保育士と社会福祉士の違いは?給与差や転職する方法・試験科目の免除についても解説!

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「保育士と社会福祉士の違いは?」

「どのようにすれば保育士か社会福祉士の資格を取得できるの?」

このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

両方とも簡単に取得できる資格ではありませんが、資格所有者が不足していることから、雇用需要の非常に高い資格です。

この記事では保育士と社会福祉士の違いをさまざまな面から考察するとともに、キャリアチェンジや試験科目の免除などについても解説します。

この記事が、あなたのキャリア開発やキャリアチェンジのお役に立てるものと確信します!

「保育士と社会福祉士の違い」をざっくり説明すると

  • 保育士の方が受験資格の窓口は広いが、試験の合格率は低い。
  • 社会福祉士の方が受験資格は厳しいが、合格率は保育士より高い
  • 保育士に求められる専門性は高く、社会福祉士に求められる専門性は浅くて広い。
  • 社会福祉士の方が待遇面で恵まれており、平均年収は100万円以上多い。

保育士と社会福祉士の仕事の違い

? 非常にざっくりとした言い方をすれば「保育士は子どもの世話をすることが仕事で、社会福祉士は健康面や生活面で問題を抱える児童から高齢者までの支援を行うことが仕事」です。

どちらも、国家資格を取得した人しか保育士や社会福祉士を名乗っての仕事はできません。

以降では、両資格の仕事の違いについて解説します。

保育士の仕事内容

保育士の仕事は一般に言われるような。単に、子どもを預かって身の回りの世話をするだけではありません。

保育士は、子どもたちの生活全般の世話をしながら、次に列挙するような仕事を行います。

  1. 必要なときに身の回りの手助けなどを行うとともに生活習慣を教える。
  2. 集団生活におけるルールを認識させ、子どもの社会性・自立心・感性などを育てる。
  3. 保護者とのコミュニケーション・保護者対応
  4. 行事やイベントの計画・準備など事務仕事など

よって、保育士の仕事は非常に多岐にわたるといえます。

社会福祉士の仕事内容

社会福祉士とは、さまざまなことが原因で日常生活に支障のある人や困難を感じている人を対象に福祉に関する相談などを行う名称独占の国家資格者です。

社会福祉士の仕事容は、児童から高齢者まですべての人々を対象にした「相談業務」「関係機関との連絡・調整」「管理業務」の3つです。

中でも中心は相談業務で、保険・医療、高齢者福祉、障害者支援、生活保護、児童福祉など、福祉に関係するすべての分野に及びます。

なお、社会福祉士は「ソーシャルワーカー」のほか、病院では「医療ソーシャルワーカー」、老人福祉施設では「生活相談員」などの名称で呼ばれることが多いようです。

保育士のほうが専門性が高い

社会福祉士と保育士の仕事上での決定的な違いは、「求められる専門性」でしょう。

社会福祉士の仕事には、福祉・介護分野における非常に幅広い専門性が求められています。

したがって、資格試験の試験範囲は18科目もあり、幅広い知識の習得が求められるのです。

一方、保育士の仕事子育てや保護者の支援に特化されており、それらに関する高い専門性が求められています。

子ども一人ひとりに寄り添い心身の発達を促すよう援助するとともに、保護者についても必要な援助をできる高度な専門性が必要なのです。

保育士と社会福祉士の給与・待遇を比較

バランス 以降では、保育士と社会福祉士の給与および待遇に関し解説します。

平均年収は100万円以上違う

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、保育士や社会福祉士などの年収は次のとおりです。

対象 平均年収
保育士 約358万円
社会福祉士 約476万円
一般企業 432万円

表から分かるとおり、社会福祉士の年収は全企業の平均年収よりも多く、しかも保育士に比較すれば約100万円以上も多いのが実態です。

よって、保育士と比較すると待遇は比較的恵まれているといえるでしょう。

なお、保育士の平均年収である約358万円はあくまで全体の平均値で、都道府県・性別・年齢、職場区分などによって大きく異なります。

保育士は仕事が過酷なことも

社会福祉士より保育士の方が年収の多いことはすでに解説したとおりですが、その他の労働条件ではどのような違いがあるのでしょう。

特筆すべき違いは、保育士より社会福祉士の方が福利厚生面ではるかに恵まれていることです。

社会福祉士の多くは公的な高齢者福祉施設や医療施設で働いていることもあって、恵まれた福利厚生による安定した生活を送れます。

一方、保育士は資格者の需要に供給が追いつかず、経験の浅い保育士が現場で責任を持たされているのが実情です。

また、人員の不足による休みの取りにくさや長時間労働も恒常化していると言われます。

こうしたことから、「仕事自体は楽しくやりがいがあるものの報酬や福利厚生が労働条件に見合わない」として、退職する保育士がいるのが現実です。

社会福祉士のほうが感謝される

仕事のやり甲斐に最もつながるのは、「対象者から伝えられる感謝の気持ちである」と言われます。

では、保育士と社会福祉士では、どちらが「感謝される」仕事と言えるのでしょう。

一般的には、保育士よりも社会福祉士の方が感謝されることが多い仕事、と言えるようです。

社会福祉士は困った人に手を差し伸べることが仕事ですから、対象者から感謝される機会は保育士より多いと言えます。

とは言え、必ずしも保育士よりも社会福祉士のほうが社会的に役立つ仕事・価値のある仕事、ということではありません。

保育士も、保育所に子どもを預ける保護者や子ども自身から感謝されることの多い仕事です。

近年はかつてのような、通園料を支払っているのだから子どもの世話をして当たり前と考える保護者は限られていることが主な要因となっています。

保育士と社会福祉士の試験を比較

矢印 以降の見出しでは「保育士資格試験」と「社会福祉士資格試験」の2つを、試験の難易度や受験資格などで比較してみましょう。

保育士のほうが難易度が高い

平成26年度以降5年間の「保育士資格試験と社会福祉士資格試験」の合格率は、次表のとおりです。

年 度 保育士(%) 社会福祉士(%)
平成30 19.7 29.9
平成29 21.6 30.2
平成28 25.8 25.8
平成27 22.8 26.2
平成26 19.3 27.0

保育士のほうが合格率は低いですから、合格率だけで言えば、難易度は保育士の方が高いとえます。

しかし、試験の難易度は合格率だけではなく、偏差値・受験資格・合格ラインなども比較して判断すべきです。

実際に偏差値の視点から難易度を見てみると、社会福祉士の偏差値は「57」で保育士の偏差値は「58」と判定しています。

また、合格ラインは保育士が学科試験のに限ると9科目それぞれで6割以上の得点をたたき出す必要があるのに対し、社会福祉士試験は18科目の合計点が6割以上&各科目得点を確保の2種類が条件となっています。

よって、これらの視点を総合的に見ると保育士のほうがやや難易度が高いと結論付けることができます。

保育士と社会福祉士の受験資格を比較

以降の小見出しでは、保育士の受験資格と社会福祉士の受験資格を紹介します。

保育士の受験資格

保育士試験の受験資格は、最終学歴によって次のように異なります。

最終学歴 最終学歴後の条件
一般の大学、短期大学、専門学校 なし
高等学校、中等教育学校など 児童福祉施設で2年以上の2,880時間以上実務経験
義務教育 児童福祉施設で5年以上の7,200時間以上実務経験
もしくは平成3年3月31日までに高等学校を卒業

社会福祉士の受験資格

社会福祉士試験には下表のような「受験資格」が設定されており、このいずれかを満たさなければ受験は認められません。

なお、この受験資格を得るには、12に区分して設定されている「資格取得ルート」のいずれかを経る必要があります。

以下が条件の詳しい内容になります。

NO 条 件
福祉系4年制大学で指定科目を履修して卒業した者(受験年の年度末までに卒業見込みを含む)
福祉系短大や専門学校で指定科目を履修して卒業し、指定の施設で2年以上の実務経験(見込みを含む)を積んだ者(3年制の短期大学の場合、実務経験は1年以上でも可)
一般の4年制大学を卒業後、一般養成施設(1年以上)で必要な知識と技能を修得した者
一般の短大を卒業後、指定施設で2年以上相談援助業務に従事し、一般養成施設(1年以上)で必要な知識と技能を修得した者(3年制短大の場合、実務経験は1年以上でも可)
指定の施設で4年以上相談援助の業務に従事し、一般養成施設(1年以上)で必要な知識と技能を修得した者

保育士から社会福祉士に転職するには

握手 保育士の仕事は子育てや保護者の支援に特化されており、それらに関する高い専門性が求められています。

社会福祉士の仕事には、福祉・介護分野における浅くても広い専門性が求められています。

保育士の業務で社会福祉士の知識と技術に役立つところは、保護者支援・子育て支援の分野です。

このことで、保育士から社会福祉士に転職すれば、保育士の経験が生かせるメリットがあると言えるでしょう。

以降では、保育士から社会福祉士への転職に関して解説します。

社会福祉士試験を受験する

保育士から社会福祉士に転職することは可能ですが、社会福祉士として働くためには社会福祉士の「国家資格」を取得しておく必要があります。

社会福祉士は名称独占資格なので、転職前に社会福祉士試験に合格しておくことが必要なのです。

この資格試験の概要は、次のとおりです。

  • 試験実施:年1回・2月上旬に実施
  • 試験方式:五肢択一のマークシート方式
  • 試験範囲:18科目(150問出題・150点満点)
  • 合格基準:18科目群のすべてで得点し、かつ全体で60%以上の正解率

保育士の実務経験が受験資格につながる場合も

社会福祉士国家試験は、誰でもすぐに受験できるわけではありません。

受験資格を得るには、学歴や実務経験に応じて定められている「12種類のルート」のいずれかを経ることが必要です。

特に実務経験の面で受験資格を満たしたいと考えている人は、保育士として以下のような施設で働くと受験資格を取得を満たせます。

  • 児童相談所
  • 児童養護施設
  • 知的障碍児施設

このほかにも、盲の児童を支援する施設など全13種類の施設のどれかで働いた経験が実務経験として認められます。

ただし、注意点も存在するので、必ず受験前に自分がその実務経験を過不足なく満たしているか確認しておく必要があります。

社会福祉士試験に合格したら

社会福祉士試験に合格しても、すぐに社会福祉士として働けるわけではありません。

以降の2つの小見出しでは、社会福祉士試験に合格後に必要な手続きについて解説します。

登録申請の方法

試験に合格後にまずやるべきことは、『公益財団法人社会福祉振興・試験センターへの登録』 です。

登録申請をする際は、登録申請書のほかに戸籍抄本などの書類を提出する必要があります。

また、必要書類とともに登録費用の登録免許税(15,000円)と登録手数料(4,050円)も必要です。

登録申請をしてから登録証が届くまでに1カ月程度かかりますから、そのことを理解したうえで、合格したらすぐに登録申請を行ってください。

就職先は幅広くある

社会福祉士は福祉に関するあらゆる相談を受け付けることから、児童福祉関連・高齢者福祉関連・医療機関関連・行政関連・学校関連など、勤務先は多岐にわたります。

特に雇用需要が多い職場は、高齢者福祉施設や障がい者福祉施設、医療施設などです。

なお、保育士としての経験を活かしたければ、「児童養護施設」や「乳児院」など子どもを相手にする職場で働くこともできます。

社会福祉士から保育士になるには

握手 「子どもの成長を見守るという新しいやりがいを得られる」として、社会福祉士から保育士へのキャリアチェンジする人が増えていることが今注目されています。

以降では、この社会福祉士から保育士へのキャリアチェンジについて解説しましょう。

保育士試験を受験する

保育士は名称独占資格なので、保育士を名乗って仕事をするには、国家試験の保育士資格試験を受験して合格する必要があります。

この保育士資格試験の概要は、次のとおりです。

  • 試験実施:年2回・4月と10月
  • 試験形式:一次(筆記)試験および二次(実技)試験・二次試験は一次試験合格者のみ
  • 試験方式:択一式のマークシート方式
  • 試験範囲:9科目(各科目100点満点)
  • 合格基準:全科目で6割以上の点数を取れば実技試験に進める。

一部の試験科目が免除される

2018年度の保育士資格試験から、科目免除制度が導入されました。

具体的には、保育士資格試験の受験者が3福祉士である「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士」のいずれかの有資格者の場合、筆記試験の一部が免除される制度です。

免除されるのは、試験範囲9科目中の「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」3科目です。

福祉系の資格は統合が進んでいる

厚生労働省は2017年2月に、医療・福祉系の専門職を養成するプロセスで「共通の基礎課程を創設する構想」について、2021年度の実現を目指す方針を示しました。

これは、ある資格者が他の資格を目指す場合、現在は新たに全養成課程を修了する必要があるが、省略できる共通基礎課程を設けることで、複数の資格取得を目指し易くすることを目指すものです。

フィンランドにおける医療・社会福祉資格者の不足問題解決法を参考にした政策と言われています。

保育に関わる様々な分野で活躍できる

保育士は、かつては14種類ある児童福祉施設(保育所・乳児院・児童養護施設・児童館・児童家庭支援センターなど)で、子どもと家族のために働くのが一般的でした。

しかし近年は児童福祉施設などで働くのではなく、NPO(民間非営利組織)やNGO(非政府組織)を立ち上げたり参加したりする保育士は少なくありません。

このように保育士資格を活かして地域福祉の発展に寄与するケースが増えていますし、次世代育成支援対策推進法に基づき子育て支援に力を入れる企業のアドバイザーとして活躍するケースも見られます。

保育士は今、福祉業界に留まらず、幅広い分野の現場で活躍しているのです。

「保育士と社会福祉士の違い」についてのまとめ  

「保育士と社会福祉士の違い」のまとめをざっくり説明すると

  • 保育士の受験資格の窓口は広いが、合格率は約20%で低い。
  • 社会福祉士の方が受験資格は厳しいが、合格率は約27%でやや高い。
  • 保育士には9科目の高い専門性、社会福祉士には18科目の幅広い専門性が求められる。
  • 社会福祉士の平均年収は約476万円で、保育士の358万円よりも約100万円以上多い。

社会福祉士の年収についてさまざまな側面から解説してきました。

社会福祉士は、独立しなければ大きな収入は得られませんが、現在も将来も雇用需要の高い仕事です。

社会福祉士は独学合格は難しい試験ですが、通信講座の利用と過去問の徹底的な活用で合格を勝ち取れます。

あなたの社会福祉士資格取得への挑戦を期待します!

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