法だとは言えません。
それよりもテキストは辞書代わりとして扱い、問題演習をしながら調べ物をするようにしていきましょう。このほうが知識を頭に入れやすくなります。
問題をたくさん解こう
ワインエキスパート試験は、問題集が市販されています。まずは書店に行き、ご自身に合った問題集を購入してください。
- 「ソムリエ・エクセレンス ワインエキスパート・エクセレンス 試験完全対策2300問」 5,500円
上記の問題集は問題数がかなり多いですが、こうした問題集を使いまずは一通りざっと問題演習をしてみましょう。
わからない問題が出てきたらその都度テキストに戻って、知識を深めていってください。
市販の問題集以外に、ネット上にもワインエキスパート試験の対策問題が公開されています。独学をする人向けにかなり良質な問題が揃っていますので、試験直前に挑戦してみると良いでしょう。
テキストは3周以上やりこもう
他の資格試験にも言えることですが、テキストや問題集はあまり多く買いすぎないほうが良いです。
ご自身に合った1冊をやり込んで行ったほうが、効率良く知識を吸収することができます。
テキストや問題集は、最低3周やり込んでみてください。何度も繰り返し問題を解いていくことでパターンが身に付きますし、本番でも反射的に答えることができるようになっていくでしょう。
公式以外のおすすめテキスト
ワインエキスパート試験の問題集は、こちらもおすすめです。
- 「受験のプロに教わる ソムリエ試験対策問題集 ワイン地図問題付き」 2,860円
タイトルには「ソムリエ試験対策」とありますが、ワインエキスパート試験とソムリエ試験は内容が被っていますので、ワインエキスパートの試験対策にも使う事もできます。
ワインに関して重要なトピックがおさえられた構成になっていますので、ポイントを頭に入れながら勉強を進めていきましょう。
②テイスティングの対策が難しい
ワインエキスパートは、一次試験までは独学でも対応可能です。
しかし二次試験のテイスティングについては、独学での対策はかなり難しいでしょう。
テイスティングの勉強方法
ワインエキスパートのテイスティング試験は実技ですので、とにかく実際にワインに触れることが大切です。
ワインの官能評価は五感をフルに活用します。舌で感じる、香りで感じる、色の見方など、自身の感覚を磨いていく必要があります。
五感を研ぎ澄ますには、特に決まった方法があるわけではありません。色々な方法を試しながら、自身に合った「感じ方」を会得していきましょう。
コツはプロに聞こう
ワインのテイスティングのコツについては、ワイン関連の仕事をしている人に聞くのが一番です。
バーの店員や試験経験者など、ワインに詳しい知り合いを頼ってみてください。その方にテイスティングのコツや試験対策を聞いて参考にするのが、一番手っ取り早いと言えます。
知識よりも官能評価が重要
ワインエキスパート試験のテイスティングでは、官能評価の他にワインの生産地やぶどうの品種なども問われます。
しかし生産地や品種についてを全て間違えていても、官能評価が優れていれば合格できたという事例があるようです。
つまりテイスティングはあくまでも官能評価が主体です。知識面よりもまず、五感を使った官能スキルを磨いていってください。
ワインスクールへ行くと情報の共有ができる
ご自身の周辺にワイン関係の仕事をしている人がいない場合は、ワインスクールに通うことも検討してみましょう。
ワインスクールの多くは、一回ずつの授業単位で通うことができます。フルで受講しなくても良いので、まずは一度お試しで授業を受けてみてください。
ワインスクールであれば、テイスティングのコツをしっかり習うことができます。またワインエキスパートを目指す同志、さらには合格者とも出会うことができるでしょう。
仲間同士で有益な情報を交換できますので、多少お金はかかりますがそれだけの価値があると言えます。
テイスティングの対策に漫画が役立つ⁉
テイスティングに役立つワインの知識を身に付けたい方におすすめの漫画があります。
- 「神の雫」モーニングコミックス 原作:亜樹直 作画:オキモト・シュウ
ソムリエを目指す女性と、ワインに翻弄される男性を描いた青年漫画です。
ワインの知識が濃厚に描かれた内容になっていますので、「ストーリーを追うだけでワインに詳しくなれる」と非常に話題になりました。
勉強するという観点で読めば、ワインの香りやぶどうの品種について、楽しみながら覚えることができるでしょう。
「神の雫」に登場したワインから覚えていくのもおすすめ
もし「神の雫」で気になったワインがあれば、ぜひ実際に飲んでみてください。
漫画で得た知識を元に味わうことで、味や香りの表現を「感覚」として覚えることができるでしょう。
また「神の雫」を読む時はぜひ、世界地図を用意してください。登場したワインの生産地やシャトー名(生産者名)も確認しながら読んでいくと、記憶と絵を紐付けながら覚えることができます。
絶大な学習効果が期待できることは間違いありません。
ワインエキスパートの難易度まとめ
ワインエキスパートの難易度まとめ
- ワインエキスパートは合格率30~40%と難易度は高め
- ソムリエとほぼ同等の知識を有する証明になる
- 試験対策は実技も含めて1~2年かけてしっかり行うべし
- 漫画も利用して楽しみながら対策をしよう
ワインは飲むだけでも美味しいですが、知識を付けることで別の角度からも楽しむことができます。
ワイン愛好家の方はぜひ、ワインエキスパート試験を受けてみてください。今まで何気なく飲んでいたワインに愛着がわいてくるはずです!