HSKの勉強方法とは?3・4級の対策法や独学におすすめテキストを解説!
「HSKの勉強方法って?」
「3・4級の対策法は?独学にはどんなテキストがおすすめ?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
HSKは中国政府に認定された国際的な中国語検定で、留学や就職に結果を役立てることができます。
なお、1〜5級までに関しては、独学でも対策可能です。
今回はそんなHSKの勉強方法について、3・4級の対策法や独学におすすめのテキストなどを含めて解説します。
これを参考に、HSKの対策をしてみてください。
HSKの勉強方法についてざっくり説明すると
- 第一に文法と単語の学習が重要
- 苦手分野の克服を最優先にする
- 繰り返し学習することが大切
HSK試験全体の勉強法のポイント
まずはどの級を受検する場合にも有用なHSKの勉強法について解説します。
そもそもHSKの難易度レベルはどれくらい?
HSKはリスニング力、読解力、作文力の3つを測る中国語の試験です。1級から6級までのレベル分けがなされており、数字が上がるほど難易度も上がっていきます。
つまり最も簡単なのが1級、最も難しいのが6級です。
1~2級
HSK1、2級では、日常会話レベルの単語やフレーズの知識を持ち、それを実際に活用することができるという程度の中国語力が試されます。
中国語を勉強し始めたばかりの人や初めてHSKに挑戦するという人には、ちょうど良いレベルだと言えるでしょう。
1、2級に関しては作文力を測るパートもなく、難易度としては比較的簡単なので、短期間独学すればおそらく誰でも合格できます。
3級
3級は様々な場面で基本的なコミュニケーションが可能であり、ビジネスシーンにもある程度対応できるというレベルです。
中国語の初級者にはやや難しく、中級者にぴったりの難易度だと言えるでしょう。
とはいえ、2級に比べて格段に難しくなるわけではないので、さすがに短期間でとはいきませんが、こちらも独学で十分合格が狙えます。
4級
4級は幅広いジャンルの会話に対応でき、ネイティブスピーカーともまずまずスムーズにコミュニケーションが取れるというレベルです。
1200語程度の語彙量と大学二年生の後期で習うレベルの文法知識が必要になります。
よって中上級者が挑戦するのにふさわしい水準の試験だと言えるでしょう。独学でも合格は可能ですが、ある程度の勉強時間は必要です。
5級
5級は中国語で新聞や雑誌を読んだり、テレビや映画を見ることができるレベルです。また中国語を使ってまずまずのスピーチができるレベルでもあります。
必要な語彙量は4級の2倍以上である2500語程度であることから、上級者レベルの試験と言って良いでしょう。
独学でも合格できますが、学習の目安は週2〜4回のレッスンを2年以上とされているので、かなりの勉強時間は必要です。
6級
6級は中国語の音声および文字の情報を問題なく理解することができ、口頭や書面で自分の考えや意見を流暢に伝えることができるレベルです。
必要な語彙量は5,000語以上であり、完全なる上級者向けの試験になります。
ネイティブに準するレベルで中国語が使いこなせないと合格できないので、独学で対策するのは困難です。
文法・単語の暗記に重きを置く
中国語の検定試験であるHSKを受検するなら、第一に中国語の単語や文法の知識をしっかりインプットしなければなりません。
なお、単語に関しては意味や形だけでなく、漢字の読み方(発音)に関してもきちんと押さえておきましょう。HSKでは全級で聞き取り問題が出題されるからです。
よって単語以前に、まずはピンインを覚えなければなりません。
また中国語の文法は、英語と似ていることもあってそれほど難しくありませんが、低い級を受検する場合でも甘く見ることなく入念に勉強しておくべきです。
特に語順と構文はばっちりマスターしておきましょう。
長短期の学習目標を立てる
学習目標を立てる際に長期的な学習目標だけを立てがちですが、短期的な学習目標もしっかりと立てるようにしましょう。
短期的な目標を立てることで勉強にメリハリが付きますし、長期的な目標だけだと途方もない長さの勉強計画に感じるかもしれませんが、日々の短期的な目標を設定していけば勉強を継続するモチベーションにもなります。
具体的には、試験日から逆算して短期的な目標を期限付きで設定することをおすすめします。期限をしっかりと設けることで、勉強に緊張感を持ちながら小さな努力を積み重ねていくことに繋がっていくでしょう。
苦手分野を作らないように勉強
HSKでは、1、2級は聞き取りと読解の2分野、3〜6級は聞き取り・読解・作文の3分野から出題がなされます。
配点は各分野100点ずつであり、合格基準は全体の6割以上なので、苦手分野が一つでもあると合格は厳しいです。
例えば、3級以上を受検する場合、ある苦手分野で2割しか取れなかったら、他の2分野では8割取らなければなりません。
そのため、より確実に合格しようと思うなら、得意科目を伸ばしつつ、苦手科目を底上げし、総合的に点数を高められるように努力する必要があります。
特に明らかな苦手科目がある場合は、その科目を重点的に特訓するのが良いでしょう。
発音・単語学習は繰り返すことで効果的に!
知識は一度学習しただけでは十分に定着せず、試験で使いこなせるようなレベルにはなりません。そのため、発音や単語などの暗記学習は繰り返し行うことが重要になります。
何度も声に出したり、ひたすら書くなどして体に染み込むまで練習するのが良いでしょう。
特に単語の知識は時間が経過するとともにどんどん忘却されていくので、継続的に見ることが大切です。具体的には1週間に1回のスパンで復習をすることをおすすめします。
強弱をつけた学習をする
学習効果を高めるには、集中して勉強するということも大切です。
例えば、7時間だらだらと勉強するよりも、2時間で集中して一気に勉強した方が効率的ですし、知識もより良く定着します。
また、そのように集中的に学習すれば、勉強時間も短縮することができ、他のことにも時間を使えるようになるので魅力的です。
上記の例だと、5時間は趣味や用事などに当てることができるため、勉強に対するストレスも低減できるでしょう。
シャドーイングで語学力がしっかり身につく
シャードーイングとは、中国語の音声を聞いたそばから、同じように発音するという勉強法です。
この方法では音声を正確に聞き取った上で、聞いた単語を即座にアウトプットしていくので、リスニング力と語彙力を同時に鍛えることができます。
聞き取れなかった単語を確認しつつシャドーイングを繰り返せば、徐々に聞き取る力は上がっていきますし、単語の知識も確かなものになっていくので、おすすめの学習法です。
また文法知識の確認やスピーキング力を鍛えるのにも良いので、効率的な勉強法と言えるでしょう。
絶対に合格するという考え方が重要
特にHSKの5、6級はかなり難しいので、合格するには相当の勉強時間が必要です。そのため、「絶対に合格してやる」という強い気持ちを持つことが大切になります。
勉強期間が長くなればなるほどモチベーションの維持は難しくなりますが、強い気持ちがあれば挫けることなく勉強を続けることができるはずです。
また合格できるという自信は試験本番でも強い味方になります。わからない問題が出て焦るようなことがあっても、諦めずに最後まで食らいついていく原動力になってくれるでしょう。
通信講座を受講して勉強すべき?
HSK5級までに関しては、独学でも合格は十分可能ですが、自分に合った学習スタイルがわからないという方は、通信講座を活用した方が効率的に勉強できるでしょう。
また過去に資格試験などに独学で挑戦し、不合格になってしまったというような苦い経験がある場合は、通信講座を活用するのが無難です。
さらに語学が苦手な方は、学習上の疑問点が様々見つかるはずなので、講師に質問できる環境があった方が良いでしょう。
ただし、通信講座を使って勉強するなら独学よりもお金がかかるので、ある程度経済的に余裕がないと厳しいと言えます。
HSK4級の具体的な勉強法
ここからはHSK4級の勉強方法について詳しく解説します。
発音練習は重点的に
HSK4級は独学で合格することも可能ですが、日本語や英語とは違って、中国語では声調を使い分けなければならないので、その特殊な発音を一人で体得するのは難しいと言えます。
独学で発音をきちんと身に付けるには、お手本となる音声が必要です。よってダウンロード音声やCDが付いた参考書を活用するのが良いでしょう。
例えば、『キクタン中国語』シリーズがおすすめです。中華風の音楽とともにネイティブスピーカーの発音を聴くことができます。
また『新 ゼロからスタート中国語 会話編』にも、会話表現や単語の音声が収録されたCDが付属しているので便利です。
単語帳でしっかり単語を暗記
HSK4級に合格するためには、1200語程度の単語を覚えなければなりません。なお、単語を覚えるというのは、中国語から日本語に、日本語から中国語に自在に変換できるというレベルです。
単語学習は語学の根幹とも言えるので、その基礎学習をいかに徹底できるかで、習熟度が大きく変わってくると言えます。よって自分が勉強しやすいと感じるような単語帳を選ぶのが良いでしょう。
デザインや分厚さ、レイアウトなどを点検し、好みに合うものを選んでください。
なお、おすすめなのは『新 ゼロからスタート中国語単語 BASIC1000』です。初学者が身に付けるべき基本的な1000単語が収録されています。
またもう少しレベルの高い単語学習がしたい場合は、『クラウン中国語単語800』を活用しましょう。
文法はパターンを掴む
中国語の文法は比較的簡単であり、また会話の問題が出されるHSKの聞き取り問題に関しては、文法をしっかり固めていなくても解答できます。
しかし、作文や読解の問題では、比較的難易度の高い文法事項が扱われることもあるので、やはり文法に関してもしっかり勉強しておくのが良いでしょう。
なお、文法とはいわばルールなので、ルールをしっかり覚えておけば、中国語を正確に使えるようになりますし、学習を効率化することにもつながるはずです。
学習の際の参考書としては『完全マスター 中国語の文法』がおすすめできます。中国語のコミュニケーションに必須の文法事項を体系化した教材です。
またもう少し簡単な教材で学びたいなら『新 ゼロからスタート中国語 文法編』を推奨します。
色々な文法の型を押さえるには、実際に「見て学ぶ」のが一番なので、文法を学ぶ際はたくさん文章を読むことを心がけましょう。
構文や副詞を積極的に覚える
HSKでは並び替え問題が出題されるので、文の構造を正しく理解できなければ攻略することはできません。
文構造を把握するには構文や副詞などの知識があると便利なので、それらを積極的に学ぶのが良いでしょう。
聞き取りの勉強法
聞き取る力をつけたいなら、ネイティブの発音をたくさん聞いて、それに慣れるのが一番です。
よって移動中や昼休みなどのスキマ時間には、積極的に中国語の音声を聞くのが良いでしょう。読解や作文の勉強も大切ですが、それらは夜などまとまった時間が取れる時に学習すれば十分です。
なお、教材としては先ほど紹介した『キクタン中国語』シリーズや『新 ゼロからスタート中国語 会話編』をここでも活用しましょう。
ダウンロード音声やCDが付属しているので、発音だけでなく、聞き取りの練習にも役立ちます。
読解は日本人にとって有利な分野
読解に関しては、中国語が日本語と同じく漢字で表記されるということもあって、比較的勉強しやすい分野だと言えます。
基本的な単語と文法を押さえておけば、他の分野と比較して容易に合格ラインにたどり着けるでしょう。
そのため、対策に困るようなことはまずないでしょうが、読解のスピードを上げたい場合は、過去問などで中国語の文章をひたすら読む練習をするのがおすすめです。
教材としては『中国語検定HSK公式過去問集4級 2021年度版』を使うのが良いでしょう。これをアウトプット用の教材とし、並行して単語帳や文法書でのインプットも行ってください。
作文の勉強法のコツ
自分で書いた文章の良し悪しを自分自身で判断することは難しいので、作文は他の分野よりも対策が困難であると言えます。
ただ、作文においてもベースとなる知識は単語と文法になるので、読解と同じようにまずは基本的な単語や文法を押さえ、その後作文の練習に移るのが良いでしょう。
具体的な勉強方法ですが、特に作文に苦手意識のある方は、模範解答などにある定型文を暗記するのがおすすめです。
教材としては読解に同じく『中国語検定HSK公式過去問集4級 2018年度版』を推奨します。
過去問の有効的な活用法
過去問は実際にHSKで出題された問題であるため、各級のレベルを把握するには最適な教材だと言えます。これを解けば、自らの現在地を把握することが可能です。
また過去問を解くことで、出題傾向や問題形式を知れるので、よりHSKに特化した仕方で試験勉強ができるようになるというメリットもあります。
なお、具体的な過去問の活用法としては、1回目は模範解答を見ながら解いて、それ以降は自力で解くことを繰り返すのが良いでしょう。
以下では過去問の活用方法をさらに詳しく解説していきます。
過去問を解いて試験の傾向を掴む
過去問を使ってHSKの出題傾向を把握するには、実際に過去問を解いてみて、読解、聞き取り、作文それぞれの傾向に関して気付いたことをメモするのが良いでしょう。
HSKの問題の性質は数年に1回変化していますが、そうした特徴を捉えて書き留めることが大切です。
実践の時間配分を知るために活用
試験で高得点を取るためには、時間配分が重要です。自分の得意・不得意を踏まえて、適切な作戦を立てましょう。
また解答時間を全体的に短縮するということも大切です。「第1問を解き終えるまでに10分を要した」などとメモしておき、どうやって縮めていくかを考えましょう。
自分の苦手範囲を見つけるために活用
冒頭でも解説した通り、HSKで合格点を取るには苦手分野を作らないということが重要です。
まずは過去問を解いて、聞き取り、読解、作文の点数をそれぞれ出してみましょう。そうすれば自身の苦手分野が自ずと明らかになるはずなので、以後はその分野を重点的に特訓すべきです。
HSK3級を持っている場合の学習法
すでにHSK3級を持っているのであれば、3級の問題を解いてみるのも良いでしょう。
4級の勉強をしていれば、3級の問題はスラスラ解けるはずなので、自信を付ける意味でも、基礎を復習する意味でもおすすめできます。
ただし、3級の難易度に慣れてしまうとかえって4級が難しく感じてしまう可能性もあるので、やりすぎは禁物です。
必要な語彙数などを考えると、3級よりも4級の方が随分と難しいので、まずは4級の対策をしっかり行い、3級の問題は息抜きがてら活用してみてください。
なお、作文に関しては3級での高得点が4級合格レベルに相当すると言えるので、完成度を高めることを意識しましょう。
HSK3級のおすすめ勉強法
続いてはHSK3級の勉強方法について詳しく解説します。
文法の勉強は4級と変わらず
HSK3級では、日常会話レベルの中国語に関する聞き取り、読解、作文ができれば良いので、文法に関しては基本的なことを押さえておけば問題ありません。
ただし、副詞や接続詞をきちんと覚えておくと合格率をグッと高められるので、やや発展レベルにはなりますが、それらも学習しておくのが良いでしょう。
なお、求められる文法知識のレベルとしては、3級と4級であまり大差がないので、教材は先ほど紹介した参考書で構いません。
また『しっかり学ぶ中国語文法』を活用するのもおすすめです。このテキストには文法事項の解説とともに練習問題が収録されているので、効率よく学習を進めることができます。
単語のインプットは効率よく
HSKの公式サイトによると、3級に合格するには600語程度の基礎的な単語を覚えなければなりません。
なお、中国語は発音が特殊で難しいので、単語を覚える際はピンインも同時に記憶するのが良いでしょう。
教材としては「Hello Chinese」という中国語学習アプリを活用するのがおすすめです。アプリならスキマ時間を利用して手軽に勉強を続けることができるので、効率的だと言えます。
またテキストとしては、『品詞別・例文で覚える HSK基本語彙1級‐4級』を推奨します。
作文を攻略するのがHSK試験合格の鍵
HSK1級や2級を受検してから3級に挑戦する場合、作文をいかに攻略するかということが課題になるでしょう。2級までは作文が出題されないため、一から勉強方法を確立しなければなりません。
また作文は中国語ができる人に添削してもらうのが一番ですが、中国人の友人がいるのでない限り、独学者にはそうした機会を設けるのは難しいでしょう。
よって『中国語検定HSK公式過去問集3級 2021年度版』で、模範解答を参考にしながら、ひたすら練習するのがおすすめです。
ただし、基本的な単語が覚えられていなければ、いくら練習しても作文は書けないので、その場合はまずは単語の暗記学習から始めてください。
読解は単語・文法力に依存する
HSK4級のところでも解説しましたが、読解の基礎となるのは単語と文法の知識です。
よってまずは単語帳と文法書で基礎事項をインプットし、それから『中国語検定HSK公式過去問集3級 2021年度版』でアウトプットを行うのが良いでしょう。
なお、過去問の読解問題は複数回繰り返し解くのがおすすめです。何度か解き直すことで、本中の単語や文法も覚えられますし、問題の形式にも慣れることができるので、実力が高まります。
初心者の人は1級から学習するのがおすすめ
初心者ならHSK1級や2級から受検するのが良いでしょう。いきなり3級や4級に挑戦しても良いですが、3、4級でも1、2級レベルの知識は必要なので、3、4級の対策の一環として受検してみてください。
ちなみに1級は150語程度の単語を覚えれば合格できるというレベルで、中国語の知識が全くない人でも、効率よく対策すれば1、2週間ほどで合格することができます。
なお、2級までは作文問題は出題されません。また2級までは漢字にピンインのルビが振ってありますが、3級以降はそれがなくなるので注意しましょう。
各級の合格までに必要な勉強時間
級 | 勉強時間 |
---|---|
1級 | 約60時間 |
2級 | 約120時間から180時間 |
3級 | 約300時間から400時間 |
4級 | 約600時間から800時間 |
5級 | 約1000時間から2000時間 |
6級 | 約3000時間以上 |
上記の通り、1〜3級の勉強時間はそれほど長くありませんが、受検者数の多い4、5級ではかなりの勉強時間が必要になるので注意しましょう。
6級の勉強期間はかなり長い
HSK6級に合格するには3000時間以上の勉強が必要であり、5級に比べると合格の難易度はかなり上がります。
3000時間というのは1日4、5時間程度の勉強を2年間毎日継続してやっと達成できる水準なので、相当大変だと言えるでしょう。
無論、3000時間というのはあくまで目安であるため、語学が苦手な中国語の初学者などであれば、もっと長期間勉強しなければならない可能性もあります。
それぞれの人によって勉強量は変化する
各学習者の環境や状況によって、1日あたりに可能な勉強量は異なるため、合格までに必要な勉強期間も変わってきます。
例えば、かなり時間に余裕がある大学生などであれば、1日にたくさん勉強できるので、比較的短期間でも合格が目指せるでしょう。
一方で仕事をしながら勉強を続ける社会人の場合は、仕事の合間を縫って細々と学習を継続することになるので、合格までに時間がかかってしまう可能性が高いです。
なお、自分に合った勉強方法を確立することができれば、学習効果を高めることができるので、合格までに必要な勉強時間・勉強期間を短縮することができます。
独学での勉強はおすすめか?
HSKを独学で対策したいと考えている方も多いでしょうから、以下ではその可能性について解説します。
5級までは独学でも十分合格可能
HSKは市販の教材が充実しているので、5級までに関しては独学でも十分対策可能です。
漢字が扱える日本人は、中国語学習にはアドバンテージがある状態なので、発音や文法をきちんと習得しさえすれば、独学でも問題なく合格できるでしょう。
なお、HSK5級に関しては、中国語の授業を2年以上受けた学習者が対象とされていますが、実際の対策には2年もかかりません。
漢字のアドバンテージがある日本人なら、市販のテキストで半年ほど学習すれば、十分合格レベルに到達することができるはずです。
6級の独学合格は厳しい
最難関の6級に関しては、独学での合格はかなり厳しいと言えます。6級の合格者には中国語の通訳ができることが求められており、ネイティブと比べても遜色がないようなハイレベルなスキルが必要です。
また読解力など、純粋な中国語力以外の能力もかなりの水準まで高めなければならないため、特に試験勉強に慣れていない人は独学では手も足も出ないでしょう。
なお、HSK6級の対策では単語を覚えるだけでも非常に大変です。5級でさえ2500語程度を覚えなければなりませんが、6級では5000語以上の語彙力が求められます。
合格率は非公開
HSKでは全級で合格率が公表されていないので、合格率からそれぞれの難易度を推し量ることはできません。
なお、5級以上に関しては、成績報告に合否は記載されず、スコアだけが通知されます。そのため、180点を基準点として、自分で合格しているかを判断することになります。
6級の独学合格が難しい理由
HSK6級の対策は以下のような理由でかなり難しいので、独学での対策にはメリットよりもデメリットの方が多いと言えます。
単語・文法のレベルが非常に高い
HSK6級に合格するには5000語以上の単語を暗記しなければなりません。
5級の合格者でも2500語の新規単語を覚えなければならず、その中には専門的な用語も含まれているので、単語の暗記学習はかなり大変だと言えます。
また6級では単語と文法に関する間違い探しの問題が出題されますが、これはネイティブでも全問正解できないことがあるほど難解です。
特に単語の間違い探しは難しく、単語帳で5000語をしっかり暗記できていたとしても、正解できるという保証はありません。
作文の癖が強い
HSK6級の作文では、1000字程度の文章を400字に要約する問題が出されますが、これは独学では対策しにくいと言えます。
句読点の打ち方や構成など、中国語の作文には様々なルールがありますが、それらにきちんと則った記述ができているかどうかを、学習者のレベルで判断するのは難しいからです。
中国人の友達など、身近なネイティブスピーカーに添削してもらえるならまだしも、そうでなければ独学で作文を仕上げるのはかなり難しいでしょう。
モチベーションを長期間保ちづらい
先述した通り、HSK6級に合格するには3000時間以上の勉強が必要なので、単純計算すると少なくとも2年間は勉強を続けなければなりません。
予備校なら周囲にライバルがいて切磋琢磨し合うことができますが、独学なら一人でコツコツ努力を続けないといけないので、精神的な負担は大きいでしょう。
特にHSK6級は難しいので勉強が捗らないこともあるはずです。そのため、2年間学習のモチベーションを維持するのは相当大変であるはずです。
独学で失敗する人の勉強方法
HSK5級までに関しては独学でも対策することは可能ですが、勉強方法を誤ると失敗してしまう恐れがあります。
独学でHSKに挑戦する場合は、以下の内容を参考に、正しい勉強方法で学習を継続するのが良いでしょう。
偏った勉強をしてしまう
HSK3級以上では、聞き取り、読解、作文の3パートで試験が構成されており、配点は全て同じです。
合格基準は全体で6割以上の得点なので、全てのパートをバランスよく対策することが重要になります。
得意パートばかりを勉強し、苦手パートの対策を疎かにするなどの偏った勉強をしていては、合格点を取ることはできません。
なお、基本的には苦手パートを中心に勉強するのがおすすめです。例えば聞き取りが得意なら、読解や作文の対策により時間を使うのが良いでしょう。
初めのテキストをやりきらない
テキストは1冊をやり切ることで十分な学習効果が得られるように設計されているので、初めから仕舞いまで勉強しないと十分な実力を付けることができません。
勉強が捗らないと途中でテキストを変えたくなる場合もあるでしょうが、それは非効率な方法なのでやめましょう。
最初に自分に合うテキストをじっくり吟味して選んだのであれば、それが最も良いテキストであるはずなので、まずはそれを一冊やり抜くべきです。
ただし、学習の序盤でテキストが使いにくいと感じる場合は、再度テキストを選び直すのも良いでしょう。
復習を一切しない
一度で学習内容を全て覚えるということは、余程の天才でない限り不可能なので、十分な学習効果を発揮するには復習を繰り返し行うということが重要になります。
よってテキストは何度も読み返して知識を定着させるのが良いでしょう。
また聞き取り、読解、作文の全分野において復習は大切です。各分野の問題演習をした際は、間違えた問題の解答・解説をよく読み込み、再度解き直しをすることを習慣にしましょう。
復習をしなければ、脳は学んだことをどんどん忘却していくので、ほとんど知識は定着しないと言っても過言ではありません。よって復習は試験勉強の軸にするべきです。
いろいろな教材を買い込む
色々な教材を買い込んで勉強したくなるという方もいるでしょうが、単語帳や文法書に書かれている内容は大体同じです。そのため、それらを複数買い込むことには意味がありません。
また3分野の問題演習は過去問題集が1冊あれば事足りるので、他に各分野の問題集を購入する必要もありません。
基本的には単語帳と文法書、過去問題集の3冊か、それらに発音・聞き取り用の参考書を加えた4冊を持っておけば十分でしょう。
みだりに教材の数を増やすのではなく、それらを繰り返し使い込んだ方が学習効果は高まります。
学習を持続して行わない
人間の脳は、時間の経過とともに学習内容を忘れていくようになっているので、一気にまとめて勉強するよりも、毎日コツコツ勉強を続ける方が効率的です。
毎日復習をしつつ、新しいことを学んでいけば、記憶を繋ぎとめながら内容を更新していくことができるので、高い学習効果が得られるでしょう。
特にHSK5級や6級など、長い勉強時間を要する等級に挑戦する場合は、できるだけ短期間で合格レベルに到達したいので、学習を継続してどんどん能率を上げていくということが重要になります。
なお、満足に勉強時間が確保できないというような場合は、基本はスキマ時間を活用して細々と学習を継続し、1週間に1回程度のペースでまとまった勉強時間を設けるなどの工夫をするのが良いでしょう。
HSKの勉強方法まとめ
HSKの勉強方法まとめ
- 集中力を持って勉強すべき
- シャドーイングを取り入れるのがおすすめ
- 絶対に合格するという強い気持ちも必要
HSKの勉強方法を解説しました。
中国語力の基礎となるのは単語と文法の知識なので、第一にそれらの勉強から始めるのも良いでしょう。
また合格するには全体で6割以上の得点が必要なので、苦手分野を作ってはいけません。聞き取り、読解、作文のいずれかが苦手な場合は、その分野を重点的に特訓しましょう。
さらに繰り返し学習することや集中力を持って勉強すること、「絶対合格する!」という強い気持ちを持つことなども大切です。
以上を参考に、HSKの合格に向けてより良い試験勉強を行ってください。