管理栄養士は独学で合格できる?試験概要から勉強のポイントまで全て解説!
「管理栄養士試験に独学で合格を目指すことはできる?」
「独学で進める場合はどのような勉強法でやればいいの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
管理栄養士は国家試験の一つであり、管理栄養士の学校に通い受験資格を満たしてから試験を受ける人が多いです。
独学で合格するのは難しいのか、またどのような勉強法が効率的なのか気になる人は多いと思います。
こちらの記事では、管理栄養士に独学で合格できるのか、また勉強のポイントについて解説します!
管理栄養士の独学についてざっくり説明すると
- 合格率は6割近くあるため、独学でも合格を狙うことができる
- 栄養士を取得してから管理栄養士を目指す場合はかなりの勉強が必要になるため注意
- テキストを読んだあとはひたすら問題に取り組むと良い
- 過去問はできるだけ長い年度さかのぼって多く解くと良い
管理栄養士になるための道のり
管理栄養士は国家資格!
管理栄養士資格は厚生労働省大臣が認定する国家資格であり、知名度も非常に高い人気資格です。
管理栄養士の主な仕事は、栄養に関する高度な指導や栄養管理を行うことです。
管理栄養士は栄養士の上位資格にあたり、今後ますます進んでいくであろう高齢化や健康志向の高まりにより、更に需要が高まっていくでしょう。
具体的には、高齢者向けの介護福祉施設やフィットネス事業で求められる人材になれるでしょう。
管理栄養士になる方法は2種類!
管理栄養士国家資格を受験する受験資格は2種類存在します。
-
4年制の管理栄養士養成校(大学または専門学校)を卒業者または卒業見込みの者
-
大学・短大・専門などの栄養士養成施設を卒業して栄養士資格を取得後規定の実務年数経験を積んだ者
2の栄養士を経由するルートよりも1の管理栄養士試験をいきなる受けるほうが手間がかからないため、1のルートがオススメです。
栄養士から管理栄養士となるための受験資格
上記の2番目の「栄養士→実務経験→管理栄養士」のルートでは、実務経験が求められますが、実務経験対象施設や必要実務経験年数は以下の通りです。
〈実務経験として認められる施設〉
-
寄宿舎、学校、病院等で、特定多数人に対して継続的に食事を供給するもの
-
食品の製造、加工、調理または販売を業ろするもの
-
学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園など
-
栄養に関する研究所および保健所などの行政機関
-
上記のほか、栄養に関する知識の普及・指導の業務が行われるもの
もし「この経験は実務経験にあたるのかな?」と疑問に感じるものがあれば問い合わせなどで確認しておきましょう。
〈必要な実務経験年数〉
-
2年制の栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許取得者であれば、3年以上の実務経験が必要
-
3年制の栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許取得者であれば、2年以上の実務経験が必要
-
4年制の栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許取得者であれば、1年以上の実務経験が必要
実務経験を積まなければならないため時間がかかる上に、証明書類も準備しなければならないためかなり手間がかかってしまいます。
管理栄養士の難易度・合格率
管理栄養士国家資格試験の4年分の合格率は以下の表の通りです。
試験回 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
第34回 | 15,943人 | 61.9% |
第35回 | 16,019人 | 64.2% |
第36回 | 16,426人 | 65.1% |
第37回 | 16,351人 | 56.6% |
ご覧のように、管理栄養士全体の合格率は60%前後で安定していることがわかります。
つまり、半数以上が合格できるため、国家試験としては比較的易しいと言えるでしょう。
とはいえ、油断していると不合格になってしまうため、丁寧な勉強が必要になります。
受験種別別管理栄養士の合格率
管理栄養士の受験者は以下の3種類に分けられます。
-
受験年に管理栄養士養成過程を修了した新卒者
-
過去に管理栄養士養成課程を修了た既卒者
-
過去に栄養士養成課程を修了し、実務経験を規定通り積んだ既卒者
各受験者の4年分の試験データは以下の通りです。
試験回 | 管理栄養士養成課程(新卒) | 管理栄養士養成課程(既卒) | 栄養士養成課程(既卒) |
---|---|---|---|
第34回 | 受験者数9,527人 合格率92.4% | 受験者数1,168人 合格率12.0% | 受験者数5,248人 合格率17.8% |
第35回 | 受験者数9,643人 合格率91.3% | 受験者数1,270人 合格率19.1% | 受験者数5,106人 合格率24.3% |
第36回 | 受験者数9,490人 合格率92.9% | 受験者数1,395人 合格率20.5% | 受験者数5,541人 合格率28.8% |
第37回 | 受験者数9,444人 合格率87.2% | 受験者数1,372人 合格率9.9% | 受験者数5,535人 合格率16.0% |
新卒の合格率は90%近くありますが、既に栄養士の資格を持っていて、そこから管理栄養士となる人の合格率は10~20%とかなり低くなっています。
新卒の人は学校でじっくりと管理栄養士の試験対策ができるため、このような高い合格率を誇っているのです。
栄養士から管理栄養士になるためにはかなりの勉強が必要!
管理栄養士は栄養士の上位資格なので、資格の価値はかなり異なります。
また、栄養士よりも管理栄養士の方が給料が良いため、スキルアップを目指して栄養士から管理栄養士を目指す人は多いです。
既卒者の大半は実務と並行しながら試験勉強を行っているため、試験対策や勉強時間の確保が難しいのが実情ですが、様々な工夫を重ねてコツコツと勉強を続ける必要があります。
また、大学等に在籍していないため、勉強に集中できる環境作りが難しいことや、試験に関する最新の情報やガイドラインに疎くなってしまう点もデメリットと言えるでしょう。
既卒者は仕事終わりに毎日2時間程度、期間にすると3~6か月の根気強い勉強が必要となりますが、ぜひキャリアアップを目指して管理栄養士の合格を掴み取りましょう。
管理栄養士国家試験の試験概要
管理栄養士国家試験は年に一度のチャンス!
管理栄養士試験は年に1度しか実施されず、3月上旬に実施されています。
試験の申込期間は例年12月上旬で、申込期間が短いため発表されたらなるべく早い内に申し込むようにしましょう。
また、合格発表は3月下旬であり、4月の就職に間に合うようにスケジューリングされています。
試験の実施会場は、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・岡山県・福岡県・沖縄県の全国8か所で行われています。ただしコロナによる影響が出ている場合があるので、日程と会場については随時チェックしましょう。
過去の試験会場について知りたい人はホームページで調べたり問い合わせておくと良いでしょう。
なお、試験の受験料は6,800円で、他の国家試験と比べると安めです。
管理栄養士試験の出題形式
試験問題は200問と、かなり多くの問題が出題されます。
一問一点の200点満点で採点され、合格ラインは全体の6割にあたる200点中120点以上となっています。
合格ラインはそこまで高くないため、メリハリをつけて重要論点をしっかり押さえて勉強すれば合格ラインに到達することができます。
重要でない論点や難問は捨てるなど、うまく工夫しながら試験のコツを掴んでいきましょう。
なお、試験は午前中に2時間40分の試験時間で105問、午後に2時間25分の試験時間で95問解くことになります。
管理栄養士試験の試験範囲
管理栄養士の試験科目は以下の通りです。
-
社会・環境と健康
-
人体の構造と機能および疾病の成り立ち
-
食べ物と健康
-
基礎栄養学
-
応用栄養学
-
栄養教育学
-
臨床栄養学
-
公衆栄養学
-
給食経営管理論
-
応用力問題
このように、栄養学に関する科目や人体構造に関する出題など多岐に渡ります。
全科目を満遍なく隅々まで勉強するのではなく、各科目の重要論点や頻出問題をしっかりと押さえて勉強することが合格への近道です。
管理栄養士となるまでの独学勉強法
問題を解きまくる
独学の勉強法として、
「参考書で知識をしっかりとインプットしてから問題演習にとりかかる」
のが理想的です。
しかし、実際に行うのは簡単ではなく途中で挫折してしまうことがあるため、モチベーションの維持にも気を配る必要があります。
学生であればまとまった勉強時間が確保できる上に勉強に集中できる環境に身を置くことができますが、時間のない社会人はなかなか勉強時間の確保が難しいためこの勉強法は向きません。
そこで、忙しい社会人の人にオススメの勉強法は、最初に参考書を通読してからまとめのページを参照し、問題を解き進める勉強法です。
問題を解いていく中でわからない問題が出てきた場合、しっかりと選択肢を調べて理解すると、効率よく勉強できます。
この勉強法で進めることにより、出題範囲が多い分野を徹底して潰すことができるようになるため、短時間でも効果的な勉強が可能です。
また、社会人は通勤時間などの隙間時間を有効活用することを意識しましょう。
最近ではスマホのアプリでも勉強ができるため、寸暇を惜しんで勉強することを心掛けましょう。
過去問の有効な使い方!
合格を目指す上で、過去問をうまく活用できるかどうかは非常に重要な要素です。
過去問は普通に解き進めても問題ありませんが、より効果的な勉強にするために以下のような方法も実践してみると良いでしょう。
管理栄養士の問題には、正しいもの・間違っているものを選ぶ問題がよく出題されます。
理解を効率よく進めていくために、これらの問題を取り組む際には、問題の「どこがどう違うのか」を自分で訂正してみると良いでしょう。
正しい選択肢を選ぶだけでなく、ちょっと時間を使って間違えている選択肢も丁寧に分析していくことで、多くの知識を得ることができます。
また、本番に向けての対応力も鍛えられるので、非常にオススメです。
過去問の入手法・選び方
過去問集は全国の書店やインターネットで手に入れることができます。
できれば実際に見てみて、解説が丁寧にされているか、自分にとってわかりやすいかどうかを判断すると良いでしょう。
また、毎年新しい過去問集が出ているため、法改正などに対応するためにも必ず最新版を手に入れるようにしましょう。
多くの出版社からテキストや過去問は出ているため、解説などを一読して、自分が分かりやすいものを選ぶようにしましょう。
また、過去問は最低でも5年分は遡って解いてみて、3周以上はこなしましょう。
「同じ問題を何回も解いても意味あるの?」と思われるかもしれませんが、何度も繰り返し解くことでその問題の選択肢が間違っている理由などが瞬時に判断できるようになります。
ただ漫然と解くだけでは意味はありませんが、丁寧に何回も解くことで知識の完成度が高まり、応用力も身に着いていきます。
参考書・問題集は1冊を3周以上やりこもう!
参考書・問題集は多くの教材を買い揃えても意味はありません。
自分が選んだ1冊に絞って徹底的にやり込むほうが効率的です。
なお、参考書を選ぶ際には何冊か実際に手に取ってみて、表現や構成が分かりやすいものを選ぶと良いでしょう。
また、問題集は以下のように3周以上は取り組みましょう。
-
1周目は時間をじっくりかけても解き切る
-
2周目は絶対に正解できる問題はチェックを入れて3周目以降は時短のためにも解かない
-
3周目以降は、インプットが甘い論点などを分析ながら知識の定着を図る
このように、徐々に苦手を潰しながら知識の完成度を高めていくように過去問に取り組みましょう。
模試を活用しよう
管理栄養士国家試験対策として、多くの予備校などが模試を行なっています。
本試験レベルの問題を試験独特の空気を感じながら解くことができる機会は非常に貴重なので、日程が合えば模試は受験しておくべきです。
自宅で受験できる模試セットもありますが、できれば本番に近い雰囲気を体感するためにも会場受験をする方がベターです。
模試を受ける際には、本番と同じモチベーションで受けることを心掛け、見直しなどを徹底することを心掛けましょう。
出題範囲の多い問題重点的に勉強しよう
管理栄養士の試験問題で出題数が多い科目は、「人体の構造と機能および疾病の成り立ち」と「臨床栄養学」です。
出題問題数は試験回によって異なるものの、例年出題数が多いこれらの科目をしっかりと押さえることが合格のためのカギとなります。
また、食・栄養に関わる時事問題や管理栄養士に関わる法律問題も出てくるため、ニュースなどの時事にも敏感になっておきましょう。
「国民衛生の動向」「国民健康・栄養調査」「日本人の食事摂取量基準」など、統計データや国の施策に関する出題もあるため、白書などを見ながらおおよそのデータや数字は覚えておきましょう。
科目ごとに潰していこう!
こちらのトピックでは、試験科目で押さえておくべきポイントを解説します。
- 「基礎栄養学」
接種した栄養成分が体内で栄養素に変換され、臓器間で栄養素の変換が行われる過程や、ビタミンや無機質を過剰摂取する危険性については頻繁に出題されているため、要注意です。
- 「応用栄養学」
栄養教育のためのカリキュラムの立案・実施・モニタリング・評価・フィードバックや、行動科学とカウンセリングの論点は必ず押さえましょう。
- 「臨床栄養学」
この科目は出題数が多いため、重点的な対策が必要です。
医療従事者としての心構えや、医療制度の理解を中心に勉強するようにしてください。
- 「公衆栄養学」
公衆栄養マネジメントの概念、理論的枠組みの組み立てなどが頻繁に出題されているため、これらを重点的に勉強するようにしましょう。
- 「給食経営管理論」
「栄養・食事管理」と「経営管理」に大別されていて、「経営管理」の方が出題が多いです。
そのため、経営管理に重きを置いて勉強することを意識しましょう。
- 「栄養・食事管理」
給食施設利用者の身体の栄養状況、給食管理方法などの栄養指導を行うための知識と技能が問われます。
- 「応用力問題」
年齢や性別、疾患や検査値を踏まえつつ、その患者にふさわしい栄養管理や栄養指導について問われます。
また、管理栄養士として実際の現場で必要とする観察力・判断力・予測力を確認する状況設定問題も頻繁に問われるため、過去問題をよく確認しておきましょう。
かなり実務的な問題となっているため、実務をイメージしながら勉強すると効果的です。
なお、応用力問題は暗記だけでは解くことができないため、論点を理解することも重視して過去問題などに取り組むようにしましょう。
管理栄養士の模試について
管理栄養士の模試を行っている機関はいくつかあるため、それぞれご紹介します。
日本医歯薬研修協会
全国で30000人以上が受験している、代表的な模試です。
日本医歯薬研修協会の模試の特徴は、解説書が配布され、問題を解く際のポイントや考え方の解説、各選択肢の解説が充実している点です。
また、学習への理解を深める図表を多く用いているため、非常に分かりやすいと評判です。
この解説書1冊で模擬試験問題の復習ができるように構成されているため、効果的な復習にも役立てることができます。
解説書の他にも、試験の結果として今の弱点がすぐに分析できる成績表がもらえます。
日本医歯薬研修協会では、模試のマークシート到着後から2週間程度で結果を返送しており、模試に取り組んだ内容を忘れないうちにフィードバックを受けられます。
この成績表は、試験結果をあらゆる角度から分析しており、豊富なデータから自分の得意分野や不得意分野など、課題を見つけることに役立ちます。
RDC 管理栄養士センター
RDC栄養管理センターの模試も代表的です。
精選された予想問題が出題され、過去問の徹底分析に基づいた上で作成された問題になっています。
試験の解説も充実しており、自分の弱点補強に役立つと非常に評判も高いです。
また、試験の結果と共に返される解説書では、出題の意図や解答のヒントなどを詳しく解説しており、自分の弱点を重点的に復習することができます。
試験の成績表は一目で分かる採点結果となっており、全国順位・得点・偏差値など詳細なデータを確認することができます。
全国で自分の結果はどの程度なのか、平均点以上は取れているのか、周りが取れている問題は自分も取れているのかを確認して、その後の勉強に生かすことができます。
東京アカデミー
東京アカデミーが実施する模試も、多くの人が受験しています。
各種試験の出題傾向を分析した上で重要論点を押さえて、非常に質の高い良問が出題されます。
また、試験の結果と一緒に出題のポイントを示した解説書が配布されるため、復習に役立てることができます。
試験結果の成績表のデータからは今後の学習の指針を得ることができるため、ぜひ有効活用して本番までの勉強に役立てましょう。
管理栄養士の独学まとめ
管理栄養士の独学まとめ
- 試験は年に一度しかないため、一発合格を目指そう
- 満点は必要なく6割程度の得点で合格できるため、メリハリをつけた勉強を心掛ける
- 隙間時間を活用しながら過去問題に多く取り組むと効率的
- テキストや問題集は何冊も買わずに自分が厳選したものを使い続けたほうが良い
管理栄養士試験は6割程度の合格率なので、独学で合格を狙えます。
しかし、社会人の人は勉強時間の確保が難しいため、隙間時間をうまく活用しなければいけません。
管理栄養士を取得することで様々な職場で活用できるほか、自分のスキルアップにも役立ちます。
多くの取得メリットがある資格なので、興味がある人はぜひ管理栄養士の取得を目指してみてください!