中小企業診断士の試験委員とは?おすすめ著書や試験への生かし方を紹介!
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の試験委員って実際の試験に何か影響があるの?」
中小企業診断士を目指されている方の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中小企業診断士の試験委員の概要や資格試験への影響、読んでおきたい委員の方の著書など、知っておくべきポイントを解説します!
これを読めば試験委員の方の試験への影響や具体的な対策方法までバッチリ分かります!
中小企業診断士の試験委員についてざっくり説明すると
- 試験委員は基本委員と出題委員に分かれている
- 試験への影響が大きいのは出題委員の方
- 試験委員の方の著書は出題傾向の把握に役立つ
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中小企業診断士の試験委員ってどんな人?
中小企業診断士の試験委員とは、中小企業診断協会が中小企業診断士の国家試験を実施するにあたって選定される委員のことです。毎年、中小企業診断協会のホームページに名簿が掲載されます。
委員は、基本委員と出題委員の2種類で構成されています。令和5年度の中小企業診断士試験委員は公式HPによると、基本委員が11名、出題委員が35名でした。委員の多くは大学の教授や中小企業診断士の試験科目を専門分野として研究している大学教授の方々です。
つまり、中小企業診断士の国家試験の内容に精通している人たちの集まりということになります。それぞれの研究者が自分の研究専門分野の著書の中から試験問題を出題する傾向にあり、毎年発表される試験委員の名簿については注目が集まっています。
受験生は出題委員の方々について知っておこう
試験委員の中でも、特に出題委員の変更は中小企業診断士の国家試験の内容に影響を与えると考えられています。それは、毎年それぞれの出題委員の専攻分野が少なからず試験問題に採用されていると言われているからです。
出題委員の影響が大きく出るのはどちらかと言えば1次試験の方だと考えられています。2次試験への大きな影響は考えにくいでしょう。
上述の通り、出題委員のほとんどが大学の教授など研究者です。それぞれの専攻分野をよく知っておくことで試験の出題予測ができると考えられます。
そのため、中小企業診断士の国家試験合格を目指す専門予備校でも試験委員の名簿が発表されるとその委員の専攻研究分野をよく把握し、どのような問題が出題されるのか事前に研究されるなど、試験対策として活用されることもあるようです。
たとえ出題委員の研究分野や著書の内容がそのまま出題されなくても、出題委員の考えを知っておくことは2次試験の筆記問題の解答を作成する際の参考になります。中小企業診断士の試験委員の名簿が掲載されたら一通り名簿に目を通し、委員の研究内容と著書を調べておくことは有効です。
試験委員は毎年変更されており、中小企業診断士試験の傾向はそれに伴い変わっています。
出題委員が変更することにより問題の傾向が毎年変化するのは確かなようです。一方で、傾向は変わっても総合的な難易度はあまり変わらないと言われています。
試験委員の方々の主な著書
ここでは、試験委員の方々の著書の一部をご紹介いたします。
中小企業診断士試験の出題傾向を探るためにも、ぜひ著書に目を通しておきましょう。
木内正光氏の「生産現場構築のための生産管理と品質管理」
木内正光氏は、現職は、城西大学経営学部准教授でおられます。2003年に玉川大学大学院工学研究科生産開発工学専攻博士課程後期修了され、工学博士を取得。2004年に城西大学経営学部助手、2007年に同助教を経て、2011年より現職です。
日本マンパワー中小企業診断士登録養成課程生産マネジメント実習、日本規格協会“品質管理と標準化セミナー改善問題研究及び日本科学技術連盟ベーシックコース班別研究会にて指導講師を歴任しておられます。
著書である「生産現場構築のための生産管理と品質管理」は、モノづくりの原点である生産現場を題材に、その生産現場を強くするための方法を本書でひもといていきます。本書では、生産現場を強くする方法を以下の順番に解説していきます。
生産現場を強くする方法を検証
- 生産現場での作業を記号化し、現状把握を実施する
- 必要生産現場"でのデータを収集・分析し、改善活動につなげることが重要である
- 改善した結果を標準化することで生産現場のレベルを上げていくことにつなげる
各段階で活用できる手法の解説も充実しており、あらゆる企業の生産現場で活用できる1冊です。過去の国家試験の問題では、2018年中小企業診断士2次試験の事例3で木内氏の著書の本から出題されています。
佐々木将人氏の「考える経営学」
一橋大学経営管理研究科経営管理専攻准教授の佐々木将人氏は、組織内メンバー間の意識分化・その統合メカニズムを主たる関心事項に据えており、具体的な活動内容としては日本企業を対象に組織行動・マーケティング活動の調査を行われております。
本書は経営学の入門書となっており、事業創造を追体験していく構成のもとで、事業・組織づくりの両面からこれらの課題を深く考え、該当の内容も深く学習していきます。
管理的な組織から自律的な組織へと移り変わっている現代の状況も踏まえた実践的な書となっており、説明もわかりやすいことから診断士受験生は一度手に取ってみることをおすすめする1冊です。
高尾義明氏の「ジョブ・クラフティング」
東京都立大学教授の高尾義明氏は、経営組織論・組織行動論を専門に研究されており、本書をはじめとして多数の著書を出版されています。
本書は、従業員自身が仕事に主体的に向き合い・行動を起こし、仕事をやりがいあるものとして捉える「ジョブ・クラフティング」について詳細に記された研究書となっております。
ジョブ・クラフティング領域の第一人者の研究者による重厚感ある記述が特徴的となっており、仕事の自律的再想像に向けたヒントがふんだんに詰まった一冊です。
岩崎邦彦氏の「引き算する勇気」
岩崎邦彦氏は中小企業診断士であり商学者でもあります。現在は、静岡県立大学附属地域経営研究センターセンター長・経営情報学部教授・大学院経営情報イノベーション研究科教授として日々研究を重ねておられます。
本書では、事業経営をしていくにあたり付加価値をつける引き算を推奨している良書です。引き算で残ったものを掛け算で強力な事業にできることを事例で分かりやすく説明しています。
経営者として大きく売り上げを伸ばすことを考える際、店舗を大きくしたり新商品を出すなどの「手広く事業展開」を考えがちですが、本書はその過ちを様々な論拠から諭してくれます。シンプルにすることの大切さ 経営者として忘れずにいたいと思わせてくれる一冊です。様々な事例を上げて引き算の効果を実際に検証しています。
本書を執筆した岩崎邦彦氏は、スモールビジネスマーケティングの専門家として著名な方です。本書を読むことでマーケティングについての知識を深めることができます。
試験委員の方の著書は学習のメインではない
当然ですが、中小企業診断士の資格取得を目指す際は受験専用のテキストや問題集を使った勉強がメインです。
試験に影響があるとはいえ、こうした試験委員の方の著書は試験勉強の合間の息抜きとして読むくらいで丁度良いでしょう。普段の勉強時間が足りていないのに、これらの著書を何冊も読むのは本末転倒なので注意してください。
また、こうした著書を読むことで中小企業診断士としての知識の裾野を広げておくことは合格後の活動においても重要なことです。単なる試験対策としてだけでなく、自身の思考レベルを高めるためにも時間に余裕があれば何冊か手に取ってみることをお勧めします。
今回紹介した著書ですが、自分の興味のある分野を読むのも良いですし、普段の勉強でよく理解できなかった分野の書籍を選ぶのも一つの方法です。
もちろん、いずれも読み物としても面白い本ばかりです。読書を楽しみつつ、中小企業診断士としての知識の裾野を広げるためにそれぞれの著書を活用してください。
中小企業診断士試験の試験委員まとめ
中小企業診断士の試験委員まとめ
- 中小企業診断士の試験委員は基本委員と出題委員の2種類に分かれている
- 委員名簿は毎年中小企業診断協会から発表される
- 出題委員の著書などから試験問題が出題される傾向があるため、著書には目を通しておくのが良い
- 出題委員の変更に伴い、出題傾向が変化したり、試験の難易度に影響が出る場合もある
- 興味や関心のある著書から読んでみるのが良い
中小企業診断士の試験委員の概要とその著書について説明しました!
中小企業診断士の試験勉強に行き詰まると、何か変えなくてはと「試験委員対策」を中心に始めてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、これまで述べたように試験委員の方々を研究するのはあくまで補助的な対策であり、基本的には通常通り試験対策を行った方が効果的です。
試験委員対策のしすぎで、普段の試験勉強の時間が足りなくなってしまわないように気をつけましょう!