レザーソムリエってどんな資格?難易度や取得のメリットまで代表に取材してきました!
レザーソムリエは日本でも珍しい「皮革」に関する資格です。
今回はレザーソムリエ試験実施団体代表の立松様に直接インタビューし、レザーソムリエ試験や「皮革講座」についてお話を伺ってきました。
取材を通じてレザー関する大きな発見をすることができただけでなく、レザーソムリエ資格が大きな将来性を秘めているということまで知ることができました。
レザーについて知りたいと考えている方やレザーソムリエ資格に興味がある方は必見の貴重なお話を紹介しています。是非ご一読ください。
日本革類卸売事業協同組合とは?
本日はお忙しい中、取材のお時間を頂き、ありがとうございます。
資格Timesを運営しています、株式会社ベンドの清水です。
今回の取材を通じて、レザーソムリエ資格の魅力を多くの方に伝えることができればと考えております。よろしくお願い致します。
日本革類卸売事業協同組合の代表をしています、立松です。
今日はよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
それでは早速ですが、まずは日本革類卸売事業協同組合とはどのような団体なのかについて教えて頂ければと思います。
日本革類卸売事業協同組合は皮革を扱う業者の中でも業績が古い会社を中心に構成されている組織で、多くの組合員からなります。
また、レザーソムリエ資格の運営も一般社団法人日本皮革産業連合会から受託して100%担っています。
100%とはつまり、試験対策用の解説講義から試験問題の作成まで、組合の方々が一手に行っているということでしょうか?
その通りです。
皮革に関する専門家が講義や試験問題まで作成しているので、内容に関しても自信を持って提供しています。
レザーソムリエ資格の概要
続いて、レザーソムリエとはどのような資格なのかについて、お伺いしたいです。
レザーソムリエ初級資格は広く一般の方に革について知って頂きたいという意図で運営をしています。
レザーソムリエ初級は資格名からもおわかり頂けるように、革をテイスティングしたり、綺麗な状態で維持できるスキルを持つことを証明できる資格です。
また、さらに高いレベルのレザーに関する知識を有していることを証明する資格として、2019年にレザーソムリエ中級資格も新設しました。
例えば、レザーソムリエ資格を取得すると”いい革”を目利きすると言ったことも可能になるのでしょうか?
”いい革”という表現は皮革の世界ではあまり用いません。
革は動物1個体ごとでも異なるので、”いい革”を選ぶというよりもその革の特徴を見極めて、目的や趣向に応じて使いこなすことが大切になります。
特に初級資格は一般の方が革を嗜むことを意図しているので、革の仕上げ方法による違いという点を重点的に伝えています。
また、「皮革講座」では、なるべく革を捨ててしまわないように、100%使うという発想もお伝えしています。
なるほど!
革を扱う場面ならではの視点を学べそうですね!
レザーソムリエ試験の対策方法
レザーソムリエ試験は具体的にどのように対策すればよいのかについても、お聞きしたいです。
まず、無料で開講している「皮革講座」に参加するとテキストが配布されます。このテキストの内容を基にレザーソムリエ試験の問題も出題しているので、基本的にはこのテキストを読み込めば試験対策は可能です。
これに加えて、「皮革講座」に出席して頂ければさらに皮革に関する理解を深めることができると考えています。
現時点では過去問の公開などは行っていないので、テキストを中心に学ぶことになります。
「皮革講座」も充実していそうなので、テキストと講座でしっかり学べばかなり知識は身につきそうですね!
試験はマークシート方式
レザーソムリエ試験の試験方式はどういった形になるのでしょうか?
初級・中級共通で試験は50問4択のマークシート方式で行います。
マークシート試験の出題内容は「皮革講座」で配布するテキストに準拠しています。
さらにレザーソムリエ中級試験の場合、皮革講座の場で「利き酒」ならぬ、「利き革」も行っています。中級では、マークシートとテイスティングの2つが採点対象となっています。
「利き革」ですか!
この「利き革」はどのくらい難しいのでしょうか?
中級試験受験者向けの皮革講座では講義が一通り終わった後に、23種類の皮革のチップのようなものを用意して、素材や仕上げを判断してもらいます。
正確に判断するには、一度は皮革に触れていないとなかなか難しいでしょう。
23種類もあると、かなり難しそうですね。
初級資格と中級資格の違いは他にもあるのでしょうか?
初級試験は革好きの方であれば知っておいてほしい皮革に関する基礎的な知識を問う内容となっています。
一方、中級試験では、さらに詳細な革を用いた製品を扱うプロが知っておくべきレベルの皮革に関する知識も出題します。
なるほど!
将来的には中級資格まで取得していると皮革業界でも自信を持って活躍できるようになりそうですね。
「皮革講座」の内容
先ほどもお話に出ていた「皮革講座」ですが、どういった内容を講義されるのでしょうか?
普段生活していても革に触れたり、深く知ったりする機会はなかなかないですよね。そこで「皮革講座」では基礎的な知識を実物の革に触れたりしながら学ぶことができる場となっています。
基本的には年7回、東京・大阪・名古屋・仙台・博多の5カ所で行っています。ただし、現在はコロナウイルスの影響で開催が滞っているところもございます。
これまでは年間500人ほどの方に受講して頂いていました。
参加料は無料なので、このような状況でなければぜひ多くの方に気軽に参加して頂きたいです。
実際の革の質などはオンラインではなかなか伝えにくいですから、講座で実際に革に触れる機会もあるのは魅力的です!
早く「皮革講座」を再開できるとよいですね。
講座は配布するテキストに記載している内容を基に進みますが、半分以上の時間は珍しい革に触れたりする時間に費やしています。
さらに、会場には日本革類卸売事業協同組合のメンバーもいるので、他ではなかなか聞くことが出来ない皮革に関する専門的な知識も聞くことができます。
レザーソムリエ資格を取得するには皮革講座に出席することが必須なのでしょうか?
資格取得だけが目的であれば、講座への出席は必須ではありません。
ただ、実際の皮革に触れることでしか学べないことがあるので、例え「皮革講座」の日程が合わなくても、試験合格後であっても講座に足を運んでほしいですね。
プロの革を取り扱う仕事をしている人でさえ、普段扱う革の種類や製法は限られるので、かなり皮革に詳しい方であっても学ぶことは多い講座になっています。
2020年の「皮革講座」は新型コロナの影響で中止となってしまいましたが、代わりにテキストに即した皮革講座の動画を配信しますので、ご活用頂ければと思います。
レザーソムリエ資格取得のメリット
これまでレザーソムリエ資格や皮革試験について伺ってきたのですが、実際にレザーソムリエ資格を取得するメリットにはどういった点があるのでしょうか?
レザーソムリエ資格の取得を通じて、皮革のメンテナンスを個人でも行えるようにテキストや皮革講座を設計しています。
メンテナンスの方法がわかると愛着を持って革製品を長く使えそうですし、メンテナンスは革好きにとってとても役立ちそうな知識ですね!
おっしゃる通りだと思います。
さらに、中級資格では取得することを通じて、自宅などでもできる簡単な革の染色技術も身につくようになっています。
中級試験まで合格すれば普段使用する革製品のケアは大方できるようになるでしょう。
革好きの人はレザーソムリエ資格を取得することで世界が広がりそうです!
これまで皮革に関する資格は他になかったので、スキルと熱意の証明という意味でも取得する価値はあると考えています。
レザーソムリエ試験に合格するとロゴマークを名刺などに刻んで頂くこともできます。
こちらがレザーソムリエ資格を取得するともらえるバッジです。
格好いいデザインですね!
実際に資格を取得していることで、革を扱う高いレベルの知識やスキルを持っていると証明できる点も大きなメリットになりそうです!
試験の難易度・合格ライン
レザーソムリエ試験の難易度についてもお伺いしたいです。
実際にレザーソムリエ資格を取得するためには、どのくらいの学習時間が必要になるのでしょうか?
レザーソムリエ初級・中級試験のいずれの場合であっても、配布するテキストの内容がインプットできていれば合格できます。
テキストは初級でも中級でも90ページほどです。
こちらが実際のテキストになります。
これがテキストなのですね!
初級編はカラーの写真も豊富なので、初心者でも皮革の製造工程から革製品のデザイン・ケアの仕方まで覚えやすそうですね。
1~2ヶ月あればしっかりとテキストの内容はインプットできそうです!
「皮革講座」でしっかりと革にも触れ、このテキストも読んで頂ければ革に関する知識はかなりつくでしょう。
気になる合格率や合格基準点は?
レザーソムリエ試験の合格率はこれまでどのように推移してきたのでしょうか?
初級試験はこれまで全3回実施してきましたが、80~90%の方が合格されています。
講座に出席されて、しっかりとテキストを読んで対策なさっている方はほぼ合格されています。
しっかり学習すれば合格できる試験だと、試験対策のモチベーションにもつながりそうです。
試験の合格ラインはどのように決まっているのでしょうか?
現状では、各回の試験に共通する特定の合格ラインは設けていません。
実施する試験に応じても問題が異なり、平均点にも差が生じてしまう事があるので、試験回ごとに合格基準点は決定しています。
これまでの試験だと概ねマークシート形式の問題の内、7~8割の問題に正解できれば合格になっています。
7~8割が合格ラインの1つの目安なのですね。
テキストの読み込み甲斐がありそうです!
レザーソムリエ資格の今後の展望
これまでレザーソムリエ資格について伺ってきましたが、もしレザーソムリエを普及させるのに際して課題となっている事項などがあればお聞かせ願います。
これまで初級・中級と2つのレベルは設計してきましたが、さらに上の「レザーソムリエ上級」試験をどのような形にするかは模索中です。
皮革は非常に奥が深いものなので、皮革製造に関する化学的な部分について深ぼることもできます。
もしくは、上級資格をレザーソムリエ初級や中級資格を有している人に対してレクチャーすることができるレベルの「レザーに関する先生」のような資格とすることも考えられます。
レザーソムリエ初級資格を普及させていく上でのハードルも、もしあればお伺いしたいです。
初級試験は既に3回実施していますが、やはりより多くの方に知って頂きたいという点に尽きます。
皮革講座を受講された95%以上の方に満足できる内容だったと回答を頂いており、評判もよいです。革好きの方を中心にさらにレザーソムリエ資格をPRしていきたいです。
確かに、実際に貴重な革にも多数触れるという経験は普段なかなかできないので、とても満足度できそうですね!
今は日本国内でレザーについて知って頂くことが目標ですが、ゆくゆくは世界規模で通用するレザー資格をつくっていけたらよいと考えています。
実は世界を見渡しても「レザー」に関する知識を資格として証明できるものはこのレザーソムリエ資格が初なのです。
レザーは世界中どこでも使用されているので、レザーに関する共通の知識を有していることを証明できる資格には大きな存在意義があると考えています。
とても壮大なお話ですね!レザーソムリエ資格の今後がとても楽しみです!
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!