司法書士と税理士の違いとは?ダブルライセンスのメリットや難易度まで解説!
- 「税理士と司法書士はどちらが良いの?」
- 「ダブルライセンスはありなの?」
このように、この2つの資格を比べてどちらにしようか迷われている方も多いでしょう。
この記事では人気資格である税理士と司法書士の業務内容の違い、ダブルライセンスを取るメリット、両者の取得難易度の違い、さらにダブルライセンスの相性まで徹底分析します!
税理士と司法書士をざっくり比較すると
- 税理士も司法書士もどちらも法律を扱うが、領域が異なる
- 難易度は司法書士の方が高いが、どちらも高難易度の試験内容
- ダブルライセンスによるメリットは大きい
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税理士と司法書士はどちらも人気の高い資格
税理士も司法書士もどちらも法律を扱う国家資格です。
税理士は税金のプロとして、確定申告書などの税務署に提出する書類の作成を顧客に代わって行います。さらに、顧客からの税務相談への対応などを行います。
司法書士は登記などの申請書類の作成代行のプロとして、顧客の依頼を受け登記の代行を行ったり、法律の専門家として成年後見人や供託業務などの業務を行います。
また、一部の認定司法書士は簡易裁判所で行われる「民事法廷」で代理人として出席することができる権限もあります。
税理士も司法書士も、その資格を持つ人のみが行える独占業務があります。基本的な業務の内容は異なるものの、この2種の国家資格は親和性が高いためダブルライセンスによって得られるメリットもあります。
税理士と司法書士の違いについて
税理士と司法書士のどちらも、官公に提出するための書類を依頼主の代わりに作成し、提出の代行をすることを認められた国家資格です。
どちらも「独占業務」を有した士業であるため、独立開業しやすいという共通点があります。
税理士の可能な業務内容
税理士の独占業務について
- 税理士には 「税務代理」 「税務書類の作成」 「税務相談」 の3つの独占業務が存在する
- 資格を持たない人が独占業務を行うと税理士法違反になる
税理士はその名の通り税金のプロです。
税務代理
本来自分の手で行うことになっている申請や申告、納税を本人に代わって行ってあげること です。
ただ納税するだけでなく、顧客が不利益にならないように対策をするという業務も含まれます。
税務書類の作成
確定申告の書類など税に関する書類の作成・提出を本人に代わって行うこと です。
ほかにも「確定申告書」「法人税申告書」「相続税申告書」などがあります。 →2文目をもうちょい分厚く
税務相談
税務相談とは納税額の計算や節税の相談を請け負うことです。
税金は人々にとって身近なものではありますが、煩雑なものです。そのため、それら税金についての相談ができる税理士は心強い味方となります。
これらの相談を無資格者がインターネット上で答えたりしている場面を見かけることもありますが、本来は税理士のみが行える業務であり資格を持っていない人が行うことは禁止されています。
司法書士の可能な業務内容
司法書士の独占業務について
- 司法書士は主に登記手続きの代行が独占業務として知られている。
- 司法書士以外の士業がこれを行ってしまうと法律違反で逮捕されることもある。
登記には不動産登記や商業登記など様々な種類があり、原則これらは本人申請が基本ですが、司法書士は依頼を受けてそれらの代行を行うことができます。
この登記手続きの代行こそが司法書士の独占業務であり、司法書士以外が報酬を得て登記手続きの代行をすることは違法となっています。
ダブルライセンスを取るメリット
税理士兼司法書士の場合、両者に依頼しなければならない内容を一手に引き受けられます。
例えば不動産相続の場合、不動産移転登記の代理は司法書士に依頼し、その不動産の相続税の申請に関する書類の手続きの代理は税理士に依頼することとなります。
ダブルライセンスを取っていればこれら2つの業務をひとりで扱えるようになります。
つまり顧客側としても別々に依頼しなくて済むので選びやすいというメリットがあります。
この一例のように、税理士と司法書士の仕事内容はとても親和性が高く、ダブルライセンスによるメリットは高いと言えるでしょう。
税理士と司法書士の取得難易度を比較
ここでは税理士と司法書士の合格難易度について比較していきます。
合格率の違い
各試験の直近5年間の合格率は以下の通りです。
<税理士試験>
年次 | 合格率 |
---|---|
2018年度 | 15.3% |
2019年度 | 18.1% |
2020年度 | 20.3% |
2021年度 | 18.8% |
2022年度 | 19.5% |
<司法書士試験>
年次 | 合格率 |
---|---|
2018年度 | 4.3% |
2019年度 | 4.4% |
2020年度 | 5.2% |
2021年度 | 5.1% |
2022年度 | 5.2% |
司法書士試験の合格率は4~5%程度とかなり低く、極めて難度の高い国家試験のひとつと言えます。
比べてみると、税理士試験のほうが合格率は高いですが一般的に見て難易度の高い試験内容であるため、合格率はとても低くなっています。
ただし、税理士試験には科目合格制があるため一度に5科目全てを合格する必要はなく、そのため十分合格が狙える資格であると言えます。
受験資格
税理士試験
税理士試験には受験資格が設定されています。
「大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者」や「全経簿記検定上級合格者」などの受験資格のうち1つを満たしている必要があります。
税理士試験受験資格の概要(国税庁HP)
司法書士試験
司法書士試験には受験資格がなく、学歴関係なく誰でも受験できます。
どのような方でも受験が認められており、最終学歴が高校卒業の方はもちろん中学校卒業の方でも受験することができます。
そのため受験することに対してのハードルは税理士試験に比べて低いと言えます。
受験科目
税理士試験
合計11科目のうちから5科目を受験します。
正答率60%以上が各科目の合格基準です。
また、受験する5科目を自由に選択できるわけではなく「必修科目」となっている2科目と、2科目のうちどちらか必ず選択して受験する「選択必修科目」の計3科目に加え、残りの7科目のうち2科目を自由に選択して受験します。
そして、免除制度として科目合格制があります。 例えばある1科目で過去に合格していれば、その科目はそれ以降の試験でも既に合格しているものとして扱われるため、残りの4科目の受験で足りることになります。
科目 | |
---|---|
必修科目 | 簿記論 |
財務諸表論 | |
選択必修科目(どちらか片方を必ず受験) | 法人税法 |
所得税法 | |
選択科目 | 相続税法 |
消費税法 | |
酒税法 | |
国税徴収法 | |
住民税 | |
事業税 | |
固定資産税 |
司法書士試験
合計11科目あり、すべての科目を受験します。
直近5年の平均は 正答率約70% ですが、毎年変動するため8割程度を目標に設定して勉強していくのが良いでしょう。 試験はマークシート、記述、口述の3種類で行われます。
記述式では実務同様の登記申請書を作成する試験が行われます。 口述式では面接官2人を相手に不動産登記法、商業登記法、司法書士法を主とした面接が行われます。
どちらも司法書士として業務を行うための知識が要求される内容となっています。
科目 | |
---|---|
憲法 | 民法 |
刑法 | 商法(会社法) |
民事訴訟法 | 民事執行法 |
民事保全法 | 司法書士法 |
供託法 | 不動産登記法 |
商業登記法 |
必要な勉強時間
税理士試験
税理士試験の総勉強時間の目安は3,000時間程度であり、平均勉強期間は4~5年と長期スパンでの合格を目指す必要があります。
科目別でみると、必須科目の簿記論・財務諸表論はそれぞれ500時間の勉強が必要となり、1科目ごとの勉強量も非常に多いのが特徴です。
司法書士勉強時間
司法書士試験は、合格までの勉強時間が3,000時間ほどの難関資格であり、勉強期間で見ると1年3か月~2年程の長期間の勉強が必要になります。
もちろん、事前知識や理解度には個人差があるため、2,000時間ほどで合格ラインに達するケースもある一方、3,000時間以上の学習時間を要するケースも存在します。
ただ、これから試験に挑むという人にとって、3,000時間はひとつの目安になります。
税理士と司法書士のダブルライセンスの相性
冒頭でもお伝えしたように税理士と司法書士へ同時並行の依頼をする場面は意外と多いため、ダブルライセンスの相性はかなり良いと言えます。
ダブルライセンスは転職で有利になる?
とても有利になると言えます。「税理士兼司法書士」がいることで、本来であれば2人の専門家に依頼しなければならない事柄を1人に依頼することができます。
クライアントにとってもメリットが大きい人材であるため転職先は見つけやすくなるでしょう。また、ほかの税理士や司法書士との差別化にもつながります。
ただし、税理士試験と司法書士試験は試験内容が重なっていないためダブルライセンスを取得するには相当な覚悟と根気が必要です。
ダブルライセンスが評価される主な就職先
ダブルライセンスが評価される就職先として、税理士事務所や司法書士事務所があげられます。
また、不動産業界への転職や就職の際にも、不動産は登記と密接なかかわりがあることから評価されやすい傾向にあります。
他にも、就職先を探すのではなくて独立開業しやすい士業のダブルライセンスであることから、開業してみるという選択肢もあるでしょう。
税理士と司法書士の違いまとめ
税理士と司法書士の違い
- 税理士試験は受験資格が必要。司法書士試験は誰でも受験可能。
- 税理士試験は5科目で科目合格制。司法書士試験は11科目の網羅が必要で試験内容はほぼ重なっていない。
- どちらも極めて難易度の高い国家資格であると言える
この記事では「税理士と司法書士の違い」についてまとめてみました!
試験の内容がほぼ重なっていないという点がダブル取得への最大の障壁ではありますが、だからこそこの2つの資格を1人で取得しているダブルライセンス保有者ならではの強みがあります。
一方を持っている方はもう片方へのチャレンジを、まだどちらの資格も保有していない方は、受験資格や試験内容、資格取得後の仕事内容まで見比べながらチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか!