惣菜管理士ってどんな資格?難易度から資格取得の流れまで全て解説!
「惣菜管理士ってどんな資格なんだろう?」
「合格率や試験内容がわかれば受けてみたいけれど……」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
食品系の資格に興味がある方は、惣菜管理士と聞いただけで何となくワクワクしますよね。でも珍しい資格は情報が少ないため受験を躊躇しがちです。
そこでこの記事では惣菜管理士について、試験内容や合格率、勉強の方法、資格取得後の流れなど全ての情報を詳しくまとめました。
読み終わった頃には惣菜管理士の資格をしっかり理解できているはずです。ぜひキャリアアップに役立ててくださいね!
惣菜管理士についてざっくり説明すると
- 惣菜管理士は惣菜を始め「食」についてのあらゆる知識が身に付く資格
- 惣菜管理士の資格を持っているとあらゆる食品メーカーで活躍が可能
- 試験を受けるには半年程度の養成研修を受ける必要がある
- 研修をしっかり受けておけば、試験の合格率はかなり高い
惣菜管理士ってどんな資格?
まずは惣菜管理士がどのような資格なのかを解説します。
惣菜管理士とは
惣菜管理士は、惣菜をはじめとした食品の「開発」「製造」「加工」に伴う食品衛生や、食品に関する法令など、食に関するあらゆることを身に付けることができる資格です。
つまり安全で高品質な惣菜を消費者に届けるのが、惣菜管理士の役割というわけですね。
惣菜は一大産業になっている
「惣菜」は「ふだんのおかず」を意味します。スーパーの惣菜コーナーで売られているお惣菜の他に、最近は宅配のお惣菜も人気があります。
忙しい現代人には、調理された状態で販売されている惣菜は非常に便利です。おいしさと栄養を添えてくれる惣菜は、私たちにとってなくてはならないものですよね。
近年は惣菜の需要がかなり伸びており、今や日本での市場規模は10兆円を超える一大産業になりました。
惣菜管理士の主催団体
惣菜管理士の試験は「一般財団法人 日本惣菜協会」が主催しています。
「日本惣菜協会」は成長する惣菜市場業界において、生産性の向上と安産性を確保し、業界の近大化、合理化を推進するために設立された団体です。
惣菜管理士の試験は1993年から始まった
惣菜管理士の資格試験は、日本惣菜協会により1993年に開始されました。
2019年までに27,397人が「惣菜管理士」として認定されており、たった30年足らずの間に多くの方が惣菜管理士の試験を受けていることがわかります。
「惣菜管理士資格試験」が正式名称
惣菜管理士の試験は「惣菜管理士資格試験」が正式名称です。
時々「惣菜検定」と呼ぶ人もいるのですが、公式ではこうした略し方はしていません。また「惣菜検定」の名称で検定を実施している団体もありません。
些細なことですが、試験の名前を間違えないように注意してください。
惣菜管理士はであらゆる食品メーカーで活躍できる
惣菜管理士は食品に関わるあらゆる分野で活躍できる資格です。
惣菜を作る企業はもちろんのこと、食品メーカー、外食産業、さらには流通、卸の分野でも力を発揮することができるでしょう。
惣菜管理士の資格を推奨している企業もある
食品関連企業の中には、惣菜管理士の資格取得を推奨しているところも多くあります。教育研修に組み込んでいる企業もありますので、ここからも惣菜管理士の注目度がうかがえますね。
惣菜管理士の資格を取ると、食品の安全についての法律や衛生管理などを身に付けることができます。
こうした知識は、食品メーカーでの「開発」や「製造管理」の部門において非常に役立つことでしょう。単にメニューを作るだけの仕事でも、アレルギーやハラール(イスラム教の食事情)の知識は役立つに違いありません。
メニュー作成の重要性
食品業界において、メニューをどう作成するかは非常に重要です。美味しいのはもちろんですが、顧客の要望にどう応えるかについては各企業が非常に力を注いで試案しています。
例えば飛行機の中で出される機内食は、搭乗客の宗派や国籍によってメニューを根本から変えなくてはなりません。
食文化の知識も惣菜管理士の技能のひとつであり、メニュー開発で惣菜管理士が頼られる一因なのです。
食の安全が求められる中で惣菜管理士は重要な役割を果たす
食品業界では、ここ数十年の間に色々な問題が起こりました。
食品の偽装表示や取り扱いの不備などが大きなニュースになったことから、消費者は食の安全性・信頼性に非常に敏感になっています。
またアレルギーを持つお子さんがいるママは、惣菜を購入する時にも原料や成分、表示などが気になりますよね。
食の安全性が求められる現代において、惣菜管理士の果たす役割はとても重要と言えるのです。
惣菜管理士資格取得までの流れ
この段落では、惣菜管理士の資格を取るためにはどうすれば良いかをご紹介します。
通信教育と試験の合格が必要
惣菜管理士の資格を取るためには、まず惣菜管理士の養成研修を受ける必要があります。
その後に惣菜管理士の試験を受けて合格すれば、晴れて「惣菜管理士」として活動することが可能となります。
惣菜管理士の資格を取るまでの研修~試験のフローは以下のようになっています。
時期 | 内容 |
---|---|
8月~9月上旬 | 養成研修の受講申込期間 |
10月~翌年3月 | 養成研修の実施(通信教育) |
※研修を修了した方のみが試験を受験できます | |
6月下旬 | 惣菜管理士資格試験の実施(筆記試験) |
7月上旬 | 合格発表 |
惣菜管理士の養成研修は約半年のカリキュラムです。
研修の後は筆記試験を受けることになりますが、養成研修から合格発表までトータルで約9ヵ月ほどかかることを知っておいてください。
実際の惣菜管理士の試験は札幌・仙台・さいたま・金沢・東京・名古屋・京都・大阪・岡山・広島・香川・福岡の全国12都市で行われます。
惣菜管理士の養成研修修了から筆記試験までは、2ヵ月半程度の期間があります。よって、この間に試験対策をすることになります。
短いと感じるかもしれませんが、研修をしっかり行えばそこまで対策に手間取ることはないでしょう。
養成研修は毎月解答を提出
惣菜管理士の養成研修の内容は、惣菜管理士の資格試験と完全にリンクしています。
配布されたテキストとセミナー動画を見ながら、自分のペースで学習を進めることができます。(動画はパソコンかスマートフォンで視聴可能)
課題は郵送、もしくはインターネットでも提出可能です。毎月25日に添削用のマークシートを提出、それを6ヵ月間毎月続けることになります。
課題の進め方は?
惣菜管理士の養成研修では級別に学習用のテキスト(6科目)が配布されますので、それぞれ勉強を進めていってください。課題を提出すると採点結果と詳しい解説、解答コメントが返送されます。
もし課題が添削の基準に届かなかった場合でも、レポートの提出で挽回できるようになっていますのでご安心ください。
養成研修の受講料
惣菜管理士養成研修の受講料は以下の通りです。
3級 | 2級 | 1級 | |
---|---|---|---|
一般 | 55,000円 | 60,500円 | 66,000円 |
学生 | 33,000円 | 38,500円 | 44,000円 |
正会員 | 33,000円 | 38,500円 | 44,000円 |
賛助・協力会員 | 44,000円 | 49,500円 | 55,000円 |
※「正会員」「賛助・協力会員」とは、一般財団法人 日本惣菜協会の会員、賛助・協力会員を表します。
なお上記は「養成研修」の費用のみで、惣菜管理士の試験を受けるためには別途15,700円が必要になります。(6科目・各級共通)
惣菜管理士資格試験の受験資格
惣菜管理士の資格試験は、各級ごとの養成研修を受けた方だけが受験できます。
試験を受けることができるのは研修を修了した年度から3年以内となります。
例えば「2020年度に実施される試験」を受けられるのは、2017年・2018年・2019年の3月に受講を修了した方のみということになります。受験可能期間を間違えないように注意しましょう。
各級ごとの養成研修受講条件
惣菜管理士は3級~1級に分かれており、それぞれ以下の基準を満たした方が養成研修を受けることができます。
<3級>
- 惣菜の製造、流通、販売等業務に従事する者(経験者を含む)、および関連する業務に従事する者
- 栄養士、調理師、その他これらに準ずる資格保有者
- 大学、短期大学、専門学校において食品・栄養等に関する学部・学科を修了した者(修了見込みを含む)
- その他、協会の会長が受講を認める者
<2級>
- 3級資格に合格した者
- 管理栄養士の資格保有者
<1級>
- 2級の資格保有者
惣菜管理士の受験料
惣菜管理士の養成研修を終えますと、筆記試験を受けることになります。
筆記試験の受験料は全科目(6科目)を受ける場合で税込15,700円です。(各級共通)
過去に受験したことがある人は残りの科目だけでOK
過去に惣菜管理士の試験を受け、合格した科目がある方は、残りの科目のみの受験で構いません。
5科目以下の場合は科目数で値段が異なります。受験科目数に応じた受験料は以下の通りです。
受験科目数 | 受験料(税込) |
---|---|
1科目 | 5,200円 |
2科目 | 7,300円 |
3科目 | 9,400円 |
4科目 | 11,500円 |
5科目 | 13,600円 |
惣菜管理士の試験概要・難易度
惣菜管理士の試験はどのような内容なのでしょうか。難易度も含めて詳しくご紹介します。
惣菜管理士の試験範囲と出題形式
惣菜管理士の試験は1級~3級、各級にコンセプトがあります。
級 | コンセプト |
---|---|
3級 | 食品の特性と栄養 |
2級 | 品質と製造 |
1級 | 経営と管理 |
各級の試験はそれぞれ6科目で、全ての級を受けると18科目の構成になります。
試験の内容は惣菜を含む食品の開発・製造・加工・流通・企画・販売に関する幅広い知識を問うものになっており、食品に関するあらゆる知識が求められます。
総菜管理士試験の試験形式
惣菜管理士の試験は、全ての級において試験形式、試験時間、問題数は同じです。
<惣菜管理士試験の形式や時間(各級共通)>
- 試験形式:五肢択一
- 試験時間:90分
- 問題数:10問
級位ごと全18個の試験科目
惣菜管理士の各級の試験項目は以下の通りです。(2020年度試験版)
<3級:食品の特性と栄養>
- 食品の特性と惣菜
- 食品安全と食品衛生
- 食中毒
- 法令と表示
- 栄養と成分
- ライフステージと栄養
<2級:品質と製造>
- 惣菜工場の衛生管理
- 食品の表示と規格
- 食品衛生と微生物
- 食品の包装
- 原材料の貯蔵と加工食品の保存
- 食品添加物
<1級:経営と管理>
- 惣菜工場のHACCP管理
- 冷凍食品の技術
- 応用栄養学
- 食品の官能評価
- 労働と安全
- 食品工場経営論
そもそもHACCPとは?
上記の一覧に出てきた「HACCP(ハサップ)」とは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の頭文字を取った略語です。
直訳すると「危害分析重要管理点」となります。
HACCPは食品を製造する際の安全を確保するための管理手法を表します。食品業界では非常に重要な項目ですので、しっかりおさえておきましょう。
2020年・2021年10月からカリキュラム変更あり
惣菜管理士の試験は2020年度以降にカリキュラムの変更が予定されています。
新カリキュラムと変更時期は以下の通りです。
<新・2級カリキュラム:品質と製造>(2020年度10月研修から適用)
- 食品製造の衛生管理
- 原材料の管理
- 調理と調味
- 加工と保存
- おいしさと官能評価
- 食品表示と規格基準
<新・1級カリキュラム:経営と管理>(2021年度10月研修から適用)
- 基準設定の考え方
- 分析と検査
- 科学と情報提供
- ISOと食品安全システム
- 消費・廃棄と環境
- おいしさと食文化
惣菜管理士の合格率、合格ライン、難易度
惣菜管理士の過去4年間の合格率は以下のようになっています。
<3級>
年度 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2019年 | 2,091人 | 86.6% |
2018年 | 1,992人 | 81.1% |
2017年 | 1,895人 | 89.1% |
2016年 | 1,803人 | 83.7% |
<2級>
年度 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2019年 | 1,091人 | 82.5% |
2018年 | 1,032人 | 88.2% |
2017年 | 953人 | 91.3% |
2016年 | 1,011人 | 92.5% |
<1級>
年度 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
2019年 | 735人 | 87.1% |
2018年 | 739人 | 82.0% |
2017年 | 730人 | 86.0% |
2016年 | 708人 | 89.1% |
各級ともに、8割~9割と合格率が非常に高くなっていますね。
惣菜管理士は試験までに半年間、養成研修を受けます。勉強がしっかりできる環境が整っていますので、試験自体の難易度は高くないと思っていただいて大丈夫です。
なお、試験の合格ラインは公表されていません。
惣菜管理士と合わせて取りたいおすすめ資格
惣菜管理士は単体でも意義のある資格ですが、他の資格と合わせて持っておくとよりキャリアアップにつながるでしょう。
惣菜管理士と合わせて取りたい資格の中から、特におすすめのものをご紹介いたします。
調理師
調理師は、フード関係の資格で最もメジャーな資格の一つです。
食品の栄養、衛生、適切な調理法などの知識を有し、安全な料理を提供できる「調理のプロ」を認定するのが、調理師の資格です。
調理師は調理の経験と知識を示す国家資格で、資格を取得するためには2通りの方法があります。
調理師免許取得法その1:調理師試験に合格する
調理師試験は毎年行われていますが、2年以上の調理業務経験がないと受験することができません。
調理師試験に合格した後は、各都道府県に申請すると調理師免許を取得できます。試験は各都道府県で行われますので、詳細は自治体のHPで確認しておきましょう。
調理師免許取得法その2:調理師養成施設を卒業する
調理師免許を取るには、試験を受ける以外に「養成施設を卒業する」という手段もあります。
この場合は厚生労働大臣が指定する調理師養成施設に通い、卒業した後、都道府県に申請して免許を取得してください。
製菓衛生師
製菓衛生師は、菓子製造業に従事する人の資質を向上させ、公衆衛生の向上を目的として設立された資格です。調理師と同じく国家資格となります。
主にパティシエになるための資格ですが、お菓子作りだけでなくパン作りの仕事をしたい方にとっても必須の資格と言えます。(パティシエとはフランス語で「お菓子を作る人」の意味)
試験を受けるための条件
製菓衛生師は試験に合格する事で資格を取得できますが、試験を受けるためには以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 2年以上の実務経験がある
- 1年以上の養成施設での勉強
実務経験は製菓の製造業に限られています。製菓業界で働いていても製造に関わっていない場合は実務と見なされません。
なお製菓衛生師は免許更新などがありませんので、一度合格すれば一生の資格として有効です。
管理栄養士/栄養士
管理栄養士・栄養士も、食品関係の資格として非常に有名ですね。両方とも国家資格となります。
管理栄養士と栄養士ともに、色々な場面で活躍することができます。主な就職先は以下のようなものです。
- 医療現場
- 老人福祉施設
- 介護保険施設
- 児童福祉施設
- 小中学校
- 行政機関
- 一般企業
- 管理栄養士・栄養士養成施設
- 試験研究機関
管理栄養士と栄養士の違い
管理栄養士は、栄養士の上位資格にあたります。管理栄養士の方が専門性が高く、栄養指導や給食管理、栄養管理を行うことができます。
栄養士は管理的な業務は行えませんが、健康な人を対象に栄養指導や給食の運営を行うことができる資格です。
惣菜管理士の給与や働き方
最後に惣菜管理士の求人内容についても軽くご紹介いたします。
正社員や派遣社員・パートなど色々な働き方ができる
惣菜管理士は、主に食品製造現場で働くことができる資格です。どの職場でも惣菜管理士の資格を持っていると給与が比較的高くなる傾向があります。
年収は求人によって違いますが、正社員では主に年収250万円~650万円程度のレンジで給与待遇が示されています。
派遣社員やパートなど雇用形態も色々なものがあり、個々のライフスタイルに合わせた働き方ができるでしょう。
管理職として働ける可能性が高い
惣菜管理士の資格を活用して働くことになった場合、食品製造工場などの管理職として採用されることもあるでしょう。この場合は、上記で示したよりも高い給与設定になる可能性が高いです。
現在食品メーカーで働いている方も、惣菜管理士の資格を取ることでステップアップのきっかけになるかもしれません。上司に相談しながら惣菜管理士の資格取得を検討してみてください。
惣菜管理士まとめ
惣菜管理士まとめ
- 惣菜管理士の資格は食に関するあらゆる分野で役立つ知識を得られる
- 養成研修での学習環境が整っているので、試験の合格率は8~9割と高い
- 調理師や栄養士など他の資格と合わせて取得することで、より役立つ人材になれる
惣菜管理士は、単にお惣菜を作るための資格ではありません。
「食」の分野におけるあらゆる知識を身に付けることができますので、食品業界への就職や転職を目指す方には非常におすすめの資格です。
ぜひ惣菜管理士の資格を取って、理想の就職ができるように頑張りましょう!