ワインエキスパートってどんな資格?試験の詳細・難易度・勉強法まで大公開!
「ワインエキスパートって、どんな資格?」
「ワインエキスパートの難易度が知りたい!」
ワイン愛好家ならワインエキスパートという資格について一度は聞いたことがあるでしょう。ワインエキスパートは日本ソムリエ協会が主催しているワイン愛好家向けの資格です。
ここではワインエキスパートについて紹介します。試験の概要や難易度、勉強法などを詳しく解説します。また、ワインエキスパートと関連する資格についても併せて紹介します。
これを読めば、ワインエキスパート試験の概要や対策法が理解できるでしょう。少しでも興味が沸いたらぜひ受験してみてください!
ワインエキスパートについてざっくり説明すると
- 職歴に関わらず受験できる、ワイン愛好家向けの資格
- 筆記試験の範囲が広く、テイスティング試験もある
- 合格率は30〜40%
ワインエキスパートってどんな資格?
ワインエキスパートとは
ワインエキスパートとはワインを中心とする酒類、飲料、食全般の専門知識、テイスティング能力を有することを証明できる民間資格です。正式名称は「J.S.Aワインエキスパート呼称資格」です。
ワインエキスパートは一般財団法人日本ソムリエ協会が主催しています。同協会はソムリエ試験も主催していて、ワインエキスパートは愛好家向けのソムリエ資格です。
ワインエキスパート試験の主な受検者はワインの愛好家、主婦、学生などです。1996年に始まって以来、趣味系の資格ながら多くの人が受験しています。
日本ソムリエ協会とは
ワインエキスパートを主催している一般財団法人日本ソムリエ協会は、人々に食文化の向上および豊かな食生活を提供し、食文化に携わる人々の社会的な向上をはかることを目的としています。
資格試験の開催以外にも、食に関するさまざまな事業を手掛けています。主な事業には次のようなものがあります。
- 日本の食文化に携わる人材の資質の向上
- 飲料に関する知識の普及
- サービス技術の向上
- 飲食を提供する環境の衛生的確保
- ソムリエやワインに関連する環境整備や人材育成・情報提供
このように日本ソムリエ協会の活動は多岐にわたります。
ソムリエとはどう違うのか
ワインに関する資格としてはソムリエが有名です。ワインエキスパートと同じく、日本ソムリエ協会が主催する「J.S.Aソムリエ呼称資格」があります。
ワインエキスパート誕生の経緯
ソムリエ資格の歴史はワインエキスパートよりも古く、1985年から始まっています。しかし、ソムリエは専門職を対象としている資格であるため一般の愛好家は受験できませんでした。
そこで、一般のワイン愛好家にもソムリエと同等の資格を与えて欲しいという要望から、ワインエキスパートの資格が作られたのです。
ソムリエとワインエキスパートの違い
ワインエキスパートとソムリエの大きな違いは受験資格と対象者です。ソムリエは職務経験のある実務者向け、ワインエキスパートは誰でも受験できるので愛好家向けとなっています。
ソムリエは飲食店・レストラン・酒販店勤務者などを想定しています。そのため、ソムリエの試験では3年以上の職務経験や会員制度などの受験資格が設定されています。
それに対して、ワインエキスパート資格は一般のワイン愛好家向けの資格となっています。受験資格に制限がないので、ワインエキスパートは職種や経験などに関わらず受験できます。
筆記試験はほとんど同じなので、難易度が大きく異なるとは言えません。合格率も40%程度で大きくは変わりません。
ワインエキスパートを取得している芸能人は多い
ワインエキスパートの取得者は2018年までに3000人を超えています。そして合格者の60%近くは女性です。
芸能人の中にもワインエキスパートを取得している女性は多数見られます。
例えば、女優の川島なお美さん、モデルの押切もえさん、タレントの山本モナさん、女優の夏菜さん、タレントの眞鍋かをりさんなどが挙げられます。
ワインエキスパート資格の勉強でワインの世界が広がる
ワインエキスパートの試験範囲は世界中のワインが対象となっていて、ワインに関するあらゆることが出題されます。そのため、自分の好きなワインや高級なワインの知識だけに詳しくても合格は難しいでしょう。
しかし、それは言い換えれば世界のワインに関するいろいろなことを学べるということです。今まで知らなかった知識に触れることで、ワインへの興味がより一層掻き立てられ、今まで以上にワインのことが好きになるでしょう。
また、先ほども触れたようにワインエキスパートはソムリエと肩を並べる資格です。試験のレベルが高いので、ワイン通の方たちからも一目置かれることは間違いないでしょう。
ワインエキスパートを取ることをおすすめする人
ワインエキスパートは国内でも有数のワイン関連資格です。主に次のような人に向いています。
- ワインの専門知識を身に付けたい方
ワインエキスパートはソムリエ試験に勝るとも劣らない試験です。ソムリエ並みの知識を習得したい愛好家には特におススメです。
- 自分のワイン知識やテイスティング能力を測りたい方
試験に合格すれば、一定の能力を持っていることを証明できるでしょう。
- ワインを通じてコミュニティを作りたい方
- ワインのルーツや特徴を知りたい方
なによりワインを飲むことや学ぶことが好きな方にはオススメの資格です。
ワインエキスパートの試験は2段階
ワインエキスパートの試験は2段階で行われます。一次試験はマークシート方式の筆記試験、二次試験はテイスティングによる実技試験が実施されます。この両方の試験に合格すると、ワインエキスパートとして認定されます。
一次試験はCBT方式
一次試験はすべてマークシート方式で行われます。試験時間は70分です。試験の結果は試験終了のタイミングで即時発表されます。
試験会場は全国47都道府県にあるテストセンターです。試験期間は6月中旬から8月末ごろまであり、コンピュータを利用したCBT方式で行われるため自分の都合の良いタイミングで受験できます。
一次試験は期間中2回まで受験できます。ただし、受験する回数は申込時に申請する必要があります。1回受験で申し込んだ方は、不合格になっても追加で受験することはできません。
一次試験は知識を問われる
一次試験ではワインの生産国の情報、ブドウの栽培からワインの生産工程、さらにはワイン以外の酒類全般についての知識が問われます。
試験問題は日本ソムリエ協会が発行している「日本ソムリエ協会教本」から出題されます。この教本は試験に申し込んだ人全員に協会から配布されます。
理論上は教本の内容をすべて覚えればよいのですが、教本は600ページ近くあるので完璧な暗記はほぼ不可能です。
そのため、一次試験対策では”浅く広く”勉強をすることが重要です。出題されにくい分野や重要度の低い部分は捨て、要点を抑えるという知識の取捨選択が必要になります。
二次試験はテイスティング
一次試験に合格すると二次試験を受験できます。実際にワインやその他の酒類をテイスティングし、その特徴を表した文章を選択する方式で行われます。試験時間は50分です。
二次試験の実施時期は10月前後で、試験会場は札幌・盛岡・仙台・東京・長野・金沢・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・高松・福岡・鹿児島・沖縄の16ヶ所です。
テイスティング=官能評価の選択
一般的なワインテイスティングのイメージはヴィンテージや品種、生産地などを当てるものでしょう。ところが、ワインエキスパート試験のワインテイスティング試験はこのイメージとは異なります。
ワインエキスパート試験は外観や味わいに関する官能評価が中心です。生産地や品種を当てる課題ではありません。中には、生産地・品種などをすべて間違えたけれど合格できたという声もあるようです。
官能評価の具体例
試験ではワインの評価について書かれた複数の文章の中から、試飲したワインの評価として最も適切なものを選ぶ選択形式で行われます。
例えば、外観なら「グリーンがかった」、酸味なら「力強い」、味わいなら「グレープフルーツやハーブなどの香り」といった表現から適したものを選べばよいのです。また、余韻の長さ、品種やヴィンテージに関しても出題されます。
テイスティングは5種類から6種類ほど行います。そのうち、3~4種類が一般的なスティルワイン(※)、残りの2種類前後がスパークリングワインやフレーバードワイン、ブランデーなどです。
※スティルワイン:スティルとは「動かない」という意味でスパークリングワインやフレーバードワインとは異なる一般的なワインのこと
ワインエキスパートに受験資格の制限はない
ワインエキスパート資格はワイン愛好家のための資格です。学歴や職歴などの制限はありません。ワインが好きという気持ちがあればOKです。
一次試験の基準日において20歳以上であれば誰でも受験できます。
そのため、ソムリエ試験に必要な実務経験を満たせない場合でも受験できます。ソムリエ試験の受験資格である実務経験が足りない場合は、ぜひワインエキスパートを受験しましょう。
また、一次試験合格後に二次試験に不合格になってしまった場合でも、5年以内であれば一次試験が免除されます。
ワインエキスパートの受験料
ワインエキスパートの受験料は以下の表の通りです。見てわかるように非常に高額な試験です。さらに、この受験料とは別に認定料が2万円程度必要になります。
受験料が高いので、一度の受験で確実に合格できるような準備をして試験に臨むことをおすすめします。十分に対策をしておきましょう。
一般 | 正会員 | 賛助会員 |
---|---|---|
一次試験(1回受験) | 29,600円 | 20,380円 |
一次試験(2回受験) | 34,440円 | 25,220円 |
二次試験 | 14,210円 | 7,300円 |
一次試験の受験料には「日本ソムリエ協会教本」の代金が含まれています。また、協会が作成しているワインエキスパートに関する動画を閲覧する権利も付与されます。
一次試験の受験料は期間中に1回だけ受験するか2回受験するかで異なります。2回受験の場合、たとえ1回目で合格したとしても2回めの分の受験料は返還されません。慎重に考えて選びましょう。
ワインエキスパートの難易度・勉強法
ワインエキスパートの合格率、合格ライン
ワインエキスパートの過去5年間の合格率は30~40%です。合格ラインは非公開ですが、おおよそ70%程度と言われています。ストレートで合格できるのは3人に1人と言われています。
ソムリエ試験は合格率が20%から40%前後で推移しています。難易度はほとんど同じといって良いでしょう。
ただし、ワインエキスパート試験の難易度は、実務経験の有無や事前知識の差が出やすいため、難易度を一概にいうことはできません。
以下の表は過去5年の合格者数と合格率を示しています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|
2019年 | 3,249人 | 44.2% |
2018年 | 3,214人 | 32.8% |
2017年 | 3,174人 | 33.1% |
2016年 | 3,238人 | 38.2% |
2015年 | 3,032人 | 39.6% |
ワインエキスパートの勉強法は?独学は可能?
ワインエキスパートは独学でも取得できる資格です。独学で目指す人、ワインスクールに通う人など様々です。
ただし、一次試験は試験範囲が広いこと、二次試験はテイスティングの難しいことが原因で独学では苦労することが予測されます。経験や知識の差が出やすい試験なので、不安な方はワインスクールに通うと良いでしょう。
公式テキストは辞書のように使おう
一次試験の問題は公式テキストの「日本ソムリエ協会教本」から出題されます。とはいえ、教本は上述のように600ページ近くという大ボリュームなので勉強には適しません。
基本的には市販のテキストで勉強を進め、わからない問題や気になった項目に関して公式テキストを辞書のように使うのがおススメです。
また、前述のように教本は受験申し込み後に協会から届けられます。ライバルよりも早く勉強を始めたい人や時間に余裕をもって勉強したい人は、申し込みに先立って市販の教材で勉強を始めましょう。
問題集で問題を解こう
ワインエキスパートの勉強で最も大切なことは問題をたくさん解くことです。問題演習と復習を繰り返すことで効率よく力をつけることができます。
おすすめの問題集は「受験のプロに教わる ソムリエ試験対策問題集 ワイン地図問題付き」です。
ソムリエ対策とされていますが、そもそもソムリエ試験とワインエキスパートでは筆記試験の大部分が同じです。そのため、ワインエキスパート試験対策に利用しても問題ありません。
また、「ソムリエ・エクセレンス ワインエキスパート・エクセレンス 試験完全対策2300問」という問題集も出版されています。余力のある人はこちらも合わせて確認しておきましょう。
テイスティングは経験者に尋ねるのが良い
独学で勉強している場合、テイスティングの対策が厄介です。安価で手っ取り早く対策するには、知り合いのバーの店員や試験経験者などに尋ねると良いでしょう。
官能評価では視覚、嗅覚、味覚など感覚でワインを評価します。味・香り・色はそれぞれの表現方法があるので、色々試して自分に合ったものを選びましょう。
また、ネットの情報も役に立ちます。例えば「ワイン.com」というサイトではワインのテイスティングのコツが詳しく紹介されています。
ワインスクールへ行くのも手段
お金はかかってしまいますが、ワインスクールへ通う方法もあリます。筆記試験の勉強量が多いことやテイスティングが難しいことを考えると、決して悪い方法ではありません。
ワインスクールにもよりますが、たいていは一回の授業単位で通うことができます。興味があるなら、試しに一度通ってみてはいかがでしょうか。同じ目標を持つ仲間や合格者と出会えたり、有益な情報を入手できたりする良い機会です。
漫画「神の雫」が学習教材になる
もし漫画での勉強に抵抗がないなら、漫画「神の雫(モーニングコミックス)」を読んでみるのも良いでしょう。同書はワインについて気軽に勉強できると、ワインエキスパート試験受験者から高い評価を得ています。
”勉強する”という意識を持って読めば、ワインの官能評価の理解に役立ちます。特に、「香り」とぶどうの「品種」を学びたい人におススメです。
また、漫画の中ではワインの種類が具体的に書かれています。読んでいて気になったワインを実際に買って飲んでみることで、表現が意味する味や香りを体験できます。
また、地図と用意して漫画を読むのもおススメです。漫画に出てきたワインの生産地やシャトー名を地図で確認するとより学習が高まります。
ワインエキスパートと合わせて取りたいおすすめ資格
ウイスキー検定
ウイスキー検定とは、奥深いウイスキーの世界をより楽しむための知識の習得を目的とした資格です。ワインエキスパートのウイスキー版とも言えます。
試験では、世界のウイスキーを対象に、歴史、原料、製法から様々な飲み方、ウイスキーにまつわるうんちくまで幅広く出題されます。
ウイスキー検定は一般社団法人ウイスキー検定実行委員会の主催で2014年から始まりました。ドラマ「マッサン」の影響により、一気に受験者が増えた人気資格です。
試験概要
試験は1級から3級までの3段階の難易度及び、ウィスキーの種類に特化した4つの特別級に分かれています。マークシート式が基本ですが一部の級に記述問題があります。
3級の合格率は80%以上あり、誰でも合格できる難易度です。しかし、上位の級では合格率は30%程度まで下がっていることもあります。
受験資格は制限がないので、20歳以上なら誰でも受験できます。ただし、1級は2級に合格している必要があります。
ビアテイスター
ビアテイスターとは、官能評価(テイスティング)によってビールの出来の良し悪しを客観的に鑑定し、その理由を理論的に説明できることを証明する資格です。
試験ではビールの味わい方、味・品質・スタイルの評価方法、テイスティングなどが出題されます。筆記試験と官能評価の二段階で実施されています。
ビアテイスターを主催しているのは日本地ビール協会です。認定試験の前にあらかじめビアテイスターセミナーが開かれるので、直前に学んだ内容を試験に活用できます。
試験概要
ビアテイスターは筆記試験が55問、テイスティング試験が6問出題されます。そのうち、75%を正解できれば試験合格となりビアテイスターの認定を受けることができます。
合格率は80%程度と言われており、難易度の高い試験ではありません。真面目にセミナーを受検すれば誰でも合格できるでしょう。
ビアテイスターの受験者は20代から30代の若年層が中心です。年間数百人が受験しているようです。
唎酒師
唎酒師(ききざけし)とは日本酒をはじめとする酒類全般の知識やテイスティング能力を証明する資格です。日本酒のソムリエとも呼ばれています。
試験では日本酒だけでなく、その他の酒類全般に関する提供・販売の知識が問われます。酒類を提供する側の知識も試されます。
主催団体は日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会(SSI)です。主に消費者目線で酒類サービス知識を持った唎酒師の育成活動を行っています。
主な受験者は飲食サービス業や酒類流通業者、そしてこれらの分野を目指す人などです。
試験概要
唎酒師は一次試験から四次試験までの4段階に分かれています。一次試験では主に接客、二次試験では日本酒の知識や特性、三次試験ではティスティング、四次試験ではサービス・セールスプロモーションなどが出題されます。
唎酒師の合格率は80%以上と言われており、ビアテイスターと同じく難易度は低めです。職歴などに関係なく、20歳以上ならだれでも受験できます。
唎酒師になる方法は試験受験だけではありません。通信講座を受講したうえで課題を提出することでも認定されます。また、事前に講義を受講したうえで受験することもできます。
ワインエキスパート・エクセレンス
ワインエキスパート・エクセレンスはワインエキスパートの上位資格です。従来はシニアワインエキスパートと呼ばれていたのですが、2019年よりワインエキスパート・エクセレンスと名称が変更されました。
同様に、ソムリエの上位資格であるシニアソムリエもソムリエ・エクセレンスへと変更されています。
ワインエキスパート・エクセレンスは国内でも最高峰のワイン関連資格です。ワインエキスパート取得後にさらなるスキルアップを目指す人は受験してみてはどうでしょうか。
試験概要
ワインエキスパート・エクセレンスの受験資格として、次の3つが挙げられています。
- ワインエキスパートを取得後、5年以上経過している
- 30歳以上である
- ワインエキスパート・エクセレンスを取得していない
試験は大きく2段階に分かれています。一次試験では70分間の筆記試験が行われます。出題内容は教本が中心ですが、教本以外からも出題されます。教育や啓もうなども試験範囲に挙げられています。
二次試験ではテイスティングと論文試験が行われます。テイスティングは50分、論文は30分です。論文試験の内容はワインおよび産地に対する理解、伝達力とされています。
ワインエキスパートについてのまとめ
ワインエキスパートについてのまとめ
- 試験範囲の広さやテイスティングの存在から、独学は難しい。
- 趣味系資格としては受験料がやや高額。
- 20歳以上ならだれでも受験できる。
ここではワインエキスパート資格について紹介しました。この記事を読んでワインエキスパート資格について詳しくなったのではないでしょうか。
ワインエキスパートはソムリエ試験と同じ団体が主催しているワインの専門資格です。資格の勉強を通じてワインについて詳しくなれるでしょう。
今よりもワインのことを知りたい・ワインの専門的な資格が欲しいという方は、受験してみるといいでしょう。受験する前よりもワインに詳しくなれるはずです。