食品衛生責任者って更新が必要な資格?資格の期限・証明書再発行まで詳しく解説!
「食品衛生責任者って、どんな資格なの?」
「食品衛生責任者資格は定期的に更新しなくちゃならない?」
そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
食品衛生責任者は、飲食店などで営業許可施設につき1名以上の設置が義務づけられているため、食品を扱う仕事をする人におすすめの資格ですが、更新が必要なのか、期限があるのかなど気になることも多いでしょう。
この記事では食品衛生責任者という資格について、基本情報から資格の期限、証明書の再発行まで詳細に解説しています。
読み終わった頃には、食品衛生責任者について詳しくなっていることでしょう。
食品衛生管理者の更新についてざっくり説明すると
- 更新は必要ない
- 有効期限もない
- 取得から年数がたっている場合実務講習会の受講が必要な自治体も
- 自治体が条例にもとづき制定している公的資格のため自治体によって詳細が異なる
食品衛生責任者国家資格は更新が必要な資格?
「食品衛生責任者」を持つ人材は、飲食店など食品を扱う施設には1人以上必要です。
一口に資格といっても、一度取得してしまえば再度試験や講習がいらず半永久的に権利が得られる資格もあれば、定期的に更新しないと失効してしまう資格もあります。
食品衛生責任者は、更新が必要な資格なのか調査しました。
食品衛生責任者は有効期限が存在しない資格
食品衛生責任者には、更新の必要がありません。 有効期限もないため数年ごとに再度手続きしなくても、失効しません。
ただし管轄の都道府県によっては、取得から年数がたっている人を食品衛生責任者に登録する場合、実務講習会の受講が必要な場合もあります。また食品衛生責任者として働いている人も実務講習の定期的な受講が推奨されています。
「いつか自分のお店を出したい」という夢がある人は、時間のあるときに取得しておくといいでしょう。ただ都道府県によっては、将来のために取得する人の受講を受け付けていない場合もあるので、確認しておきましょう。
実務講習会に参加しよう!
実務講習会は、資格所有者のフォローアップとして行われている講習です。 食品衛生責任者を所得するために受ける養成講習会と異なり、2時間程度で終わります。
この実務講習会では、最新の食品衛生管理や改訂された法律などを学べます。 自治体によって、任意参加の場合と、定期的に必ず受講しなくてはならない場合があります。
働いている施設を管理している自治体が、どのように実務講習会を位置づけているかチェックしておくと安心でしょう。
食品衛生責任者は”店の安全を守る管理者”!
食品衛生責任者は、厚労省の通知「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に 関する指針(ガイドライン)」を踏まえ、各都道府県の条例で設置が義務づけられています。
食品関係の施設において、衛生的な販売・製造の自主管理を行えるようにするのが設置の目的です。 食品生成責任者を、一人以上置かなくてはならないのは、以下のような施設です。
- 飲食店
- 菓子製造業
- 食肉販売業
- 食肉処理業
- 魚介類販売業
- 魚介類加工業
- 清涼飲料水製造業 など
例えば埼玉県では、31の業種が指定されています。 法律ではなく条令で定められているので、自治体によって詳細は異なります。
食品衛生責任者の果たすべき仕事は?
食品衛生責任者の主な仕事は
- 店の食品衛生の管理・運営
- 危害の発生防止について注意・提案
- 食品関連の法律の順守と、新たな知見の習得
の3つです。
以下で詳しく説明します。
店の食品衛生の管理・運営とは
店の食品衛生の管理・運営とは、手洗いや清掃を確実に行うための衛生管理表の作成や、衛生的な食材・調理器具の取扱い方法の周知、従業員の体調を把握し悪い場合は休ませる配慮を行うことを指します。
必要であれば経営者への提案などの業務も行います。
危害の発生防止について注意・提案とは
不衛生な行いをする従業員に注意したり、作業環境を整えることも大切です。
調理に使うまな板などは、定期的な買い替えが必要です。また調理器具だけでなく、例えば冷蔵庫などの設備が故障することもあるでしょう。これらを放置すると食中毒をはじめとする危害の発生に繋がります。
これらを確認したり管理する体制を整え、衛生を保てるよう経営者に提案するのも仕事の一つです。
食品関連の法律の順守と、新たな知見の習得とは
新たな法令の制定にアンテナを張り、自らはもちろん従業員も法令を犯さないよう指導します。
また法令は時代の変化に合わせて変わることもあるため、実務講習などで情報を収集し施設内で共有・周知することも大切です。
飲食店に1名以上「食品衛生責任者」が必要!
各都道府県の条例で、飲食店などには1名以上「食品衛生責任者」を設置しなくてはならないと定められています。
飲食店や飲食物の製造を行う施設では、顧客の健康や命に係わる食べ物の提供を担っているため、正しい知識を持って営業できることが求められます。
無知により食中毒などを起こし、市民の健康に害をきたすことのないようにするのが、食品衛生責任者の役割です。
食品衛生責任者は兼任できる?
食品衛生責任者は兼任できません。 また営業許可施設ごとに1名以上配置しなくてはなりません。
キッチンカーでの出店やネットショップで手作りの食品などを販売する場合でも、食品衛生責任者の設置は必要なため、食品を扱う仕事を考えている人は持っておくとよい資格でしょう。
食品衛生責任者資格があれば開業できる!
飲食店営業などの34業種を開業する場合、都道府県知事などの営業許可が必要です。 これは、食品衛生法第52条に定められています。
その際に必要になるのが、「食品衛生責任者」の資格です。 都道府県により詳細は異なりますが、例えば大阪府や東京都であれば、営業許可申請の際に「食品衛生責任者の資格証明書」もしくは準ずる証明書が必要です。
自治体によっては、食品衛生責任者の資格取得が間に合わない場合、誓約書の記載で数か月の猶予が与えられる場合もあります。 自治体のホームページなどに記載されているため、開業前に確認しておくのがおすすめです。
「食品衛生責任者」がいない場合は行政処分
食品衛生者がいない場合、営業許可の取り消しや営業の全部もしくは一部禁止、期間を定めての停止などの行政処分が下されることがあります。
また食品衛生法により、最大で2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられる可能性もあります。
「食品衛生管理者」との資格の違いは?
「食品衛生責任者」の資格と混同されがちなのが「食品衛生管理者」です。 この食品衛生管理者という資格は、乳製品や肉加工食品・食用油脂などの加工食品製造業や添加物製造業を営むのに必要な資格です。
食品衛生責任者とは、必要となる施設が異なるので注意が必要となります。
食品衛生管理者は国家資格!
「食品衛生管理者」は厚生労働省管轄の国家資格です。 食品衛生管理者になるには、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師または特定の大学や専門課程で学び卒業したなどの条件に当てはまらなくてはなりません。
また、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上衛生管理業務に従事している人であれば、講習を受ければ、資格を取得できます。
この講習の費用は30万程度、期間も2ヵ月程度とかかるため、食品衛生責任者よりも取得が難しいといえるでしょう。
食品衛生責任者養成講習会を受講すれば資格取得!
食品衛生責任者の資格は養成講習会を受講すれば取得できます。 この養成講習会について詳しくまとめました。
食品衛生責任者養成講習会を受講しよう!
食品衛生責任者の資格は、都道府県知事、指定都市長及び中核市長が行う「食品衛生責任者養成講習会」を全過程受けることで取得できます。
また、お店や仕事場の食品衛生責任者になるためには、申請が必要です。 転勤や退職などで食品衛生責任者が変わる場合は、各自治体で手続きしましょう。
食品衛生責任者養成講習会の受講料は自治体によって異なり、だいたい10,000円前後です。プレートの購入に別途料金が必要となることも多いので、多めにお金を持っていくと安心でしょう。
どこで取得してもいいの?
食品衛生責任者の資格は、平成9年以降の取得であれば、取得した都道府県以外の土地でももちろん有効です。平成9年以前は受講時間が全国で統一されていなかったため、再度受講が必要なケースがあります。
また受講者の条件は、自治体によって異なります。
例えば、名古屋市は基本的に市内に働く施設がある人のみの受け付けですが、埼玉県食品衛生協会では、どこに住んでいてもどこで働いていても受講できるとされています。
講習会を受けるのに条件はある?
食品衛生責任者の講習を受けられるのは、17歳以上としている自治体が多いです。 また自治体によっては高校生は受けられません。
学歴や所持している資格、実務経験の有無などは問われないので、敷居の低い資格と言えるでしょう。
自治体によりますが、外国人の方は日本語が分かることが受講の要件となることもあります。
食品衛生責任者養成講習会で学ぶ内容!
食品衛生責任者養成講習会は1日で行われます。 厚生労働省から全国の自治体にガイドラインが示されており、6時間以上の講習が必要だと定められています。
詳細は自治体によって異なりますが、おおよその講習内容と時間は以下通りです。
講習内容 | 時間 |
---|---|
衛生法規 | 2時間 |
公衆衛生学 | 1時間 |
食品衛生学 | 3時間(テスト含む) |
テストは比較的簡単で、当日集中して講義を受ければ、事前勉強はしなくても取得できるでしょう。 配布されるテキストは学習材料、読み物として優秀です。ぜひ、活用してください。
講習会予定は各自治体で確認を!
講習会は定期的に開催されています。 開催日や開催回数、申込方法は自治体によって異なります。
先着順で受け付けている自治体が多いため、必要となる場合は早めの申込や早めの受講を検討しましょう。
また2020年5月現在、外出自粛の影響で中止されている会場も多く、申込受付自体休止されていることもありますので、ご注意ください。
講習会の持ち物
養成講習会の持ち物は、おおよそ以下の通りです。
- 受験票
- 筆記用具
- 受講料
- 受験票の記載が確認できる身分証
試験というより、講義を聞くのがメインなので、電卓など特に変わった持ち物は必要ありません。 詳細は主催する自治体によって異なりますので、事前に確認してください。
早めの申込みを!
食品衛生責任者養成講習会の申込は、先着順で定員に達し次第締め切られる場合があります。 比較的開催回数の多い講習ですが、早めに申し込んでおくほうが安心でしょう。
食品衛生責任者資格は1日講習を受けるだけで簡単に取得できるため、希望者が多く、地域によっては席が埋まりやすいのが特徴です。「受けたい日がある」「スケジュールに限りがある」という人は特に注意しましょう。
自治体によっては、当日のキャンセル待ちも行われています。事前に予約したり予定を立てるのが苦手という人は、キャンセル待ちを活用するのも一つの方法でしょう。
郵送での申し込みが多い
自治体によって主催している協会が異なるので、申込方法は様々ですが、郵送でのみ受け付けている自治体が多いです。
インターネットや電話での申込と違い、封筒や申請書、切手などが準備するものがあるのであらかじめ用意しておくとスムーズです。
また先ほども少し触れましたが、先着順です。はがきや封書が到着した順に満席になるまで受け付けという自治体が多く、ホームページでの空席情報とタイムラグが発生することもあるので注意しましょう。
講習会が免除される場合も
すでに食品衛生についての知識があるとみなされる、以下のような人は養成講習会の受講が免除されます。
- 調理師、製菓衛生師、栄養士、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士
- 食品衛生監視員、食品衛生管理者となる資格のある人
- 他の都道府県等において食品衛生責任者養成講習会(講習時間6時間以上)を修了した人
自治体により、詳細が異なりますので、ホームページなどでご確認ください。 例えば東京都ではふぐ調理師は免除されませんが、名古屋市ではふぐ処理士は養成講習会の免除対象とされています。
食品衛生責任者取得後に行うこと・証明書の紛失対処
資格によっては、取得後登録を行わなければ業務に当たれなかったり、名乗れないものもあります。 食品衛生責任者の資格は、取得後行わなければならないことがあるのか調査しました。
また証明書を紛失してしまった時の対処法についても、まとめましたので参考にしてください。
受講証明書を受領!
食品衛生責任者養成講習会を受講後、受講証明書がもらえます。この受講証明書の受領に関しても、各自治体ごとで異なります。
東京都の場合、受講終了後その日のうちに受講修了証(食品衛生責任者手帳)がもらえます。 自治体によっては、別途で手数料がかかることもあります。
受験前に自分の受験予定自治体の受け取り手順をしっかり確認しておきましょう。
食品衛生責任者として働くなら登録を
店舗や施設の食品衛生責任者として働く場合は登録が必要です。 新たにお店を開く際は、営業許可の申請時などに登録します。
すでに開業している店舗や施設で、食品衛生責任者を変更する場合は管轄の保健所に変更を申し出ます。
結婚・離婚などで氏名が変更になって場合や、食品衛生責任者の住所が変わった場合も届け出が必要です。
店に食品衛生責任者のプレートを提示
食品衛生責任者に任命された人は、事務所や店舗の客から見えるところに、名前の入ったプレートを掲示しなくてはなりません。
この掲示用のプレートは、養成講座受講後にもらえたり、販売されたりします。 こちらも各自治体によって詳細は異なります。
またサイズや形なども条例により定められています。 プレートの値段は、800円~1,000円の自治体が多いです。
受講証明書を紛失した場合の対処法
受講証明書を紛失してしまうこともあるでしょう。 その場合は、再発行が可能です。
自分が受けた養成講習会を実施した協会へ申請しましょう。 このとき必要な再交付の手数料は300円~2,500円程度と協会によって異なります。
また自治体によっては受講証明書の番号が必要となるため、受講証明書取得後控えておくのがおすすめです。 そのほかに本人確認書類などが必要となります。
氏名が変わった場合はどうするの?
氏名や住所が変わった場合も、自分が受けた養成講習会を行った協会に申請します。
氏名変更の場合は戸籍謄本や住民票などの証明書が必要となります。
氏名や住所の変更に再交付手数料がかかるかどうかは自治体によって異なります。
飲食店をはじめるために必要な資格は?
飲食店や喫茶店をオープンするために必ず必要となる資格は、食品衛生責任者のみです。
例えば東京都で営業許可を得るために必要な書類は以下の通りです。
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 許可申請手数料
- 登記事項証明書(法人の場合のみ)
- 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの
ただし、30人以上収容できる施設の場合は、防火管理者の資格も必要です。 食品衛生責任者の資格は1日講習を受講するだけでとれるものなので、お店をオープンする予定で調理師免許などを持っていない方は取得しておきましょう。
また、飲食チェーン店や食品業界などに勤める場合でも、食品衛生責任者は採用・昇進の条件になっていることが多いため、取得していて損のない資格といえます。
食品衛生責任者の更新についてまとめ
食品衛生責任者の更新についてまとめ
- 食品衛生管理者資格は更新の必要も有効期限もない
- 再発行する場合は取得した協会に申請
- 講習を受けることで取得できる
- 国ではなく自治体が定めており、自治体によって詳細が異なる
食品衛生責任者の更新について様々な側面から解説してきました!
食品衛生責任者を取得するのは講習を受講するだけなので簡単です。食品に関する仕事に就くなら、衛生に関する知識は大切であり、持っておいて損はないでしょう。
食品衛生責任者の取得を検討してみてはいかがでしょうか。