行政書士試験の行政法はどう勉強する?科目の特徴や対策法・条文暗記のコツを解説!
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行政書士
宮城彩奈
「行政書士試験の行政法ってどんな科目なの?」
「行政法の出題傾向やおすすめの対策法が知りたい!」
行政法を目指されている方の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
行政法は暗記することが多いものの、難問が出題されないという特徴があり、しっかりと対策すれば得点に結びつきやすい科目です。
ここでは行政書士試験の行政法の勉強法について、科目の特徴や対策法、条文暗記のコツを解説します!
この記事を読んで行政法の勉強の悩みを解消しましょう!
行政法の勉強法をざっくり説明すると
- 行政書士試験の行政法は最も問題数が多く、配点が高い。
- 行政法の範囲は広く、条文の暗記や理解が大切である。
- テキストや過去問で対策するなど、勉強法を工夫する必要がある。
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行政書士試験における行政法の概要と特徴
「行政法」とはどんな法律なのでしょうか?そもそも行政法とは行政と関わりの深い複数の法律を総称したものであり、行政法という1つの法律は存在しません。
行政法は大まかに3つに分類されますが、行政書士試験の出題範囲である行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法と関連性があります。
- 行政組織法→行政の組織に関する法律
- 行政作用法→行政の活動に関する法律
- 行政救済法→統制、救済に関する法律
そして行政法は行政書士試験のなかでも全体の配点の40%近くを占めています。 そのため行政法を攻略することなくして行政書士試験合格はありえません。
行政書士試験では行政法は捨てられない科目
行政書士試験は300点満点の試験です。 そのうち行政法の範囲は、5肢択一式問題で76点分、多肢選択式で16点分、記述式問題から20点分の合計112点となっています。
行政書士試験は法令科目と一般知識科目の2つに大きく分けることができますが、法令科目の配点はこのうち244点です。
行政法だけで法令科目の配点の約46%を占めているため、この科目を捨てて合格することは不可能になります。
苦手な人が多いのは範囲の広さ
行政法が苦手な人が多い理由として範囲が広いことがあります。
出題範囲の法令は、行政法の一般的な法理論・行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法とかなり広範囲にわたるうえに、それぞれ突っ込んだ設問が多いため万遍なく対策する必要があります。
それゆえに行政法を苦手としている人も多いのです。しかし行政法の内容自体が難しいわけではなく、出題パターンを掴むことができれば得点しやすくなります。
広範な出題範囲から、いかに頻出問題の部分を効率よく演習できるかで、行政法で得点を伸ばせるか否かが決まるのです。
行政法の問題傾向
行政法の範囲には明確な問題形式の傾向があります。すなわち出題されるようなポイントや問われやすい法令というものが決まっています。
ここでは行政法ではどのような形式で出題されやすいのか、問題の傾向を中心に確認していきたいと思います。
難問は出題されない
行政法の特徴として
- 範囲が広い
- 細かいところが出題される
- 難問が出題されない
などがあげられます。
実際の試験では行政法の出題範囲とされる法令が非常に多いため、逆に応用力を試すような問題は少なく「覚えている法令と照らしあわせて合っているか、合っていないか」のみで判断できるような問題がほとんどです。
よって、基本的な内容をいかにしっかりと理解しているかどうかを問われる問題形式になっているといえるでしょう。
細かな知識は数字が多い
行政法で「こまかいところが出題される」とあるなかでも、やはり問題にされやすいところは決まっており、主に「数字(期間や期日など)」「例外」「推定事項」「他の条文と似ている条文」などがあります。
具体例として「○○日以内」「○ヶ月以内」「○歳以上」「○分の○以上」「推定する」「みなす」など、数字をはじめ細かいことが問われます。
したがって条文や法令を覚えるときはこれらのポイントに注意したうえで覚えるべきでしょう。
判例問題は穴埋め
判例問題は基本的に穴埋め形式で出題されます。 判例をそのまま覚えようとしても、長い文章のうえに判例の数も結構あるので、すべての判例を一字一句覚えるのは非常に大変です。
そのため、過去問に出てきた判例や法律上インパクトが大きかった判例を中心に覚えることがおすすめの方法になります。
判例をまるごと暗記するというより、結論に至るまでの過程を体系的に結びつけながら頭に入れていくと脳で知識が有機的に結びついてき、結果として内容もスムーズに覚えられるでしょう。
行政法の対策の基本
行政法の勉強は範囲が広いため、対策として効率良く勉強することが求められます。
覚えることが多くて大変だと感じるかも知れませんが、勉強のコツさえ習得しまえば大幅な点数アップが期待できます。
重要なのは条文の理解
行政書士試験の行政法の問題を解くうえで最も必要となるのは 「重要な条文・判例を暗記していること」 だということです。かといって、条文や判例をただやみくもに丸暗記しても意味がありません。
「公物」「訓令・通達」「行政指導」「羈束行為」など、わからない言葉に対しては調べて、その都度意味を理解してから覚えることが必要です。
過去問の周回で条文を覚える
条文の覚え方はひとそれぞれあるものの、最初は簡単なテキストを何度も読み返して条文の内容を(ときどきわかならい語彙は調べつつ)理解したうえで覚えていくことがおすすめです。
そのうえで、過去問に取り組み、暗記した条文の知識をもとに条文・判例と問題を照らし合わせて正誤判定を行っていくのが大変効率が良いです。
さらに、テキストの後すぐに過去問を行えば、自分がまだ覚えきれていない条文(抜けや漏れ)を見つけたり、本番での聞かれ方に慣れたりすることができるため、学習効率が良くなるでしょう。
記述も条文で攻略
記述試験については、登場人物が多く慣れるまでは時間がかかりますので、下記のようにステップを踏んで問題を解くことがおすすめです。
- まず問題となっている事柄と人物関係を整理する。
- 問題のケースに当てはまる条例や判例が何かを考える。
- 当てはまる条例や判例からどのような結論が導き出されるかを考える。
この3つのポイントを踏まえたうえで、繰り返し問題演習を重ねることで実力を効率よく引き伸ばすことができるでしょう。
行政法のおすすめ学習ポイント
ここでは、行政法を勉強するときに意識したいポイントを中心に確認していきたいと思います。
暗記プラス理解が大事
行政法では知っていれば解ける問題が多く暗記することがとても重要です。暗記といっても用語だけを単に覚えるのではなく、それぞれの用語の意味を理解することが大切です。
それぞれ言葉の意味を噛み砕いて「○○とは何か?」「何のために△△するのか?」「いつ誰が□□するのか?」「なぜそうなるのか?」というように、知識を体系化することでわかりやすくなります。
これらのステップを踏んで学習を進めることで、試験本番でも内容を確実に頭から引っ張り出すことができ、得点のムラをなくすことが期待できます。
問題を解く
行政法では、テキストや六法などで条文や判例を学習することが大事ですが、問題演習を積極的に取り入れることも大切です。 問題を解くことで、自分がどれくらい暗記や理解できているかを確認できます。
また過去問を繰り返し解くことが大切です。 行政法では、単純知識を問うだけではなく、独特の表現や言い回しや引っ掛けのような問題もあります。
出題傾向を知るためにも過去問は最低10年分を目安に行うと良いでしょう。
試験での時間配分
行政書士試験は3時間で、見直しを含めて時間内に全ての問題を解き終わらなければなりません。時間切れにならないように科目ごとにかかる時間を考慮して計画的に対策をする必要があります。
行政法の場合、比較的、他の科目よりも時間がかからないので、1つ1つの問題にかける時間が少なく済みます。日頃の勉強では問題文から論点をおさえる習慣をつけて、正確性とスピードを意識しておくと良いでしょう。
模試を受けるのも良いです。試験のペース配分が参考になったり、今の自分の勉強が正しい方向に進んでいるかを客観的に確認することができます。本番の雰囲気を味わうためにも会場受験をおすすめです。
行政法の出題形式別の勉強法
ここでは出題形式ごとの勉強のポイントについて詳しくみていきます。
択一問題
択一式問題では暗記力が得点力に直結するので、まずは用語の意味を覚えることが大切になってきます。
といっても単に暗記すれば良いというわけではなく、それぞれの条文について 「他の条文とどういう点が共通していて、どの部分が違うのか」といった相違点を意識しながら覚えるのが効果的です。
暗記がメインであり、ひねった問題はほとんど出題されないので、シンプルに時間をかければかけるほど点数が伸びる問題であるといえます。
多肢選択問題
行政書士試験の多肢選択問題では「長文の一部が虫食いのように空欄になっており、4つの空欄に入る適切な言葉を20個の用意されている選択肢から選ぶ」という試験になっています。
行政法の多肢選択問題は判例を元に出題されるので、基本的には重要判例を覚えてしまえば回答できます。
ただし、覚える際は判例の結論よりも 「なぜそのような結論に至ったのか」という過程を重視して覚えるのが良く、このように覚えることで記憶定着率も高まります。
選択肢がわからなくなったとき
もし試験本番中にわからなくなったら、とりあえずそれっぽい選択肢を実際に入れてみて、矛盾なく文章が続くかどうかを見るという力技もできなくはありません。
ただし、この方法は時間がかかるので、一通り問題を解き終わった後の見直しのタイミングなど、時間に余裕がある時にやるのがおすすめです。
記述式問題
記述式問題では40文字前後にまとめて解答します。 注意したいのが自由な作文ではなく「問われていることに的確に答えられているか」ということがポイントになります。
まずは問題をしっかり読みましょう。問題文にヒントが隠されていることもあります。次に登場人物、条文や判例に当てはまる事柄があるかどうか整理してみましょう。
そして問題用紙の余白などに情報となるキーワードを書き出し、最後に文章まとめるようにします。いきなり文章で書こうとするとハードルが高くても、順を追って整理すれば答えやすくなり、部分点も狙いにいけます。
行政法の勉強におすすめのテキストは?
行政法は行政書士試験の中でも最重要科目なので、分かりやすいテキストでしっかりと理解を深めたいという方も多いと思います。
行政法を得意科目にしたい方には国家試験受験のためのよくわかる行政法を一読されるのをおすすめします。
本書では抽象的な行政法を具体的な例に基づいて分かりやすく解説してくれているので、行政法を体系的に学ぶことが出来るうえに、試験合格に必要な重要論点も的確に把握することができます。
また、文章も非常に読みやすいので、初学者の方でも抵抗なく読み進めることが出来るでしょう。
現状行政法に苦手意識を持っている方でも、きっと行政法の面白さに気づくはずです。
勉強法そのものを学びたい方は
そもそもどうやって勉強したら良いか分からない!という方も少なくありません。実際、法律の学習は初学者にはなかなか難しいです。
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行政書士試験の行政法まとめ
行政書士試験の行政法の勉強法まとめ
- 行政法の範囲は広くてこまかいが、難問が出題されない。
- 得点をあげるには、条文や判例の暗記や理解が大切である。
- テキストと過去問などで知識を深めていくことが大切である。
- 出題形式が多様なので、それぞれに合わせた対策が必要。
ここまで、行政書士試験の行政法の勉強法について、科目の特徴や対策法、条文暗記のコツを徹底的に解説してきました。
行政法はしっかり対策をすれば高得点を狙える科目です。
ぜひ合格を勝ち取ってください!