食品衛生責任者の難易度は?講習会の内容から活かせる仕事まで大公開?
「食品衛生責任者の資格を取得するのってどれくらい難しいの?」
「食品衛生責任者ってどんな仕事があるの?」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
食品衛生責任者の資格を取得すると、どのようなことに活かせるのか気になるでしょう。また、個人で店を開く時に必要となるのかについても知りたいはずです。
この記事では、食品衛生責任者の難易度や講習会の内容、資格を活かせる仕事まで紹介していきます。
最後まで記事を読み終わった方は、食品衛生責任者の資格を取得しようと考えるはずです。
食品衛生責任者の難易度についてざっくり説明すると
- 食品衛生責任者の難易度はかなり低い
- 資格取得に必要な養成講習会には免除規定あり
- 養成講習会ではテストが行われる
食品衛生責任者の難易度は?
食品衛生責任者は、飲食店・食品工場などを運営する場合に必ず取得しなければならない資格です。
特に飲食店を開業しようとする人には必須の資格になります。飲食店では食品衛生責任者の1人以上の配置が義務付けられています。そのため、食品衛生責任者の資格が無ければ、飲食店などの運営はできません。
食品衛生責任者の資格を取ろうと考えている方は、資格の取得方法やその難易度が気になるのではないでしょうか?
資格を取得するために受講が必要な「食品衛生責任者養成講習会」についても詳しく解説していきます。ここでは、講習会の具体的な内容から当日のスケジュールまで紹介します
食品衛生責任者の難易度はかなり低い
食品衛生責任者の難易度はかなり低いです。難易度が低い理由は、食品衛生責任者養成講習会を受講して修了するだけで資格が取得できるからです。
養成講習会は丸1日かけて行われます。1日で完結するため、忙しい人でもスケジュールを合わせやすいでしょう。
講習会の最後には簡単な小テストが実施されます。この小テストは確認テストのような簡単なものになっています。
他の資格試験のように試験の得点が資格の取得に影響するようなことはありません。そのため、食品衛生責任者の資格の取得率はほぼ100%です。
養成講習会を受講する人は事前に勉強する必要はありません。このように、食品衛生責任者資格の取得難易度はかなり低くなっているのです。
食品衛生責任者養成講習会の学習内容
食品衛生責任者の養成講習会は1日かけて行われます。養成講習会用に配布されるテキストは上手くまとまっており、学習の材料・読み物として最適なものになっています。
以下が、食品衛生責任者の養成講習会の内容です。
講習内容 | 時間 |
---|---|
衛生法規 | 2時間 |
公衆衛生学 | 1時間 |
食品衛生学 | 3時間(テスト含む) |
講習の内容は3つの科目に分かれています。講習は合計で6時間行われます。食品衛生学は講習会全体の半分の時間を占めています。
また、食品衛生学の講義後にはテストが実施されます。このテストは講習内容の理解度を確かめる試験です。養成講習会で学んだことがどれくらい自分の頭に入っているのか、試験で確認することができます。
各科目の詳細な学習内容
養成講習会では「衛生法規」・「公衆衛生学」・「食品衛生学」の3つの科目を学んでいきます。
養成講習会で学ぶこの3科目は食品衛生責任者として要求される最低限の知識です。間違えて覚えることがないようにしましょう。
養成講習会で学ぶ3科目の具体的な学習内容について、1科目ごとに詳しく解説していきます。
【衛生法規】
- 食品衛生法や各地域の条例の制定方法
- 食品衛生法の具体的な内容、営業施設基準、食品衛生責任者の役割の説明
- アレルギーなどの表示内容の見方・解説
食品衛生法の詳しい内容や食品衛生責任者としての役割など、基本的なことについて理解を深めていきます。法律や条例に関することなので、難しく聞こえるかもしれませんが、講義を聞いてしっかり学んでいきましょう。
【公衆衛生学】
- インフルエンザ等の感染症
- 食育について
- 水質検査の必要性の解説
公衆衛生学では、集団の健康や環境衛生について学んでいきます。食に関する内容は少ないですが、ここで学ぶことは日常生活でも応用できる知識です。
【食品衛生学】
- 食中毒・ウイルスに関しての知識・対処法・注意事項
- 食中毒・ウイルスの正しい殺菌方法、食品を守る保存方法
食品衛生学は、食中毒やウイルスについて学んでいきます。食中毒は家庭でも起こり得るため、この科目で学んだ内容は日常生活でも役立てられます。
どの科目・項目も食品衛生責任者として必須の知識です。養成講習会で学んだことは1つずつ理解して、整理しておくと良いでしょう。
東京都の食品衛生責任者養成講習会のスケジュール
食品衛生責任者の養成講習会の「内容」は、全国で統一されています。しかし、講習会の一連の「流れ」については、各自治体で異なっている場合があります。
以下に、東京都で行われた講習会の1日の流れを紹介します。
時間 | スケジュール |
---|---|
09:00~09:30 | 受付(ここで受講料¥10,000を払う) |
~09:40 | 着席(座席指定、テキスト・出席カードなどが置いてある)※会場内は電子機器使用禁止 |
09:45~10:00 | 説明(講習会の説明・注意事項の確認・出席カードの記入) |
10:00~11:00 | 講義①衛生法規 |
11:00~11:10 | 休憩 |
11:10~12:45 | 講義②衛生法規・公衆衛生学 |
12:45~13:30 | 昼休憩 |
13:30~15:00 | 講義③食品衛生学(ビデオ含む) |
15:00~15:10 | 休憩 |
15:10~16:00 | 講義④食品衛生学 |
16:00~16:05 | 小テスト |
16:05~16:30 | 解答解説・手帳配布 |
以上が、東京都での食品衛生責任者養成講習会の一連の流れです。途中で休憩時間をはさみながら、1日かけて食品衛生責任者として必要な知識を学んでいきます。会場内は電子機器の使用が禁止になっていますので、注意しましょう。
小テストのハードルはかなり低い
養成講習会での最後には、小テストが実施されます。東京都の場合は、三択の問題が5問ほど出題されます。講習会をしっかり受講していれば、解ける問題になっています。
小テストは終了後すぐに採点されるので、その場で結果が分かります。小テストの結果は資格の取得を左右するわけではありません。そのため、5問全てが不正解だったとしても、食品衛生責任者の資格は与えられます。
ちなみに、5問全問正解する人は毎回の講習会で50%ほどいるそうです。合否を左右する試験ではありませんが、ぜひ満点を目指しましょう。
ただし、養成講習会のテストに向けて事前に勉強する必要はないので、あまり力を入れ過ぎないようにしましょう。
合格率が非常に高いことからも分かるように、講習の内容をしっかりと理解し、疑問に思った点を復習する、という程度の勉強をしておけば問題無いと言えます。
食品衛生責任者の活かせる仕事は?
食品衛生責任者の資格は、養成講習会を受講すれば取得できることがわかりました。丸1日かかりますが、しっかりと学習して知識を深めていきましょう。
食品衛生責任者は、飲食店・食品工場などを運営する時には配置することが義務付けられています。
ここでは、食品衛生責任者の資格を活かすことができる仕事について詳しくみていきます。
①飲食店や喫茶店、チェーン店の店員
個人店や大規模チェーン店で飲食の営業を行う場合、基本的に食品衛生責任者が、1人以上いる必要があります。(細かいルールについては、各自治体ごとで違う場合がありますので確認してください。)
食品営業施設の営業者は、食品衛生責任者の資格を持っている人を事業所の食品衛生責任者として定める必要があります。
飲食店などの食品を扱うお店では、お客様に安全・安心なものを提供する責任があります。その責任を果たすためには、食品衛生に関する知識やノウハウが必要とされます。
そこで、食品衛生に関して一定の知識があると認められている食品衛生責任者が必要なのです。
食関連の就職先で有利になることも
食品衛生責任者の資格を活かすことができるのは、主に飲食店や食品加工会社です。具体的には、レストラン・居酒屋・和食屋・ホテル・製菓・総菜製造会社などです。
飲食店では店舗ごとに食品衛生責任者を1人以上配置する必要があります。そのため、食品衛生責任者の資格を保有していれば、店舗数を拡大する予定のある外食産業会社から非常に重宝されるでしょう。
また、食品衛生責任者の資格は食事や調理に関する知識や技術を身に付けているという証明になります。
将来、食関連の仕事に就職を希望している人は取得すると良いでしょう。履歴書への書き方は「食品衛生責任者 修了」です。
②食品の製造販売の現場でも必須
食品衛生責任者は乳類・肉食類・魚介類などの製造や販売を行う現場でも必要とされます。
ただし、特定の食品や添加物(魚肉ハム・ソーセージ・マーガリン・加糖練乳・全粉乳など)を取り扱う事業者は例外です。この事業者では食品衛生責任者ではなく、食品衛生管理者の資格が必要となりますので注意しましょう。
食品衛生管理者資格とは
特定の食品や添加物を取り扱う事業者では、食品衛生管理者資格が必要とされます。食品衛生管理者は国家資格です。食品衛生管理者は、食品衛生責任者に比べてかなり難しくなります。
食品衛生管理者になるためには以下のような要件が存在します。
-
医師、歯科医師や薬剤師免許などの所有
-
特定の大学や専門課程を卒業
-
3年以上の衛生管理業務に従事していて、かつ2ヵ月の講習会を修了
ただし、講習の費用は30万円ほどかかります。
ある程度の知識や費用が必要になるので、食品衛生管理者資格の取得は食品衛生責任者の資格取得よりも難易度が高いでしょう。
③自分で飲食店を開業・経営できる
上記では、食品衛生責任者の資格が活かせる”就職先”を紹介してきましたが、食品衛生責任者資格を持っていれば、小規模の飲食店を経営することも可能です。
ちなみに、個人で飲食店を開業するためには、「営業許可」と「食品衛生責任者」の設置が義務付けられています。
「営業許可」は取得できたが「食品衛生責任者」の資格取得が間に合わなかったという場合は、「食品衛生責任者設置誓約書」という書類を提出しましょう。
この誓約書を提出すれば、数ヶ月の猶予が与えられます。お店のオープンまでに食品衛生責任者の資格を取得すれば問題ありません。
あくまでも間に合わなかった場合の手続きですので、早めに資格を取得しておきましょう。
資格は全国で有効のため、将来を見据えて取得を
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の自治体ごとに与えられますが、全国各地で使用できます。
(※ただし、平成9年4月1日以降の取得に限ります。)
資格を地元で取得してから、将来的に都心部や他の地域に移り住んで資格を活用することも可能です。
食品衛生責任者の資格は簡単に取得できるので、時間に余裕がある時に資格を取得するのも有効です。将来的に飲食店を経営したいと考えている人は積極的に取得しましょう。
食品衛生責任者の受験資格
ここまで、食品衛生責任者の資格の取得の流れと難易度、資格を活かせる仕事について詳しく解説してきました。
次に食品衛生責任者の受験資格について、紹介していきます。食品衛生責任者の資格は、養成講習会を受けることで取得できると伝えていました。
これから資格取得を目指す人は、積極的に養成講習会を受けましょう。そして、講習会でしっかりと知識を深めていきましょう。
講習会は1日で終わるため、社会人にとっては日程の調整がしやすくなっています。事前に勉強する必要もなく、連日の講習会ではないので集中して受講しましょう。
ただし、食品衛生責任者の資格取得において、特定の条件を満たせば、養成講習会を免除されることもあるのです。どのような条件で講習会が免除されるのか、見ていきましょう。
食品衛生責任者の受験資格・受講料
食品衛生責任者の受験の申込期間や方法については、 各自治体で異なります。 詳しい情報は、各自治体の食品衛生協会のホームページで確認できます。受講する地域の情報をしっかり確認しておきましょう。
養成講習会の受講料はテキスト代を含めて、10000円前後です。受講料は自治体によって異なりますので、事前に確認しましょう。
受講料の支払いは申込時ではなく、養成講習会の当日に持参する必要があります。講習会の当日に受講料を忘れないように注意しましょう。
養成講習会の免除条件
養成講習会では食品衛生について学習していきます。そのため、すでに食品衛生の知識があると考えられる人は受講が免除されるのです。
受講を免除される人は各自治体で異なるため、各自治体や大学で確認しましょう。
以下に、養成講習会が免除される人を挙げていきます。
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生師
- 船舶調理師
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 食鳥処理衛生管理者
- 作業衛生責任者
- 食品衛生管理者
- 大学(畜産学・水産学・農芸化学等の課程)で該当する単位を取得した人
ただし、各自治体によって条件が異なる場合があるので注意する必要があります。
東京都と横浜市の食品衛生協会の場合の例を挙げてみます。
食品衛生協会 | 該当する | 該当しない |
---|---|---|
東京都 | 調理師免許 | ふぐ調理師 |
横浜市 | ふぐ包丁師 |
ふぐ調理師・ふぐ包丁師・ふぐ処理師などは、各自治体の基準で認可されたもので全国的に標準化された資格ではありません。そのため、各自治体によって免除規定が異なるのです。
養成講習会の免除が該当する人は条件の証明として、資格の免許証・受講修了証・大学の卒業証明書が必要になります。
確認証を発行して食品衛生責任者となれる
食品衛生責任者の養成講習会を修了すると、受講終了証(確認証)が交付されます。受講修了証(確認証)が資格所有の証明となりますので、大事に保管しましょう。
受講修了証(確認証)の交付には、事務手数料が2000円が必要です。
この修了証(確認証)を発行して、食品衛生責任者となることができるのです。養成講習会を受けただけでは、食品衛生責任者になれないので注意しましょう。
食品衛生責任者の資格を取るために大事なこと
社会人として仕事で必要な方や個人で店を開業しようとする方など、食品衛生責任者の資格を取得する目的は人それぞれ違います。この資格を取得するためには養成講習会を受ける必要があります。
しかし、条件によっては講習会を免除できる方もいます。各自治体によって異なりますので、取得する前に直接確認すると良いでしょう。
基本的には食品衛生責任者を取得するためには養成講習会を受けます。講習会を受けるにあたって大事な点があります。それは高いモチベーションや目標を持つことです。
養成講習会では食品衛生責任者に必要な知識を深めていきますが、集中して学ばないと身に付きません。お客さんに対して、安心・安全なものを提供するためにはしっかりとした知識が必要です。
食品衛生責任者としての責任を持ち、正しい知識を持って仕事を行っていきましょう。正しい行動をすることでお客さんのみならず、職場でも信頼されるでしょう。
食品衛生責任者の難易度についてまとめ
食品衛生責任者の難易度についてまとめ
- 食品衛生責任者の資格を取得しようと思えば、ほぼ100%取得できる
- 養成講習会では3科目の講義と簡単なテストが実施される
- 特定の条件を満たせば養成講習会が免除される
この記事では、食品衛生責任者の難易度について紹介しました。
養成講習会受講者の 資格取得率はほぼ100% であり、難易度はかなり低い資格といえます。
食品衛生責任者は、食品関係の会社では特に重宝される人材です。取得の難易度を考えると非常にコストパフォーマンスが良い資格といえるでしょう。
個人で飲食店を開業したい方、食品関係の会社に勤めたいと考えている方はぜひ取得しましょう。養成講習会の内容は、日常生活でも役立つ内容も含まれているので興味のある方は受けてみてください。