地方公務員の上級とは?試験の難易度・対策方法から仕事内容まで詳しく解説

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「地方公務員上級ってどうやったらなれるの?」

「そもそも地方公務員上級って何?」

上のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

地域社会を支え、また地方創生にも貢献できる地方公務員の仕事はとても気になる一方で、少し調べると「上級」「中級」「初級」などと様々な区分が出てきてしまい混乱しますよね。

ここでは、地方公務員上級の試験や仕事内容などの基本情報や、上級の仕事を通して得られるやりがい・メリットを、国家公務員や他の地方公務員との違いなどを交えて、網羅的にご紹介します!

この記事を読み終わる頃には、地方公務員上級の資格についての基本情報は、対策方法が頭に入っているようになるでしょう。これを通して取得への第一歩を踏み出して下さい!

地方公務員上級についてざっくり説明すると

  • 特別な受験資格は不要だが、中級・初級に比べ取得の難易度は高い
  • 資格取得が難しい分、地域活性化をはじめ、幅広い分野で政策立案の中核を担うなど大きな仕事ができる
  • 1次・2次試験共に、内容が自治体によって異なるため、入念な下調べと対策が必要

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地方公務員上級とは?

クエスチョンマーク 地方公務員の中でも、地方自治体の活性化を中核となって推進する大きな責任を担うのが、この「地方公務員上級」です。

地方公務員試験のレベルは3段階

地方公務員の試験のレベルは以下の3段階に分けられており、それぞれ試験の難易度が異なっています。

  • 上級:大学卒業程度のレベル

  • 中級:短大、専門学校卒業程度のレベル

  • 初級:高校卒業程度のレベル

現在では、「公務員のうちでのランク付け」のように用いられることの多い「地方上級」ですが、もとは試験の難易度とその受験者の推奨レベルを指す言葉として使われていました。

また、自治体によっても名称が異なる場合もあり、「地方上級」だけではなく時に「上級職」や「Ⅰ類」「Ⅰ種」と呼ばれることもあります。

地方公務員上級に受験資格はある?

「地方上級」に受験資格はほぼありません。唯一の必要資格は年齢要件です。また、「上級」に限らず、「中級」「初級」に関しても受験資格はなく、誰でも挑戦することのできる試験となっています。

あくまで試験の難易度が大学卒業レベルというだけで、22歳以上であれば、大学卒業もしくは卒業見込みでなくとも受験可能なのです。

ただし、自治体によっては「地方上級」の受験資格として学歴要件が課されることもあるので、学歴が高いに越したことはないと言えるでしょう。

年齢についてもう少し加えると、上級(大卒程度行政区分)の年齢上限は大半の自治体で30歳から35歳前後に設定されていることも注意が必要です。この年齢は受験時点ではなく、就職する年の4月時点での年齢で判断されることも頭に入れておきましょう。

地方公務員上級試験の概要

ノート

ここまで、地方上級試験がどのような位置づけにあるのかについてお話しました。

次は、その試験内容について、難易度や出題科目とともに解説していきます。

地方上級は国家公務員と同様の難易度

「地方上級」のレベルは、国家公務員の一般職採用で実施される試験と同程度であると考えられています。

試験の倍率は、志望先の自治体によっては10倍を超える場合もあり、試験に合格するためには長時間の勉強・本格的な試験対策が必要になると言えるでしょう。

また試験内容も、自治体によって大きく異なる場合があり、ピンポイントで効果的な対策をしづらいことも、難易度を高めている要因となっています。

実際に倍率は地方上級の方がやや高め

国家公務員一般職と地方上級の通過倍率を実際に比較してみたところ、国家公務員一般職の場合1.5〜4.1倍であるので、地方上級の方がなるのが難しいと言えます。

倍率が高くとも、受験者母体や内容の違いが国家公務員試験との間には存在するため、試験の難易度自体が高いとは一概には言えないようです。

先ほども紹介したように、自治体が個別に設ける試験の対策を計画的・緻密に行うことが他の受験者と差をつけることにつながるため、肝要であるでしょう。

地方上級の試験内容・出題科目

地方上級試験は、一次・二次とで二段階にかけて試験が行われ、両方に合格する必要があります。一次試験と二次試験でどのような特徴があるのか、それぞれ分けて見ていきましょう。

一次は筆記試験

一次試験の出題科目は、大きく「教養科目」と「専門科目」に分けられます。

  • 教養科目

教養科目では、「一般知能」と「一般知識」の2つから出題されます。 詳しい試験内容は以下の通りです。

出題科目 出題内容
一般知能 文章理解、数的推理、判断推理、資料解釈
一般知識 社会科学、人文科学、社会科学
  • 専門科目

専門科目では、「行政系」、「法律系」、「経済系」、「商学系」の4つから出題がなされます。こちらの出題内容は以下です。

出題科目 出題内容
行政系 政治学、社会政策、行政学、国際関係
法律系 憲法、行政法、民法、刑法、労働法
経済系 経済原論、ミクロ経済、マクロ経済、財政学、経済史、経済政策、経済事情
商学系 経営学

二次は面接の試験

二次試験では、面接・論文・討論・作文・適性試験などが実施されます。

特記すべき点として二次試験は、一次試験以上に、自治体によってその性質が分かれます。そのため、予め自分が受けたい自治体の試験内容について細かく確認したうえで対策を積む必要があるでしょう。

また、近年の傾向として、一次試験より二次試験の内容・結果が重視されることが挙げられ、このことに留意して対策に臨んだ方がよいと言えます。

国家公務員試験は試験範囲が広い

地方上級試験と同レベルであると考えられている「国家公務員一般職」との違いは主に「出題範囲の広さ」にあるでしょう。比較のため、一度国家公務員試験の出題範囲を参照します。

国家公務員の一次試験で課される内容は以下の4つです。

  • 基礎能力試験:「一般知能」と「一般知識」を問う
  • 一般論文試験:文章表現力や課題理解力を測る
  • 専門試験(多岐選択式):専門区分に応じた知識を選択式で問う
  • 専門試験(記述式):専門区分に応じた知識を記述式で問う

地方上級の出願期間・試験日程

近年の地方上級試験の、出願期間から試験日程までの全体スケジュールは以下になっています。(※2023年度)

  • 受験案内配布:3月下旬~4月下旬
  • 申し込み受付期間:4月上旬から6月上旬
  • 1次試験日:6月第四日曜日
  • 1次試験合格者発表日:7月上旬~中旬
  • 2次試験日:7月下旬~8月上旬
  • 最終合格発表:8月下旬

受験案内の配布期間と申込み受付期間はほんの短い時間のみ重複していないので注意が必要です。早めに入手するよう意識しておきましょう。

地方公務員上級の仕事内容

スーツ 地方公務員の仕事の内容は、その試験の難易度は、学習する内容の専門性が大きく異なるのと同様に、初級・中級・上級で大きく異なります。

そもそも地方公務員の仕事内容とは?

一度初歩的なところに戻って、地方公務員の基本情報を確認してみましょう。

地方公務員とは、広く国民のために働く公務員の中でも、自治体組織に所属して働く人を指します。ちなみに、公務員全体の8割が地方公務員です。

仕事の対象が一つの行政区に集中していることから、地域に根差して、人々の暮らしや産業に密着に関わる業務を行うことが、地方公務員の特徴です。

地方上級は地域活性に深くかかわる

地方公務員上級はデスクワークだけではなく、イベントの計画・実施・運営や民間企業とのコラボレートすることで地域活性化を直接的に推進するような仕事を行うことが多いと言えます。

業務の中心となる各種政策や都市計画などを立案する際に、住民の声を直接聞く機会などがあり、様々な世代・階層にある人々と関わることが必要となる職種です。

地方公務員上級は幹部候補生

地方公務員上級として採用された際は、各自治体における「幹部候補生」として考え扱われることが多く、「中級」「初級」と比較しても、業務内容自体がより幅広いものとなりやすいです。

このことから、前述のような地域活性化だけでなく、子育て支援や福祉などといった多種多様な業務において、政策立案の中核的役割を担うことも多いです。

背負う役割がとても大きいため、決して簡単な仕事ではありませんが、その分だけ大きな充実感を得られる仕事となっています。

中級・初級と同様の仕事をすることも

地方公務員上級は、それ特有の仕事をする機会だけでなく、中級・初級の地方公務員と同様の仕事をする場面も多くあります。

このことの理由は、「将来的に幹部として活躍するには、あらゆる仕事の経験を積んでいる必要がある」という観点によるところが大きいでしょう。

幹部候補生として、地方公務員上級は、特に若いうちに他の公務員と同じ業務をこなします。

地方公務員上級になるメリット

顔文字 ここまで「上級」の主な試験内容や仕事内容、その難しさについてお話してきました。

それでは、同じ地方公務員でも、より難易度の高い試験を通過することでどのような恩恵を受けることができるのでしょうか。代表的なメリットを何点かご紹介します。

自分の適性や要望にあった仕事を行える

これまでお話してきたように、地方公務員上級は関わる仕事の幅が広いため、非常にやりがいが持てることに加えて、自分の希望や適性にマッチする仕事に出会いやすいという点でもメリットがあります。

自治体すべての部署に配属される可能性があり、その場で与えられる仕事も多様であるため、日常的に得る新たな刺激が多いという点で、一般的な企業よりも楽しく働ける場合が多いと言えるでしょう。

また、ジョブローテーションも行われるため、数年周期でさまざまな仕事を回りながら自分の適正に沿った仕事を新しく見つけることができる点もメリットとして大きいです。

初級・中級より年収が高い場合も

年収は、自治体によって額に差はあるものの、初級に比べると上級で採用された者は初任給が3〜5万円程度高い傾向にあり、年収水準の面で恩恵を受けることが可能です。

上級の仕事はよりその幅の広さから責任感がとても大きなものになり、その責任に見合って与えられる報酬も高いものになりやすいなど、人によってはメリットばかりの職業とも言えるかもしれません。

国家公務員と年収を比較すると

参考までに、埼玉県庁職員と国家公務員一般職の30代~50代の平均給与を比較してみましょう。

国家公務員一般職は平均年収が670万円程度であるに対し、埼玉県庁職員は730万円程度と地方上級職員の方が上回る結果となっています。

国家公務員と地方公務員の給与の大小は、自治体によって異なることは注意すべきですが、「国家公務員の方が年収が高そう」というイメージは必ずしも正しくないということは言えるでしょう。

地方上級ならスピード出世可能

地方公務員上級が「幹部候補生」とされていることもあり、中級・初級と比較して出世スピードが非常に速い という特徴があります。

幅広い業務や異動の経験を積みながらゼネラリストとしての能力を高めることで、最終的に初級や中級の地方公務員が基本的に上がれないところまで昇進することが可能となります。

特に40代後半からは、給与や役職の面で大きな差が出やすい傾向にあることが分かっています。

長期にわたって安心して仕事に従事したい方にはおすすめの職種であると言えるでしょう。

地方公務員上級の試験対策方法

本 非常に難易度の高い地方公務員上級に合格するには、適切な試験対策方法を理解していることが不可欠でしょう。

以降では、地方公務員上級の試験対策をする際に抑えておくべき点についていくつか紹介します。

地方上級の勉強時間は1000時間以上

地方上級の、広い試験範囲や合格倍率の高さを考慮すると、合格のためには最低でも1000時間以上の勉強時間を確保する必要があると考えられます。

地方公務員上級の試験対策においては、特に教養試験の「数的処理」の勉強を重点的に行う必要があります。

この科目は、苦手に感じる受験者の多い科目であることから、他の受験者と差をつけるためにも、できる限り早く対策に取り組む必要があると言えるでしょう。

勉強期間は一年を目安に

理想的な勉強スタイルとしては、受験を決めたその瞬間に試験勉強を始め、試験の日まで長く対策を重ねることでしょう。しかしながら、時に時間をかけすぎると中だるみして覚えたことを忘れてしまったり、モチベーションの維持が困難になってしまったりすることも多いです。

そのため、前述の、必要とされる1000時間以上の勉強時間を踏まえて、1年間の勉強を目安とすることがおすすめの対策方法として挙げられるでしょう。

一日の勉強に平均して3時間かけることを意識して学習スケジュールを組むと、試験日までにスムーズに実力アップを図れます。

1年間という期間はキリがよく、この点からもモチベーションを維持しやすいと言えるでしょう。

問題演習は過去問を中心に行う

過去問は最高の問題演習教材です。対策方法としては、まずは何度もやりこむことを中心として学習を進めていくのが効果的です。

過去問の選び方も肝要です。出題頻度が明確にわかるような過去問題集を選び、膨大な試験範囲の中から、試験に頻出の範囲を見極めた上で、見通しをもって対策を行うと、より効率よく合格を目指すことが可能となります。

地方上級対策のおすすめ教材

これまでの記事内容からも分かるように、まず手に入れておくべきは過去問集です。

様々ある過去問本のなかでも、オススメは「地方上級 過去問500」シリーズです。このシリーズはバリエーションが豊富で、「教養試験」「専門試験」「地方上・中級の教養・専門試験」の三種類が用意されているので、自分の受ける試験に応じて購入すれば良いでしょう。

試験対策に利用するテキストとして、一問一答形式の問題集があってもいいのですが、優先するべきは過去問演習の徹底であるということを頭に入れておきましょう。

独学で地方上級試験に合格できる?

今回重点的に紹介している「地方上級」の試験だけではなく、地方公務員の試験全般に言えることですが、一次試験の対策は、独学でもある程度可能な一方で、より柔軟性や発信力の求められる二次試験の対策が困難となる場合が多いです。

特に、面接や集団討論といった試験の対策は、やはり独学者が個人で効果的に行うことが困難であるため、試験対策のプロの力を借りることが最もおすすめであると言えるでしょう。

通信講座で地方上級試験に合格

地方上級に対応する通信講座の多くは、予備校よりも価格は安くかつクオリティも高いです。

よって、お得に地方上級試験合格を狙いたい場合は特に、通信講座の受講をおすすめします。

特にスタディングは、予備校の相場の6分の1の価格で高いクオリティの学習を実現する1番のおすすめ講座です。

内容は図表やイラストを用いてわかりやすく解説がなされていることから、初心者の方でも知識をスムーズに吸収することができます。

また、大きな特徴としてスマホ学習に特化している面が挙げられ、スキマ時間も有効活用できる工夫が満載となっています。

学習の利便性の高いスタディングの公務員講座で地方上級試験合格を狙ってみてはいかがでしょうか?

地方公務員上級についてまとめ 

地方公務員上級まとめ

  • 幅広い仕事に携わることができ、その分仕事で背負う責任・得られる収入が大きい
  • 地方公務員上級に特別な受験資格は必要ないが、「中級」「初級」に比べて難易度高
  • 国家公務員に比べ、試験内容は地域によって違いがあるため、入念な対策が必要

地方公務員上級について紹介してきました。幅広い分野の政策立案に携わる地方公務員上級は、試験こそ突破するのが容易ではありません。

しかし、その職に就いたあとの仕事内容の充実度・やりがいは底知れないものになるでしょう。

難易度の高い資格だからこそ、見通しをもち、効率的に試験対策を進める必要があります。テキストや講座を上手く活用して、万全な状態で試験に臨みましょう!

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