製菓衛生師の難易度はどれくらい?合格率・勉強のポイントまで徹底解説!
「製菓衛生師はどれくらいの難易度なんだろう」
「合格率や勉強方法が知りたい!」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
この記事では製菓衛生師の難易度を中心に、試験の内容、合格率、効果的な勉強方法などを詳しくまとめました。
製菓衛生士の資格を取得して、ぜひステップアップに役立ててください!
製菓衛生師の難易度についてざっくり説明すると
- 製菓衛生師の合格率は60%~80%程度
- 製菓衛生師の学校を卒業するか、実務経験を積むことが受験資格となる
- 難易度はそこまで高くはないが勉強範囲が広いため
- 学校に通って勉強したほうが勉強の効率は良い
製菓衛生師の難易度ってどのくらい?
製菓衛生師の資格試験はどのくらいの難易度なのでしょうか。
ここでは合格率を見ながら、製菓衛生師の難易度を考えていきます。
製菓衛生士の合格率まとめ
製菓衛生師の資格試験は各都道府県ごとの実施されます。そのため、合格率は都道府県ごとに発表され、合格率もそれぞれの地域で違いがあります。
以下は製菓衛生師の各都道府県の合格率を示した表です。
都道府県 | 実施年 | 実受験者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
東京都 | 2023年 | 948人 | 67.2% |
2022年 | 774人 | 73.0% | |
神奈川県 | 2022年 | 226人 | 42.0% |
2019年 | 354人 | 60.5% | |
2018年 | 357人 | 87.4% | |
関西広域連合(※) | 2022年 | 1,539人 | 81.3% |
2019年 | 1,429人 | 79.7% | |
2018年 | 1,629人 | 87.3% |
※「関西広域連合」は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県で構成されたグループを表します。
製菓衛生師の合格率は概ね60%~80%程度であることがわかります。半分以上が合格できていることを考えると、資格試験としてはそこまで難しくないと言えるでしょう。
試験を受けるルートによって合格率が多少異なる
製菓衛生師の試験には受験資格が2通り設定されています。詳細は後ほど詳しく記載しますが、ざっくり分けると「学校で学んだ人」もしくは「実務経験を積んだ人」の2種類です。
受験までの道のりによって合格率にも差が出ており、「学校で学んだ人」の場合は90%以上が製菓衛生師に合格できているようです。
一方で「実務経験を積んだ人」の場合、製菓衛生師の合格率は70%程度と言われています。
資格試験の合格率として考えれば低くはありませんが、より確実に合格したい方は学校で学んだほうが良いと言えるでしょう。
製菓衛生師は厚生労働省が認める国家資格
製菓衛生師試験に合格すると、各都道府県の知事から「製菓衛生師」の資格が与えられます。
資格を管轄しているのは厚生労働省ですので、製菓衛生師は国家資格となります。
製菓衛生師はどのような資格なの?
製菓衛生師は、菓子製造業で働く人の資質を向上させるとともに、公衆衛生の向上することを目的として作られた資格です。
菓子製造業にはパン作りも含み、お菓子作りのお店や工場、パン工房などで働きたい方にとっては必須の資格と言えます。
またパティシエを目指す方にとっても製菓衛生師の資格は非常に重要です。
そもそもパティシエとは、フランス語で「お菓子を作る人」の総称です。工場などでお菓子作りをする方も広い意味ではパティシエですから、製菓衛生師はパティシエになるための資格とも言えるのです。
この資格は、衛生管理に関する知識だけでなく、製菓の技術や原材料の知識なども網羅しており、高いレベルの専門性を身につけたい方にとって非常に価値のある資格であると言えるでしょう。
衛生管理の観点から受験者数は増えている
実は製菓衛生師の資格を持っていなくても、パティスリーやお菓子工場などで働くことはできます。
製菓衛生師の資格はお菓子を上手に作るための資格ではありませんので、パティシエの腕と製菓衛生師の資格に相関関係はありません。
しかし近年は「食の安全」に関心が高まっていることから、製菓衛生師の資格は非常に注目されています。
食の安全が注目される理由
近年はアレルギーや遺伝子組み換え食品などが話題になることが増えてきました。また保存料や着色料といった食品添加物への関心も高まっています。
食品添加物も適量であれば問題ありません。しかし使用方法を間違えると人体に害となる可能性があり、知識の有無は非常に重要です。
製菓衛生師の資格を取ると、栄養や衛生、食品添加物の安全に関する知識などを身に付けているという証明になります。製菓衛生師が店にいれば、消費者の安心につながります。
こうしたことから、製菓衛生師の受験者は年々増えているのです。
開業して自分の店を持つこともできるようになる
製菓衛生師の資格を持っていると、申請するだけで「食品衛生責任者」の資格を取得することができます。
「食品衛生責任者」の資格はお菓子屋さんやパン屋さんを開業する時に必要な資格で、食品を扱うお店の安全を守るためには欠かせません。
食品衛生責任者の資格と営業許可があれば飲食店を経営できます。製菓衛生師の資格を持つパティシエの中には、実務経験を積んだ上で独立する方も多いです。
ケーキ屋・洋菓子屋・パン屋など色々なお店を開くことができますから、夢が広がりますね。
夢を追い求める方々にとって、製菓衛生師の資格は初めの一歩となることが多いです。自分のお店を持ち、自分のアイデアで創造したお菓子を人々に提供する喜びは、資格取得の努力を十分に報いるものとなるでしょう。
製菓衛生士へのなり方
製菓衛生師になるにはどうすれば良いのでしょうか。
この段落では、製菓衛生師になる方法を解説します。
製菓衛生士試験の受験資格は2タイプ
製菓衛生師になるには各都道府県で製菓衛生師試験を受けて、合格しなければなりません。
製菓衛生師の試験には受験資格が定められており、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 厚生労働大臣指定の製菓衛生師養成学校・専門学校で1年以上学んだ者
- 現場で実務経験を2年以上積んだ者(ただし中学校卒業以上)
つまり製菓衛生師になるための学校を卒業するか、お菓子やパン作りの現場で2年以上働いた経験があれば、製菓衛生師の試験を受けられます。
なお、受験方法や試験の概要は各都道府県ごとに異なります。
①学校へ通えば、勉強に集中できる
製菓衛生師の受験資格を得るには2通りの方法があることがわかりました。
しかしこれから製菓衛生師を目指す方の中には、どちらの方法を選択すれば良いか迷う方もいるかもしれません。
まずは「製菓衛生師の学校に通う方法」について、メリットとデメリットを紹介します。
製菓衛生師の学校で学ぶメリット
製菓衛生師の学校で勉強することには、以下のようなメリットがあります。
- 未経験でも洋菓子、和菓子、パン作りなどの技術を基礎から応用まで学ぶことができる
- お菓子作りの実習だけでなく、製菓理論や販売実習なども学べる
- 就職、転職のサポートがある
- 同じ目標を持つ友達と一緒に頑張ることができる
- 昼間学校、夜間学校どちらも選択可能
- 製菓衛生師試験の合格率が90%以上である
製菓衛生師の学校では日々授業が受けられますので、様々な知識や経験を身に付けることができます。周囲に同じ目標を持った友達がいればモチベーションアップにも繋がります。また学校からの就職サポートを受けることもできるでしょう。
さらに製菓衛生師学校の卒業生は、製菓衛生師の合格率が90%以上とかなり高くなっています。これはかなり大きなメリットと言えるでしょう。
デメリットもある
製菓衛生師の学校で学ぶ際のデメリットも紹介します。
- 学費が必要
- 遠方の学校に通う場合は一人暮らしなどをする必要がある
当然ながら製菓衛生師の学校に通うには学費が必要です。学校によって異なりますが年間150万円~200万円ほどが相場です。決して安くはありませんので、しっかり検討する必要があります。
また製菓衛生師の学校は数が限られているため、自宅の近くにない可能性もあります。遠くの学校に通う場合は、学校の近辺で一人暮らしをする必要も出てくるでしょう。
こうしたデメリットはありますが、ぜひ製菓衛生師の学校に通うことも検討してみてください。
②実務経験を積み、即戦力となれる
次に「実務経験を積んでから製菓衛生師試験を受ける」ルートのメリットやデメリットをご紹介いたします。
実務経験を積みながら製菓衛生師を目指すメリット
実務経験を積むことで製菓衛生師の受験資格を得るルートでは、以下のようなメリットがあります。
- 自分でお金を稼ぎながら、同時に学ぶことができる
- いち早く現場慣れができるため、資格を取った後は即戦力になれる
実務経験とは「現場で働くこと」ですから、当然お給料が出ます。お金をもらいながら同時に勉強もできるのは、かなり大きなメリットですね。
試験を受ける前から現場に慣れることができますので、製菓衛生師の資格を取った後も即戦力として働くことができるでしょう。
実務経験のルートにもデメリットがある
実務経験を積みながら製菓衛生師試験を目指す場合にも、デメリットがいくつかあります。
- 今の現場で扱う分野しか学ぶことができない
- 仕事と勉強の両立が負担になる
- 自分で就職先を探さなくてはならない
実務経験を現場で積む場合、その現場で扱う内容しか身に付かないのは多少デメリットと言えます。
例えば和菓子店なら和菓子、パン屋ならパンのことしか身に付きません。製菓衛生師の資格を取った後に別の分野のお店に就職したい場合は、そこで一から覚え直しになります。
また勉強と仕事の両立も大きな課題です。仕事を終えて疲れている時に勉強しなくてはなりませんので、体力が必要になるのは覚悟しておきましょう。
学校と違い受験や就職に関するサポートも望めませんので、自分の意思でしっかり進路を決める必要があります。
製菓衛生師の受験料は10,000円前後
製菓衛生師の受験料は都道府県ごとに異なりますが、概ね10,000円前後です。
合格した場合は受験料の他に、製菓衛生師免許の登録手数料として5,600円前後が必要となります。
各地域の受験料と試験の時期
地域別の製菓衛生師試験の時期(試験日程)と受験料は以下のようになっています。
都道府県 | 受験料 | 試験の時期 |
---|---|---|
東京都 | 9,500円 | 6月 |
神奈川県 | 9,430円 | 8月 |
大阪府(関西広域連合) | 9,400円 | 7月 |
「関西広域連合」は滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県で構成されたグループです。
試験の日程については年度ごとに異なりますので、受験を決めたら早めに試験日程を調べておいてください。
製菓衛生士国家試験の難易度はどれくらい?
この段落では製菓衛生師国家試験の難易度を、試験の内容から考えていきます。
製菓衛生師の試験は年に1回・各都道府県の管轄で実施されます。ただし、受験場所は現在の住所や勤務地に関わらず、お好きなところで受けることができます。
製菓衛生師試験は7科目、マークシート形式
製菓衛生師試験は、四者択一のマークシート形式で行われます。設問数は原則60問となっていますが、受験する都道府県によって異なる可能性があるので注意してください。
製菓衛生師の科目
製菓衛生師の試験科目は7科目で、それぞれの分野の問題数は概ね以下のようになっています。
- 衛生法規(3問)
- 公衆衛生学(9問)
- 栄養学(6問)
- 食品学(6問)
- 食品衛生学(12問)
- 製菓理論(18問)
- 製菓実技(選択6問)
「製菓実技」については、和菓子・洋菓子・製パンから一つ選択することになります。
なお「菓子製造技能士」の1級もしくは2級を持っている場合、「製菓理論」と「製菓実技」の科目は免除となります。
製菓衛生師の合格ライン
製菓衛生師は、6割以上の得点率で合格となります。
ただし一つでも0点の科目があると不合格になりますので、全体をまんべんなく得点できるようにしておきましょう。不得意分野を作らないことが合格への鍵となります。
難易度は高くないが、勉強は大変
製菓衛生師試験は合格率が60%~80%程度ですので、難易度はそこまで高くはありません。しかし試験範囲が広いこともあり、対策は少し大変かもしれません。
独学で勉強する場合は、仕事との両立が必要になります。気を抜くと試験当日までに対策を終わらせることができなくなりますので、計画的に勉強を進めていきましょう。
集中して勉強するためには、可能であれば学校に通うことをおすすめします。専用のカリキュラムが用意されていますから、効率よく勉強できます。
製菓衛生師の勉強におすすめのテキスト
最後に、製菓衛生師の勉強をするためのテキストの中からおすすめのものをご紹介します。
①「解いてわかる製菓衛生師試験の手引き 新版」
製菓衛生師の勉強のためのおすすめテキスト、1つ目はこちらです。
- 「改訂版 解いてわかる製菓衛生師試験の手引き」柴田書店 3,300円
こちらのテキストは、製菓衛生師試験に出題される7科目それぞれについて、分野ごとに分かれた構成になっています。各セクションごとにしっかり勉強することができるでしょう。
練習問題や演習問題も充実していますので、解きながら知識を深めていくこともできます。テキストと問題集を兼ねた内容になっているので、この1冊で対策は十分という声もあります。
「問題をたくさん解きながらわからない部分は見直しをする」という方法で勉強するのが最も効率よく勉強できるでしょう。
②「製菓衛生師教本」
製菓衛生師の対策テキストとして次におすすめしたいのがこちらです。
- 「製菓衛生師教本」学研プラス出版 7,700円
こちらはどちらかというと教科書に近く、「衛生法」「公衆衛生学」「栄養学」「食品学」「食品衛生学」「製菓理論」「製菓実技」それぞれ独立した構成です。
年度ごとに出版されていますので、製菓衛生師を受験すると決めたら最新版を入手してください。
過去問題集も手に入れよう
製菓衛生師試験は、過去問も発売されています。
- 「これで合格 製菓衛生師試験問題集」学研プラス出版 1,980円
こちらの過去問集は各都道府県の過去問を分析した上で、科目別の出題割合も研究された内容になっています。
資格試験を受ける上では過去問に慣れておくことが最も重要です。頻出問題や重要ポイントを知るには過去問を見るしかありませんので、必ず入手しておきましょう。
演習問題と過去問を併用して幅広い応用力をつけよう
先ほど紹介したテキストにも、演習問題は付随しています。
しかし、ぜひ演習問題だけでなく過去問も活用してください。過去問をといて試験形式に慣れることが大切です。
製菓衛生師試験に確実に受かるためにも、問題をたくさん解いて試験に備えましょう。
製菓衛生師の難易度まとめ
製菓衛生師の難易度まとめ
- 製菓衛生師の合格率は60%~80%で、比較的難易度が低い資格である
- 製菓衛生師学校の卒業生の合格率は90%以上と高い
- 独学でも70%程度の合格率だが、気を抜かずに勉強するべき
- 試験日程や受験料は各都道府県で異なるので事前に確認しておくこと
製菓衛生師の資格はお菓子作りやパン作りの仕事を目指す人、また将来独立を目指す方にとって必ず役に立つ資格です。
地道な勉強が実を結ぶ資格ですので、今回ご紹介した内容を参考にしつつ、しっかり勉強して合格を目指しましょう!