フードスペシャリストってどんな資格?試験概要から合格率まで徹底解説!
「フードスペシャリストってどんな資格なの?」
「フードスペシャリストになるとどんな仕事ができるの?」
フードスペシャリストをご存知ない方は、このような疑問を持つのではないでしょうか。
この記事では、フードスペシャリストという資格とはどのようなものなのか、フードスペシャリストになるにはどうすればよいのかなど、フードスペシャリストの基本情報を徹底解説しています。
フードスペシャリストについては知らなくとも、食に興味がある方、食に関する仕事に就きたいという方は多いのではないでしょうか。フードスペシャリストは、そのような方にぴったりの職業です。
フードスペシャリストとは何かについて知り、興味を持った方はぜひ資格取得を検討してみましょう!
フードスペシャリストについてざっくり説明すると
- フードスペシャリストとは、食に関する知識や技術を身に付けた食の専門家に与えられる資格
- フードスペシャリストは食品メーカー、食品販売、飲食店など幅広い業種で活躍できる資格
- フードスペシャリストの養成機関を卒業または卒業見込みの人は試験を受けることができ、合格すると資格が取得できる
フードスペシャリストってどんな資格?
フードスペシャリストという資格を聞いたことがあっても、具体的にどのような資格なのかはわからないという方もいるのではないでしょうか。そこで、まずフードスペシャリストという資格の基本情報について解説します。
フードスペシャリストとは
フードスペシャリストは食の「おいしさ」「楽しさ」「おもてなし」について知識や技術を身に付けられる資格です。資格取得を通して食に関する専門家になることができます。
また、フードスペシャリストの資格について学ぶことで、ただ食品や食事を作ることだけではなく、栄養面、安全面、コーディネート論など「食」に関する全てのことを学ぶことができます。
フードスペシャリストを取得した方は、食の開発製造・流通・販売・外食など、食に関するあらゆる分野で活躍しています。
食に関する仕事に就きたい方は、ぜひ取得しておくことをおすすめできる資格です。
フードスペシャリストの主催団体
フードスペシャリストの資格は、公益社団法人日本フードスペシャリスト協会が主催しています。
公益社団法人日本フードスペシャリスト協会は、食品・食文化やその他食に関する専門知識、総合的知識と技術を持った人材を育成し、食品業界の発展と消費者の健康を確保することを目的として平成8年に設立されました。
主な活動はフードスペシャリストの養成で、フードスペシャリスト資格認定試験を平成11年から始めています。また、フードスペシャリスト資格認定試験の実施の他にも、フードスペシャリスト養成機関の認定や、フードスペシャリストの養成のための研究・研修なども事業として行っています。
公益社団法人日本フードスペシャリスト協会は、設立当時は任意団体でしたが、平成19年からは社団法人、平成25年からは公益社団法人となり、活動の幅をさらに広げています。
フードスペシャリストは3種類の区分が存在する
フードスペシャリストは、2014年から
- フードスペシャリスト資格
- 専門フードスペシャリスト(食品開発)資格
- 専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格
の3種類の資格区分に分けられました。
フードスペシャリスト資格とは、食に関する総合的・体系的な知識、技術を身に付けられる資格です。
また、専門フードスペシャリスト資格とは、フードスペシャリスト資格をすでに取得しているか、取得見込みの方がチャレンジできる資格です。フードスペシャリスト資格よりも専門性・実用性の高い資格となっています。
フードスペシャリストが活躍する仕事
フードスペシャリストは民間資格であるため、求人ではフードスペシャリストの有資格者を募集していることはあまりありません。
しかし、フードスペシャリストを取得している人は、食品メーカー、食品流通業、販売、飲食店など幅広い分野で活躍できます。フードスペシャリストの資格を活かすためには、このような食に関する求人を探しましょう。
具体的な仕事の内容としては、食品の企画・開発、食品工場の管理、新メニューの開発などです。
また、食品業界への就職だけではなく、食の安全や栄養に関する知識を活かして医療・福祉関係へ就職する方も少なくありません。栄養士・管理栄養士として働く方も多いです。
食に関わる仕事であれば、さまざまな職業で活躍できるのがフードスペシャリストなのだと言えます。
フードスペシャリストのなり方
フードスペシャリストになるためには、指定の養成機関を卒業または卒業見込みとなり、フードスペシャリスト資格認定試験に合格する必要があります。
フードスペシャリスト資格認定試験とはどのような試験なのでしょうか。ここからは、フードスペシャリスト資格認定試験の概要や、フードスペシャリストの資格取得のための要件について詳しく解説します。
大学・短大で必修科目を取得から
フードスペシャリストの資格取得を目指すなら、公益社団法人日本フードスペシャリスト協会が指定した養成機関の特定の学科で、公益社団法人日本フードスペシャリスト協会が指定する必修科目の単位を取得しなければなりません。
養成機関とは、公益社団法人日本フードスペシャリスト協会が指定する143の大学・短期大学です。また、フードスペシャリストの資格認定試験を受けるには、養成機関を卒業することも必須となります。
ですから、フードスペシャリストの取得には最低でも2年~4年はかかるということになります。フードスペシャリストはなりたいと思い立ったらすぐに取得できる資格ではないのです。
なお、このような養成機関については、公益社団法人日本フードスペシャリスト協会のHPで検索ができます。養成機関である大学・短期大学は全国にありますので、興味がある方はまずお住まいの地域の養成機関を検索してみてください。
養成機関で必要な8科目21単位
協会指定の養成機関である大学・短期大学には、栄養学科、食生活学科、家政学科などが多く存在しています。
フードスペシャリストになるためには、このような学科に入学し、以下の8科目21単位を取得しなければなりません。
授業科目 | 最低単位数 |
---|---|
フードスペシャリスト論 | 2 |
食品の官能評価・鑑別論 | 2 |
食物学に関する科目 | 5 |
調理額に関する科目 | 4 |
栄養と健康に関する科目 | 2 |
食品流通・消費に関する科目 | 2 |
フードコーディネート論 | 2 |
なお、これらの科目の単位を取得せずに養成機関を卒業したという場合でも、卒業後に科目履修生として科目を履修し、単位を取得すれば受験資格を満たすことができます。
フードスペシャリスト資格試験へ挑戦
フードスペシャリストになるためには、まず養成機関を卒業または卒業見込みになる必要があります。そして、フードスペシャリスト資格試験を受けて合格できれば、資格を取得することができるのです。
試験は年に1度、原則として12月の第3日曜日に開催されます。試験会場は全国の養成機関である大学・短期大学です。また、合格発表は1月下旬に行われます。
フードスペシャリスト資格試験に合格するとフードスペシャリスト資格認定証が交付されますが、交付される時期は養成機関の卒業式の日になります。
例えば、4年制大学に在学し3年次に合格した人は、3年次には認定証がもらえず、卒業式の日にもらうことになるのです。
フードスペシャリストの受験資格
フードスペシャリスト資格の受験資格は次の3つです。
- 養成機関の最終年次に属する学生
- 4年制大学の第3年次に属し、第3年次中に受験科目の単位の修得が見込まれる学生
- 養成期間を卒業しており、指定の単位を取得している方
なお、専門フードスペシャリスト資格認定試験は、フードスペシャリスト資格認定試験をすでに取得している方、またはフードスペシャリスト資格認定試験と専門フードスペシャリスト資格認定試験を同時に受験する方が受験可能です。
つまり、フードスペシャリスト資格認定試験を受験せずに、いきなり専門フードスペシャリスト資格認定試験を受験することはできないということです。
専門フードスペシャリストを目指す方は、まずフードスペシャリストの勉強から始めましょう。
フードスペシャリストの難易度・試験概要
フードスペシャリストの難易度はどのくらいなのでしょうか。ここからは、フードスペシャリスト資格認定試験の難易度や、試験の詳しい内容について解説していきます。
フードスペシャリストの試験範囲と出題形式
フードスペシャリストと専門フードスペシャリストは、どちらの試験も、試験問題は共通科目30問と専門科目30問の合計60問で構成されています。
専門科目は「食物学に関する科目」「調理学に関する科目」「食品流通・消費に関する科目」「フードコーディネート論」の4科目です。
共通科目はフードスペシャリスト、専門フードスペシャリストともに出題範囲は同じです。しかし、専門科目の場合は、フードスペシャリスト、専門フードスペシャリスト(食品開発)、専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)でそれぞれ出題範囲が異なります。
専門科目は、フードスペシャリスト資格の場合4科目からまんべんなく出題されますが、専門フードスペシャリストの場合は、出題されない科目があるという違いがあるのです。
出題形式はマークシートで、5肢択一式です。試験時間はどの試験も80分で行われます。また、配点は1問2点の120点満点です。
フードスペシャリストの詳細な出題範囲
先ほども述べたように、共通科目の出題範囲は、3つの資格区分で共通しています。また、専門科目は資格区分で出題範囲が異なります。
共通科目と専門科目の出題範囲と問題数をまとめると次のようになります。
【共通科目】
出題科目 | 出題数 |
---|---|
(1)フードスペシャリスト論 | 6 |
(2)食品の官能評価・鑑別論 | 9 |
(3)食品の安全に関する科目 | 8 |
(4)栄養と健康に関する科目 | 7 |
小計 | 30 |
【専門科目】
出題科目 | ①出題数 | ②出題数 | ③出題数 |
---|---|---|---|
(1)食物学に関する科目 | 9 | 25 | / |
(2)調理学に関する科目 | 7 | 5 | 10 |
(3)食品流通・消費に関する科目 | 7 | / | 10 |
(4)フードコーディネート論 | 7 | / | 10 |
小計 | 30 | 30 | 30 |
①フードスペシャリスト資格
②専門フードスペシャリスト(食品開発)資格
③専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格
フードスペシャリストの合格率、合格ライン
フードスペシャリストの合格ラインは公表されていません。試験後に調整されていると考えられます。何割得点すれば合格できるということはわかりませんので、苦手分野を作らないことを意識し、常に高得点を狙えるように受験勉強をしていかなければなりません。
なお、フードスペシャリストの過去5年分の合格率は次の通りです。
【フードスペシャリスト資格認定試験】
年 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2014年度 | 5,542名 | 81.8% |
2015年度 | 5,213名 | 82.0% |
2016年度 | 4,703名 | 84.0% |
2017年度 | 4,489名 | 84.8% |
2018年度 | 4,126名 | 87.5% |
【専門フードスペシャリスト(食品開発)資格認定試験】
年 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2014年度 | 956名 | 26.7% |
2015年度 | 810名 | 18.1% |
2016年度 | 659名 | 20.3% |
2017年度 | 520名 | 18.5% |
2018年度 | 492名 | 15.7% |
【専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格認定試験】
年 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2014年度 | 662名 | 47.1% |
2015年度 | 648名 | 29.2% |
2016年度 | 502名 | 31.1% |
2017年度 | 457名 | 25.2% |
2018年度 | 344名 | 16.6% |
フードスペシャリストの合格率は80%以上と、かなり高いと言えます。
また、専門フードスペシャリスト(食品開発)は20%前後と、こちらも難易度が高いというわけではありません。
専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)も、合格率にばらつきはあるものの、難関資格とまでは言えない合格率です。
このように、フードスペシャリスト、専門フードスペシャリストは合格しやすい資格だと言うこともできますが、だからといって簡単な試験であるというわけではありません。
受験者のほとんどが、大学・短期大学の卒業時に受験しており、対策がしっかりされているため合格する人が多いため、合格率が高いのだと考えられます。
合格のためは過去問をやりこもう
どの試験にも共通することですが、合格するためには過去問を解いてしっかり見直しをすることが一番の近道です。
過去問を使うことで、試験での頻出問題を把握できたり重要なポイントを押さえたりすることが容易になります。過去問はぜひ活用することをおすすめします。
過去問は、協会が発行している「フードスペシャリスト資格認定試験『過去問題集』」(建帛社)があります。全国の書店やネットで購入することができますので、取り寄せて勉強してみてください。
フードスペシャリストと合わせて取りたいおすすめ資格
フードスペシャリストと合わせて取っておくと役に立つ資格がいくつかありますので、おすすめできる資格をご紹介します。
管理栄養士/栄養士
管理栄養士と栄養士は、どちらも医療現場、老人福祉施設、介護保険施設、児童福祉施設、小中学校、行政機関、企業、管理栄養士・栄養士養成施設、試験研究機関など実にさまざまな場で活躍しています。
栄養士・管理栄養士は、上記のような施設で食事の栄養を考え献立を作成したり、栄養指導を行ったり、商品開発を行ったりします。
栄養士と管理栄養士はどちらも国家資格ですが、管理栄養士は栄養士の上位資格にあたります。栄養士は基本的に健康な人々に対する食生活の指導を行うのに対し、管理栄養士は病気の方などに対しての栄養指導も行うことができます。
資格取得のためには、栄養士の場合は養成機関である専門学校、短期大学、大学を卒業することによって資格を取得することができます。
管理栄養士の場合は、栄養士の資格を取得後に国家試験を受験し、合格する必要があり、資格取得の難易度は栄養士よりも管理栄養士の方が上です。
大きな規模の施設では管理栄養士を配置することが義務になっていることもあり、管理栄養士の方が専門性が高いと言えます。
製菓衛生師
製菓衛生師は、お菓子やパンなどのスイーツを作る職業の人が取得しておくとよい資格です。
製菓衛生師は菓子製造業に従事する人の資質や製菓衛生の向上を目的として始まりました。
フランス語で「お菓子を作る人」を意味するパティシエになりたい方も、この製菓衛生師を取得しておくと便利です。
製菓衛生師になるには、養成施設である専門学校、短大、大学で1年以上学ぶか、菓子製造の実務経験を2年以上積む必要があります。
製菓衛生師は国家資格で、各都道府県により毎年製菓衛生師試験が主催されています。受験資格を満たしたあとこの試験に合格することで、晴れて製菓衛生師になることができるのです。
お菓子作りやパン作りを仕事にしたい人は、ぜひ取得しておくことをおすすめします。
調理師
調理師は、食品の「栄養」「衛生」「適切な調理法」などの知識を持ち、安全な料理を作ることができる調理のプロです。
調理師になるには、調理師学校を卒業するか、飲食店で2年以上の実務経験を積み、調理師試験に合格する必要があります。
調理師免許は国家資格で、調理の経験と知識があることを証明することができます。
現在は、調理師免許がなくとも飲食店を経営したり、飲食店に就職したりすることは可能ではあります。
しかし、将来的には飲食店を栄養する際に調理師免許が必須になる可能性もあるため、飲食業で働きたい方は取得しておいた方がよい資格だと言えます。
フードスペシャリストについてまとめ
フードスペシャリストについてまとめ
- フードスペシャリストの試験を受けるには、養成機関で協会指定の8科目21単位を取得する必要がある
- フードスペシャリストの合格率が高い理由としては、短大や大学の卒業時に試験を受けるため、試験対策がしっかりしてあることが挙げられる
- フードスペシャリストと合わせて、栄養士・管理栄養士、製菓衛生師、調理師の資格も取得することがおすすめ
フードスペシャリストとはどのような資格なのか、どのような仕事ができる資格なのか、また、フードスペシャリストになるための試験の情報など、フードスペシャリストの基本情報をくわしくご紹介しました。
フードスペシャリストになるには、まず養成機関を卒業見込みになるか卒業して、フードスペシャリストの資格試験を受験する必要があります。
フードスペシャリストになるためには時間がかかりますが、食の専門家としてさまざまな業種で働ける資格であるため、食に関する仕事がしたい方にはおすすめの資格です。興味がある方はぜひ資格取得を目指してみてください。