保育士の退職金はいくらもらえる?金額相場から詳しい計算方法まで解説!
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「保育士の退職金って、いくらぐらいもらえるの?」
「保育士の退職金の相場っていくらぐらい?」
このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。今回は、保育士の退職金の相場や、退職金の計算方法について詳しく紹介します。
この記事を読み終える頃には、保育士の退職金についての疑問点を解消できているはずです。
保育士の退職金についてざっくり説明すると
- 退職金は働いた年数が長ければ長いほど、貰える額が多くなる
- 公立保育園の正職員は必ず退職金が貰える
- 私立保育園と企業経営の保育園は退職金が無い場合もある
まずは退職金制度の基本を理解しよう
退職金の制度とは、退職する際に一定のまとまった金額が貰える制度を表します。
この退職金の制度は、イメージとは異なり必ず設けなければいけないという法律は無く、職場によっては退職金制度が導入されていない場合もあります。
そのため、職場によっては、退職の際に退職金が貰えない可能性があります。
また、退職金制度を導入している会社でも、条件を満たさなければ退職時に退職金を貰えない場合があります。
例えば、会社で決められた勤務年数以上働いていることや、正規職員であることなどが、退職金を貰える条件に含まれていることが多いです。
基本的には、退職金は正社員にのみ支払われ、パートや非常勤として働いている人は貰えないことが多いため注意が必要です。
公立保育園の退職金は自治体に従う
公立保育園は、「地方公務員」の待遇が受けられるため、退職の際には必ず退職金を貰うことができます。
公立保育士の退職金は、自治体の条例で決められた制度により、地方公務員と同額の退職金を受け取ることが可能になっています。
退職金を支給される条件は、勤務年数が1年以上であることとされています。
公立保育園士の退職金制度は、正規職員にのみ適応される制度であるため、非常勤の保育士は対象外になっています。
私立保育園は各保育園の就業規則をチェック
私立保育園で働く保育士は、一般的な会社員と同じ位置づけになっています。
そのため、各保育園の就業規則によって退職金制度が異なるため、就業規則をチェックすることで退職金の有無や金額を確認することができます。
退職金制度を確認するには、勤めている保育園の就業規則や退職金規定が載っている冊子などを見てみましょう。
一般的に私立保育士が退職金を貰える条件は、勤務年数が3年以上の人で、正社員のみの対象となっていることが多いです。
そのため、私立保育園で保育士として働いていても、雇用形態がパートや非常勤の場合は、退職金が貰えない可能性が高いでしょう。
企業運営の保育園は会社ごとに異なる
近年は小さな子どもを持つ母親が企業で働くことが増えているため、企業が運営する保育園も増えてきています。
このような企業内保育園の退職金に関する制度は、保育園を運営する企業によって異なります。
企業内保育園で働く保育士は、企業で働く会社員の一員という考えもできるため、退職金が貰えるかは企業によってまちまちです。
保育士の退職金相場はどれくらい?
保育士の退職金は、いくらぐらいなのでしょうか?
ここでは、公立保育園・私立の保育園・企業が経営している保育園の3か所で働く保育士の退職金の相場を紹介します。
公立保育園は明確に計算方法が決まっている
公立保育園では、退職手当制度により、退職金の計算方法が決められています。
公立保育園の場合は、基本額と調整額を足した金額が退職金となります。
基本額とは、退職する月の給料に退職手当制度で定められた退職理由別と勤続年数別の支給率を掛けた額になります。
そして調整額は、調整月額のうち、その額が多いものから60月分の額を合計した額となっています。
具体的な数値で退職金を算出するために、基本額を計算するにときに使う退職理由別と勤続年数別の支給率を表で紹介します。
勤続年数 | 自己都合 | 定年・勧奨 | 整理退職 |
---|---|---|---|
1年 | 0.6 | 1.0 | 1.5 |
5年 | 3.0 | 5.0 | 7.5 |
10年 | 6.0 | 10.0 | 15.0 |
15年 | 12.4 | 19.375 | 23.25 |
20年 | 23.5 | 30.55 | 32.76 |
24年 | 31.5 | 38.87 | 39.624 |
25年 | 33.5 | 41.34 | 41.34 |
30年 | 41.5 | 50.7 | 50.7 |
35年 | 47.5 | 59.28 | 59.28 |
45年 | 59.28 | 59.28 | 59.28 |
この表を基に退職金を計算すると、例えば、月額の給料が22万円で勤続年数が10年だったとすると、上記の表より支給率が6.0になります。
計算式で表すと、「給料月額22万円×支給率6+調整額=132万円+調整額」となります。
更に調整額が6000円の場合は、「勤続年数10年×12か月×6000円=720,000円」となります。
そのため退職金の合計額は、132万円と72万円を合わせて204万円となります。
公立保育園で働く保育士の退職金は、1550市町村の調査対象地域の保育士を含む、一般職員の全退職者の平均支給額は約1800万円になっています。
一方、公立保育園で働く保育士が60歳の定年で退職した場合、退職金の支給平均額は約2300万円になっています。
上記の表からも見て分かるように、勤続年数が長ければ長いほど、支給率が高くなり退職金の支給額が上がります。
定年まで働くことで、多くの退職金を貰うことができるでしょう。
私立保育園は園によって異なる
私立保育園の退職金は、各保育園の就業規則によって定められています。
しかし一般的には私立保育園は、社会福祉法人が経営しているため、私立保育園で働く大半の保育士は、退職金共済に加入しています。
退職金共済に加入している場合は、勤務年数に応じて退職金を受け取ることができます。
退職金共済では、「退職手当金計算シュミレーション」で退職金の額を計算することができます。
例えば、勤務年数が15年で退職した場合は、「勤続年数15年×退職前6か月の平均本俸月額30万~31万9999円×普通退職の場合=3,348,000円」となります。
また、勤続年数が20年で退職した場合は、「勤続年数20年×退職前6か月の平均本俸月額34万~35万9999円×普通退職の場合=6,951,300円」となります。
今回は、勤続年数が15年と20年の場合の退職金を紹介しましたが、私立保育園の退職金の平均の額にはばらつきが多く、一概に退職金の額を断言することはできません。
あくまでも私立保育園で働く保育士が貰える退職金の目安として、退職金の額を参考にしてみて下さい。
企業運営の保育園も会社ごとに違う
企業が運営している保育園の場合も、退職金制度が会社ごとに異なります。
企業が運営している保育園では、先ほど紹介した退職金共済制度加入している場合と、各企業がそれぞれの退職金制度を設けていて、その制度に沿って退職金の額を決めている場合があります。
私立保育園と同じく退職金制度については、各企業で作成している就業規則に記載されているので、確認してみましょう。
一般的な傾向としては、保育園を運営している企業が福利厚生を重視している場合、退職金制度も手厚く、一般企業と同じ水準の退職金を貰うことができます。
一方、企業の保育園の規模が小さかったり、企業自体の規模が小さい場合は、退職金制度が設けられていなかったり、退職金の額が少ない可能性もあります。
退職金の有無や退職金制度は、就活の際など応募する前に確認することが大切です。
退職金はいつ入るのか
退職金の支給日は、公立保育園と私立保育園によって異なります。
公立保育園の場合は、地方公務員と同様の扱いをするため、「退職手当条例」に基づき退職日から約1ヶ月以内に支給されます。
公立保育園の退職金が支給されるタイミングは、「退職手当条例」という法律で定められている決まりなので、確実に退職日から1ヶ月以内に退職金が支払われることが決まっています。
一方、私立保育園の場合は、保育園ごとにもよりますが、一般的に多くの人が加入している退職金共済事業部から退職金が支給されます。
退職金共済事業部では、退職日の1ヶ月から3ヶ月を目安に退職金が支給されます。
退職金共済事業部から支給される退職金は、請求が集中した際、送金時期が遅れる可能性があるため注意が必要です。
例えば、年度末である3月末の時期には退職者が多いため、退職金の請求が集中することが予想されます。
そのため、退職金共済事業部から退職金が支給されるのが、7月以降になる場合もあります。
また私立保育園では、退職金共済事業部の他にも、独自に退職金制度が設けられている場合もあります。
そのため勤めている私立保育園の退職金は、どのような仕組みで支給されるのかなど、退職金の情報をしっかりとチェックすることが大切です。
退職金は転職先で積みたて可能
以前の勤務先と転職先の両方で、退職手当共済制度を利用している場合は、退職金の積み立てが可能になります。
退職金の積み立てを行う場合は、「被共済組合機関の合算」の申請を行う必要があり、手続きをきちんと行わないと退職金の積み立てができないため、所定の手続きを忘れないようにしましょう。
この際、保育園が独自に退職金制度を設けていたり、転職先が別の制度を活用している場合は、上の制度を利用できないので注意しましょう。
退職金の申請方法もチェック
退職金を貰うためには、どのような申請を行う必要があるのでしょうか?
ここでは、私立保育園の保育士が一般的に加入している退職金共済の退職金の申請方法を例として紹介します。
まずは事務所が加入する退職金共済の規定に従い、申請書を提出する必要があります。
この際、住民票やマイナンバーなど本人が確認できる書類と退職金請求書を退職金共済事業部に送ります。
退職金請求書の提出を終えたら、勤めていた会社が退職届を退職共済に提出します。
そして、退職共済が本人確認や退職理由など確認後、退職金請求書を受理し、退職金の額を計算します。
最後に退職者が税務署へ退職金の申告を行い、退職金を受け取る際に税金が源泉徴収されるようにしておきます。
退職金は、一般的にかかる所得税に軽減措置があります。
税務署へ退職金を申告することで、確定申告をする手間が省け、税金が差し引かれた退職金をそのまま受け取ることができます。
そして退職金が退職者の口座に振り込まれ、退職金の支給が完了となります。
退職金の請求書を終えてから、退職金の支給が完了するまで、約1ヶ月ほどかかります。
保育士の退職金に関するQ&A
ここでは、保育士の退職金に関する気になる質問をまとめています。
退職金はどうやって申請すればいい?
公立保育園の場合は、退職金の申請手続きはほとんど必要ありません。
一方で、私立保育園の場合は退職金共済事業部に申請書を提出する必要があります。この際、本人確認書類と退職金請求書が必要になります。
また、税務署に対しても退職金を申告する必要があるため注意が必要です。
公立と私立の金額の違いは?
公立保育園の場合は退職金の計算方法が一律であるため、退職理由・勤続年数などから算出することができます。
公立保育園の退職金の平均支給額は約1800万円です。
しかし、私立保育園の場合は各保育園によって退職金に関する規則が違うため、ばらつきが生じます。
私立保育園で退職金を受け取る場合は、各保育園の就業規則を確認することが大切です。
退職金は非正規雇用でも受け取れる?
保育士の場合は正社員が退職金制度の対象になっていることがほとんどですので、非正規社員は退職金を受け取れない場合が多くなっています。
私立保育園や企業運営の保育園では受け取れる場合もありますが、勤続年数や勤務時間に条件があることがほとんどです。
こちらの制度も保育園によって異なるため、気になる方は就業規則を確認しておくのがおすすめです。
保育士の退職金についてまとめ
保育士の退職金についてまとめ
- 公立保育園で働く正職員は、地方公務員と同額の退職金が貰える
- 公立保育園以外の保育園は就業規則などで退職金の有無を確認する必要がある
- 勤務年数や雇用形態によっては退職金が貰えない場合がある
保育士は、公立保育園か民間の保育園かで、退職金制度が異なり退職金の有無や額が変わってきます。
しかし、公立保育園の場合は必ず退職金が貰えたり、保育園でも、雇用形態や勤務年数を満たせば、退職金を貰える可能性があります。
退職金が貰える保育園で働くために、保育士の通信講座を受講したりテキストを購入するなど、保育士の資格取得を目指しましょう。