高卒から消防士になるには?試験倍率から大卒との給与の違いまで解説

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「高卒から消防士になるには、どうすればいいの?」

「高卒から消防士になるメリットやデメリットを教えてほしい」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

高卒で消防士になるには、倍率の高い採用試験を突破しなければなりません。

各自治体で倍率は異なるものの、きちんと対策をしないと合格するのは難しいでしょう。

こちらの記事では、高卒から消防士になる方法や試験倍率、年収などを解説していきます。

高卒から消防士になる方法についてざっくり説明すると

  • 各自治体の消防士採用試験に合格することが前提条件
  • 消防士試験は公務員試験の中では難易度が低い
  • 採用倍率は高いため、きちんと対策することが大切
  • 自分が消防士に向いているか熟考しよう

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高卒が消防士になるには

高卒で消防士になるためには、各自治体が行っている採用試験に合格する必要があります。

まずは、高卒で消防士になるにあたっての基本情報を解説します。

応募する自治体の選定

消防士の採用試験は各自治体が行っており、自分の住んでいる自治体以外でも受験することが可能です。

消防士は公安系の公務員になるため、まずは自分が働きたいと感じている自治体を選びましょう。

採用倍率や試験の方法が自治体により異なる

自治体によって、採用倍率や採用試験の方法が異なります。

そのため、応募する自治体を決めたら、過去の試験情報を調べてどのような対策が必要か確認しましょう。

また、採用後の待遇も自治体によって異なるため、採用後の条件についても確認することが大切です。

採用後の待遇も大きく異なる

「消防士になりたい」という熱意を持っていても、「できればより待遇の良いところで働きたい」と感じるのは当然のことです。

消防士の仕事はどの自治体でも基本的には同じですから、きちんと採用された後の待遇も確認したうえで応募しましょう。

各種手当の手厚さや福利厚生なども自治体によって異なるため、就職後のミスマッチを防ぐためにも、細部まで確認することが大切です。

大きい本部の受験がおすすめ

規模の大きい消防本部は、採用人数が多く採用倍率も低い傾向にあります。

そのため、どの自治体を受験するか決めかねており、「採用されやすさ」に魅力を感じる場合は、消防本部を受験するのがおすすめです。

もちろん、自治体によって採用倍率は異なるため、過去の試験情報をチェックすることが大切です。

消防士採用試験

多くの自治体で消防士採用試験は、下記のように1次試験と2次試験に分かれています。

<1次試験>

  • 筆記試験(一般教養)
  • 論作文試験
  • 適性試験

<2次試験>

  • 身体検査
  • 人物試験(面接)

消防士は公安系公務員で体力が求められる関係から、学力だけでなく体力も求められます。

なお、東京消防庁の高卒者試験Ⅲ類の採用倍率は、令和4年度が6.4倍・令和3年度で20.3倍という結果でした。

多くの受験者がいることから、きちんと対策することが重要です。

半年間の研修

消防士の採用試験に合格した後は、消防士としての心構えや必要なスキルを習得するために半年間の研修が行われます。

半年間の消防学校では、厳しい訓練が行われるうえに私生活でも厳しい制約を受けます。

半年間の研修を「初任課教育課程」と呼びますが、研修期間中に脱落してしまう人も少なくありません。

とはいえ、半年間の研修では学科と実技の授業が行われ、一人前の消防士を養成するために重要な課程となっているため、主体的に参加することが大切です。

高卒が消防士になる条件は

高卒が消防士になるには、いくつか条件をクリアする必要があります。

以下で、高卒が消防士を目指すにあたって求められている条件について解説します。

特別な資格は必要か

消防士になるにあたって特別な資格は必要ありません。

しかし、これまでの経歴や保有資格に応じて、採用が有利になる「一部評定対象」があります。

出典:令和5年度 東京消防庁 採用情報

具体的には、武道やスポーツで優秀な成績を収めた人や、高い語学力を誇る人が一部評定の対象です。

年齢制限は注意が必要

自治体により多少違いがありますが、高卒者が消防士を目指す際には年齢制限が設けられているケースが多いです。

多くの自治体では、高卒消防士の受験年齢の下限を18歳、上限を21歳に設定しており、自分が年齢要件をクリアできているかは必ず確認しましょう。

もし年齢要件をクリアできていない場合は、「高卒者」以外の試験区分での受験を検討することになります。

高卒消防士の採用試験の詳細

続いて、高卒消防士の採用試験の詳細について解説します。

過去の試験倍率や出題範囲について解説していくので、ぜひ参考にしてみてださい。

試験倍率

東京消防庁の高卒者向け試験である「Ⅲ類」における、ここ5年の採用倍率は下記の通りです。

年度 倍率
令和4年度 6.4
令和3年度 20.3
令和2年度 7.7
令和元年度 27.4
平成30年度 17.7

令和4年度は6倍程度でしたが、年度によっては20倍を超えています。

筆記試験(教養試験)

続いて、消防士の試験内容について解説します。

試験 内容
1次試験 教養試験
論作文試験
適性検査
2次試 身体・体力試験
口述試験(個人面接)

<教養試験>

分野 科目
知識分野 人文科学(世界史・日本史・地理・思想・文学・芸術)
自然科学(数学・物理・化学・生物・地学)、社会科学(政治・法律・経済・社会)
文章理解(現代文・英文・古文)
知能分野 数的処理(数的推理・判断推理・空間把握・資料解釈)

上記のように、教養試験の出題範囲は幅広いです。

各科目をバランスよく勉強する必要があるため、相当な勉強時間を確保する必要があります。

問題は選択式で難易度はそこまで高くないものの、十分な対策をしなければ一次試験で落とされる可能性は大いにあります。

筆記試験(論文試験)

論文試験の内容は自治体により異なりますが、約60〜90分程度で800字〜1200字程度の論文を書く試験が多いです。

論文のテーマとして多いのは、消防士を志した理由や最近の時事に関する考えなど、一般常識で答えられるものが多いです。

なお、直近5年間の東京消防庁の論文試験で出題されたテーマは下記の通りです。

  • 消防職員の使命についてあなたの考えとその達成に向けてあなたができることを述べよ
  • 今後の社会情勢をふまえ質の高い行政サービスを提供するために、消防官としてあなたが取り組むことを述べよ
  • 都民から信頼される消防官となるためにあなたが実践することを具体的に述べよ
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が人間社会にどのような影響を与えるのか、あなたの考えを具体的に述べなさい
  • 社会人として必要なものを3つ挙げ、それを身に付けるためにあなたが今後どう取り組んでいくのか具体的に述べよ
  • 資料から傾向を読み取り、行政機関が発信する情報を都民に広く周知するための効果的な方法を考え、具体的に述べなさい
  • 資料「主な出火原因別火災件数」)から読み取れる課題と対応策について、あなたの考えを具体的に述べなさい
  • 資料「救急車を呼んだ理由」から読み取れる課題と対応策について、あなたの考えを具体的に述べなさい
  • 資料「最近1年間で防火防災訓練に参加したことがない最も大きな理由」(グラフは省略)から読み取れる課題を2つあげ、その対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい
  • 資料「新規学卒者就職率と3年以内離職率【大学】【高校】」から読み取れる課題を2つあげ、それぞれの対応策についてあなたの考えを述べなさい

専門的な知識は必要ないものの、きちんと論理立てて自分の考えを述べる必要があります。

事前に論文を書く練習を重ねて、試験本番でも冷静に対処できるように備えることが大切です。

適性検査

適性検査は大きく分けて2種類あります。

  • 単純な100個ほどの質問にはい・いいえで答えるもの
  • 図形の異同を判断するもの

いずれも問題を解く性質の試験ではなく、思考力や作業スピードに問題がないか判断するものです。

きちんと取り組めば不合格になることはありませんが、油断せずに取り組みましょう。

身体・体力検査

消防士には体力が求められることから、下記の体力検査や身体検査が行われます。

  • 1km走
  • 反復横とび
  • 上体起こし
  • 立ち幅とび
  • 長座体前屈
  • 握力
  • 腕立て伏せ

合格基準は公開されていませんが、特段大きな問題がなければ不合格にはなりません。

面接

人物試験として、面接はほとんどの自治体で行われています。

個人面接が中心ですが、自治体によっては集団面接を行うことがあります。

なお、東京消防庁面接試験の主な質問項目は下記の通りです。

  • 消防官の志望動機
  • 東京消防庁の志望動機
  • 自己PR
  • やりたい仕事・希望している部署
  • 併願状況
  • これまでの経歴
  • 集団生活について(消防学校での生活を想定)
  • 対人関係(友人関係)

専門知識が求められる質問はほとんどありませんが、コミュニケーション能力がチェックされています。

冷静に話を聞いて、自分の言葉で適切に答えられるように準備しましょう。

筆記試験対策にかける時間は

消防士の採用試験では教養試験や論作文試験が行われるため、きちんと筆記試験の対策を行う必要があります。

以下で、筆記試験対策にかける時間の目安について解説します。

公務員試験の対策時間は1000時間

一般的に、公務員試験の筆記試験を突破するためには、1000時間程度の勉強が必要と言われています。

勉強するべき科目が多く、試験範囲も広いため、各科目をバランスよく勉強しなければなりません。

また、論作文試験を課す自治体の場合は論作文の対策も行う必要があるため、長期間にわたって勉強する必要があるでしょう。

遅くとも3ヶ月前から

勉強に慣れており、自分にとって最適な勉強方法を把握できている人の場合は、3カ月程度の勉強期間で対策が済む可能性があります。

一方で、勉強慣れしていない人やまとまった勉強時間の確保が難しい事情を抱えている場合は、もっとゆとりのある勉強スケジュールを立てましょう。

とはいえ、消防士の高卒試験を受験する人の多くは在学中であることが想定されるため、「遅くとも3ヶ月前から勉強を始める」というイメージを持ってください。

試験には慣れが重要

勉強を始めて間もないころは、公務員試験の出題形式に慣れずに悩んでしまうこともあるでしょう。

しかし、消防士試験に特化した参考書をじっくり読み、何度も過去問演習を重ねることで、出題形式に慣れることができます。

公務員試験を突破するためにはある程度の慣れが必要になるため、あせらず時間をかけて対策することが大切です。

論文・面接試験の対策も早めに

公務員試験の対策では筆記試験に時間を割きがちですが、論文・面接試験の対策も早めに行いましょう。

ある程度筆記試験で得点できる自信がついたら、徐々に論文・面接試験の対策に着手して問題ありません。

論文試験や面接試験に関しても、過去問や過去に聞かれた質問などをリサーチしましょう。

論文に関しては、時間内に決められた文字数をクリアしつつ記述を終わらせることを意識することが大切です。

面接に関しては、想定される質問を把握したうえで、わかりやすく伝えられるように練習しましょう。

体力検査の対策も忘れずに

筆記試験や論作文、面接試験の対策ができたら体力検査の対策も行いましょう。

以下で、体力検査の種目や対策方法について解説します。

体力検査の種目

東京消防庁の場合、体力検査や身体検査では下記の項目がチェックされます。

  • 身長:男性おおむね160cm以上、女性おおむね155cm以上
  • 体重:男性おおむね50kg以上、女性おおむね45kg以上
  • 胸囲:身長のおおむね2分の1以上
  • 視力:視力(きょう正視力を含む。)が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること。なお、裸眼視力に制限はない
  • 色覚:消防官として職務執行に重大な支障がないこと。
  • 聴力:正常であること(オージオメータによる純音聴力検査を実施)
  • 肺活量:男性おおむね3,000cc以上、女性おおむね2,500cc以上
  • 体力検査:1km走、反復横とび、上体起こし、立ち幅とび、長座体前屈、握力、腕立て伏せ

出典:令和3年度 東京消防庁 消防官(ⅠⅡⅢ類)採用試験案内

明確な合格基準は設けられていませんが、自信がない体力試験に関しては、トレーニングをして対策すると良いでしょう。

体力検査の対策方法

体力検査の対策方法としては、体力検査の種目に沿った運動能力を伸ばすことが重要です。

例えば、1km走に自信がない場合は日ごろからジョギングなどの有酸素運動を行い、スタミナをつけることが挙げられます。

握力や腕立て伏せに関しても、日ごろからトレーニングを行うことで握力や腕力が鍛えられるため、意識的に鍛えてみてください。

他の公務員試験と難易度を比較

高卒の消防士試験は、ほかの公務員試験と比較しどの程度の難易度なのでしょうか?

以下で、高卒の消防士試験と他の公務員試験と難易度について、偏差値を用いて解説します。

全ての公務員と比較

高卒の消防士試験は、公務員試験全体の中では比較的合格のハードルが低いです。

公務員種別 偏差値
国家公務員総合職 75~
国家公務員一般職 (大卒程度) 60~64
外務省専門職 60~64
地方上級公務員 60~64(大都市の場合)55~59(地方都市の場合)
教員 50~54
地方中級公務員 50~54
国家公務員一般職 (高卒程度、上位省庁) 40~49
海上保安大学校 40~49
地方初級公務員 30~39
警察官・消防士・自衛隊(大卒程度) 35~39
警察官・消防士・自衛隊(高卒程度) ~30

高卒消防士は、自治体によって倍率が高いものの、試験の難易度は低いことがわかります。

警察官と比較

続いて、消防士と同じく公安系公務員の警察官と比較してみましょう。

Ⅲ類 東京消防庁 警視庁
令和3年度 20.3倍 8.5倍
令和2年度 7.7倍 7.2倍
令和元年度 27.4倍 12.3倍
平成30年度 17.7倍 6.6倍
平成29年度 20.0倍 6.5倍

試験の難易度には大きな違いはありませんが、消防士の方が募集人員が少ないため倍率が高くなりがちです。

そのため、消防士と警察官を比較すると「試験の難易度は同程度だが、枠の関係で消防士のほうが採用されにくい」と言えるでしょう。

試験内容で比較

高卒の消防士試験では、他の公務員試験で出題される専門試験がありません。

そのため、筆記試験の負担は軽く、比較的与しやすい試験と言えるでしょう。

しかし、事務職の公務員試験では課されない体力検査があるため、他の公務員試験とは違う難しさがある点は 否めません。

筆記試験と論作文試験だけでなく、面接や体力試験の対策もバランスよく行うことが大切です。

高卒と大卒の消防士を採用・待遇面から比較

続いて、高卒と大卒の消防士を採用枠と待遇面から比較してみましょう。

同じ公安系公務員でも、ところどころに違いがある点は知っておきましょう。

受験資格と採用枠数

令和5年度の東京消防庁の受験資格は下記の通りです。

  • Ⅰ類:1994年4月2日から2002年4月1日までに生まれた人、2002年4月2日以降に生まれた人で学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)を卒業している人(同等の資格を有する人も含む)
  • Ⅱ類:1994年4月2日から2002年4月1日までに生まれた人
  • Ⅲ類:2002年4月2日から2006年4月1日までに生まれた人

出典:東京消防庁 令和5年度採用試験(選考)について

また、各試験の合格者数は下記の通りです。

年度 Ⅰ類 Ⅱ類 Ⅲ類
令和4年度 551 292 428
令和3年度 395 102 231
令和2年度 555 262 522
令和元年 517 150 209

各自治体によって採用数は上下しますが、一般的に高卒者よりも大卒者の方が採用枠が多い傾向にあります。

給与

大卒者と高卒者では、給与面でも違いがあります。

初任給

まずは、大卒者と高卒者初任給の違いについて見ていきましょう。

<大卒>

都道府県 初任給
東京消防庁 210,100円
指定都市消防本部 189,594円
市消防本部 183,779円
町村消防本部 178,267円

<高卒>

都道府県 初任給
東京消防庁 177,300円
指定都市消防本部 157,124円
市消防本部 153,484円
町村消防本部 149,827円

昇進

初任給は大卒者の方が多いですが、大卒者と高卒者では昇進のスピードにも違いがあります。

多くのケースでは大卒者の方が昇進が早く、昇級のスピードも速いです。

公務員の世界は年功序列で学歴を重視する土壌なので、高卒者は昇進において不利を被ってしまう可能性が高いです。

試験内容

高卒でも大卒でも出題範囲は同じですが、大卒者の方が筆記試験の難易度は高いです。

大卒者の試験では高校で学んだ内容の中でも応用的な知識や問題が問われるため、より多くの勉強時間を確保する必要があるでしょう。

消防士の仕事内容

消防士は、緊急の事態において市民を守る重要な仕事を行います。

以下で、消防士の具体的な仕事内容を解説します。

救助・救急業務

救助・救急業務とは、119通報がされたときに現場へ急行する業務です。

急病人や交通事故による怪我人が発生した際に、現場へ急行して応急処置をしながら、病院に搬送します。

また、災害発生時に、逃げ遅れた人を安全な場所に移動させる業務も救助・救急業務に該当します。

防災安全業務

防災安全業務とは、地域住民を対象として防災意識を高める業務です。

自治体が主催しているイベントなどで、防災に関する意識を高め、万が一のときに安全を確保する方法を市民に伝えます。

災害予防業務

災害予防業務とは、災害を未然に防ぐための業務です。

建物の防火設備の検査や、建物や店舗の消防設備の状況を検査する防火査察などが挙げられます。

また、実際に火災が発生した際に、原因や損害を調査して同じ火災による被害を出さないようにする火災調査も重要な仕事です。

災害対応業務

災害対応業務とは、実際に火災が発生したときに消火活動などを行うことです。

火災現場だけでなく、あらゆる場所で助けを求めている人を救助することも、災害対応業務にあたります。

高卒で消防士になると有利な点

消防士には、他の職業にはないメリットや魅力があります。

以下で、高卒で消防士になると有利な点について解説します。

高卒平均よりも高い年収がもらえる

令和2年賃金構造基本統計調査によると、高卒者の平均年収は約256万円でした。

しかし、消防士の平均給与は650万円と高く、同じ年代でも消防士の方が多くの収入を得ることができます。

危険な仕事に就くことが多く、また公安系公務員ならではの厳しさもありますが、金銭的には恵まれているといえるでしょう。

仕事の成果が目に見える

消防士の仕事は、火災現場や災害現場で人を救助したり、消火活動したりすることが中心です。

自分の仕事の成果がわかりやすい形で見えるため、やりがいを感じやすい魅力があります。

職業に貴賤はありませんが、命の危険が迫っている人を直接的に助けられる仕事は限られています。

人から感謝されやすく、憧れを持たれやすい点は消防士になるメリットです。

全国転勤がほとんどない

消防士は、公務員として自治体単位や消防本部単位で職務にあたります。

そのため、全国規模での転勤がほとんどなく、限られたエリアでずっと勤務することになります。

家庭を持った後でも、全国転勤がないことで安心して生活を営める点は大きなメリットでしょう。

解雇される心配がほとんどない

消防官は地方公務員としての身分を有するため、定年まで雇用が確保されています。

自ら辞めるか、不祥事などを起こさない限り職を失うことはない点は、公務員の大きな強みです。

仕事にやりがいを感じつつ、失業のリスクが低い点をメリットに感じる人は多くいます。

高卒で消防士になると不利な点

高卒で消防士になると有利な点がある一方で、不利な点も存在します。

不利になる点やリスクを踏まえた上で、消防士になるべきか判断しましょう。

業務の専門性が高い

消防士は業務の専門性が高すぎるために、転職した際に消防士の経験を活かせない可能性があります。

消防士としての現場経験しか無い場合、高度なパソコンスキルや営業力などを習得するのは非常に難しいです。

体力がある点は評価されやすいものの、消防士の経験を活かせる職場は限られてしまう点には留意しましょう。

業務が危険

消防士は、災害時や火災発生時などに現場に急行し、人命を救助する仕事を行います。

危険な現場で業務を行う機会も多いことから、怪我や命の危険が生じる可能性には留意する必要があるでしょう。

「令和4年版 総務省消防庁 消防白書」によると、令和3年度内の公務中の死者数は2名、負傷者数は1460名でした。

公安系の公務員は、ほかの職種と比較してケガや死亡のリスクが高い点は不利な点と言えます。

体育会系気質が強い

公安系の職場では、体育会系気質が強い傾向にあります。

上下関係が厳しいところもあるため、上司や先輩に対して気を遣う必要がある点はストレス要因になります。

また、年功序列であることも相まって、風通しが悪いと感じる可能性もあるでしょう。

悲惨な状況を目にすることも

実際に救急の場に駆け付けたはいいものの、業務中に負傷者を手当した甲斐もなく亡くなる人を目にすることも場面もあります。

仕事柄仕方がないこととはいえ、悲惨な状況を目にするとやはりショックを受けてしまうでしょう。

高卒から消防士に向いている人

「自分は消防士に向いているのか不安」という方も多いのではないでしょうか。

以下で、高卒から消防士に向いている人の特徴を解説します。

集団行動に慣れている人

消防士の事後現場では、個人行動ではなく集団行動が求められます。

そのため、集団行動に慣れている人や協調性のある人は、消防士に向いている可能性が高いです。

また、体育会的気質や上下関係の厳しさに慣れている人も、消防士の職場に溶け込める可能性が高いです。

体力に自信がある人

災害現場では体力や気力が求められるため、体力に自信がある人も消防士の仕事に向いています。

災害現場などで体を張って救護者を守れる人や正義感の強い人は、消防士が天職と言えるでしょう。

人を思って行動できる人

災害現場では、救助者が安心できるように、相手を慮り思いやりを持って接することが求められます。

そのため、人を思って行動できる人も消防士に向いていると言えるでしょう。

また、救助者だけでなく消防士の仲間を気遣いながら仕事ができる人も、活躍しやすいでしょう。

臨機応変に対応できる人

災害現場や火災現場では、何が起こるか分かりません。

現場に到着した際に、自分で素早く判断を下し行動に移すことが求められます。

そのため、状況に合わせて臨機応変に対応できる人も、消防士に向いています。

高卒から消防士に向いていない人

高卒から消防士になるにあたり、向いていない人の特徴が存在します。

以下のいずれかに該当する場合、高卒から消防士を目指すのかじっくり考えましょう。

安全な業務をしたい人

消防士の仕事は業務自体に危険を伴うため、安全な業務をしたい人には向きません。

消防士は、災害現場や火災現場では人名を救助する場面に遭遇する可能性が常にあります。

そのため、危険な現場での仕事は避けたいなら、消防士は向かないでしょう。

体力に自信がない人

体力に自信がない人も、消防士に向かない可能性が高いです。

消防士には体力が求められることから、もし体力がないのに消防士になると、仕事を全うできません。

体を使うよりもデスクワークが得意な人は、消防士を目指さないほうが得策です。

仕事にお金を稼ぐ以外の意義を見出せない人

消防士は、災害などが発生したときは休日だったとしても呼び出されて業務に従事しなければなりません。

「休日はしっかり休みたい」「仕事にお金を稼ぐ以外の意義を見出せない」という人は、消防士に向かない可能性が高いです。

消防士の仕事には大きなやりがいがありますが、「稼ぐ」以外のモチベーションが薄い人にとって、やりがいの大きさはメリットにはならないでしょう。

利他心が強くない人

消防士は、自分が負傷するリスクを負いながら要救助者を救わなければなりません。

常に救助者の気持ちに寄り添い、安心させることも消防士の大切な仕事です。

利他心が強くない人でないと、モチベーションを持って業務に当たるのは難しいでしょう。

高卒から消防士になる方法まとめ

高卒から消防士になる方法まとめ

  • 筆記試験・論作文試験・人物試験などをバランスよく対策することが重要
  • 遅くとも3ヶ月前から対策を始めるのがおすすめ
  • 消防士試験は他の公務員試験よりも難易度が易しい
  • 高卒で消防士になるメリットは多い

高卒から消防士になるには、筆記試験や面接などの試験を突破する必要があります。

試験倍率は高いため、各試験科目の対策をきちんと行うことが重要と言えるでしょう。

消防士は危険が伴いますが、やりがいが大きく定年まで雇用が確保されている強みがあります。

高卒で消防士を目指している方は、各自治体の採用情報をチェックしておきましょう。

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