保育士の離職率は高い?主な離職理由や良い保育園選びの秘訣を徹底解説!
「保育士は離職率が高いって聞くけど、安心して働けないのかな…」
「現に保育士として働いているけど、同僚が次々に辞めていくから不安」
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
未就学児や幼児の健全な発達をサポートし、社会性育む上で重要な役割を果たしている保育士は、社会にとって欠かせない存在です。
非常にやりがいのある魅力がある保育士ですが、残念ながら厚生労働省のデータからは離職率の高さをうかがい知ることができます。
離職率の高い職業だと、「自分でも長く働けるか」「自分もすぐに辞めてしまうのではないか」という不安を感じてしまうのは仕方のないことです。
こちらの記事では、保育士の離職率データや離職率が高い理由、保育士経験が活かせるおすすめの転職先などを紹介していきます。
保育士として働こうとしている方や、現に働いていて不安を感じている方に役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください!
保育士の離職率が高い理由についてまとめると
- 2年未満で離職してしまう保育士が多い
- 公務員保育士よりも民間企業の運営している保育園の保育士の方が離職率が高い
- 人間関係や業務量の多さ、待遇の悪さを理由に離職する保育士が多い
- 保育園と自分保育間が合わないことで離職してしまう保育士も多い
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保育士の離職率は高いのか
保育士不足が社会問題化する中で、大きな要因となっているのは保育士の離職率の高さです。
厚生労働省の「保育士等確保対策検討会」の第3回会議の公開資料である「保育士等における現状」のレポートによると、保育士の離職率は10.3%でした。
保育士の内、私立保育園などの民間企業が運営している保育園の保育士の離職率は12.0%となっており、公立保育園で働く保育士よりも高い水準です。
同調査によると、勤続年数14年以上の保育士は
- 私立:20.2%
- 公立:40.4%
と、約2倍の開きがあります。
厚生労働省の調査からも、保育士の離職率はかなり高いと言えるでしょう。
保育士の離職は、残った保育士の業務負担が重くなる上に新たに雇った保育士の教育コストが発生するため、園の運営にとって大きな問題となります。
厚生労働省の調査結果による保育士の離職率
続いて、厚生労働省の調査結果による保育士の離職率を種類別で紹介していきます。
公的なデータから、保育士の離職に関する現状を把握しましょう。
経験年数ごとの離職率
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」によると、保育所で勤務する保育士の経験年数をまとめると下記の表のようになります。
2年未満 | 2~4年未満 | 4~6年未満 | 6~8年未満 | 8~10年未満 | 10~12年未満 | 14年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 40,390人 | 34,813人 | 28,998人 | 24,699人 | 20,725人 | 17,583人 | 15,243人 |
うち公営 | 9,726人 | 9,235人 | 8,493人 | 7,165人 | 6,135人 | 5,516人 | 5,368人 |
うち私営 | 30,665人 | 25,578人 | 20,505人 | 17,534人 | 14,589人 | 12,067人 | 9,875人 |
割合 | 15.5% | 13.3% | 11.1% | 9.5% | 7.9% | 6.7% | 5.8% |
上記より、保育園で働く常勤保育士の約半数が経験年数8年未満となっており、早期退職の傾向が強いと言えます。
特に、2年未満で離職してしまっている保育士が多いことから、十分な経験を積む前に「自分には向いていない」と判断してしまっている人が多いです。
公営・私営保育園ごとの離職率
同調査によると、公営・私営保育園ごとの保育士の採用者と離職率は下記のようになっています。
勤務者 | 採用者数 | 採用率 | 退職者数 | 離職率 | |
---|---|---|---|---|---|
全体 | 407,287人 | 60,830人 | 14.9% | 37,716人 | 9.3% |
うち公営 | 118,481人 | 10,087人 | 8.5% | 6,941人 | 5.9% |
うち私営 | 288,806人 | 50,743人 | 17.6% | 30,775人 | 10.7% |
比較した結果より、公営保育園に努めている「公務員保育士」は、民間企業が運営している保育園の保育士よりも離職率が低いことがわかります。
公務員は給料面や福利厚生が優遇されていることから、離職率が低いと考えられます。
一方で、民間企業が運営する保育園は待遇や働き方などが運営元次第となっているため、働きやすさに違いが出る特徴があります。
他の職業との離職率を比較
厚生労働省の「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、保育士とほかの職業の離職率を比較すると下記のようになります。
職業 | 離職率 |
---|---|
医療・福祉(保育士はここに含まれる) | 8.6% |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 5.8% |
建設業 | 5.0% |
製造業 | 5.1% |
電気、ガス、熱供給、水道業 | 6.7% |
情報通信業 | 5.0% |
運輸業、郵便業 | 5.2% |
卸売業、小売業 | 6.9% |
金融業、保険業 | 4.3% |
不動産業、物品賃貸業 | 7.4% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 7.6% |
宿泊業、飲食サービス業 | 15.6% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 11.0% |
教育、学習支援業 | 12.4% |
複合サービス事業 | 4.7% |
サービス業(ほかに分類されないもの) | 9.7% |
保育士が属する「医療・福祉」は、ほかの職業の平均離職率よりも低いことがわかります。
とはいえ、先述したように経験2年未満で離職してしまう保育士が多いことから、保育士の人手不足はかなり深刻といえるでしょう。
主な離職理由の紹介
続いて、保育士の主な離職理由を紹介していきます。
現に保育士として働いている方は「あるある」と感じるでしょう。
実際に保育士が辞める決定的な理由を把握し、自分で対処できることは自分で対処しましょう。
人間関係の悩み
保育士は女性の多い職場であり、女性ならではの人間関係に悩むことも多いです。
職場の人間関係が良ければ問題ありませんが、風通しが悪い保育園や人間関係が悪い保育園だと、仕事以外のところで余計なストレスを抱えてしまいます。
また、保育士同士の人間関係だけでなく、無茶な要求を押し付けてくるモンスターペアレントの対応に疲れてしまい、離職してしまう保育士も多いです。
保育士は多くの人とかかわることになるため、人間関係で苦労すると大きなストレス要因となってしまいます。
業務量が多い
保育士は業務量が多く、日々の負担が非常に重いです。
子どもの面倒を見るだけではなく、連絡帳の作成や行事の用意、園内の清掃や整理整頓など様々な仕事を抱えています。
保育士の数が少ない保育園では、保育士1人あたりの業務が過重になってしまい心身に大きな負担を強います。
「業務負担が重すぎてもう続けられない」と感じて離職する保育士は多く、さらに人手が足りなくなてしまう悪循環に陥ってしまうでしょう。
業務内容と給料が割に合わない
先述したように、保育士の業務量は多いのにも関わらず保育士の給料などの待遇は残念ながら恵まれていません。
厚生労働省が平成27年に発表した「保育士等に関する関係資料」によると、全職種の平均月給は31.9万円でしたが、保育士の平均月給は21.6万円でした。
激務であるにも関わらず相応の収入が得られないと、働くモチベーションを失ってしまうのは仕方のないことです。
「もっと快適に働けて給料もいい職場がある」という現実から、離職してしまう保育士は非常に多いです。
責任が重い仕事
保育士は、保育園で子どもを預かります。
高所から落下してしまうと大けがを負ってしまう恐れもあることから、保育士は命を預かる非常に責任のある仕事をこなしていると言えるでしょう。
限られた人員ですべての子どもに目を配らなければならず、心身の負担は非常に大きいです。
子どもが転倒した時のような、いわば「保育士の責任ではないケガ」が起きてしまったときも、保護者から理不尽なクレームを受けてしまうことがあります。
このように、責任の重さやストレスに耐えかねて離職してしまう保育士も少なくありません。
勤務時間が長い
近年は共働き世帯が増えている影響もあり、朝早くから夜遅くまで開いている保育園も少なくありません。
シフト制を強いている保育園がほとんどですが、保育士の拘束時間は長いのが現実です。
夜間延長保育を受けている場合、保護者が迎えにくるまで保育園を閉めることはできません。
また、保育以外にも多くの仕事をこなす必要があることから、保育士は残業が多い仕事でもあります。
仕事が終わったあとも、自宅で育児や家事をしなければならない方にとって、保育士は非常に負担の多い仕事と言えるでしょう。
休みが取れない
保育士は慢性的な人手不足の状況にあるため、保育園の中には有給休暇を取得しづらいところも多いです。
また、そもそもの休日数が少なく連休を作れない保育園もあるため、プライベートの時間を充実させることが難しい現実があります。
また、産休や育休の取得を認められていない(本来は違法)ところも多く、仕事と生活の調和が難しいことから、離職してしまう保育士が少なくありません。
プライベートを充実させられないと「何のために働いているのか」という不満を感じてしまい、離職してしまうのは無理もありません。
保育方針の違い
保育園によって、運営方針や園長の考えが異なります。
- 子どもの個性を尊重する
- 自由な教育をさせたい
- 英語教育に積極的
- 読者の時間を多く確保する
- 社交性を尊重する
- 地頭の良い子どもを育てる
など、保育園によって方針は様々です。
自分のなりたい保育士像と保育方針が異なっていると、ミスマッチから大きなストレスを感じてしまいます。
価値観の違うと心地よく働けないことから、相性がいい職場を求めて離職してしまう保育士は少なくありません。
離職率が低い保育園を見つけるポイント
続いて、離職率が低い保育園を見つけるポイントを7つ紹介していきます。
離職率が低いということは、在籍しているスタッフが心地よく働けていることに他なりません。
保育士としての転職を検討している方は、下記で解説する内容を参考にしてみてください。
職場の雰囲気が良いか
職場の雰囲気は、良好な人間関係を保つ上で非常に重要です。
雰囲気がいい職場は意見を言いやすく、風通しがいいケースが多いため、余計なストレスを感じることなく働ける可能性が高いです。
わざわざ雰囲気の良い職場を辞める理由はないため、雰囲気が良い保育園は定着率が高い傾向にあります。
実際に見学や面接する際に、できるだけ保育士同士のコミュニケーションや働きぶりについて見ておきましょう。
保育士が多いか
保育士が多ければ、1人あたりの業務負担が過重になりません。
そのため、保育園の広さ規模に対して、保育士が十分に揃っているかも重要なポイントです。
業務量が多いと徐々に心身の負担となるため、十分な人員確保ができている保育園であれば安心して働けるでしょう。
また、保育士が多い保育園が心地よく働ける環境が整備されている可能性も高いです。
様々な手当がしっかり支給されるか
求人を探す際には、年間休日や基本給に注目しがちですが、様々な手当が支給されるかどうかもチェックしましょう。
- 残業手当
- 休日出勤手当
- 住居手当
- 扶養手当
などが代表的ですが、手当が充実している保育園は「勤務している保育士を大切にしている」と言えます。
また、しっかりと手当を支払ってくれる保育園は経営状態が安定している裏付けにもなるため、長期的に安心して働ける可能性が高いです。
有給休暇が取得できるか
職場によっては、人員不足などの理由から有給休暇が取得しづらいケースもあります。
また、暗黙の了解により有給休暇が取得できない場合があるため、求人サイトなどを通じて有給休暇の取得率や取得しやすさなどを調べておきましょう。
そもそも、有給休暇は労働者に当然に認められている権利ではありますが、雰囲気的に取得しづらい保育園があるのも事実です。
面接の際に質問し、際に面接官が答えを渋る場合や嫌な顔をする場合は、残念ながら有給休暇を満足に取得できないリスクが高いです。
福利厚生が整っているか
安心して長く働くためにも、福利厚生が整っているかどうかを確認しましょう。
長く続けられる保育園で働きたい場合は、福利厚生についてもきちんと確認しましょう。
- 各種休暇制度
- 昇給・賞与
- キャリアアップの助成
- 自己啓発の支援
- 福利厚生サイトとの連携
など、福利厚生が整っている保育園はスタッフを大切にしています。
また、福利厚生が充実していることは保育園の経営状態が良いということでもあるため、長くキャリアを積める可能性が高いです。
保育方針が合っているか
条件の良い保育園でも、自分の保育方針と保育園の保育方針が合っていないと心地よく働くことができません。
保育方針はホームページで確認できるほか、面接を受ける際に質問することでも把握できます。
もし自身の保育方針や価値観と合わない場合、ミスマッチが起きてストレス要因となるので注意が必要です。
保育園の環境が良いか
保育園の環境は、園庭の有無や敷地、そして掲示板やなどを見ることでおおむね把握できます。
園内の雰囲気や環境をチェックすることで、自分が実際に働くイメージを持ち、安心して働けるかどうかの判断材料を得られるでしょう。
掃除が行き届いている保育園やおもちゃが整理整頓されていない場合は劣悪な環境である可能性が高いため、避けたほうが無難です。
また、子どもたちが過ごしている様子からも円の雰囲気をうかがい知ることができるため、子どもの様子も併せてチェックしてみましょう。
保育士の転職先について
保育士が転職先を探す際に意識するべき重要なポイントが2つあります。
保育士として転職先を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。
資格を活かして転職する場合
保育に関連する資格を取得することで、転職先の選択肢が広がります。
保育士資格を活かして転職できる候補先を4つ紹介するので、参考にしてみてください。
幼稚園教諭
幼稚園教諭は、幼稚園で子どもの世話や教育を行います。
保育園と幼稚園は異なる施設ではありますが、「子どもの成長をサポートする」という本質的な部分は共通しています。
資格を持っていれば保育のスキルを活かせる上に、仕事内容は保育士とほとんど変わらないため、環境変化のストレスを軽くできるメリットもあります。
子どもの知育的な成長もサポートしたいと考えている方におすすめの職場といえるでしょう。
企業内保育園
企業内保育園は、一般企業がオフィス内もしくはオフィス近くに構えている保育園です。
企業に勤務している社員、子どもを連れて出勤できるように、企業内保育園を設ける企業が増えています。
企業内保育園も、結局は保育士としての仕事を行うことになるため、保育園での勤務経験やスキルがそのまま活かせるでしょう。
民間の保育園でよくある園児獲得競争は無いため、一般的な保育園よりもストレスなく働ける点も大きなメリットです。
学童保育
学童保育とは、小学校に通っている子どもを、放課後や長期休み中に預かる施設です。
保育園とは異なり、対応する子どもが小学生になりますが、保育のスキルを活かせる職種と言えるでしょう。
小学生は未就学児よりも体力がありますが、コミュニケーションがとりやすく世話がかかりません。
勤務時間も短いため、体力面で不安のある保育士にとって魅力的な選択肢となります。
託児所やベビーシッター
託児所やベビーシッターは、一般的に認可外保育施設を指します。
利用目的は問わないため、親が自分の時間を確保したいときに利用されるケースが多いです。
保育士としてのスキルが活かしやすく、駅に近い託児所であれば通勤しやすいメリットがあります。
しかし、保育園と較べて待遇面なの労働条件が悪いケースもあるため、事前に条件を確認することが重要です。
他業種に転職する場合
「もう保育士の仕事から離れたい」と考えている方は、他業種への転職を検討するのもおすすめです。
保育士経験で培われたスキルを活かせる職種は多くあるため、自分自身が求めている働き方や価値観に応じて決めてみてください。
一般事務
一般事務では、マイクロソフトオフィスなどを使って仕事をするケースが多いです。
保育園でも、事務仕事でパソコンを使う機会が多いことから、想像以上にパソコンスキルを有している保育士は少なくありません。
また、一般事務では定時で帰れるケースが多いため、保育士の業務量の多さに疲れてしまった方や子どもの世話で疲れてしまった方におすすめできます。
しかし、一般事務の仕事は人気が高いため、競争率も高い点は知っておきましょう。
看護師・介護士
保育士と同じく福祉系の仕事に含まれますが、看護師や介護士も保育士経験を活かせる職種です。
資格取得は大変ですが、高齢化がますます進んでいくであろう日本において、看護師や介護士のニーズはますます高まっていくでしょう。
年を取るたびに病院にかかるリスクや介護状態になるリスクは高くなるため、看護師や介護士が活躍できる場は増えていくでしょう。
「誰かをお世話する」という点では保育士と共通しているため、大きなミスマッチなくすんなり転職できる可能性もあります。
接客業
保育士は、
- 子ども
- 保護者
- 園内の同僚
- 先輩・上司
など、幅広い年齢層の人たちとコミュニケーションを取っています。
そのため、自然のコミュニケーション能力が培われ、接客業に向いている人も多いです。
ショップ店員や小売業、飲食店などの接客・販売業は保護者対応などで培ったコミュニケーション力を活かせる場面が多くあります。
人と接することが好きな方は、接客業の転職先を探してみるのもおすすめです。
保育士の離職率が高い理由まとめ
保育士の離職率が高い理由まとめ
- 人間関係などで悩んでしまうとモチベーションが無くなるので注意
- 心地よく働ける保育園へ転職することも有力な選択肢になる
- 保育士として長くキャリアを積みたい場合は、自身と相性が良い職場を探すことが重要
- 保育士経験を活かせる職種は多く、思い悩む必要は無い
保育士は
- 人間関係で悩みやすい
- 業務量が多い
- 休みづらい
- 待遇が悪い
などの理由から、離職率が高くなってしまっています。
しかし、安心して長く働ける保育園があるのも事実なので、保育士のキャリアを充実させたいと考えている方は自身と相性が良い保育園を探すと良いでしょう。
幸い、保育士は人手不足で売り手市場の状況にあるため、保育士資格がある人材は重宝されます。
もし現在の職場で悩みや問題を抱えている場合は、違う保育園への転職や異業種への転職を含めて、幅広く検討してみてください。