宅建の試験科目や出題範囲は?それぞれの難易度や配点・対策法を徹底解説!

この記事は専門家に監修されています

宅建士

関口秀人

「宅建の試験科目には何があるんだろう?」

「宅建の試験内容や難易度が知りたい!」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

そこでこの記事では宅建の試験科目や出題範囲について、それぞれの難易度や配点・対策法も踏まえて徹底的に解説します

この記事を読み終わる頃には、宅建の試験内容や勉強法がしっかりイメージできるはずです!

宅建の試験科目や出題範囲をざっくり説明すると

  • 宅建の試験は暗記中心の科目が多く、試験範囲が広い。
  • 出題範囲は4つの科目からなり、問題数は50問(配点は1問1点)である。
  • 合格率はあまり高くないが、試験の難易度が高いわけではない。
  • 各科目の出題範囲に合わせて勉強時間や勉強法を考えることが大切である。

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宅建士資格試験の科目と特徴

人とクエスチョンマーク

宅建士資格試験は、毎年20万人が受験するという大規模で人気の国家資格です。

宅建試験では4つの科目からの出題があります。それぞれの科目に特徴がありますが、ここで詳しくみていきたいと思います。

試験科目は4つで問題数は50問

宅建士試験の試験科目と問題数などについてみていきます。

まず試験の出題形式 を説明すると、4つの選択肢から1つを選ぶマークシート式となっています。

宅建士試験の出題科目と配点は以下の通りです。

出題科目 配点
権利関係 14問
宅建業法 20問
法令上の制限 8問
税金その他 8問

以下に宅建士試験の基本情報をまとめます。

宅建士試験の基本情報

問題数50問(1問1点)

試験時間: 2時間

受験資格: 学籍・国籍・年齢などの受験資格制限は一切なく、誰でも受験できます。

試験日:毎年10月の第3日曜日

合格発表:12月の第1水曜日

講習を受けて5点をゲット

宅地建物取引業に従事している人は、登録講習を受けることで5点分が免除になる「5点免除」という制度があります。

登録講習を受講、修了試験に合格すると、修了試験に合格した日から3年以内の宅建試験で5点免除を受けることができるのです。

5点免除は「税金その他」の分野(例年だと問46~問50)に適用されます。

登録講習による5点免除についての詳細は以下の記事を参考にしてください。

科目による足切りはなく合格ラインは7割ちょっと

宅建士試験には、他の資格と異なり科目別の足切りなどがありません。

下表は過去9年間の宅建試験の合格率と合格基準点です。

年度 合格基準点(一般受験者) 合格率
2014年 32点 17.5%
2015年 31点 15.4%
2016年 35点 15.4%
2017年 35点 15.6%
2018年 37点 15.6%
2019年 35点 17.0%
2020年(10月) 38点 17.6%
2020年(12月) 36点 13.1%
2021年(10月) 34点 17.9%
2021年(12月) 34点 15.6%
2022年 36点 17.0%

出典:不動産適正取引推進機構「試験実施概況(過去10年間)」より抜粋

上記によると、毎年合格ラインは変動しているものの、50問中37問の正解でおおむね合格できるといえます。

合格率はあまり高くはありませんが、勉強が不十分なまま受験をするライト層が多く、決して難易度が高い資格ではありません。

各分野の試験範囲と難易度

人とパズルのピース

宅建は試験範囲が広く、4つの科目ごとの特徴に合わせて対策をする必要があります。

ここでは各科目の試験範囲難易度などについて確認していきます。

権利関係

権利関係からは毎年14問前後が出題されます。出題範囲は民法、借地借家法、区分所有法及び不動産登記法などです。

民法は理解を問う問題が多く出題される一方で、勉強範囲がとても広いため最も対策に時間がかかり、躓く人が多い科目です。

近年では合格ラインが上がってきており、民法が苦手であっても「民法を捨てる」という手段は取れなくなってきています。

目標点数は、権利関係が苦手な人は7点以上、そこまで苦手意識のない人は10点以上にするのが良いでしょう。

宅建士試験の権利関係についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

宅建業法

宅建業法からは毎年20問前後と最多の問題数が出題されます。出題範囲は宅地建物取引業法などで、宅地建物取引士の報酬に関する制限や、罰則等についての理解を問う問題が出題されます。

また「免許」「宅地建物取引士」「営業保証金」「35条書面」「37条書面」「クーリングオフ」など出題の多い分野が毎年固定されているため、満点を狙える科目です。

宅建業法は暗記中心で、4科目のなかでもっとも理解しやすい分野です。近年では、宅建業法で9割近く得点しないと、合格ラインを越えるのが難しくなってきています。

法令上の制限

法令上の制限からは毎年8問程度の出題があります。出題範囲は土地計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法です。

理解はしやすいものの、地価表示や地価の決定法について聞かれることも多く、様々な事項や数字など一定量の暗記をしておく必要があります。

法令上の制限は、宅建業法と同じように暗記を中心とした対策ができるので、論点をおさえて効率的に勉強することで得点しやすくなるといえるでしょう。

宅建士試験の法令上の制限についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

税金その他

税金その他からは毎年8問程度の出題があります。出題範囲は税法、不当景品類及び不当表示防止法、住宅金融支援機構法、地価公示法です。

主に税金についての知識から地価公示法、不動産鑑定評価基準について問われ、最新の統計数値などは試験前に頭に叩き込む必要があります。また、最後の5問は免除対象科目となります。

税金その他の範囲は広いですが、暗記中心の科目なので覚えた分だけ点数に結びつきやすいともいえます。基本をおさえて、過去問などから論点を絞り込んで勉強するとよいでしょう。

各科目の勉強時間と勉強法

顔のマークとチェックボックス

宅建では分野ごとの出題傾向に合った勉強をすることが大切です。

ここでは各科目の勉強時間勉強法について詳しくみていきたいと思います。

合格に必要な勉強時間は300時間前後

一般的に、宅建業務の未経験者が合格に必要な勉強時間は250~350時間、宅建業務経験者なら100~150時間前後だといわれています。

合格率は毎年約15%と決して高くはありませんが、内容としては極めて難解なものは少なく、独学で合格される方もいらっしゃいます。

一方で独学で何年も挑戦している人や途中で挫折してしまう方も多いので、ひとりでモチベーションを保つのが難しい方は通信講座などを利用すると良いでしょう。

宅建士試験の勉強時間についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

まず配点の高い宅建業法から始める

宅建業法」→「権利関係・民法等」→「法令上の制限」→「税その他」という優先度で時間を配分しながら勉強を進めるのが最も効率が良い方法です。

その理由は、宅建業法は4科目のなかでも分かりやすく暗記で対応できるので、スムーズに勉強に入っていきやすいからです。また配点が高く出題数が多いので、最初に勉強するのがおすすめです。

宅建業法や法令上の制限などの暗記が多い科目は9割以上、その他の科目では7割の得点を確保することを目標に勉強すると良いでしょう。

得意・不得意を見据えた勉強を

宅建士の試験では、社労士などの他の資格とは異なり、科目による足切りがありません。

その分、自分の得意・不得意に合わせて得点配分や勉強時間の配分を設定し、合計で7割得点できるように、うまく勉強をプランニングすることが大切です。

目標点数例

ここで科目ごとの目標点数の例をあげてみます。ここでは目標を37点としています。

得意科目と苦手科目の差が特にない

科目 目標点数(合計37点)
宅建業法 18点
権利関係 9点
法令上の制限 5点
税金その他 5点

宅建業法や法令上の制限など暗記系科目が得意

科目 目標点数(合計37点)
宅建業法 19点
権利関係 7点
法令上の制限 7点
税金その他 4点

権利関係が得意または抵抗がない

科目 目標点数(合計37点)
宅建業法 17点
権利関係 10点
法令上の制限 5点
税金その他 5点

個数問題と組み合わせ問題に注意

個数問題「正しいものはいくつあるか」「間違っているものはいくつあるか」、組み合わせ問題「正しいものの組合せはどれか」「間違っているものの組合せはどれか」は、正誤問題よりも難しいです。

毎年こうした問題が8問前後出題されており、合格基準点から考えても捨てることはできません。

個数問題や組み合わせ問題に対処するためには、より深い理解や正確な暗記が求められます。

暗記が多いからこそ早めの対策を

人が勉強している

宅建資格試験は「9割が暗記」というくらい覚えることや理解すべき法律の基本型が多く、対策をするのに時間がかかります。

また、過去問と類似した問題が出題される分野も少なくないので、直前期に過去問を何周もできるように早めの時期から対策しておくことが肝心です。

暗記だから直前に詰め込めばいいと考えていると、直前になって試験範囲の多さに愕然とすることになってしまいます。

試験が10月中旬に実施されることを考えると、独学であれば前年の10月から12月には勉強を開始しておきたいところです。

インターネット上では「3ヶ月で合格!」のような超短期間の合格体験記も見受けられますが、無理に短期間で合格しようとするとあっさり不合格になってしまうので、それらは参考程度に見ておくのがおすすめです。

勉強につまずいてしまったときは

複数のお化け

勉強時間を確保しているのに、結果が出ないと感じることもあるかもしれません。

勉強につまずいてしまうのは本人が悪いのではなく、合わない勉強法で勉強しているなど何か理由があります。宅建はきっちり対策すれば合格できる試験です。

うまくいかないと感じたら、これまでやってきた勉強を見直して適切な方向に変えていくとよいでしょう。

満点を取る必要はない

宅建の試験では満点を取る必要はありません。完璧を目指してテキストの隅々まで読み込んで時間をかけていたら、本来すべき勉強ができずに逆効果になります。

科目ごとに本腰を入れて勉強する部分、軽くさらう程度でよい部分があります。全体のバランスを考えメリハリをつけて、合格するための勉強をする必要があります。

満点ではなく合格ラインの37点を目指していきましょう。

過去問を繰り返し解く

宅建の試験では過去問がとても重要です。過去問で同じ論点を何度も間違えている箇所があれば、それは知識が頭に入っていなかったり正確に理解しきれていない部分だといえます。

過去問を繰り返し解くことは、自分の得意分野や苦手分野を客観的に知ることにつながり、目標点数を計画するときにも役立ちます。

権利関係との付き合い方

権利関係がどうしても苦手という場合は、まず過去問などから重要な論点を拾って問題の解き方をおさえていきましょう。

苦手でも諦めずに14問中7問を目指して勉強するのが良いです。

一方で、民法は分かってくると楽しい科目でもあります。しかし、他の科目の勉強に支障をきたさないように、深入りし過ぎず、合格ラインを意識して効率よく勉強していきましょう。

宅建の試験科目や出題範囲まとめ

宅建の試験科目や出題範囲まとめ

  • 宅建の試験では暗記が多く、理解が必要な科目も含めて早めに対策を始め、勉強に時間をかけることが重要である。
  • 宅建の試験では科目による足切りがなく、得意不得意に合わせて各科目ごとの目標点数を計画して、勉強法を工夫することが大切である。
  • 試験内容や科目ごとの特徴に沿ってきっちりと対策をすれば合格可能である。

ここまで宅建の試験科目や出題範囲について、あらゆる角度から徹底的に考察してきました。

宅建は科目による足切りがないので、得意・不得意を考慮して勉強の計画を立てやすいというメリットがあります。

ベストな勉強法により、試験本番で良い結果が出せることを願っています!

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