食品表示検定の難易度は?合格率等のデータを用いて徹底検証!
「食品表示検定ってどんな資格で難易度や合格率はどれくらいなの?」
安心・安全な食への意識が高まる中で、食品を買うときに材料や成分が記載されたラベルを確認して食品表示を気にする人も多いと思います。食品表示検定とは一体どのような資格なのでしょうか?
この記事では食品表示検定について詳しく解説していきます。難易度や合格率、資格を取得するメリットまで紹介するので、食品表示に興味のある方はぜひ参考にして下さい。
食品表示検定についてざっくり説明すると
- 初級・中級・上級の3つがあり、食品表示を正しく読み取るための知識が身に付く
- 初級・中級は合格率が比較的高いものの上級の合格率は1割台で非常に難しい
- 食品表示検定は消費者にも食品メーカーなどに勤務する人にもメリットがある資格
食品表示検定の難易度は?
「食品表示」と聞くと食品に貼られているラベルをイメージする人も多いと思いますが、食品表示検定とは一体どんな検定試験なのでしょうか?
まずは食の安全に関わる大切な表示を扱う「食品表示検定」の概要や難易度について紹介していきます。
食品表示検定って?
食品表示検定は一般社団法人食品表示検定協会が主催している民間試験です。初級・中級・上級の3つがあり、試験は初級・中級は6月と11月の年2回、上級は11月の年1回実施されています。
食品の表示に関する知識が身に付くので食品メーカーなどに勤める人に役立つ資格であり、お店で食品を買う一般の消費者にとっても意義のある資格です。「食品の表示を正しく読み取り又は表示する力」は事業者・消費者どちらにも欠かせません。
食品表示検定は国家資格ではありませんが、安全な食に対する意識が高まる時代の中にあってお薦めの資格の1つです。食品業界や小売業界などでは比較的知名度が高い資格で、試験に合格すれば食品表示診断士の認定を受けられます。
この資格を取得することによって、食品のラベルに記載されている情報を正確に解釈し、消費者に対して適切な情報提供ができるようになるため、食品関連企業での信頼向上やキャリアアップにつながることが期待されます。
各級の対象やレベルの目安
受験すべき対象者は初級・中級・上級ごとにおよそ次のようになっています。
【初級】
- 食品表示について正しく理解して安全・安心な食品選択をしたい消費者
- 食の生産・製造・流通などに携わる人の中でも業界経験が浅い初心者や初学者
【中級】
- 食に関わる仕事をする人の中でも食品表示の専門知識を習得して業務に活かしたい人
【上級】
- 食品表示の作成や指導までできる「食品表示のエキスパート」を目指す人
初級と中級は受験資格が無くて誰でも受験できる点は同じですが、初級は消費者や初学者が受験するレベルで、中級以降は仕事で知識を活かしたい人が受験するレベルです。
食品表示の作成までできる上級にもなると難易度が非常に高くて合格するのは簡単ではありません。食品の流通に関わる様々な仕事の中でも、実際に食品を製造して食品表示を作成する業務や部署がある企業で活躍するエキスパートを目指すような人が受験します。
各級の合格率
初級・中級・上級それぞれの合格率は次のようになっています。実施回によって率に幅がありますが、食品表示検定の合格率は初級6割強・中級5割前後・上級1割台です。最難関の上級だと7~8人に1人しか受かりません。
初級の合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2023年前期 | 2,901人 | 1,761人 | 60.7% |
2022年後期 | 3,040人 | 1,865人 | 61.3% |
2022年前期 | 2,710人 | 1,724人 | 63.6% |
2021年後期 | 2,628人 | 1,636人 | 62.3% |
2021年前期 | 2,678人 | 1,696人 | 63.3% |
2020年後期 | 3,230人 | 2,248人 | 69.6% |
2019年後期 | 3,083人 | 1,922人 | 62.3% |
2019年前期 | 2,812人 | 1,825人 | 64.9% |
中級の合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2023年前期 | 3,395人 | 1,550人 | 45.7% |
2022年後期 | 3,741人 | 1,830人 | 48.9% |
2022年前期 | 3,775人 | 2,076人 | 55.0% |
2021年後期 | 3,965人 | 2,010人 | 50.7% |
2021年前期 | 3,308人 | 1,634人 | 49.4% |
2020年後期 | 4,321人 | 2,318人 | 53.6% |
2019年後期 | 4,618人 | 2,651人 | 57.4% |
2019年前期 | 3,373人 | 1,531人 | 45.4% |
上級の合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2022年 | 561人 | 105人 | 18.7% |
2021年 | 570人 | 91人 | 16.0% |
2020年 | 508人 | 92人 | 18.1% |
2019年 | 666人 | 80人 | 12.0% |
2018年 | 704人 | 85人 | 12.1% |
2017年 | 612人 | 119人 | 19.4% |
2016年 | 578人 | 78人 | 13.5% |
2015年 | 578人 | 81人 | 14.0% |
(出典:食品表示検定協会)
受験資格がなくて誰でも受験できる初級・中級は受験者数が多く、合格率も比較的高くて合格者数も多いのが特徴です。その一方で上級は中級合格者でないと受験できないのでそもそも受験者数が少なく、合格率も低いために合格者数も少なくなっています。
食品表示検定の出題範囲、試験形式
続いて各級の試験の出題範囲・試験形式についてです。
初級
初級は90分間で75問に回答する形式で、マークシート方式なので記述式の問題はありません。試験では「改訂6版・食品表示検定認定テキスト・初級」からの基礎知識とそれを理解した上での応用力が問われ、100点中70点以上で合格になります。
中級
中級も初級と同様にマークシート方式のみの形式です。ただ初級より問題数が多くて90分間で100問に解答します。試験では「改訂6版・食品表示検定認定テキスト・中級」からの基礎知識とそれを理解した上での応用力が問われ、合格基準点は100点中70点です。
上級
上級試験ではマークシート方式だけでなく記述式の問題も出題されます。前半45分は基礎知識分野を問うマークシート式、後半105分は専門知識分野を問う記述式です。
食品表示全般に対する試験であり、消費者庁HPに掲載されている食品表示法や食品表示基準に関する内容などが問われます。配点は基礎知識35点・専門知識65点で合格基準点は100点中80点です。
難易度はどの程度?
試験の合格率については既に紹介しましたが、以下ではより具体的に「どのような人が受験すべき試験なのか」という点から食品表示検定の難易度を紹介していきます。
初級
食品の表示について全く知識がない初学者が受験したり、安全な食品を選べるようになりたい主婦などが受験するのが初級の試験です。あくまで食品表示に関する基礎的な知識を身に付けたい人が受けるレベルであり、仕事で活かすための試験とは言えません。
合格率が60%を超えていて約3人に2人は合格していることからも、しっかり勉強すれば初学者でも十分に合格できるレベルです。
中級
食品業界で勤務するなど食品表示に関わる人が受験するのが中級試験です。普段の仕事を通してベースとなる知識がある程度身に付いている人が多く受験します。その中で合格率が50%前後となっているので、全くの初学者が受ける場合は難しく感じるレベルです。
合格率だけ見ると2人に1人は合格しているレベルですが、初級よりも難易度が高くて中途半端な勉強では合格できないと考えたほうが良いでしょう。
上級
上級は食品表示を自分で作成したり作成を指導する能力まで求められるレベルです。食品業界の中でも専門的なスキルが必要な部署や仕事に就く人が受けるレベルと言えます。
合格率が1割台と難易度が非常に高く、食品表示に関する法令の知識も身に付けなければいけません。毎年600~700人が受験しているものの合格者は100人前後となっています。
食品表示検定の勉強法
食品表示検定の勉強法はある程度決まっているので学習方法に悩んだり参考書選びに困るといったことは基本的にありません。試験範囲となるテキストや行政のHPを使って学習を進めて、食品表示に関する知識をしっかり身に付けた上で試験に臨むことが大切です。
受験する級によって勉強法は異なる
マーク式のみの初級・中級と記述式の問題まで出題される上級では対処法が異なり、難易度も初級・中級と上級ではかなりの違いがあります。以下ではそれぞれの級の勉強法について紹介するので、自分が受験する級に合った勉強法で学習するようにして下さい。
初級、中級
初級と中級の問題は食品表示検定の認定テキストから出題されるので、とにかくテキストを読み込む必要があります。認定テキストの内容に沿って学習を進めることが大切です。
さらに食品表示検定協会HP『試験問題例』には過去の試験問題の一部が掲載されているので過去問を使った実践演習も欠かせません。すべての過去問が掲載されているわけではありませんが、初級・中級ともに過去5年間の問題が確認できます。
上級
初級・中級とは違って上級では記述式の問題も出題されます。初級・中級の認定テキストの内容を理解することは当然ですが、単に知識をインプットするだけでなく記述式対策としてアウトプットできるスキルまで含めて必要です。
食品表示検定協会HP『試験内容』の「POINT」ボタンを押して表示される内容や、消費者庁HPに掲載されている事項も確認しなければいけません。協会HPの試験問題例のページに掲載されている試験問題の形式例を実際に解いて問題演習もしっかり行いましょう。
難易度としては食品表示のプロになるレベルが上級の試験なので、食品表示に関する法令や通達なども1つ1つ丁寧に学習して専門知識を定着させることが大切です。
食品表示検定を受けるメリット
食品表示検定は取得することで色々なメリットがある資格です。初級・中級・上級のレベルによっても資格の活用法が異なるので、それぞれどんなメリットがあるのかを確認しておきましょう。
食品表示診断士の資格をもらえる
食品表示検定試験に合格すると「食品表示診断士」の資格が授与されます。合格した級に応じてそれぞれ「初級食品表示診断士」「中級食品表示診断士」「上級食品表示診断士」を名乗ることができて名刺に記載することもできる資格です。
拍が付くことはもちろんですが、求人情報の中には食品表示診断士であることを条件にしている場合もあるので仕事の幅や可能性を広げる上でも役立ちます。
この資格は、食品産業における正確な表示やマーケティング、法規制の遵守などに関連する職務に従事する方々にとって、専門的な知識とスキルの証明となり、信頼と信用の向上に寄与するでしょう。
初級のメリット
3つの試験レベルの中でも難易度が低くて最も手軽に食品表示診断士の資格を取れる点が初級のメリットです。お店で買い物をするときに食の安全に対する意識が高まるので、一般消費者が取得すれば日常生活の中で知識を活かすこともできます。
食品を扱うメーカー・小売業・卸売業などに就職する際にあらかじめ初級に合格しておけば、基礎知識が身に付いてスムーズに業務を開始できる点もメリットです。
中級のメリット
食品業界などへの就職・転職を目指す人にとっては、企業に採用してもらうためにも初級ではなく中級は取得しておきたい所です。中級食品表示診断士を取得していれば採用される確率が上がり、食品表示診断士の中でも上位2/3以上に入ることができます。
また中級はあくまで食品表示に関する仕事に携わる人向けの試験ですが、より専門的な知識を身に付けたい消費者が取得すれば安全な食品選びで役立つ専門知識が身に付きます。
上級のメリット
上級合格者はそもそも数が少なく、上級食品表示診断士を名乗れること自体が大きなメリットでありアピールポイントです。食品会社に勤めている人が取得すれば希望の部署への異動が叶う可能性がアップすることは間違いありません。
受験者の業種別比率で見ると上級試験の半数以上が食品製造業であり、特に食品製造業で役立つ資格であることが分かります。食品を扱う企業への就職・転職で有利になり、企業を相手としてコンサルティング業務を行うことも可能です。
食品表示管理士検定との違い
食品表示に関する専門的な知識が身に付く資格としては、食品表示検定以外に食品表示管理士検定もあります。名称が似ていますが2つの資格は違うものなので混同しないように注意しましょう。
まず主催団体が異なり、食品表示管理士検定は新日本スーパーマーケット協会が主催している検定試験です。S検定・スーパーマーケット検定とも呼ばれ、スーパーマーケット等の小売業で働いている人の知識・技術向上を目的に実施されています。
そのためあくまで業界で働く人を対象とした試験であり、一般消費者が受験することは前提とされていません。もちろん受験すれば食品表示に関する専門知識が身に付きますが、食品表示検定のほうが圧倒的に受験者数が多くて知名度も高くなっています。
食品表示検定まとめ
食品表示検定まとめ
- 食品表示診断士になれば正しい食品選びや食品表示の読み取りができるようになる
- 合格率は初級6割強・中級5割前後・上級1割台で難易度は級によって異なる
- 初級は消費者や初学者に、中級と上級は仕事で活かしたい人におすすめのレベル
今回は食品表示検定について紹介しました。
産地や原材料などを記載した食品表示は消費者にとっても食品を扱う事業者にとっても大切な情報です。
食品表示を正しく読み取ったり作成するスキルが身に付く食品表示検定は日常生活でも仕事でも活かせる資格なので、検定試験の受験をぜひ積極的に検討してみて下さい!