英語を使う公務員の職種とは?必要性の有無や各職種に必要な英語力まで解説
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「公務員になったら、実際どのくらいの英語を使うの?」
そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
公務員になるためには、難関な試験を突破する必要がありますが、実際に公務員になってからはどのくらいの英語力が求められるのでしょうか。
この記事では、公務員に求められる英語力を職種ごとに分析して、その結果を分かりやすく解説していきます。
読み終わった頃には、公務員に求められる英語力について明確に理解することができるはずです。
公務員の英語力についてざっくり説明すると
- 英語力よりも行政能力が求められる
- 職種によって求められる英語力は様々である
- 国家公務員だけでなく地方公務員も英語を使う
- 独立行政法人でも職種によって英語を使う
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そもそも公務員が英語を使う機会は多い?
公務員になるためには、英語を含めた試験を突破しなければいけません。
では、試験合格後に公務員になってからどのくらいの英語力が求められるのでしょうか。
また、実際に業務を行う上で必要とされる英語力は一体どのくらいでしょうか。
英語力は二の次
公務員が英語を使う機会は限られています。
なぜなら、公務員は内部と外部の調整や交渉への対応などの行政能力が求められることが多いからです。つまり、英語力よりも行政能力のほうが重視されます。そのため国際会議などの英語力が試される場では、通訳者に任せることが多いです。
また、公務員は個人の語学能力よりも組織として行動できる能力が求められます。そのため、個人で突出した英語力を持っているよりも協調性が重視されます
行政職と専門職どちらが活かせる?
では、公務員の行政職と専門職とではどちらが英語を生かすのに有利でしょうか。
結論は、職種によります。
公務員は、「行政職」と「専門職」という大きく二つの職種に分けることができます。
行政職とは、総合的な事務職のことをさします。これらは、様々な部署で仕事に関わることができます。
一方、専門職は、専門分野に特化した仕事です。「専門能力を発揮したい」といった場合は、専門職が適しています。
下記にお伝えする「外務省専門職員」等を選択すれば英語を生かした職種に就くことができます。
英語は目的でなく手段
そもそも、公務員に限らず様々な職種において、外国語ができればよいというわけではありません。
あくまで、英語は「目的」ではなく「手段」に過ぎません。
コミュニケーション能力や多様な価値観や文化を理解でき、受け入れることができる心の方が大切になります。
語学力がないと悩んでいる人もいると思いますが、語学力は、職に就いた後にも十分鍛えられます。反対に、語学力がある人はそれを活かし、何をしたいのか考えることが重要になってきます。
英語を必要とする国家公務員職種一覧
公務員といっても様々な職種が存在します。英語を使うかどうかは職種によって変わってくるでしょう。
では、英語を必要とする公務員の職種は何でしょうか。
下記では、英語を必要とする「国家公務員」について解説していきます。
外交官
外交官とは、外務省本省と世界各国の大使館・総領事館・政府代表部で勤務し、国家間の交渉、交流、情報分析・収集に従事する公務員です。
「外務省総合職」と「外務省専門職」の二つに分けることができます。
外務省総合職
「外務省総合職」は、国家公務員総合職試験に合格後、外務省に採用されると、く広範な職域を持つゼネラリストとして活躍が期待されます。
そして、将来の幹部候補生としての道を歩むことになります。各国大使、領事はここから生まれます。
外務省専門職員
「外務省専門職は」、外務省が独自に採用試験を実施しています。
高い語学力を持ち、く特定地域(担当言語を母語とする赴任先)の社会、文化、歴史などに精通したスペシャリストとして、担当地域と日本を行き来し、情報収集・分析を行い、政策立案を支えます。
航空管制官
「航空管制官」とは、管制塔で航空機のパイロットと適切にやり取りし正しく着陸させる仕事です。
業務内容でく日常的に英語を使うため、高い英語力が必要となります。
航空管制官になるためには、航空管制官採用試験に合格し、航空保安大学校で研修を受ける必要があります。
国会図書館職員
「国会図書館職員」とは、資料の調査や、一般事務や司書業務に従事する仕事です。
資料の調査を行うため、資料の言語を理解する能力が求められます。
国会図書館職員になるには、国会図書館が実施する採用試験に合格する必要があります。
在外大使館・領事館で
在外大使館・領事館は、外国にある日本の大使館や領事館を指します。
在外大使館・領事館の職員は、外交官だけでなく地方公務員及び各省庁の職員が務めることもあります。
在外大使館・領事館は、日本の法律が適用される場所ですが、く外国に赴任して働くので、語学力を活かす職務が多いです。
資料保存専門職員
「資料保存専門職員」は、国会図書館で資料の保存・修復の業務に従事する仕事です。
資料保存専門職員になるには、国会図書館が実施する採用試験に合格する必要があります。
入国審査官
「入国審査官」は、日本を訪れる外国人へのパスポート・出入国審査を主な業務とします。
国内にいる外国人の在留資格調査や不法滞在外国人の取り締まりも行います。
外国人旅行客や国内外国人とのくコミュニケーションが求められるので、高い英語力が必要とされます。
国家公務員一般職試験に合格し、その後面接に合格し、勤務経験を積むことでなることができます。
防衛省専門職員
「防衛省専門職員」は主に、軍事・地域情勢の情報を収集・分析する業務に従事する仕事です。
各国との円滑なやり取りをもとに、安全保障体制の構築を行うため、高い英語力が求められます。
防衛省専門職員になるには、国家専門職試験の防衛省専門職員に合格する必要がありますが、試験区分は多言語にわたるため、語学力は必須です。
国家公務員の一般職・総合職
国家公務員は、試験に合格した後に、特定の官庁の面接に行ける権利を獲得することができます。
そのため、試験に合格した後、英語を生かしたい場合は、外務省・出入国在留管理庁・財務省等に応募し面接に合格する必要があります。
昨今の国際化の情勢を受け英語を使う機会はふえてきていますが、総合職は一般職と異なり2年間海外の大学院に国費で留学できます。そのため、英語力を伸ばす機会は十分にあります。
業務としては、海外の出向や大使館、総領事での勤務もあるため、英語を活かせる機会が多いです。
地方公務員も英語を活用
国家公務員の中でも国家間の架け橋となる職種は、英語を使用する頻度が高そうですね。
では、地方公務員はどのくらいの英語力を必要とするのでしょうか。
ここでは、英語を必要とする「地方公務員」の職種についてまとめました。
公立の学校で英語教員に
地方公務員として中高で英語を教える仕事です。
採用に求められる英語力は、大卒レベルの英語力があれば十分と言えるでしょう。
英語教員になるには、英語の教員免許状を取り教員採用試験に合格することでなれます。
警察官の語学採用
警察官の語学採用については、「警察行政職員」と「国際捜査官」等があります。
「警察行政職員」は、外国人の関わる事案で、外国語の専門知識を使い、通訳業務に従事する地方公務員です。英語だけではなく、様々な外国語を使用します。
「国際捜査官」は、主に、外国人の犯罪の取り締まりを行います。外国人コミュニティに潜入し、情報収集を行う必要があるので、非常に高い外国語能力が求められます。
また、英語能力だけではなくそれぞれの国の文化や価値観を理解する能力も必要とされます。
近年の在留外国人・訪日外国人の増加により、警察が語学力を有する人間を求めているため、両者とも採用枠は小さいですが、高い語学力が必要とされています。
自治体の観光課
自治体の職員のなかでも観光課は、英語を使用する業務を主とします。
観光課は、主に、観光客を呼び込むために、観光客向けの自治体のPR活動をします。近年は、インバウンド需要が高まるとともに、海外の観光客を呼び込むことが重視されています。
海外向けのホームページやPR動画の作成などの世界に向けて英語でPR活動を行う必要があるため、日常会話レベルの英語力が求められます。
とくに、訪日観光客や外国人の多い政令都市では、英語を使用する人材の需要が高くなっています。
自治体の市民課・福祉課
自治体の市民課・福祉課は、在日外国人の手続きに関する窓口対応などのサポートや海外と協定を結ぶ姉妹都市との交流活動の企画運営、外務省の出向等が主な業務です。
これらの職種は、国際化の情勢により需要が高まっています。
とくに、海外移住者が多い地域では、窓口業務などの接客でも英語を使う必要があるので、英語を使うことができるということだけで優遇されます。
求められる英語力は、日常会話レベルの英語力で十分です。
海外の公務員という選択肢も
公務員の道は、日本国内だけではありません。
世界を股にかけた仕事を行う海外の公務員はどのくらいの英語力が必要なのでしょうか。
国連職員
「国連職員」は、日本の公務員とは別の職業で、「国際公務員」とも呼ばれます。
主な仕事は、国連の本局や各省庁の国際部門などの専門機関の職務に従事し、世界の問題を解決する業務にあたります。
世界の国連職員との会議や打ち合わせがあるので、英語はもちろんのこと、他言語にも広く精通していることが求められます。
国連職員になるには、国連事務局の「YPP試験」に合格し、国際機関人事センター実施の「JPO派遣制度」や一般職の現地採用試験に応募し、合格する必要があります。
在日大使館・領事館
在日大使館・領事館は、日本に位置する外国の大使館・領事館です。日本国内にありますが、日本の法律は適用されない外国の土地になります。
業務内容としては、通訳、秘書、経理、広報等職種は、多岐にわたり、職種も秘書、通訳、事務職員、ドライバーなど幅広く存在します。
そのため、英語を使用するかどうかは、業務内容や職種によって変わります。
採用は欠員時のみで、採用条件も雇用形態も様々です。
外国の公務員
外国で、その国の公務員として働く場合も存在します。
日本以外の国で働く場合は、その国の母国語の語学力が必須となります。
募集をしているかどうかや採用条件は国によって異なります。そのため、働きたい国の採用を各自で調べる必要があります。
海外の大学に進学し、その国の公務員になる道と、日本の大学を卒業した後、外国の公務員試験を受験する二つの道があります。
また、国家公務員総合職に合格し、キャリア官僚になった人のほとんどは、国費で海外の大学の修士課程に留学します。そのような場合、そのままその国の公務員になることもあります。
独立行政法人でも英語は使える
公務員というくくりではありませんが、国から委託された業務を行う「独立行政法人」も多く存在します。
ここでは、英語を使った業務を行う独立行政法人についてまとめました。
国立大学等法人職員
「国立大学等法人職員」は、独立行政職員で、準公務員です。
各国立大学での外国との交流に関する業務を担います。
英語を使う機会は、大学の大きさや国際交流への関与度によります。
しかし、近年は海外の大学との連携も増えており、英語に触れる機会はどんどん身近になってきています。そのため、海外事務所での業務や外国人研究者の対応など、必然的に英語を必要とする業務は増えています。
国立大学等法人職員になるには、国立大学等法人職員試験または大学独自の採用試験に合格する必要があります。
JICA・JETRO
「JICA(国際開発機構)」は外務省、「JETRO(日本貿易振興機構)」は経産省の所轄機関で、発展途上国等の経済や社会の発展などの国際協力の促進を目的とする団体です。
これらの職員は、公務員ではありませんが、公務員のように、営利を重視しすぎない公益性の高い業務を担うことができます。
業務形態としては、海外出向が多く、専門性も高いため、英語を十分に生かしたい人に魅力的です。
これらの職業に就くには、各々の採用試験に合格する必要があります。
公務員に求められる英語力まとめ
公務員の英語力についてざっくり説明すると
- 大事なのは、英語力よりも行政能力
- 求められる英語力は職種によって様々
- 国家公務員だけでなく地方公務員も英語を使う
- 独立行政法人でも英語を使う
公務員に求められる英語力について様々な職種から解説しました!
公務員になってから求められる英語力は、職種ごとに異なり、大きく差があります。
英語力に自信がない人も生かしたい人も英語の使用度によって職種を考えてみてはいかがでしょうか。