食品表示検定の試験の形式、合格率や過去問の有無、勉強法などを詳しく解説!
「食品表示検定ってどんな資格?」
「食品表示検定を取得することでどんなメリットがあるの」
購入した食品によって、その食品の産地、原材料など情報が細かく記載されているものがあります。
これは、食品ごとに食品表示を記載するように規則・法規があるためです。
この食品表示の規則・法規に則して消費者に食品の特性、情報を的確に伝えることができるのが食品表示検定の資格を得た人たちです。
食品表示検定についてざっくり説明すると
- 食品情報を正しく表示するための力を養うための資格
- 初級・中級・上級の3つの難易度が存在
- 公式テキストに沿った勉強が基本
食品表示検定ってどんな資格?
食品表示検定は民間資格です。食に携わる人にとって、不可欠な食品表示をわかりやすく表示する力、正しく読み取る力等を学習することができます。
取得した級によって、実際に仕事する時の業務内容は異なりますが、消費者に対して食品の特性、情報を正しく届ける大切な役割を担っている資格です。
食品表示検定の主催団体は?
食品表示検定試験を主催しているのは、「一般社団法人食品表示検定協会」で2009年に下記が目的で創立された団体です。
食品表示に関る人材の教育、食品表示の向上に関する情報収集・分析等、将来の消費者となる子供たちへの学習機会の提供を行う 出典:事業の目的
食品表示検定を実施することで食品表示の知識を持つ人材育成を図るだけでなく、消費者に食品の品質、特性などを開示し食品の安全・安心の向上に携わっています。
そもそも食品表示とは
食品表示とは、消費者に向けて販売されている食品全てに義務付けられているものです。
具体的な表示内容としては、原材料名・内容量・消費期限等の情報が挙げられます。
また食品表示の方法は、農産物、畜産物、水産物、玄米および精米、加工食品と食品ごとに表示する事項が異なります。
例えば、農産物、畜産物、水産物だと名称や原産地が表示事項ですが、玄米や精米表示概要では「調製年月日、精米年月日又は輸入年月日」、加工食品では「栄養成分の量及び熱量」「内容量又は固形量及び内容総量」などを表示します。
食品表示検定は受験者の増加で注目を集めている
食品表示検定は、2009年から試験が実施されました。現在2020年までに初級と中級試験は20回実施されています。
検定試験は、上級、中級、初級の3種類があり2019年12月までの累計受験者数は、129,199人です。
2015年から2019年の初級の受験者を下記に表にまとめました。
受験年度年 | 受験者数 |
---|---|
2015 | 4,674人 |
2016 | 5,092人 |
2017 | 5,758人 |
2018 | 6,062人 |
2019 | 5,895人 |
この過去5年の受験者数をみるだけでも受験者の増加が見て取れます。
初級同様に中級、上級の受験者数も年を追うごとに増加の傾向にあります。このことから、食品表示検定のニーズは年々高まりつつあるといえます。
食品表示検定の難易度
食品表示検定は3種類の受験級がある資格です。試験の難易度はどの程度なのでしょうか。
ここからは、試験の難易度、試験の内容、出題形式などを見ていきましょう。
食品表示検定の試験範囲と出題形式
食品表示検定は、初級、中級、上級と3つの受験級がある試験です。
受験するには初級と中級に関しては制限はありませんが上級に関しては中級合格者が受験資格となっています。
初級
- 出題形式
出題形式 | 試験時間 |
---|---|
マークシート式(全75問) | 90分 |
- 試験範囲
2020年1月中旬に発行された「改訂6版 食品表示検定 認定テキスト・初級」から出題されます。
食品表示検定の初級に求められているのは、食品表示の基礎知識です。
初級は食品業界に勤務していて「食の生産、製造、流通等の食品表示」について基礎知識を学びたい人や、食品を選ぶ時に食品表示を理解して「安全・安心」な食べ物を選択したい消費者向けな問題です。
中級
- 出題形式
出題形式 | 試験時間 |
---|---|
マークシート式(全100問) | 90分 |
- 出題範囲
2019年1月発行の改訂6版・食品表示検定 認定テキスト・中級から出題されます。
中級の受験は初級と異なり、消費者ではなく食品に携わる仕事に勤務している人向けの内容が一段と濃くなります。
そのため、消費者からの問いに答えることができるだけの専門的な知識が求められます。
なかでも開発、品質管理業務に携わっている人におすすめできる内容の問題となっています。
上級
- 出題形式
出題形式 | 試験時間 |
---|---|
<前半>基礎知識分野(マークシート式)35問<後半>専門知識分野1問 記述式 | 150分間 |
上級はトータルで150分の試験時間です。前半45分間、後半の記述式に105分という配分になっています。
記述式は、指定された3つの用語を使用して800字以内で解答します。
- 出題範囲
中級に合格した人しか受験できない上級は、食品表示全般の知識がもとめられるため、法令、ガイドライン、Q&A等が出題範囲です。
そのため、食品表示作成の責任者、実務者、公的機関で食品に関するコンサルタントをするなどの人が取得しておくとよい問題が出題されます。
食品表示検定の合格率、合格ライン
食品表示検定の各級ごとの出題範囲についてわかりましたが、具体的にはどのぐらいの合格率なのか気になります。
合格ラインと比較しながらそれぞれの級の難易度について見比べていきましょう。
初級
初級の合格ラインは100点満点中の70点です。2019年度の合格率は、前期後期ともに6割を超えています。
受験年度 | 合格率 |
---|---|
2019年前期 | 64.9% |
2019年後期 | 62.3% |
このことからも初級の難易度は易しいとと言えるでしょう。
中級
100点中70点が合格ラインです。2019年度の前期は5割弱でしたが、後期では6割近くの人が合格しています。平均すると5割ほどの合格率です。
受験年度 | 合格率 |
---|---|
2019年前期 | 45.4% |
2019年後期 | 57.4% |
中級の合格ライン、合格率から難易度はやや易しい試験だと言えるでしょう。
上級
上級試験は、出題形式が初級。中級とことなり記述式があります。
マークシート35点、記述式65点でトータルで100点満点の配分です。上級では**合格ラインが80%**です。
2019年度の合格率は12%でした。合格ラインも8割と厳しいうえに、記述式もあり上級の難易度は難しいといえます。
受験年度 | 合格率 |
---|---|
2018年 | 12.1% |
2019年後期 | 12.0% |
食品表示関連の仕事をしていなくても大丈夫?
食品業界に従事している人にとっては、資格は業務に役立つ内容な試験となっています。しかしながら試験そのものは、上級試験を除くと誰もが受験可能です。
食品に関する適切な知識がほしい消費者にとっては食品表示の見方を学ぶことは食の安全、安心を知った上で食品の購入につながります。
そのようなことから、食品業界に関係なく、いち消費者レベルから食品表示検定を受験することができます。
食品表示検定を取ることをお勧めする人
食品表示検定を受験するとメリットがある人は下記の通りで、これに該当する人にとくにおすすめできる資格と言えます。
- 消費者
- 食品生産者
- 製造者及び小売業者の方など
- 食品に関わるすべての人
消費者にとっては、食品を購入する時の安全、安心を選択する基準となります。
専門的な知識を得ることで、食品製造、開発している人にとっては業務に役立つでしょう。
試験の合格者は合格級に応じた「食品表示診断士」を同時に取得することができるので、名刺に記載できます。これを活用して食に関するワークショップ、コンサルタントなどの仕事を展開できます。
食品表示検定の勉強法
食品表示検定の勉強法ですが、公式サイトより公認テキスト、問題集が発売されているほか、出題範囲、どのような問題が出題されたかが掲載されているので、独学でも勉強することができる環境は整っています。
それぞれの級のテキストを下記から詳しく見ていきましょう。
テキスト
公式・認定のテキストは初級と中級に関して発売されています。
テキスト名 | 出版年月日 | 価格 |
---|---|---|
改訂7版 食品表示検定 認定テキスト・初級 | 2022年1月19日 | 1,500円(税別) |
改訂7版 食品表示検定 認定テキスト・中級 | 2021年1月20日 | 2,500円(税別) |
初級・中級は公式問題集が販売されています。こちらの問題集は過去問ではなく、練習問題と模擬問題に詳しい解説がついた問題集です。
しかし上級に関しては公式問題集が販売されていません。
よって、上級は中級のテキストと、消費者庁のHPの食品表示表から出題されるためそこを読んで対策をするとよいでしょう。
また、初級・中級は検定対策セミナーとして公開講座、オンデマンド講座もあります。オンデマンド講座は、パソコン、タブレット、スマートフォンのどの環境でも受講が可能です。
上級は上級模擬問題演習セミナーが開催され、認定講師による解説、質疑応答など模擬試験、直近のテスト2回分が資料として配布されます。
これらの検定対策セミナーを使って勉強を進めていくとよいでしょう。
公式サイトの参考図書も活用しよう
下記の書籍は食品表示検定の公式サイトでおすすめしている参考図書です。
参考図書名 | 出版元 | 入手方法 |
---|---|---|
冊子「食べ物探検隊になろう」 | 一般社団法人食品表示検定協会編著 | 公式ページよりダウンロード |
<英語版>食品表示ガイド「Food Labeling Guideline」 | 食品表示検定協会が作成 | 公式ページよりダウンロード |
最初の参考図書である冊子は、子供向けに作られたものです。親子で食品関する知識を学ぶ時に役立ててみましょう。
英語版の食品表示ガイドは、海外との取引がある人にとって役立つ内容となっています。
ダウンロードはこちらよりすることができます。簡単なアンケートに答える必要があります。
食品表示検定の勉強をするメリット
食品表示検定を勉強することでたくさんのメリットを享受することができます。
食品表示に関して詳しくなるため、食の安全向上に貢献することができるでしょう。また、自分、及び家族の健康のために食材を扱う消費者から食を提供する人までもっておくとよい知識を系統立てて学ぶことができる点も大きなメリットといえるでしょう。
また、近年は受験者の増加とともに注目度がアップしてきているので、今後はこの資格を一種のステータスとして活用できる機会も増えてくるでしょう。
具体的には、関連分野の就職や転職の際に周りの人よりも知識面でアドバンテージを取ることができます。
上級者は特別に食品表示活用研究会への参加が認められ同業者と交流を持つことができるなどのメリットがあります。
食品表示検定の試験日程、会場と申し込み方法
食品表示検定の試験日程は下記の通りです。
- 初級・中級・・・年に2回実施
- 上級 年に1回実施
2020年5月現在の次の試験日程は下記の通りです。
受験級 | 申込期間 | 試験開催日 |
---|---|---|
初級・中級 | 8月中旬~9月下旬 | 2020年後期第22回2020年11月22日(日) |
上級 | 8月中旬~10月上旬 | 2020年後期第10回2020年11月29日(日) |
コロナの影響で初級・中級の予定されていた2020年度6月開催の試験は中止になっています。今後もどのように変更があるかわからないので、試験を申し込む際は、公式サイトで必ず確認をしましょう。
初級試験の実施は午前で中級は午後からとなるため、初級と中級は併願して受験をすることが可能です。
受験会場は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、神戸、広島、松山、福岡を基準として、これにプラスして5都市くらいが追加されて全国各地で受験することが可能です。
試験に見事合格していた場合は、合格証が届きます。また下記の特典があります。
- 食品表示診断士が授与される
- 合格者バッヂが購入できる
- 食品表示検定ロゴマークの使用許可
- 上級合格者の会へ入会できる
食品表示検定に受験資格はある?
上級試験は中級合格者という条件があります。
初級、中級に関しては受験制限がありませんのでどなたが受けても全く問題ありません。
そのため、食に関心がある人から食を提供している人など食品表示に興味がある人すべてに受験をおすすめできる資格です。
食品表示検定の受験料
初級、中級、上級と3種類の受験級がある食品表示検定の受験料についてみていきます。
各級の受験料をわかりやすく表にしました。
受験級 | 受験料金 |
---|---|
初級 | 5,000円 |
中級 | 8,500円 |
上級 | 21,000円 |
受験料の支払い方法は下記の通りです。
- クレジット決済・・・随時決済
- コンビニ決済・・・申込日含み7日以内
- ゆうちょ銀行で支払う
- 願書一式協会へ郵送・・・簡易書留
表からわかる通り、各級ごとに受験料が異なりますので、間違えないように支払いましょう。また、受験料を支払いが済んだあとに受験級を変更することはできませんので気を付けましょう。
受験料の割引もある!
初級と中級試験限定ですが、団体で申し込むことにより受験料が割り引かれます。
適用される団体割引は20名以上で申し込んだときです。割引料金は5%となります。
学生や勤務先で資格取得を目指している人がいる場合は、20名になるかを確認して団体割引制度を活用してお得に受験しましょう。
食品表示検定と合わせて取りたいおすすめ資格
食品表示検定以外にも食に関する資格はいろいろあります。そのなかでも特に食品衛生責任者は合わせて取ることがおすすめです。
食品衛生責任者は飲食店や食品工場を運営する際の取得が必須となっている資格となっています。
この資格は店の規模に関係なく、営業を行う上で1人以上置くという決まりがあります。
また、食品衛生責任者の資格保持者をその事業所の食品衛生責任者として定める必要があります。
食品表示検定との違いは、食品表示検定は、食品の中身その物に関する資格ですが、食品衛生責任者は食を提供する運営そのものにより関心がある人に向いた資格となっている点です。
食品表示検定まとめ
食品表示検定についてまとめ
- 食品業界に就職したい人に有利な資格
- 資格修得後は級に則した食品表示診断士になれる
- 年々受験者が増加傾向にある注目資格
食品表示検定の受験者数が年々増加の一途であることから、食への関心が高まりつつあると考えられます。
資格は、上級試験以外は食に関する仕事に従事している人だけでなく、一般消費者も受験ができるように制限がありません。
食品表示検定の資格を取得するための学習を通して、食品を提供する側は消費者から尋ねられた質問に適切に説明ができ、消費者は食品表示されているラベルを正しく理解できる知識を得ることができます。
食品業界への就職や転職を考えている人にとっては試験合格後に授与される「食品表示診断士」は履歴書に記載できるため、自己アピールの材料ともなります。
食品に興味がある方は、公式サイトに掲載されている過去問にチャレンジし試験を体験してみるのもいいでしょう。
ぜひ、今回の記事を参考に食品表示検定の取得を前向きに検討しましょう。